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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2008年3月31日 (月)

歯の詰め物でも汚染される

昨日の続きです。本日も斉藤一郎先生の著書より、重金属汚染についてお届けいたします。

歯の詰め物でも汚染される

マグロなどの魚の水銀汚染について述べましたが、アンチエイジングの立場から、本書で詳しく言及したいのは、アマルガムについてです。

アマルガムとは、水銀と他金属の合金を意味しています。語源はギリシア語の「やわらかい物質」に由来しています。

アマルガムは歯の詰め物として長年使用されてきました。成分の55%が水銀の合金で、水銀と銀、スズ、銅などを練和し硬化させて、歯の充填用として使用します。

虫歯の部分に銀色の詰め物をしてあるのを見たことがありませんか?あれがアマルガムで、健康保険が適用され、かつては広く使用されていました。歯科用の水銀は無機水銀が使用されていますが、メチル化されると水俣病の原因となった有害な有機水銀となってしまいます。

アマルガムは、口の中の入れる前は軟らかく、そして蒸発しやすい性質をもっています。軟らかいアマルガムは、虫歯を取り除いたところに圧力をかけながら少しずつ詰められ、次第に食事が出来る硬さに変化していきます。

アマルガムを使用すると辺縁破損が起こりやすく、二次カリエス(虫歯)の発症頻度が高くなります。いまでは人体と環境への影響を懸念して、歯の治療にアマルガムを使用を中止する歯科医院が増えてきました。

とはいえ、かつての虫歯の治療で歯にアマルガムが充填されている人は大変な数に上ると思われます。

アマルガムに含まれる水銀は、吸入により肺に入ります。そしてその約90%が体内に移行します。消化管、肺などいろいろな経路を経て体内に吸収された水銀は、さまざまな臓器に分布しています。

歯にアマルガムを充填したラットで水銀量の臓器分布を調べると血液、腎臓、肺、毛髪や爪などに分布することがわかっています。

アマルガムを詰めていても、そこから水銀蒸発あるいは水銀イオンが溶出する量は微量であるため、急性水銀中毒あるいは慢性水銀中毒を生ずることはないとこれまで考えられてきました。

重金属汚染による深刻な中毒の発症率は非常に少なく、普通はそれほど心配する必要はありません。

しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。普通はそれほど心配する必要はありません。

しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。実際、アマルガムによる水銀アレルギーについて多数の症例が報告されています。症状としては口腔内の浮腫、潰瘍、口腔以外では湿疹、皮膚炎などです。

水銀過敏症は、水銀蒸気が比較的大量に発生する際に起こります。歯の詰め物としてアマルガムを充填したときや詰め物を取り出すアマルガムの充填除去時です。

日本人健常者のアマルガム成分金属に対する感作陽性率(何らかの障害を受ける確立)は水銀11.1%、スズ6.3%、銅1.0%、銀0.1%となっています。

水銀過敏症は金属アレルギーの一種です。特にアマルガムは口腔粘膜や歯肉に常時接触しているため、アレルギーに原因になることも知られています。

金属アレルギーは発疹・痒みを伴う皮膚炎、関節痛などの症状をもっています。アレルギーですので、一度生じてしまうと、長年悩まされることが多いのが特徴です。

アレルギーの原因となる金属は、水銀の他にも、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、銅などがあります。

これらは普段の生活環境に広く存在していて、皮革、セメント、砂、消毒薬、予防接種薬など、見た目では金属に見えない物にも入っています。アレルギーが起こるのがアクセサリーなどが原因であれば即刻身に着けるのを中止します。歯の詰め物に含まれていれば、やはり除去するのが賢明です。

歯科治療に使用されている金属には、水銀の他にパラジウム、クロム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、白金(プラチナ)、金、銀などの合金が使用されています。この中で貴金属は、人体に影響を及ぼすことが少ないとされていますが、高価なために、非金属との合金が使用されることもあります。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫

2008年3月30日 (日)

現代人に進む重金属汚染

昨日の続きで、本日も斉藤先生の著書からお届けいたします。

健康へのリスクを伴う水銀は重金属です。ところが、重金属とひと言で言っても、人体に必要不可欠なものもあるのです。

それらは、昨日ミネラルとして紹介した鉄、銅、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどです。鉄が不足すると貧血を起こしやすく成るというように、これらが不足すると、体に不具合を起こしてしまいます。

逆にまったく不必要な百害あって一利もない重金属が、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、アルミニウム、スズといったものです。ところで私たちの体は、こうした不必要な重金属までも体内に取り込んでしまっているのです。

現代社会は、重金属汚染のリスクが極めて高い社会になっています。海の水銀汚染のことは前にも触れましたが、もう一つの鉛汚染についてお話します。

もともと、鉛中毒は炭鉱労働者や工場労働者に多いとされてきた病気でした。鉛により神経系が冒され、急性の場合、死に至ることもあります。

下痢、嘔吐、緑や黒の異常便、呼吸困難、神経麻痺などの症状をもっています。慢性では、貧血、疝痛、歯肉の変色、便秘、神経麻痺などが表れます。

現代ではこうした鉛中毒のひどい例はあまりないようですが、それでもすくなからず鉛汚染が進んでいるのです。大気汚染や鉛の水道管などが大きな原因です。また、絵の具やワインのオイル蓋なども鉛が使われていますからこれも病気の原因になります。

森に棲む希少動物のワシやシカ、キツネなどがかなり鉛汚染の被害を受けていることが報告されています。原因は人間が狩猟で使う鉛の散弾です。鉛の銃弾を餌と間違って食べてしまたり、餌として食べた小動物の体内に鉛がたまっていありするからです。

釣りで使用する錘も、鉛で出来ています。魚が針を一緒に鉛を飲み込むケースもよくあるので、こうして考えると私たちは鉛に汚染された魚を食べている可能性もあるわけです。

鉛汚染は、人間の子供に対して影響が深刻だろ言われており、子供の知的能力に深く関係するという報告もあります。自動車の排気ガスの長年の蓄積で、公園の土砂はかなり鉛に汚染されています。

鉛や水銀などの重金属が体に害を及ぼすのは、人体の酵素がうまく働かなくなるからです。人間の体には、何千もの酵素があり、それぞれの酵素はたいていひとつの重金属を抱えています。

亜鉛一つとっても、結合する酵素は300種類ともいわれています。ところが、不要な重金属が入ってくると、本来結合すべき金属と置き換わってしまうのです。こうなれば酵素の働きが止まってしまい、様々な障害が出てくるといわれています。

明日へ続きます。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫

2008年3月29日 (土)

本日は臨時休診です

本日は、勉強会参加のため、臨時休診になります。

来週月曜日は通常どおり診察いたします。

ご迷惑をおかけいたします。

院長 猪狩弓彦

2008年3月28日 (金)

魚を食べると体に悪い?

本日は鶴見大学歯学部教授斉藤一郎の著書「不老は口から」からお届けいたします。

魚を食べると体に悪い?

口の最も重要な機能は「食べる」ことです。このブログでは何を食べるか、について取り上げます。とりわけ、普段食べている食べ物リストの話をしたいと思います。

人が生命を存続させるためには栄養が必要で、その栄養は主に食事から摂取しています。

栄養には五大栄養素があり、それらは、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(無機質)の五つです。

ミネラルの必要量はごくわずかですが、体の成長や維持に必須の栄養素です。ミネラルとはそもそも水や土壌などに存在しています。

鉄、亜鉛、銅、コバルト、マンガン、モリブデンなどの金属は人体に必要なミネラルで、不足状態に陥ると味覚障害や貧血などの病気が発症します。

ところで現代社会は日本に限らず、世界中で大気汚染、土壌汚染、食物汚染などの環境汚染問題を抱えています。これらの環境汚染の主役は、重金属です。

アルミニウムやマグネシウム、チタンなどの比重の小さい軽金属に対して、重金属とは金や銀、銅など、比重が4~5以上の金属の総称です。

重金属は毒性の強く物が多く、微量であっても繰り返し摂取した場合、体内で蓄積され、人体に有害となります。公害病として知られている水俣病は有機水銀中毒、また、イタイイタイ病はカドミウム中毒が原因でした。環境汚染で問題となる重金属には、ほかに鉛、ヒ素などもあります。

私たちは、常に汚染された空気と水分を摂取し、汚染された土壌で栽培された穀物、野菜果実を、汚染された海や川で生息し食物連鎖した魚介類を体内に取り込んでいるのです。

それらに含まれている重金属はたとえ微量であっても繰り返し摂取させることで蓄積され、人体に影響を及ぼします。

1年ほど前でしょうか、「妊婦は胎児への影響を考慮し、キンメダイ等の魚の摂取量を控えるように」と国からの注意事項が発表されました。

注意が必要とされている魚はすべて食物連鎖による生き残った大きな魚です。

食物連鎖とは、何でしょうか?たとえば、農作物の場合、重金属を含んだ雨が田畑に流れ込み、農作物は根から重金属を吸い上げ、牛は重金属入りの草を食べ、そして重金属入りの牛乳やバターが出来き、人間は重金属入りの農作物を食べるというここの関係を食物連鎖というのです。

これが海の場合、魚の中に含まれている重金属が水銀なのです。

アメリカのレストランに行くと、入り口に必ずと言ってよいほど「マグロは水銀を多く含んでおり、それを食べることは健康へのリスクがあります」といった警告文が掲出されています。いかにもアメリカらしい感じですが、いずれにしても魚を食べること一つをとってもそれなりのリスクを伴うのだと知っておいた方が良さそうです。

明日へ続きます。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫 

2008年3月27日 (木)

冷たい雨の上野で、熱い議論を交わす

春分の日の20日、早朝の新幹線に乗り込み、技工士の黒澤君と勉強会へ向かいました。

本当はその日、社会保険の説明会があったのですが、勉強会の申し込みは去年のうちからしており、社会保険説明会の説明会開示は先月だったので、これはもうどうしようもありません。

さて、当日は残念ながら大雨。

東北に住んでいる者としては、東京の体感温度というか気温というか、この時期どんな服を着ていけばよいのか、全く検討がつきません。

とりあえず、当日の朝はとても寒かったので、私は厚着をして行きました。実際東京へ着いてみると、福島と同様に肌寒く、厚着をしてきて正解でした。

駅から、会場までは歩いて約20分ほど。

上野駅で朝食を食べる計画で、早めに到着していたので駅近くのファーストフードで簡単に済ませました。

今回の勉強回の主旨は、調整なしで補綴物(銀歯や被せ物)をいれるにはどうしたらよいか?というものでした。

私が今回、技工士の黒澤さんと来た理由は、歯科医師だけが方法を知っていても、結局その患者さんの歯を作るのは、技工士さんなわけだから、私がもちろん知識があって、しかも技工士さんも同じ知識を共有したほうが、患者さんのメリットになると思ったからです。

また、いままでの経験だと、歯科医師が「これはいい方法だ!」と思って、技工士さんに相談しても難しいと思うことが割と多くて、こまったことがあったのです。

私が気が付かない新しい視点が、技工士さんにあるかもしれないからです。

今回私たちは、事前に十分な議論を行ってから勉強会に乗り込みました。

果たして、勉強会は非常に実りの多いのもでした。いままでの私たちの方法で良いところ、ああらしく導入した方がいいところなど。

ただ、疑問点をたくさん持って会場に乗り込んだので、インストラクターの先生がたには非常にご迷惑をおかけしたなと、反省しております。

とても集中していたせいか、疲労困憊の帰宅となりました。帰り際、私が思いつかない疑問を技工士の黒澤君が持ってくれ、熱心に質問をしていたので、とてもうれしくなりました。

つれてきて良かったです。

帰りに食べた焼き肉はおいしかったけど、胃にもたれました。もう、若くはないのですね。

2008年3月26日 (水)

花粉症デビューです。

1週間ほど前から、「なぜこんなに、目がかゆいのだろう」と密かに思っていました。

疲れているので、目やにが溜まりやすいのかな?とも思ってみたり。

決定的だったのは、鼻がグジュグジュして、くしゃみが止まらなくなってからです。

「あ~、これが花粉症か」最初はそんな簡単な気持ちでいたのですが、集中力は無くなるは、頭はぼーっとするは、テッシュは手放さないは、で、本当に参っています。

今週はかなり忙しいので、どうなることかと思うのですが・・・。

辛い・・・・。

2008年3月25日 (火)

本日午後は臨時休診です

本日午後は、インプラント手術のため、臨時休診です。

ご迷惑をおかけいたします。

明日は通常通り診療いたします。

2008年3月24日 (月)

いまだダウン中です。

すいません。

本日もダウン中です。

休憩します。

2008年3月23日 (日)

ダウン

私の先輩に聞いた話です。

診療が時間になっても全く患者さんの途絶える気配がなく、先生の気力も体力も尽き果てた時があったそうです。

そんな時、先輩は待合室に行って、素直に謝るそうです。

「何時間も待っていただいているのに、すいません。もう手が動きません」と。

私も今日はそんな感じ。

ブログも今日、明日、少し休憩します。

2008年3月22日 (土)

噛み合わせと体のバランス2

昨日の続きです。

●歯ぎしりは体に悪いか?

歯ぎしりを聞くと、周りの人に迷惑を掛けたり、歯や体に割るそうという“悪”のイメージしか沸いてこないのではないでしょうか。

そのため、歯ぎしりの治療方法としては、自己暗示や噛み合わせ治療で、歯ぎしりを止めさせることがいい方法だと考えられていました。

しかし、今では、歯ぎしりはストレスの発散として重要な役割があるので、それを正しい環境で行わせれば良いと考えるようになりました。しかし、噛み合わせの悪い人がする歯ぎしりや食いしばりは、歯・歯周組織・顎関節・筋肉などへ、想像以上の負担をかけています。それは、自律神経系にも多大な悪影響を与え、死にもつながる可能性のある、睡眠時無呼吸症候群とも関係があるのです。

すなわち、噛み合わせの悪い人がする歯ぎしりは、ストレス発散のメリット以上に、多くの組織を破壊しようとするデメリットの方が多くなっています。

具体的にいえば、悪い噛み合わせの歯ぎしりや食いしばりは、筋肉に不自然な運動を強要するので、筋肉が異常に緊張し、血流が悪くなり、筋肉性の頭痛や首のこり、肩の懲り、肩こりなどが生じます。

また、噛み合わせが悪いと、特定の歯だけがすり減り、歯が折れたり、歯の根元が欠けて、知覚過敏なったり、歯がすり減らずに歯周組織が破壊され、歯がぐらぐらしてきたり、歯が動いたりします。

これらのマイナス作用をおこさないようにするためには、下顎が自然な自然な一定の動きを維持し、左右に動かしたときにも奥歯が当たらないような、理想的な噛み合わせを作らないといけないのです。

ただし、子供が乳歯の時期にする歯ぎしりは、下顎の成長発育にとって、大切な役割を持っているので、歯ぎしり自体は正常なことであって、一切心配する必要はありません。

●噛みやすさに左右の差があるのは問題

右利き、左利きという言葉があるように、腕や手、足などは、使いやすさに左右差があるのが普通です。左右のどちらかが噛みやすいというのは、何らかの問題があります。

右が噛みやすいのは、顎を左に動かそうとするときに、どこかの箇所の歯が顎を左に動かすのを邪魔しています。邪魔している原因の歯がその位置に存在する限り、無理に左側で噛もうとしても、顎の筋肉がとても疲れやすくなったり、筋肉の動きがおかしくなって、よく間違って頬を噛んでしまいます。

腕や手足は、右側だけというように、別々に動かすことができますが、顎の場合には左右が同時に動くので、左右の噛みやすさに差があるとすれば、それは歯の位置関係自体に問題があるのであって、正しい噛み合わせが作り出せれば、必ず左右両方で同じように噛めるようになります。

●人間の進化が作り出した悪い歯並び

悪い噛み合わせにも色々ありますが、最近特に増えているのが、奥歯で噛んでも前歯が閉じない「オープンバイト(開咬)」というのがあります。

この“開咬”という、奥歯で噛んでも前歯が閉じない咬み合わせが、なぜ増えてきているのでしょうか?

人間の歯には、前歯、小臼歯、大臼歯と、いろいろな形態の歯がありますが、それぞれに大切な働きがあるのにも関わらず、食べ物の軟化によって、すべての歯を使わなくても食事出来るようになってしまったという悪い影響で開咬が増えているように考えられています。

硬いものを噛まなくなったために、前歯を使って食べ物をかみ切る必要性が減ってきて、その結果前歯を使う筋肉が未発達のままになります。下顎の前方への回転が十分におこなわれない成長になり、間違った噛み合わせのままで成長が止まってしまうのです。

肉食動物では、人間の犬歯(前から三番目の歯)のような、先端の尖った歯がズラッと並び、肉を食いちぎるのに都合の良いようになっていますし、草食動物では、人間の大臼歯(一番奥の大きい歯)のような、臼のような歯が並んで、草などをすりつぶすのに都合のいいようになっています。

それに、顎の動きも肉食動物では上下に噛むことで、鋭い歯によって固い肉を引きちぎるのに都合の良い動きをしますし、草食動物では顎を左右に動かし、臼のような歯で、草などをすりつぶすのに都合のよい動きをします。

そのため、歯の形も顎の動きも、自然に長い時間をかけて、それぞれの食べ物が食べやすい形態に進化してきました。

人間も同様に、肉でも野菜でも食べるために、それらが食べられる歯の形態が作りだされてきたのです。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年3月21日 (金)

噛み合わせと体のバランス1

本日は、青山先生の著書「よくわかる家庭の歯学」より、噛み合わせについてお届けいたします。

噛み合わせと体のバランス

●噛み合わせから見た歯の役割

①噛み合わせが悪いと鼻が詰まりやすい

噛み合わせが悪い人は、鼻がひどく詰まる気道が狭くなる傾向があるので、噛み合わせの悪い人ほど、寝ている時にいびきをかいている人が多いのです。呼吸、いびき、睡眠時無呼吸症候群なども、歯や噛み合わせと深い関係があります。

②噛み合わせが悪いと姿勢も悪い

姿勢の悪い子供の割合と、噛み合わせの悪い子供の割合は、ほぼ正比例しています。成長の途中で子供に永久歯が生えてきて、徐々にその人の噛み合わせが作られて行きます。

その噛み合わせが悪ければ、骨の成長に左右差が出たり、筋肉の収縮にも異常が生じます。これは子供に限った事ではなく、大人でも噛み合わせが悪くなることで、簡単に姿勢も悪くなります。

わかりやすい例では、片足だけ靴を履いていて生活していれば、いやが上にも背骨も曲がってしまうのと同じようなものです。

歯や噛み合わせは、全身に対しても計り知れないほど大きな影響を及ぼしています。

③ストレスのコントロールをしている

最後に最近注目されていることで、歯はストレスのはけ口として、歯ぎしりしたり、歯を食いしばったりするときに、大切な役割を果たしているのです。ストレスの多い現代社会では、無意識に、大脳新皮質に多くのストレスが蓄積されています。

このストレスを、趣味、お酒など、いろいろな方法で取り除こうとしますが、気分転換のうまくない人は、ストレスを睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによって解消しようとするのです。歯には、新たにストレス解消の道具としての役割があると考えられるようになってきたのです。

明日へ続きます。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年3月20日 (木)

本日は東京へ勉強会です。

本日は早朝から、技工士の黒澤君と東京へ勉強会です。

テーマは患者さんに優しい技工物を作るために歯科医師と技工士が出来ることのノウハウ。

帰りは、何か旨い物でも食べて帰ってこよう。

2008年3月19日 (水)

本音の語らい

先日の仕事の後、先輩でもあり、私の主治医でもあるT先生と食事にいきました。

普段、私は自宅でも外でもあまり、お酒を飲むことは少ないのですが今回はなぜか話に花が咲いてしまって、いつもよりも多めに飲んでいました。

といっても普段あまり飲めないので、たいした事はありませんが。

先輩でもありますが、ともに郡山で開業している仲間でもありますので、ダイレクトに生の情報交換が出来ます。

自分のおかれている状況、改善しなければいけない事、また、間違っていなかったという確信がえられました。

またもっとも良かったのは仕事に対するモチベーションが上がったことです。

今後も、私の愚痴におつきあいください、T先輩。

2008年3月18日 (火)

吸わない妻は危険性2倍

本日は、福島民報 平成19年12月13日の記事からお伝えします。

自分はたばこを吸わないのに夫が吸う女性は、夫も吸わない女性と比べ肺腺がんになる危険性が約2倍高まるとの免疫調査結果を、厚生労働研究班(主任研究者・津金国立がんセンター予防研究部長)が12日(平成19年12月)発表しました。

夫の一日の喫煙量が20本以上だと、リスクがさらに高まるといいます。同センターの最新の推計値によると、2001年に肺がんを発症した女性は2万1千人あまり。別の調査では、肺がんの女性の約70%は非喫煙者とのデータもあります。

調査は岩手、秋田など全国八県の40~69歳のたばこを吸わない女性約2万8千人が対象。平均13年間の追跡調査で109人が肺がんと診断されました。

このうち肺腺がんだったのは82人で、さらに夫が喫煙者、もしくは以前喫煙者だった女性は67人。統計学的な計算によると、30人は受動喫煙がなければ肺腺がんにならずに済んだはずだという。肺がんにも最も発生頻度の高い腺がんを含め4種類ありますが、肺がん全体でも、受動喫煙でリスクが高まる傾向があったといいます。

2008年3月17日 (月)

ネタ探しの苦労

ブログを書く上で、毎日何を書いたら良いかと考えることから仕事が始まります。

で、ブログを書くときはどんなことに注意しているかというと・・・・

大学当時、私は、頭ごなしに教えられても勉強が全く理解出来ませんでした。常に、「なんで、なんで」と思っていたわけです。

大学の時の先輩が、勉強は楽しいということを教えてくれたのです。というよりも感じたのです。

その時は、どうしてもインプラントの理屈がわかりませんでした。説明書を見てもちんぷんかんぷん。とにかく専門用語ばかりで、まったく理解不能なのです。専門を勉強しているわけですから、専門用語を分からないなんて、周りには言えませんから。

でも、いよいよ悩みが深くなったので、思い切ってあるA先輩に聞いたのです。インプラントの事を。

どんな内容かは割愛しますが、その話がものすごくためになったのです。つまり、専門用語を取っ払って、身近なものを例に出し、わかりやすく面白く解説してくれたのです。

彼は非常に勉強しているので、難しい内容をかみ砕いて、またかみ砕いて角を取って話しているのです。その後、難しい専門書を読むとすらすらと内容が頭に入ってくる。

不思議なものです。

そのA先輩が言っていました。「その専門書を作っている専門家ですら完璧に分かっているわけではないんだよ。だから、分からなければ質問すればいいし、分かりづらければ自分でかみ砕いて解釈すればいいよ」

私は、患者さんに自分の歯の状況をすこしでも理解してもらいたくて、このブログを始めました。ですから他の歯医者の先生が書いているブログよりも小難しいかもしれません。

でも個人的にかみ砕いて質問をメールで送ってくれる患者さんがいるので、すこしは役にたっているのかなともおもっています。

2008年3月16日 (日)

要介護者の口臭の測定は可能か?

本日は、宮崎秀夫先生、八重垣健両先生の編集の「口臭ケア」からお届けいたします。

Q:口臭は測定出来るのでしょうか?

A:口臭は測定出来ます。

口臭を判定する方法は鼻で臭いをかぐ官能検査や、ポータブル臭い測定器、専門的なガス分析機器(ガスクロマトグラフィの使用の3種類の方法があります。

ここでは、最も簡単な官能検査について説明します。臭いを鼻で測定するというと、非科学的に聞こえますが、我が国の悪臭公害では、悪臭防止法にもとづき人間の嗅覚で悪臭を判定する事になっています。嗅覚による測定は、意外と信頼度の高い測定方法なのです。

1:判定者の条件

国際口臭学会では、判定者は正常な嗅覚を持つ者と勧告しています。正常な嗅覚を持っているか正確に調べるためには、我が国では耳鼻科を受診し、T&Tオルファクトメータ(第一薬品産業)などの嗅覚検査器を使用して調べます。

しかし、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)には臭い基準物質がありませんし、また、手間もかかりますので上質の焼き海苔やゆで卵の臭い(これはVSCの臭いです)を感じるかどうかでも検査できます。

2:判定時の注意事項

人間は、VSCの1種類である硫化水素をかぎつけると、5分ほどで嗅覚が約1/3まで鈍ります。これは臭いに順応するからです。したがって、口臭をもつ要介護者と同室にいる介護者の嗅覚は、鈍っていると考えてよいでしょう。

一方、毎日一定時間、同じ臭いにさらされていると、数日後にはその臭いに対する嗅覚が鈍くなってしまいます。そのため、より正確に口臭を測定するには、介護者以外の人が測定すべきでしょう。

もちろん、介護者以外の人が測定する場合にも、臭い順応には注意が必要です。口臭ガスは居室に充満するため、検査者が入室した時点からただちに臭いへの順応が始まります。したがって、入室後は早めに口臭を測定するようにしてください。

3:口臭測定方法

通常、要介護者の口臭は、介護者や家族が指摘し、要介護者自身は知らないことが多いものです。容易に口臭検査とわかれば、本人の尊厳を傷つけてしまうかもしれません。

そこで、口の奥を診るかのように思わせて、呼気を嗅ぐ方法が最も適当でしょう。もし可能なら検査者の鼻を要介護者の口から10センチぐらいまで近づけてください。口臭検査に理解が得られた場合は、チューブとプライバシースクリーン(測定者の顔が見えない要にスクリーンで覆い、要介護者の口の位置に息を吐き出すチューブが出ているもの)を使った方法をとります。1分間口を閉じてからチューブに息を吐き出してもらい検査します。官能検査判定基準表の2以上から(下記参照)口臭ありと判断しますが、他人に迷惑をかけるのはスコア3ぐらいです。

もちろんこれらの方法は、医療関係者だけでなく、一般の人でも行えます。下記の表を参考にしてください。

表 官能検査判定基準

0:臭いなし・・・・鼻でかぎ取れるような臭いを感知しない

1:非常に軽度・・・・臭いを感知するが、悪臭と認識できない

2:軽度の口臭・・・・かろうじて悪臭と認知できる臭い

3:中等度の口臭・・・・悪臭と容易に判定できる

4:強度の口臭・・・・我慢できる強い悪臭

5:非常に強い口臭・・・・我慢できない強烈な悪臭

参考文献 口臭ケア ~要介護者の快適な生活のために~ 宮崎秀夫・八重垣健両編集 医歯薬出版 

2008年3月15日 (土)

集中している時はどんな顔?

私が大学院の時の話です。

私の同期の先生は、みな本当に真面目で、いつも真剣に診療に立ち向かっていました。

私は、その時学生気分が抜けなくて、今ひとつ集中することが出来ませんでした。

診療に集中するよりも、国家試験を無事クリアできた喜びの方が大きくて、遊んでばかりいました。

私が浮かれている間、同期の先生はどんどん成長していかれていました。

自分が焦り始めたのは、他の先生の診療や技工をしている時の顔つきがとてもかっこよく見えたときです。

自分は真剣みが足りないのか、顔に締まりがない感じがしていたのです。とくに真剣な顔つきだったのは、同期のT村先生。

奥歯をぐっと噛み締めて、黙々と技工を進める姿は本当に男前でした。理論派のI上先生も生真面目な手先は、あこがれました。

と、そんな事を先日、急に思い出したのです。思い出したのは歯を削っているとき。

「今の自分はどんな顔つきだろう」と自分顔の状態を確認すると、口を半開きにして、舌で下の前歯を押していましたcatface

歯科はマスクをして診療をするので、いままで気が付かなかったけど、非常に間抜けな顔をしているんです。私の集中した時の顔は。

もともと締まりのない顔ですが、集中しているときも、やはり締まりはありませんでした。

とほほsad

2008年3月14日 (金)

本日午後、インプラント手術のため臨時休診いたします。

本日の午後は、インプラントの手術のため臨時休診いたします。

明日から通常通り診療いたしますので、よろしくお願いします。

院長 猪狩弓彦

2008年3月13日 (木)

気分が煮詰まり過ぎたときは・・・

ここのところ、気分的にかなり煮詰まっていました。

理由は簡単です。

全く外出していないためです。外の空気を全く吸っていないためです。

やはり、人間は太陽の下でゆっくりくつろがないといけないなとつくづく思います。

休日も、なんやかんやで外出していなかったので、それが体の中に鬱積してしまったのだと思います。

これではいかん!と、昨日の昼に娘を抱きながら近所の散歩に出かけました。

かなりの気分転換になりました。

夜は、妻を連れて近くの喫茶店に読書にいきました。

ちょっとした息抜きでしたが、収穫は大きかったです。

ぐっすり眠れましたし、よいアイディアも浮かびました。

多少、引きこもりの気があるので、注意しなければいけません。

積極的に外に出ようと思っています。

2008年3月12日 (水)

方言で困ったこと、良かったこと

先日のyahoo!ニュースで、こんな記事が出ていました。

以下全文です。

方言で医療困った!津軽弁データベース化へ

地方の医療現場では今、標準語を話す若い医師や看護師が増え、方言を使う高齢者が、身体の痛みや心の悩みを伝えにくくなっているという問題を抱えている。こうした中、医療や看護の場面で多く使われる方言をデータベース化し、世代間や地域間の“言葉の壁”を取り払い、お年寄りが住みやすい地域作りを進めようというユニークな取り組みが行われている。(米沢文)

 医療現場での方言を調べているのは、富山商船高専と青森・弘前学院大、県立広島大、大分大の共同研究グループ。昨年度から青森、富山、広島、大分の4県で高齢者や医師、看護師らから、方言をめぐる意思疎通のトラブルや症状の説明に関する言葉を集め、大分を除く3県でそれぞれ約500語のデータベースを試作した。

 例えば、津軽弁(青森)で発熱前の背中がゾクゾクする感じは「うじゃめぐ」「ぐじゃめぐ」。おなかの鈍痛は「腹にやにやする」「腹にきにきする」。広島弁でひじを机の角にぶつけて、しびれたときの感覚を「はしる」などといった方言をまとめた。

 青森県の津軽地方を担当した弘前学院大の今村かほる准教授(方言学)は「津軽は今でも方言が主流だが、核家族化や昭和30年ごろまで学校教育で行われた方言やなまりの矯正で、若者の言葉は標準語に近くなった」という。このため、津軽に移った人が言葉の違いに戸惑う「地域差」と、高齢者の言葉が分からない「世代差」の2つの問題が生じた-と指摘する。

 調査では、「方言が通じそうな年配の看護師に話しかける」と答える高齢者もおり、悩みが伝わるか不安を抱いていることが分かった。また、県外出身の医師が覚えたての津軽弁で「診察台の上に、さ、のだばりへ(足を投げ出して座ってください)」と言うつもりが、「診察台の上に、さ、くたばりへ(死んでください)」と間違え、患者を怒らせたエピソードもあったという。

 今村准教授は「データベース化によって方言が通じ合い、暮らしやすい地域社会にできればいい」と話している。

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私は福島県出身なので、大学へいた時に、言葉では非常にからかわれました。

「お前のしゃべりはおかしいな」と先輩にいじられ、大変恥ずかしい思いをしました。

同じ郷土出身の先輩でも、言葉を気にする先生とまったく気にせず、むしろ、どうどうと方言をしゃべっていた先輩がいました。

今思えば、郷土の言葉を大事にしたその先輩はとても立派に思います。

私は、「標準語」がしゃべれないのがとても恥ずかしく、帰宅するなりNHKの番組をじっくりと観察し、「標準語」をしゃべれるように猛特訓した思い出があります。

一通り、周りの人にも言葉に対して指摘を受けなくなると、今度は自分から方言をしゃべるようになりました。

まだ新人だった頃、患者さんのおばあちゃんと話すときは、わざと方言の言葉でしゃべりました。なぜか安心してくれて、コミニュケーションが取りやすかったのです。

今でも、初めての患者さんで緊張している方には方言を出すときがあります。

なぜか笑ってくれて、なごやかに診療がすすみます。

方言は悪いことばかりではありません。

2008年3月11日 (火)

歯科の治療は細分化されています2

昨日の続きです。本日も茂木先生の著書よりお届けいたします。

歯科のみの細分化が歯科治療を発展させた

戦後、チョコレートやガムなど、また甘味料の摂取により虫歯が大量に増加し、歯科医師の需要が増しました。

それに伴い、保存に関する学問、技術、補綴に関する学問、技術は手法、材料などにおいて著しい発達を遂げてきました。

また、口腔外科においても、みつくち、変形した顎、口の中の腫瘍など口腔周囲の手術の基礎を築いてきました。また、歯科医師の使命の一つである咀嚼機能の回復のための咬合理論である口の中の噛み合わせを詳しく研究する学問が隆盛いたしました。このように歯科を、細分化し、研究できたのは医科と歯科がまったく別に発展してきたからだと思われます。すなわち歯科が網の目のごとく、学問を統計だててこられたことは、いろいろなことが解明され、創造されたよい点であったと考えます。

☆歯科の中には外科もあれば内科もあります。

歯科は単独で細かく発展しましたが、医科の一分野だという点が重要です。口の中、また周囲の学問に対してはオーラル・サージェリー(口腔外科)、オーラル・メディスン(口腔科)として発展してきました。

さらにオーラル・フィジシャン(口腔内科医)としての歯科医学の確立がさらに必要であると思います。全身から診た口腔の管理を行っていくことが歯科医師すべてに必要なことであると思います。

すなわち、口を消化器としてとらえ、全身管理を考慮に入れた口の粘膜、口蓋、舌を含む口腔内の細菌のバランスと従来のオーラルリハビリテーション(顎を噛み合わせの機能の回復)をすべて含む口を全身の一部としてとらえた包括医療を行うことが、我々が《消化器の最尖端》を治療することが出来る医療に携わる道であろうと考えています。

参考文献 歯医者さんにかかると寿命が延びる 茂木伸夫著 愛育社

2008年3月10日 (月)

歯科の治療は細分化されてます1

本日は、東京都立駒込病院・歯科口腔外科部長 茂木伸夫先生の著書からお届けいたします。

歯科は幅広細分化

☆歯科の治療はどのように細分化されているのか

歯科についてすこし知っておいて欲しいので話をしましょう。

歯科は、日本ではアメリカの流れに影響され発展してきました。医科とはまったく別に発展しました。歯科は、以下のように分類されています。

・保存(歯をなるべく抜かないで残し保存しておくための治療で具体的にいうと虫歯の神経つまり歯髄を取ったり、その後の歯の治療)

・歯周病(歯肉とその周囲を取り囲んでいる骨などの治療)

・補綴(ほてつ  無くなった部分を補って行く治療。たとえば入れ歯など)

・口腔外科(歯を抜いたり、顎の手術、口腔周囲の病気を治療したりする)

・矯正歯科(噛み合わせや歯並びの治療)

・小児歯科(子供の歯の治療)

最近では老年歯科、インプラント科(人工物の歯を植え込む治療)などがあります。ちなみに現在、厚生労働省で認められている歯科医の標榜科名(表に出せる看板)は、歯科、歯科口腔外科、矯正歯科、小児歯科の4つに限られています。

明日へつづきます

参考文献 歯医者さんにかかると寿命が延びる 茂木伸夫著 愛育社

2008年3月 9日 (日)

よく噛めるとは

本日は、佐藤考先生の著書「歯からはじめよう!アンチエイジング」よりお届けいたします。

「よく噛める」とはどういうことか

「よく噛む」には「よく噛める」状態が必要

「よく噛む」ことはアンチエイジングにとって大切な要素です。「よく噛む」には「よく噛める」状態にする必要があります。自分では噛めていると思っても噛めないことも多く、また逆に噛めないと訴える人もいます。

それでは、「よく噛む」とはどういうことなのでしょうか。意識して噛む回数を多くし、時間を掛けて出来るだけ細かくすりつぶすことなのでしょうか。

一口ごとに数十回も噛むことは非常にむずかしいことです。実際、そのように噛めば食事はドロドロになり、味もまずくなり、食事そのものを楽しめなくなります。

ましてやまずい物はとてもかみ続けることは出来ません。食事をすることはただ噛むだけではないからです。噛むことは、食事が喉を通るだけの大きさに砕き、唾液と全体が混ざることであって、食物をより細かくするのが目的ではないのです。

「よく噛む」ことは意識して行う行動で、よく噛めないと途中で疲れていやになって飲み込んでしまいます。

ですから、よく噛める歯があってはじめて「よく噛む」ことができるのです。その歯がグラグラしたり、歯が喪失していたのではよく噛むことは出来ません。しかし、単に丈夫な歯が揃っているから噛めるとは限らないのです。

「噛める」とは意識的なものではなく、歯のかみ合わせがバランスよく機能して得られる感覚なのです。これは一般的には「歯ごたえ」と表現しているのかもしれません。

人は食物を口の中へ入れ、無意識に歯の上にのせて噛み始めます。その噛み始めの位置と噛み込んだ後の位置が、常に同じでズレていないことが大切です。これがズレていると、どこで噛んで良いのかわからないという感覚になります。このことは、つまり顎の動きのスタート地点とゴール地点が常に同じ場所にあって、必ず元の位置に戻ってくることが「噛める」、あるいは「噛めている」という感覚になります。

剪断、圧断、臼磨の三機能

また、食物を噛んでいる間は、上下の歯は摂食していません。ある程度食物が小さくなり量が少なくなると、最後には上下の歯が当たるようになってきます。そのため、噛むときの顎の動きは食物の性状によって多少の違いがあるものの、顎はいつも同じような運動をします。噛む動きは一定の決まったパターンがあり、このパターンに沿って食物を歯の上にのせて噛みきり、それを砕き、そして最後にすりつぶすことをします。

この時の顎の動きと歯の噛む面の形との間に、調和がとれていることも大事な要素になります。これらの働きを剪断、圧断、そして臼磨運動と表現していますが、これらが上手く機能するかどうかが「よく噛める」あるいは「噛めている」かどうかに影響してくるのです。

たとえば板のような平坦なもの同士で食物をはさんで食べる場合は、噛みきって砕いてすりつぶすことが充分に出来ず、よく噛めないのです。また、一般的に噛みにくいとされているイカやタコなどのような性状の食品はこの三つの機能が働かないとよく噛めません。

「よく噛む」には噛み合わせが重要

そしてそれに加え「よく噛める」感を感じ得るためには、天然歯であれば噛み込む力を十分に食物に加えることが出来ることです。噛む力は、歯の周りの歯根膜全体から歯槽骨に加わり、末梢と中枢を連携する神経のネットワークに沿って脳へ伝わり噛みごたえとして感じるもので、その感覚が大きければ大きいほどよく噛めるといわれています。

たとえ、歯がなくなってしまっても義歯を通して口の粘膜に均等に噛む力が伝わり、その力によって粘膜の下の神経を刺激し「よく噛める」という感覚を得るのです。

このように「よく噛む」ためには「噛み合わせ」が重要で、噛み合わせがうまく調和して機能していれば、食物もよく噛み切れて砕け、そして擦りつぶせるため、自然に「よく噛める」ようになり、無意識によく噛むことになるのです。

これによって脳にもしっかり刺激が伝わり、食物の味もおいしく感じられ、噛むことの効用が発揮されてきます。「よく噛める」とは、歯が単にそろってあるからではなく、顎口腔系全体の調和した働きによって成り立つもので、アンチエイジングにとっては非常に重要なことになります。

参考文献 歯からはじめよう!アンチエイジング 佐藤孝著 日刊工業新聞社

2008年3月 8日 (土)

避けられない事

これは、ほんとにしょうがないことなのですけど、機械の老朽化はどうしても避けられないです。

開業した当時は、すべて最新の機材ばかりをそろえたつもりでも、いまではすでに常識の範囲をこえません。

最近、医院内で稼働しているコンピュータの調子が悪いのです。

パソコンにインストールされているOSはすべてマイクロソフトの保証が切れている2000と98。

このパソコン内にすべてのX線写真と5000件にもおよぶカルテが入っていると思うと、少し気が重いです。

しかし、今後どんな職業でもパソコンを使わない仕事はほとんど無くなってくると思うので、この問題はすべての人々に当てはまると思います。

これを前向きにとらえて、しっかりと歯のようにメインテナンスを欠かさないようにしていきたいと思います。

2008年3月 7日 (金)

本日午後インプラント手術のため臨時休診いたします。

本日午後、インプラント手術のため、臨時休診いたします。

明日は通常どおり診療いたします。

しろくま歯科医院

院長 猪狩弓彦

偏る患者さん

「全か無か」の法則というのがあります。

「all or nothing」ともいいますが、全く無いか、全部かということなのですが、どうやら毎日診療をしているとそんな「目に見えないものに支配されているな」と感じることが多々あります。

先日の話です。

その日は8人の新規患者さんがみえられたのですが、そのすべての新規患者さんの治療内容が親知らずの抜歯関連でした。

また、別の日ですが、その日の新規患者さんの多くは入れ歯のご相談でした。

昨日は、インプラントの相談。

なぜか、診療内容が偏りがちです。

そんな日があると思えば、1週間親知らずの抜歯が1本もなかったり、入れ歯の患者さんが全くいなかったり。

なにか、そういった周期があるのでしょうか。

不思議です。

月ごとのデータを検証してみて、なにか秘密を見つけてみようかと思っています。

2008年3月 6日 (木)

かかりつけ医

本日は、日本経済新聞 平成20年1月20日分の「医療」の中の「駆ける」からお届けいたします。

「かかりつけ医」対話が生む信頼

体の変調をまず診てもらい、治療から専門病院の紹介まで行う「かかりつけ医」。

高度に専門化した現代医療で効率的な受診体制を支える縁の下の力持ちとして注目が集まっています。

医師としての活動の他、寺下医学事務所(東京・千代田)で会員制のかかりつけ医制度である「主侍医倶楽部」を主宰、早くからその有効性に注目してきました。

スタートは1990年。会員は健康な頃から健康相談が出来るほか、病気になった場合は治療に最適と思われる医師を千人程度の中から紹介してもらえるユニークな仕組み。

原則、自費診療で利用料金は高いですが、主旨に賛同した50人以上が参加しています。

参考となったのは皇室の手厚い医療体制。医師団を抱え、皇族の健康維持につとめるほか、病気となった場合は治療方針を相談して決めます。「本人は安心して医師団に任せられる」。

こういう仕組みを一般にも広げられないかと考え、主治医ではなくあえてそばにいる主「侍」医と呼びます。

相談で多いのは「がん」「心の問題」で、全体の八割程度を占めます。なかでも印象に残るのが「末期の肝臓がん」と診断された患者のケース。ある病院で「治療が難しい位置にある。もって数ヶ月」と言われたけれども、がん治療の専門家を紹介し検査をやり直したところ「手術は可能」との結論が出たと言います。

健康な時から行くことが出来るため患者との信頼関係を築きやすいのです。「あなたが病気にならなければ私はゆっくりできる。たばこをやめたらどうですか?」と冗談めかして言ったところ、複数の会員が禁煙に成功しました。

「医療に触れる敷居が低くなり、病気の早期発見がしやすい」。

無駄な診療が減り医療費の抑制につながることもあります。「紹介される医師が良い意味の緊張感を持つ」ことで、良い医療を受けやすくなる利点もあります。

「昔は医師は患者から感謝、尊敬の念を励みに頑張ってきた」が、今は十分な信頼関係を築けているとはいえません。

「医療はあくまで患者を治療するためのインフラ」と語り「(医師と患者との)対決型ではなく、対話型の医療にすすむべきだ」と提言しています。

2008年3月 5日 (水)

8020と日本の現状

今回は、渡辺秀司先生の「歯周病を自分で治す!」からお届けいたします。

☆80歳で20本の歯を残そう

皆さんは、「健康日本21」という運動をご存じですでしょうか。これは、厚生労働省が平成12年4月から始めた国民健康づくり運動です。

この運動では、次の3つの項目を目的にしています。

・壮年期死亡(早世)の減少

・健康寿命(痴呆や寝たきりにならない状態で自立して生活できる期間)の延伸

・生活習慣病の質の向上

これらの目的を実現するために、当初10年間の目標として、9分野70項目100の指標を設定しています。この中に歯科の保険も含まれています。

歯の健康について一例をあげると、成人期の歯周病(俗にいう歯槽膿漏)の予防に関して、歯周病の中でも症状の進行した歯周炎を有する人の割合を、四十歳では現状の32%から、2010年には22%以下に引き下げることを目標にしています。

また、歯の喪失に関しては、80歳で20本以上、60歳で24本以上の自分の歯を有する人の割合について、次のように設定しています。

平成5年の歯科疾患実態調査に基づくと、80歳(75~84歳)で20本以上の歯を有する人の割合が11.5%で、60歳(55~64歳)で24本以上の歯を有する人の割合を20%以上に、後者の割合を50%以上に設定しています。

歯科の分野ではまた、平成4年度から「8020運動」を展開してきました。これは当時の厚生省(現、厚生労働省)が口腔保険の事業として推奨しているもので、要するに、「80歳になっても自分の歯を20本残そう」というスローガンです。

☆日本では55歳くらいから歯を失う人が急増

こうした運動が展開されているということは、裏をかえせば、それだけ現状は問題が多いということです。

前述したように、80歳で自分の歯を20本以上持っている人の割合は、平成5年の歯科疾患実態調査で11.5%しかありません。平成11年の調査では少し改善しましたが、それでも15.25%にとどまっています。

アメリカと比較すると、60歳以前では、日本人の方が残存歯の数が多いのですが、60歳を境に逆転しています。日本では、55~60歳あたりから歯を失う人が急に増えているのに対し、アメリカでは80歳になっても60歳の人と同じくらいの数の歯が残っています。

平成11年の歯科疾患調査によると、残存歯の数の平均は、50~55歳では24.1本、60~64歳では20.4本、65~69歳で16.8本、70~74歳で12.8本、75~79歳で9.01本、80~84歳では7.41本です。

参考文献 歯周病を自分で治す本 渡辺秀司著 マキノ出版

2008年3月 4日 (火)

ブログの調子が悪いのです。

毎日、このブログを更新しているのですが、どうも最近ブログの入力の調子が悪いのです。

もう少しで、このブログを運営している会社が、このブログシステムから撤退が決まっているので、それで調子が悪いのかはわかりません。

すでに別会社がこのブログを引き継ぐことは決定しているので、継続に関しては問題ないのです。

で、このブログのどこが調子が悪いかというと、写真が掲載出来ないのです。

たぶん、何かの設定ミスかとは思うのですが。

ストレスが溜まります・・・・・angryannoy

2008年3月 3日 (月)

オールオン4体験記

先日、ブログでも言いましたが、白河の三森先生の所へ、手術のお手伝いに行ってきました。

今回の集合時間は昼の12時だったため、当日は大慌てでした。

11時半近くまで診療をし、すぐに車に飛びのり、車中で食事を取りました。しかし45㌔ほど離れているのでやはり1時間近くかかってしまいました。

12時半に到着して時は、すでに患者さんには麻酔が施されていて、「先生、早く着替えてsweat01」と執刀医であり、私の師匠の石川先生に早くも怒られました。

本日手術を受ける患者さんは、最初の手術の時から3回連続で手術に付かせていただいているので、過去の状態が分かるだけに、その進捗ぶりには目を見張るものがあります。

最初は、全く歯がなく、しかも骨もなくて、「ほんとにインプラントなんて打つことができるのだろうか」と心配していたのですが、今回手術に付かせていただいて、前回増骨した部位がしっかり骨が出来ているのには、びっくりしました。

今回は、上顎のインプラント埋入です。今回は、「オールオン4」という術式を使います。オールオン4に関しては、前回の私のブログに詳しく書きましたので、割愛しますが、とてもすばらしいものでした。

このオールオン4の特徴は、その日のうちに歯が入るので、患者さんが非常に喜んでいました。

技術的には非常に高いレベルが要求されるのですが、しっかりとした診断を計画を立てれば、私にも出来なくはないと思います。もちろん普段の研鑽がものをいうのは間違いないのですが、きちんと勉強と訓練を繰り返すしかないと思います。

その位、この術式は食事で困っている患者さんに福音をもたらすと思います。

今回は、三森先生のスタディグループの先生方もいらっしゃっていて、いろいろなお話が聞けて大変参考になりました。

最後は、近くの割烹で打ち上げが行われました。患者さんの喜んだ顔を見た後だけに、大変おいしいお酒が飲めました(私はウーロン茶でしたが)。

最後に、三森先生、マイミクになってください。

2008年3月 2日 (日)

オールオン4

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる 歯科インプラント治療」からお送りします。

オールオン4

オールオン4(All on 4)はブローネマルクインプラントを発売しているノーベルバイオケア社の即時埋入治療(イミディエートファンクション)のコンセプトをもとに、ポルトガル・リスボン市の歯科医パウロ・マロ博士(Dr.Paulo Malo)によって開発された治療方です。

従来、上顎の奥歯には上顎洞という副鼻腔があり、インプラントを埋入する場合に骨移植などの複雑な処置が必要なケースが多々ありました。また下顎に関しては下顎管といわれる神経が走っているため、無理にインプラントを埋入すると、神経を傷つけてしまい麻痺が起こることがありました。

その上顎洞や下顎管を避けるために、奥歯に埋入するインプラントに傾斜を付けて安全に手術をする発想から生まれたのが、オールオン4です。

無歯顎患者のインプラント治療にはオールオン4の他にもボーンアンカードフルブリッジ、オーバーデンチャー、ザイゴマインプラントなどがありますが、手術後すぐに固定性の人工歯をいれることが出来るのは、オールオン4だけです。

この方法はインプラントを4本しか用いないために治療による刺激が少なく、しかも経済的です。さらに審美的に美しく治療することが可能です。

インプラントの手術自体は、1時間くらいでおわってしまいます。午前中に手術を終え、型どりをしてから患者さんにはしばらく休んでいただきます。

その間に仮の人工歯を制作しますので、夕方までには新しいブリッジを装着して帰宅できるのです。

歯の抜けている期間がまったく無いため、患者さんは正常に食事をすることができ、社会生活に不便をきたすこともありません。

高齢者のQOL(生活の質)は食生活と密接な関係を保っていますので、オールオン4によるインプラント治療は老後の人生を豊かにする必要十分条件となるはずです。今日の高齢者が求める自己イメージは、「若さ」です。この考え方はアンチエイジング(坑加齢)医療の路線と一致します。

オールオン4を用いるということは、今までインプラント治療が不可能とされていた骨量が不足する患者さんにも、ひろく適応できるということを意味しています。上顎の臼歯部、奥歯では骨吸収のために上顎洞が近接してインプラントを埋入できないことが多いのですが、こうした状況でもインプラントを傾斜させることによって、小臼歯(犬歯より奥の歯)の部位から上顎洞を避けて埋入することができます。上顎のサイナスリフトや骨移植の適応症の80%は、オールオン4を用いることによって回避できるのです。

オールオン4は下顎においても有効です。下顎の臼歯部(奥歯)では、合わない入れ歯を入れているために歯槽骨が吸収して下顎管(神経)との距離が薄くなり、インプラントが埋入できないことが多々あります。しかし、オトガイ孔(神経孔)の前方には十分なボリュームの骨が存在し、解剖学的にもしっかりしていますので、小臼歯相当部から傾斜した状態でインプラントを入れることによって、神経近くを避けて前方の豊富な骨を利用することが出来るのです。

このようにオールオン4の手法なら、上下顎の臼歯部(奥歯)に存在する解剖学的な制約を傾斜埋入することによって克服することができるので、骨量に問題を抱えてインプラント治療を諦めていた総入れ歯の患者さんには大きな福音となるでしょう。

そして、サイナスリフトや大きな骨移植のような高価で刺激の強い治療法は不要となり、患者さんの肉体的、精神的、経済的負担は大幅に軽減されるはずです。

従来、骨密度に問題がある場合には、骨移植を行ったり1本あたりにかかる力を分散させることによって上下顎の豊富に骨があるところを利用できますので、インプラント治療が抱えていた骨量という高いハードルが取り払われたといえます。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林