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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2007年10月31日 (水)

すべての崩壊と新しい挑戦

先週末に宇都宮で松本先生の勉強会がありました。

本日は、その勉強会の事をレポートします。

勉強会の前の一週間はとても忙しく、診療の仕事が終わった後も、夜中までコンピュータの前で格闘する日が続いていました。

勉強会前日の夜も例外なく、夜中まで仕事をしていました。今回向かう宇都宮の勉強会会場は、なんども足を運んでいて、車での道順は熟知しています。だいたい2時間あれば大丈夫だという気持ちがありました。

勉強会開始は10時。そのため8時に家を出れば遅刻をすることなく到着するという確信があったのです。

しかし、前日就寝したのは夜中の2時半。朝は、まだやり残した仕事があったため、6時に起床。仕事を切り上げ、ボンヤリした頭で、8時に家を出ました。

予定通り、出発出来たので、「気楽に安全運転でゆっくり行こうcar」と考えたのが大きな間違いでした。

たぶん、非常に眠かったので、高速道路でも、普通道路の様に運転してしまい、気がつくと、全然時走行距離が進んでおらず、時間が足りなくなってしまいましたsweat01

幾分スピードアップしながら目的の宇都宮を目指しますが、栃木県に入る前に9時になとうとしています。本当に間に合うだろうか・・・・・?

「事故っても意味がないので、普通に行こう。遅刻しても構わないや」と考えると、焦りも無くなり、なんと始まる5分前に到着。一番最後の会場入りになりました。

今回の勉強会は、正直に申し上げて、とても衝撃的でした。今までの咬合(噛み合わせ)の考え方を改めなければならないとまで考えました。

今回の講師の松本先生は、まったく肩肘の張らない、リラックスした講義で、明日すぐにでも使えるテクニックが満載なのです。

しかも非常に驚いた考え方、テクニックの実践の仕方は、本当に難しくなく、意識を少し変えるだけで十分対応が可能なのです。

しかし、今回修得した技術というか知識が、あまりにも画期的なので、しばらく自分の考えをまとめなくてはならないと思います。1人では出来ない技術で、衛生士さん、技工士さんらの協力無くしては実現は難しいと思います。

来年3月に、今回講義してもらった内容の実習があるとのことなので、早速技工士と会わせて2人分会場にて予約してきました。

講義が終わり、未だ興奮が収まらず、火照った体を車に乗せて宇都宮の街に出かけました。大きな電気店を探して、購入するか検討したいものがあるからです。

私、自分で気がついたのですが、気分が良いと車の中で大声で歌う癖があるっぽいのです。

「あるっぽい・・」というのは、自分で歌っているのを気がつかなかったからです。

「あ~~~、本日私は機嫌が良いのだな・・・・・・。」

今考えるとたぶん寝不足が原因だと思うのですが。

結局、購入検討の商品は、購入の意志を確認し、来月か再来月に購入しようと決めました。

しかし、今日の私は寝不足と疲れで、超ハイテンション。

つい、あこがれのパソコン用キーボードを衝動買いしてしまいました。

それがこれ241

どうやら「エルゴノミクス・キーボード」というらしく、快適性と疲れにくさを追求したものらしいのですが・・・・・・・・。

まったくキーボードが使えません。練習してものしたブラインドタッチが崩壊していますcrying

最近少しずつ慣れてきましたが、まだ全く使えません。

この日は、技術もブラインドタッチも良い意味で崩壊しました。明日から新しい挑戦です。

2007年10月30日 (火)

知覚過敏を引き起こす歯の状態とその状況2

昨日の続きです。

9:発生学上の問題により生じる知覚過敏

発生学的に病的な知覚過敏を持つ患者さんの存在が報告されています。しかし、その原因がエナメル象牙境をセメント質を覆っていないためなのか、全体的に痛みに対する閾値が低いためなのかについては今の所不明です。

10:修復物による知覚過敏

修復物を装着する際に考えられるいくつかの要因について、ある種のアマルガムは、充填後(24~48時間)の収縮により、感受性が亢進することが知られています。コンポジットレジン充填は、操作中の汚染や不適切なエッチング処置が辺縁漏洩を引き起こすことにより感受性を高めます。また不適切な歯質の乾燥も感受性を向上させます。

一般的に歯髄は窩洞形成時、すでに障害を受けていますので、修復処置後にしみるのは当然といえます。また、修復後に咬合が変化したことにより知覚過敏が発生することもあります。

11:薬剤による知覚過敏

抗ヒスタミン剤や血圧降下剤の長期服用は唾液を減少させます。口腔乾燥は唾液の保護作用が低下するので、酸により障害を受けている歯質をさらに悪化させます。

象牙質が露出している場合は、象牙細管の開口を促進させる要因となります。また唾液の減少は、結果的にプラークを蓄積させるため、唾液のpHをう蝕に引き起こすレベル(象牙質う蝕はpH6.0~6.8 エネメル質う蝕はpH5.5以下で発症)まで低下させてしまうのです。

12:ホワイトニングによる知覚過敏

生活歯に対するホームホワイトニングによる知覚過敏は、10%のカルバミド酸に含まれる2つの成分(3%の過酸化水素水と7%の尿素)が速やかにエネメル質からエネメル質を通して象牙質に浸透、通過し、短時間で歯髄に到達することで起こります。

可逆性の歯髄炎へと進行する感受性の亢進は、歯髄への明らかな害が特定されない場合、象牙細管内容液の移動、歯髄に接する歯科材料、浸透圧の変化などにより引き起こされることが考えられます。過酸化物の濃度にもよりますが、ホワイトニングすべての施術(オフィスホワイトニング、医師に処方箋が無くても店頭で買えるもの)に引き起こされる可能性がります。

以上のように、象牙質知覚過敏症は、様々な要因によりエナメル質やセメント質が喪失し、象牙細管やセメント質が喪失し、象牙細管が露出して発症します。「しみる・痛い」と訴えている患者さんの正しい鑑別診断のために、先述した12項目の象牙質知覚過敏鑑定別において考慮すべき要因を参考にしてください。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症 深川優子 安田登 共著 クインテッセンス出版

2007年10月29日 (月)

知覚過敏を引き起こす歯の状態とその状況1

今回は、知覚過敏について取り上げます。テキストは、安田先生と深川先生の共著である「象牙質知覚過敏症~しみる!痛い!にどう対応?~」からお届けします。今回のテキストは歯科医師に向けて書かれたものなので、すこし難しい内容になっていますcoldsweats01

象牙質知覚過敏症鑑別診断において考慮すべき要因

私たちは、知覚過敏症の患者さんを前にすると、いろいろな検査、問診、視診、X線等の診査をして、様々な情報を元に診断をしていきます。

その中で、知覚過敏症を引き起こす歯の状態や症状があります。今回はその一つ一つを検証していきましょう。

1:膿瘍(根の病気)のある歯、あるいは失活歯(神経の無い歯)

膿瘍のある歯や失活歯は、X線写真所見で、根尖部(根元の部分)に透過像(バイ菌がいる可能性があるということ)が認められたり、同部位にフィステル(膿が歯肉を突き破って口腔内に出てしまうこと)の存在が多く認められたりします。

大部分は、生活している組織においても、1根(歯の根の数は1~3本)だけが、部分的に壊死を起こしていることも多く、この場合は、電気歯髄診などのバイタルテストを行います。痛みの原因は主に歯根膜の痛みと考えられます。

2:破折している歯

垂直的破折、あるいは咬頭が部分的に歯髄にまで達していれば歯髄、あるいは歯根膜の痛みを伴います。また咬頭が部分的に破折して象牙質が露出していれば当然象牙質の知覚過敏が生じます。

3:う蝕のある歯

う蝕進行に伴う感受性はエナメル象牙境(エナメル質と象牙質の境目)でもっとも強く感じますが、その部分を超えると歯随に到達するまでの間、一時的に鈍くなります。う蝕はほとんどの場合でう窩(虫歯で出来た穴)を伴うので、X線写真像、探針などで鑑別する事が可能です。

4:歯肉退縮のある歯

一般的に、歯肉退縮はブラッシングによる機械的刺激や急性歯周炎が治癒した後、またはオーバートリートメント後に発症することが多く、これによりセメント質が喪失し、歯根部の象牙質が開口することにより感受性が亢進します。また、歯周病により歯肉クレフトも考慮しなくてはなりません。

5:ブラッシングによる摩耗のある歯

毛先の硬い、あるいは軟らかい歯ブラシで不適切な磨き方によりエナメル質を摩耗させてしまいます。特に研磨材配合の歯摩材の使用が相乗効果として働き、エナメル質を喪失するだけでなく、歯面表面の軟らかい歯肉を退縮させる要因ともなります。

6:咬合性外傷による障害(アブフラクション)

咬合性外傷(アブフラクション)による障害の感受性は大変強く、歯髄にまで進行してしまう場合があります。アブフラクションは、始めにエネメル質が剥離し、その後摩耗や酸蝕などの影響を受けるためか、結果として生じる象牙質知覚過敏、歯質の実質欠損の原因には複数の因子があると考えられます。また肉眼では認識しづらいアブフラクションもあり、むしろこn場合も方が診断の対処の方法も大変難しくなります。

7:酸による障害

一般的に、胃酸の逆流などの内因性の酸による障害は口蓋側に起こり、酸性食品の摂取による外因性の障害は頬側に起こる傾向があります。

pH値が大変高い炭酸飲料のコーラやフルーツジュースなどの大量消費や長時間消費(だらだらと飲む)は、酸による攻撃と同じです。そのうえさらにブラッシングを行うと、酸によって軟らかくなったエナメル質や象牙質の歯質を引き起こす要因となります。また、咬耗がみられる臼歯部咬合面に凹状のエネメル質喪失を引き起こします。

明日へ続きます。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症 深川優子 安田登 共著 クインテッセンス出版

2007年10月28日 (日)

八重歯はかわいい?

今回のテキストは、佐々木先生の著書 「口腔の成育をはかる こんな問題に出会ったら」から八重歯についてお届けいたします。

八重歯はかわいい?

以前は、“八重歯はかわいい”といわれたことがありましたが、最近では、このような意見を聞くことはあまりありません。

現在患者さんが“八重歯を治してほしい”と言うとき、主訴は審美的な要求がほとんどです。しかし、八重歯を治療する目的は、審美的な問題のみでなく、機能的な問題もあります。

歯列、咬合、顎顔面形態は、単に両親から受け継いだ遺伝情報によってのみ決定されている訳ではありません。生まれてからの機能も大きく影響しています。

このような考え方を、機能母体説(functional matrix theory)といいます。

歯列は、外側から咬筋や口輪筋などの表情筋が、内側から舌が押し合っているその力の中立帯に配列しているにすぎないのです。

ディスクレパンシー(歯の配列の乱れ)があり、口輪筋の力が比較的強いと、切歯が直立し、八重歯になります。

もし、口輪筋の力が弱いと、切歯は舌に押されて唇側に傾斜し、口元が突出した顔貌になります。つまり、八重歯は上顎のディスクレンパンシーの一表現型であり、その形態に影響を与える要素の一つに機能(Functional matrix)があると考えられます。多くの患者さんからも分かるように、八重歯になる患者さんの口元は、多くの場合、引き締まっています。

八重歯の顔をかわいらしいと感じていたのは、八重歯がかわいいのではなく、八重歯になるような口元をもった顔貌が好感をもたらすからかもしれません。

2007年10月27日 (土)

気がつかなかった・・・・・。

毎日、毎日、更新しているこブログ。

先日、新しいブログを書いている途中にブログの機能の中に見慣れないボタンが。

「なんだこれ?」

と思い、見てみると“絵文字ボタン”だった。

これは、すごいhappy02

今まで無かったのがおかしいのかangryannoy

なんて事もできますな~~ちょっとうれしい

今まで私の使っているBOXERブログはちょっと真面目でこういう遊びが少なかったので、今後増えてくれば良いなと思いますhappy01sun

2007年10月26日 (金)

さしば

基本的に、「歯」に関する事は、このブログに載せる事にしています。Sashiba2

今回は「歯」には全く関係が無いのですが、名前が歯科っぽいので載せてみました。

今回掲載したのは、福島民報10月18日分の一面に乗っていた記事です。

「サシバ」野生復帰へ

福島県の「レッドデータブックふくしま」で準絶滅危惧種に指定されている渡り鳥「サシバ」1羽が怪我をして大玉村の県鳥獣保護センターで治療を受け、来春に沖縄県で野生に復帰する見通しであることが17日分かりました。

サシバは18日、沖縄市の動物園「こどもの国」に引き渡されます。

サシバの野生復帰はセンターの開所以来、4例目ということ。

サシバは昨年6月10日、いわき市遠野町の山中で地元住民が保護し、センターに搬送されました。当時、生後間もないヒナで、カラスのようなくちばしの鋭い鳥に突かれたと見られる傷が右翼にあり、衰弱していました。

センターは怪我の手術をするなど治療を施し、体力の回復を図ってきました。傷病鳥獣の野生復帰は通常は発見場所で行われますが、渡り鳥であることを考慮し、沖縄県などの協力を得て中継地で越冬地ともなっている沖縄県内で放鳥することになりました。

サシバはワシタカ類ワシタカ科に属します。本州、四国、九州、に夏鳥として繁殖のために渡来し、南西諸島で越冬します。本県では、南会津と阿武隈山地北部以外で見ることが出来ます。

写真は、ここから転用させていただきました。ありがとうございます。

2007年10月25日 (木)

思い立って行動2

開業当時、多くの先輩達に診療所を設計するにあたって、いろいろなアドバイスをいただきました。

開業当初はそのアドバイスが実り、何の苦労もありませんでした。

その苦労とは、物の置き場所のことです。

開業当初は購入する機材のことしか頭にないので、コンセントの位置、数、置き場所などを設計士さんに正確に伝えることが出来るのですが、開業してしばらく経つと、当初考えもしなかった機材や荷物がどんどん増え、確実に住居スペースを奪っていきます。

デッドスペースに入りきるだけの棚を作成し、対応して来たのですが、そろそろ限界です。

一番の頭痛の種は書類や医学書の類です。本当に収穫時に襲いかかるイナゴのごとくスペースを食い尽くします。

最初のうちは、あっちに移動、こっちに移動と場所を変えて急場をしのいだのですが、もう限界が近づいていました。しかし、どれもこれも捨てられない書類ばかり。

これはさすがにいらないだろうと思っても、心の中にいるもう1人の私がささやきます。

「でも、捨てる書類のなかのような症例の患者さんがきたらどうする?その時必要になって、あちこち探すにちがいないぞ」

もう、こうなっては捨てられません。

本気で考えました。

結論は、「もう捨てる」

でも、完全に捨てるのはもったいないので、本をばらすことにしました。

本の中の必要なページだけをスクラップして置くことにしたのです。

本も、中身を検証してみると見たいページは本の30ページほど。300ページもある本の1/10です。時間はかかりましたが、見事に不必要な本が無くなりました。

それと、情報の古くなったもの、あまり使わない機材関係の書類はきっぱりと捨てました。

今は、本当に読みたい文献、読まなければいけない文献、今まで読んで参考になった文献しか残っていません。

今後の課題は、この文献を素早く検索できるシステムを考えることです。

でも、こういうシステムを考えるのはすごく好きなので、今からわくわくしています。

2007年10月24日 (水)

思い立って行動1

最近、自分の行動を見ていると、思い立って後先考えず行動してしまい、自分にストレスを掛けています。

まず、最近自分で思い立ったことは、何でも記録して見ようということ。

その一つは、食事の記録。毎日何を食べたかそれを記録するだけ。最近レコーディングダイエットというものがはやっているけど、私もそれに吊られた感じ。

もう一つは、読んだ本の感想と読んだ期間。その中の約束としては、一度読み始まったら面白くなくても必ず読了するということ。

最初の食事の記録なのですが、これは実は大正解。全然苦痛では無いのです。むしろ、自分の本能が分かって非常にびっくりです。私って、無意識のうちに多くの食べ物を口に運んでいるんだなと、半ばあきれました。「こんな無駄な物を!!」と思う食べ物は口にしなくなりました。

次ぎに本に関して。これは、かなりのストレス。どの本も購入する時に、心に引っかかった本を購入しているのですが、実は、自分の読みたい本と違ったり、当てがはずれて面白く無かったり。でも自分で決めたルールなので、必ず読了。すごくしんどいです。

9月に読んだ本の数は12冊でした。漫画を入れると30冊くらいにはなるのかな?

10月はどのくらい行くだろう・・・。

今も実は、しんどい本を読んでいて、本名は出せませんが、全くつまらない。でもあと半分も残っている。あーストレス。

でも、このストレスを十分楽しんでいるどMな私です。ウヒッ

2007年10月23日 (火)

子供の体力 下げ止まり?

本日は、日本経済新聞 10月8日分の社会面に掲載された記事からです。

☆子供の体力下げ止まり?

短距離走のスピードや筋力など子供の運動能力の低下に歯止めがかかってきたことが、文部科学省が2006年に行った体力・運動能力調査で分かりました。中学生男子の50メートル走や握力の成績がここ数年、横ばいか上昇傾向で推移しており、文部省は「下げ止まったといえるか検証を続けたい」と話しています。

調査は昨年5~10月、6歳から79歳までの男女約7万4千人を対象に実施しました。約7万1千人の調査票を回収しました。

13歳の男子で見ると、50メートル走の平均記録は前年と同記録。3年連続改善か横ばいを続けており、握力は2年連続上昇しました。

ハンドボール投げは前年より低下したものの10年前と同水準で、テスト結果が大きく落ち込んだ1980年代後半~90年代半ばに比べ全体の低下傾向は緩やかになっています。

50メートル走は小学生で男女とも多くの年代でここ5年ほど改善か下げ止まりの傾向が見て取れます。

立ち幅跳びは10年前の水準より低いものの、7歳で前半よりやや改善。ソフトボール投げは7歳男子で3年連続記録が伸びているものの、11歳男子は4年連続下落し、低学年と高学年では、ばらつきがあります。

一方、中学校で実施する持久走は男女とも2年連続で記録が悪化し、持久力の低下には歯止めがかかっていないのです。

体力調査について、文部省は「子供によって運動能力の二極化が進んでいる」と分析。調査を担当した順天堂大学の内藤久士準教授は「運動不足に端を発した能力低下が行き着くところまでいって、急激に回復しているとはいえない」と見ています。

☆睡眠短い子ほど運動能力低い

文部省は体力・運動能力調査で生活習慣病と運動能力の関係も調査しました。握力や立ち幅跳びなどで運動能力を測る体力テストを得点化して比較したところ、睡眠時間が短い子供ほど運動能力が低い傾向にあることがわかりました。

6~15歳で「睡眠時間が6時間未満の子供」を比べると、男子は6歳を除くすべての年齢、女子は8歳を除く全年齢で平均の合計点数が低かったのです。筋力の指標となる「握力」では目立った差は出ませんでしたが、全身持久力の指標となる「20メートルシャトルラン」や「持久走」で差が大きいのです。

同様に1日のテレビの視聴時間が長い子供の成績がより短い子供を下回り、朝食を「時々もしくは毎日食べない」層の成績が「毎日食べる」層を下回る傾向がありました。

20歳以上でみると、20代の男性と45歳以上の男女で合計点が8年前の調査を上回りました。週1日以上運動する割合が男性はほとんどの年代で、女性も40代以上で8年前より多くなっており、成年層は健康ブームを背景に運動能力が高まっている様です。

2007年10月22日 (月)

自覚症状が出たときは重度の歯周病

本日は、熊谷先生の著書「歯科 本音の治療がわかる本」からお届けいたします。

☆歯周病は自覚症状がない病気です

歯周病は、歯を支える骨が溶けてしまう病気です。でも、骨が溶け始めても痛くもかゆくもありません。かかり始めは、指でゆすって歯が揺れることもありません。痛くなったり、歯肉から臭い膿が出るようだと、もう重症です。かかりつけの歯科医院で定期的なケアを受けている人は良いのですが、そうでない人は、重症になってはじめて病気に気づいて歯周病の治療を始めているのが現状です。

指で動かして、歯が揺れるようになったら歯周病の末期ですが、こうなってから慌てて受診すると治療をする度に歯を抜かれる羽目になります。ここで「ひどくなったら抜歯になる」「歯槽膿漏は治らない」という誤解が生まれたのです。

末期の歯周病は手の打ちようがありません。歯を少しでも残したければ必死でブラッシングする以外にないでしょう。臭い、噛みにくい、見かけが悪いという具合で快適にはなりませんが、生活を犠牲にして努力をすれば何年か歯を抜かずに維持出来る場合があります。それで、「歯槽膿漏は抜かずに治せる」という期待が生まれました。

☆歯医者さんも気づかない?

歯周病は自覚症状がないので、患者さんが気がつかないのは無理もないことですが、残念なことに歯医者さんも気がつかないことが多いのです。患者さんにも歯医者さんにも「かかりつけ」のつもりがなければ、たとえ歯科医院を受診したとしても歯医者さんは歯周病に気がつかないかもしれません。

というのは、かかりつけ歯科医でなければ患者さんの訴えがないときに歯周病の詳しい検査はしないのです。目立たない病気ですから、詳しい検査をしなければ、かかり始めの歯周病を見つけることはできません。歯を支える組織の破壊は、ひどく進む時期と安定している時期を繰り返して進みますが、安定期には目立った自覚症状はありません。

☆早期発見・早期治療

重症になって、「名医」を求めて、たくさんの時間とお金をかけて治療を受けても、治療結果で確実なことは、数年で必ず再治療が必要になる-優秀な臨床医も学者も、そして患者さんもそんな歯周病治療を普通のものだと勘違いしてきました。

そして、多くの患者さんは、治療をあきらめて、簡単に抜歯して入れ歯にしてしまっているのです。しかし、家族でかかりつけ歯科医をもって、歯周病を初期の段階で見つけて、早期の治療をすれば、歯周病は簡単にコントロール出来る病気なのです。

参考文献 「歯科」本音の治療がわかる本 熊谷崇・秋本秀俊 共著 法研

2007年10月21日 (日)

味は計れるのか?

本日は、日本経済新聞10月7日分のサイエンスの欄に掲載された記事をご紹介いたします。

科学の「舌」、味を分析・再現

秋は収穫の季節。豊穣の海や田畑からとれた食材に、おいしく舌鼓を打ちたくなります。しかし、「味」とはいったい何か、科学的にうまく説明出来るのだろうか。舌の代わりをする味覚センサーの開発が進み、これまで人の主観に頼ってきた味の分析に客観性な科学のメスが入り始めています。

「これ、まさにコーヒー牛乳の味よ」

東京都内に住む主婦Kさん(40)は、麦茶と牛乳と砂糖を混ぜた物を飲み、思わずつぶやきました。色こそ白っぽいが、コーヒー牛乳と同じ味がするといわれる“ニセ”飲料で、実際に野見比べても違いが分からなかったのです。

これを科学的に裏付けるのが味覚センサーによる分析です。甘み、うまみ、コク、苦み、塩味の五つの要素で調べたところ、結果はほとんど同じでした。

この味覚センサーを開発した九州大学工学部の都甲潔教授は「味はバーチャル(仮想的)なもの」といいきります。味の元になる物質を直接感じるのではなく、あくまで作り出された味を感じていると見ています。

逆に、バーチャルリアリティ(仮想現実感)のように、「科学的な分析に基づけば、どんな味でも原理的にはつくることが可能」と話します。

味覚は、基本的には舌の上にある味細胞で感じます。例えば、昆布や鰹に含まれるうまみ成分のグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどはイオンとなり、これが味細胞にふれると神経に電気が走ります。電気の流れ方(電位の変化)の違いで、「おいしい」「まずい」ばどと人は実感します。同じ電位の変化をするものは、元の物質が違っても同じ味と言うわけです。

味覚センサーは味細胞の代わりに脂質膜を使い、電位変化を数量的に計ります。5枚の舌を持つかのように、5つの要素それぞれを測定して、パターンを見分けます。要素によっても特徴も違い、苦みは濃くても薄くても電位が反応しますが、うまみは濃くないと反応しないといいます。

「味に関する化学物質を一つ一つ検出しないことがポイント」と都甲教授は説明します。何十種類もある味の元になる物質をいちいちずべて検出していては時間と手間がかかりすぎます。さらに物質同士の相互作用も考える必要もあります。

こうしたことをしないで、多くの化学物質が混じった全体をまとめてとらえ、その電位のパターンを見ることが、味覚を定量的に計れるセンサーの開発に繋がりました。

同教授の成果を実用化したベンチャー企業、インテリジェントセンサーテクノロジー(神奈川県厚木市)の池崎秀和社長は「後味も判別できるようになった」と話します。

計測した後のセンサーを味物質がはいっていない溶液につけて反応がなくなるまでの時間を計ります。時間の長さは、人が感じる後味をほぼ表すといいます。例えば、紅茶の渋みが、どれだけ後味をひくのか、いわゆるキレを分析しました。その結果、紅茶のグレードはキレの良さに比例していました。

味覚センサーでビールや発泡酒の様々な銘柄を調べると、「ビター」や「ストロング」など、四つの中でそれぞれどこに位置するかを分析できます。ビール会社ごとに苦みを重視していたり、コクを大切にしていたりなど「特徴がはっきりわかる」(池崎社長)と明かします。

うまみや苦みを分析すれば、シイタケが国産の厚木をつかったのか、中国産の厚木から出来たのかまで分かるといいます。

九州の大手しょうゆメーカー、フンドーキン醤油(大分県臼杵市)は今年から味覚センサーの結果に基づき、甘みや塩味、うまみについて表示を始めました。消費者が好みの製品を選ぶ参考にしてもらうのが狙いです。加藤正取り締役は「味覚センサーを工場の品質管理にも使いたい」と実力を買っています。

ただ、人間は味を舌で感じるだけでなく、においや風味、食感なども合わせて総合的に味わっています。目をつぶり鼻をつまんで飲んだり食べたりすると味の違いがわからないことがあるのはこのためです。

「味覚センサーは味細胞で感じる結果だけを分析しています。香りや食感を含めた味とは別」と都甲教授は話します。例えば、マツタケは舌による味覚ではなく、「人にとって代わる能力があるわけではない」(池崎社長)と限界も認めています。

2007年10月20日 (土)

歯は健康への入り口

本日は、青山先生の書かれた、「よくわかる家庭の歯学」からお届けいたします。

☆歯の強さには、個人差がある

虫歯になりやすい、なりにくいというのは、ある程度遺伝的な要因があります。十人が同じようにブラッシングしても、結果は十人とも違ってきます。

例えば、歯が強い人はブラッシングを多少手抜きしても虫歯にならないので、ついつい日々いい加減な手入れが習慣化して、本人が気がつかないうちに歯周病が進んでしまうのと、歯が弱いことを自覚して、毎日こつこつと丁寧な手入れを続ける人とでは、一生というスパンで見た場合、どちらの人が入れ歯になりにくいかは明白なことです。

歯の強い人は、歯周病の予防のためにしっかりした手入れをして、歯肉の管理をしていく必要があります。

自分の歯が強い方か弱い方かw知りたい場合、唾液の成分を調べる方法もありますが、私は年齢と治療した歯の数を比べれば、経験的にほぼ言い当てることが出来ます。成人で歯の神経を取り除いている数が少なかったり、大きく被せて治療している歯の本数が極端に少ない人は、歯の性質はかなり強い方だと思って良いでしょう。

☆自分の歯と入れ歯の違いは大きい

動物にとって歯は生命の維持に関わる大切なものであり、歯を失うことは即、死を意味します。しかし、人間は入れ歯を入れたり、食べ物を軟らかくすることができるので、歯がなくなっても死ぬ事はありません。

しかし、入れ歯の人生と自分の歯の人生では、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)、人生の質が違います。

入れ歯の人は違和感がある面倒くさい、痛いなどということを実感しています。また、自分の歯がある人にくらべて、入れ歯の人は痴呆になったり成人病などの疾患になる割合が断然に高いという統計データがあります。

そして何よりも、抗ガン作用、抗菌作用、消化酵素の働きを持つといわれる“唾液”の量も、その成分も、入れ歯の人と自分の歯の人とでは大きく違ってきます。

どんなに栄養分のある点滴を受けたとしても、口から摂る食事に勝るものがないのは、この“唾液”に秘密があるのです。

昔の人は、水でさえも、何回か噛んでから飲めと言っていましたが、科学としてでなく生活の知恵として、唾液の大切さを日常の生活から直感的に知っていたのでしょう。

歯がなくなっても入れ歯がある。インプラントがあると考えるのではなく、自分の歯を一本でも多く残せるように、日々手入れに注意して欲しいものです。そのため、アシスタントをするのが歯科医の役目であり、歯を削ったり抜いたりするのが歯科医の本来の仕事ではないのです。

☆虫歯菌、歯周病菌とは

虫歯は、プラークという細菌が歯の表面にくっついて、人間の飲食した食べ物を栄養として酸を作り出し、酸によって歯を溶かしている状態です。これを脱灰と言います。脱灰された歯を、治ろうとする石灰化の作用と綱引き状態になり、歯を溶かす脱灰の時間が勝ると、虫歯になってしまいます。

これらの悪玉菌の代表的なものが、ミュータンス菌とラクトバチラス菌です。口の中には300種類以上の細菌が存在していますが、虫歯菌と歯周病菌では、それぞれ別の作用をします。

歯周病菌は、空気を嫌い、血液を好みます。その最適な場所が、歯と歯肉の境目です。この場所を専門用語では、“歯周ポケット”と言います。歯周病菌は、歯周ポケットに深部へ入り込もうとします。それをブラッシングで食い止めないと、歯周病菌は増殖してしまいます。

歯周病菌が歯周ポケットの中で増殖し始めると、歯肉が腫れ、出血しやすくなり、歯肉の下の骨(歯槽骨)が溶け始めるのです。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2007年10月19日 (金)

蛍光灯ライティングシステム

先日、診療所の蛍光灯にライティングシステムを取り付けました。

正直、ここまで明るくなるのか!!と言うほどの効果にただただ感激。

非常にうれしくて、ブログも短めです(苦笑)

2007年10月18日 (木)

カエルの呼吸、人とこんなに違う

突然ですが、私はカエルが大嫌いです。でもカエルの話。

でも今日は、そんな話。話のネタは医歯薬出版「のどちんこの話」からです。

カエルの呼吸、人とこんなに違う

カエルは両生類で、オタマジャクシは鰓(えら)呼吸、カエルは肺呼吸ということは、小学生の理科で学んだと思います。

人も肺呼吸ですが、カエルのものとは少し異なります。カエルの呼吸はいわゆる「頬から顎の下をふくらませること」が主体となった呼吸です。

カエルの口の中は「のどちんこ」がありません。口腔と鼻腔の境目がない、すなわち口蓋(くちの天井)そのものがないのです。口腔と鼻腔が一体になっている鼻の穴と肺の入り口に弁があるだけなのです。

カエルの呼吸運動の主体は口の中にあります。口を膨らまして鼻の穴を通じて外から空気を取り入れ、もともとあった口の中の空気と混ぜ、次ぎに鼻腔と口裂(口)を閉じて、口の中を小さくして、混合した空気を肺へ送り込むのです。いわば口の中がポンプの役割をしています。そのため外の空気が一気に肺に入る人に比べると、非常に高率の悪い呼吸をしています(口腔咽頭呼吸)。

肺を拡張させたり、収縮させたりする胸の筋肉が発達していないカエルでは、この方法しか無いのかもしれません。空気をはき出す時もまず、口の中を膨らまして肺の空気を引き出し、口の中を小さくする事によって外に空気を送り出すのです。

一方、人は横隔膜と胸部の筋肉が呼吸の原動力です。いきなり肺を膨らませる事によって、外気を口や鼻を通じて取り入れる事が出来ます。

人の原動力が口にないことは、口の活動に余裕を持たせ、そのことによって咀嚼や発音という全く異なった目的に口の筋肉が用いられる事になったと考えられます。

人の発達した肺呼吸活動は、呼吸する空気の流れの速度や圧力などの微細な調節まで容易にしました。

参考文献 のどちんこの話 松矢篤三 古郷幹彦著 医歯薬出版

2007年10月17日 (水)

インフルエンザ気道でブロック

本日は、日本経済新聞10月8日分の科学のページからお届けいたします。

インフルエンザ 気道でブロック 慶應大学、細胞に感染させぬ薬開発

慶應義塾大学の佐藤智典教授は、新しい仕組みで作用する抗インフルエンザウィルス薬を開発しました。

口から吸い込んで感染場所となる気道でウィルスを待ちかまえ、体内の細胞内に侵入するのを防ぎます。

感染した細胞からウィルスが出てくる“出口”を抑える従来品とは異なり、“入り口”でブロックします。

動物で安全性などを調べた後、来年にも臨床試験に入る計画です。

同大学ベンチャーのグライコメディクス(東京・渋谷)との成果。佐藤教授は「治療と予防の両面で、従来の抗インフルエンザ薬と相互補完的な役割を発揮出来る」と期待しています。

インフルエンザはウィルスが体内細部へ侵入して増殖し、細胞外へ出て広がっていきます。従来のインフルエンザ薬「タミフル」などはウィルスの細胞の出口を止め、ウィルスの増殖を抑えます。

研究チームは、ウィルスが細胞表面の生体分子「糖鎖」を目印にくっつく過程に着目しました。新薬はウィルスの糖鎖認識部分に「ペプチド」という物資を結合させました。この結果、ウィルスは細胞侵入の目印が分からなくなり、感染を妨げます。さらに、開発した薬剤を吸い込むと、気道上部にうまく送り込めることも製薬企業のシュミレーション(模擬実験)で分かりました。

2007年10月16日 (火)

あなたの好きな色は?

どんな人でも、それぞれ好みの色があると思います。

実は色にはそれぞれ個性があり、それぞれの色によって感情があると言うのです。

それを色彩感情と言うのだそうです。

興奮を出す例えとして、鮮やかな色、それも暖色系の赤から黄色にかけての色に対してはとくに強い興奮を感じますし、反対に彩度が低い寒色系の色は鎮静的な印象が強いのです。

興奮色の例としては、闘牛の赤い布や赤いスポーツユニフォーム、鎮静色としては、紺色のスーツや淡い水色のカーテンなどの例があります。

また、黒い色紙を見たり、黒という色名を聞くと、闇、夜、喪服、カラスといった具体物や、暗い、重いといった抽象的な概念などが思い浮かびます。そうして浮かんだものの事を色彩連想というのだそうです。

色彩連想には、基本的には時代や人種を越えた共通性や普遍性が見られますが(黒に対する暗闇、死、不安など)、色にまつわる生活体験の違いにより、個人差や文化、社会による違いも生まれます。

私にも、いろいろと色によって気分が変わり、また生活に役立てています。

好きな色は紺と赤系 洋服などはほとんどこの色ばかり。最近は気持ちが落ち着いてきてしまったのか、白も多くなりました。

勉強する時は何でも緑。サインペンでも、ボールペンでも緑。白衣を緑を選択しているのは、実は冷静になれる気がしますし、落ち着きます。240

みなさんは、どんな色が好きですか?

2007年10月15日 (月)

午後は休診です。

本日の午後は、従業員の研修のため、休診となります。

ご了承くださいますよう、よろしくお願いします。

明日は通常どおり、診療いたします。

しろくま歯科医院 院長 

2007年10月14日 (日)

人には自然治癒力がある

本日は、日本デンタルコンシェルジュ協会編集、佐伯健太郎先生が執筆代表である「噛み合わせが教える健康の秘訣」からお届けします。

人には自然治癒力がある。

病気を治すのは、人間が生まれつき持っている免疫力や自己再生能力といった「自然治癒力」です。

風邪を引いた場合、たいていは人は医者に行き、薬をもらって飲むと思います。薬を飲めば、数日のうちに風邪が治るため、薬が効いたと思うでしょう。しかし、、処方された薬は、多くの場合が解熱剤と抗生物質で、風邪の原因であるウィルスを退治するものではありません。

抗生物質を投与するのは、扁桃腺の腫れや肺炎といった、いわば風邪の二時症状に効果があるからであり、風邪そのものにはまったく効果がないのです。

風邪を引いたら卵酒でも飲んで、温かくしてよく眠れば治るといいます。また、抗生物質を飲んでも飲まなくても、風邪の治癒期間に差はないという調査結果もあり、普通の風邪なら抗生物質を飲む必要はないのです。

では、何が風邪を治したのでしょうか。

転んだり刃物で指を傷つけたりしたときなど、最初は出血し激しく痛みますが、時間が経てばかさぶたが出来て血がとまり、気がついた時には痛みも遠のいています。身体の傷が治るのも、どちらも人間に本来備わっている力です。自分の身体を自分で治そうという力・・・・それが自然治癒力なのです。

病気を治すのはまず自分。それを忘れてはいけません。医者にかかればどんな病気も治してもらえると思いがちですが、医者に出来ることは限られています。

どんな医者でも、一番大切なのは、患者さん自身の病気を治す力であることを知っています。古代ギリシャの医学の祖・ヒポクラテスも「人間は自ら治す力を持っている。真の健康とは、自然の治癒力を付けることである。医者はこれを助ける役目をするだけである。」といっており、紀元前から現代まで、病気に対する認識は変わっていないのです。

参考文献 噛み合わせが教える健康の秘訣 日本デンタルコンシェルジュ協会編集、佐伯健太郎代表執筆 メディアポート

2007年10月13日 (土)

国内情勢か世界情勢か?

毎日、私たち歯科医師はどのような事を考えて診療をしているのでしょうか?

私は、大学で入れ歯やインプラントの様な補綴(ほてつ)と呼ばれる歯の代わりとなる「人工臓器」をメインに勉強してきました。

このような補綴物を口腔内に入れる場合は、口の中の状況がすべて頭に入っていないと治療が進みません。入れ歯のバネをどの歯に掛けるか、インプラントを入れた場合、噛み合う歯の状態はどうか?とか。

そのため、あまり真面目では無かった私でも、大学に所属していたときは、口腔内全体を見回して診療計画を立案するという癖は十分にたたき込まれました。

この癖は今でも非常にやくに立っていて、初診で来院された患者さんのお口の中は、特別な理由(痛いところだけ、妊娠期間中など)がないかぎり、お口の中全体を一度じっくり見せてもらっています。

そのため、この歯は、なんとしても抜かずに守らなければいけないとか、この歯はあまり力がかかっていないので、この材料で大丈夫かもしれない。。。といった推測をたてつつ、患者さんと相談していきます。

つまり、歯一本だけの国内情勢の治療では無くて、口全体の世界情勢で治療を勧めていきたいと常に思っているのです。

しかし、少し困ったことが最近あります。昔では考えられない事なのですが、患者さんいよって、「この歯は先生お願いします。でも上の奥歯は○○○歯科医院で診てもらっていますからいじらないで」とか「虫歯は××歯科、抜歯は先生がやってください」という患者さんが何人かいるのです。

もちろん、それはそれで一向に構わないのですが、治療に責任が持てません。他の先生がどんな診査・診断をもって治療をしているのか分からないですし、もしかしたら、計画的に経過を観察している可能性もあるからです。

私が多く手がけている顎関節の治療でも、歯の並び、形で顎関節が悪化したり、良くなっている状況で、歯の治療は近くの歯医者でやりますから、先生は顎関節だけやってくださいというのは不可能です。だって、その歯の治療で悪化する可能性もあるはずですから。とても良心が痛みましたが、その患者さんはそちらの歯科医院ですべて治療をしてもらってくださいとお願いしました。

それぞれの患者さんの理由も分かるのですが、歯医者にも理由があってお断りする場合があるのです。

2007年10月12日 (金)

口の役割

本日は、徳島大学歯学部で記念出版された「なるほど現代歯塾」からお届けいたします。

口の構造

一般に口と言われている部位は、解剖学的には口腔と呼ばれ、口唇の後方の空間とそれを囲む周囲の壁構造を指します。また、口腔の最後部を口峡(こうきょう)といいます。口を大きく開けたとき、口峡の後方に見えるのどは咽頭(いんとう)と呼ばれ、口から胃へ続く食物の通路と鼻から肺へ続く空気の通路が交差する場所になります。そのおかげで口で呼吸することが出来ます。人間にとって口の役割は「食」に関連するものと「呼吸」に関連するものと大きく2つに分けて考えることが出来ます。

食に関する役割

咀嚼とは、食物を良くかみ砕く事ですが、肉食動物のように、食物を食いちぎって飲み込むだけの食べ方と違って、咀嚼する間に食物が適度な大きさと軟らかさになり、唾液と混ざって飲み込みやすい状態になります。また、かみ砕く事によって、食物の味や食感を楽しむことが出来ますし、その間に食物に混入した異物や異常な味に気づいて、有害なものを飲み込む危険を避ける事もできます。

口の中に分泌される唾液には、消化や殺菌にほか、口腔内を緩衝(中和)し、洗浄することなどさまざまな作用があり、口の役割を助けています。のどでは食物と空気の通り道が交差するので、ものを飲み込むためには、空気の通路を閉鎖する必要がありますが、口の働きに異常があると、うまく閉鎖できずに食物が器官に入ったり鼻に逆流したりする危険があります。したがって、口が健康でないと健全な食生活を営むことができません。

呼吸に関する役割

普段は鼻で呼吸する人も、運動する時や深呼吸するときなど、大量の空気を出し入れする場合には口を使って呼吸します。ただし、日常的に口呼吸(こうこきゅう)すると、口が乾燥して口の健康のためには良くありません。

また、空気を吹きかける際には、鼻でなく口を使うことが多いと思います。しかし、人間にとってこのことは、コミュニケーションの手段として、別の大きな意味を持っています。

人間は、口で呼吸出来ることを利用して言葉を発します。動物も喉を使って鳴き声を出しますが、人間の様にそれを言葉として表現するためには、口の役割が重要になってきます。正しく発音するためには唇や口の形開き具合、舌の位置などを正しい状態にする必要があり、歯が揃っていることも肝心です。

また、顔の皮膚と骨の間には表情筋といわれる薄い筋が存在します。表情筋は、おもに口や目、鼻、耳などの周囲に存在することから、顔の穴の開閉と関わりが深く、正しい発音をするためには口の表情筋もうまく使いこなさなくてはなりません。

人間の場合、顔の皮膚が薄いこともあって、表情筋の細かい動きは文字通り顔の表情となって表れ、時にはしゃべらなくても相手に気持ちを伝えることが出来ます。

特に、口や目には表情筋が集中しており、口もとの表情は、相手に伝わる印象にも影響してきます。

人間にとって口は、補助的な呼吸器としてだけでなく、コミュニケーションの手段としても重要な役割を持っているので、口の働きに障害があると、意思疎通にも支障をきたすことになります。

口は消化器の一部でもあり補助的に呼吸器の一部でもあることから、口の役割として咀嚼器、味覚器、発音器、呼吸器などが上げられます。

ここでは、「食」と「呼吸」に関連づけて考えてみましたが、このほかにも健康の維持・増進、美容、スポーツなどと関連して考えれば、その役割は非常に多彩です。

そうした口の役割を考えると、考え方によってその数は多くもなり、少なくもなり、単純な数字で示せるものではないというのが結論です。

参考文献 なるほど現代歯塾 徳島大学歯学部著 医歯薬出版

2007年10月11日 (木)

入れ歯のイロハ

本日は、日本経済新聞9月30日分サンデー日経の健康面に記載された記事からお届けいたします。

入れ歯のイロハ

せっかく入れ歯を作っても、「かみにくい」「痛い」「はずれやすい」といった悩みを抱える高齢者は多い。いくらおいしい食べ物でも味を十分に楽しめないと、生活に張りも出ない。入れ歯と上手につきあえば、生活の質(QOL)も向上するはず。

大人の歯は親しらずを除くと28本。厚生労働省の統計によると、自分の歯が20本以上ある人の割合は60歳で7割だが、70歳になると4割、80歳で2割まで減る。一方、自分の歯が一本も無い人は70歳以上で3割近くに達する。「歯を失う原因の約9割が虫歯と歯周病だ」(野首大阪大学名誉教授)

作ってからが本番

28本中、20本以上あれば高齢になっても、大半の食べ物をかみ砕くことは可能。咀嚼(そしゃく)がうまくいかないと、食べ物をおいしく感じられないほか、健康に悪影響をあたえかねない。最近では噛むことが脳の活性化に繋がるという研究も盛んだ。

入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯があり、どちらも取り外す事が可能。自分の歯が全部なくなっている場合は、総入れ歯を、まだ多く残っていれば部分入れ歯を使う。部分入れ歯は残っている歯の本数や状況によって、形や大きさが異なる。

入れ歯はレジン(プラスチックの1種)やセラミックなどで作る。人工歯を支える義歯床には歯肉の色に似たレジンや、コバルトクロム、チタンなどの金属を使う。

レジンは加工しやすい反面、強度を保つためにある程度の厚みがいる。一方、金属は薄くて異物感が少ない。また、熱も伝えやすく、水を吸わないなどが利点がだが、調整しやすさではレジンに劣り、健康保険の対象にならないケースもある。

入れ歯は精密に型を取り、噛み合わせを決め調整しながら作るため、完成までに1~2ヶ月かかる。ただ、できあがったからそれで終わりではない。高齢者歯科が専門の小正裕・大阪歯科大学教授は「入れ歯は作ってからがむしろ本番だ」と話す。

まず、入れ歯に必要なのは慣れ。初めて入れ歯を使う人は数週間はかかると覚えておこう。使い始めに良くあるのが、「なんとなく気持ちが悪い」「しゃべりにくい」「痛い」といった訴え。

違和感は「はめる時間を少しずつ長くしていけば約1週間で慣れる」(小林教授)。はめる前に入れ歯を一度水で濡らすと口になじみやすくなる。

安定剤は緊急用

都内に住む60代の石川さえ子さん(仮名)は、歯周病が原因で昨年、上下とも総入れ歯にした。ただ、サ行やタ行がうまく発音出来ない。入れ歯を作ってもらった横須賀歯科医院(東京・太田)の横須賀正人院長に訴えると、「声を出して新聞を読んだり、好きな歌を口ずさんだりしてみましょう。」と助言された。早速実践すると三週間もしないうちに普通にしゃべれるようになったという。

噛みにくい場合は、豆腐やバナナなど柔らかいもので噛む練習をするのもよい。痛み出したら我慢は禁物。傷が出来ることもあるので早めに歯科で調節しなければならない。横須賀院長は「少しでも不具合があれば歯科医師に相談すること。勝手に自分でヤスリなどで削らないでほしい」と言う。

毎日の手入れも欠かせない。食後は入れ歯に食べかすがたまる。放置すると歯肉が炎症を起こしたり、細菌が繁殖したりする。高齢者だと細菌がもとで肺炎になるケースもある。

入れ歯をはずして専門ブラシなどで表と裏を丁寧に洗い流そう。歯磨き剤は特に使わなくてもよい。

ブラッシング後に専用の洗浄剤に浸せば除菌も出来る。入れ歯に熱湯をかけて消毒する人がいるが、変形するのでやめよう。寝るときははずし、歯肉を休ませる。合わないからといって、市販の入れ歯安定剤を使い続けるのは良くない。「あくまで緊急用。合わないのなら早めに歯科を訪ねて欲しい。」と専門家は口をそろえる。入れ歯は自分の歯の代わり。上手に使えるようになっても半年に一回、歯科での定期チャックは忘れずに。

2007年10月10日 (水)

おしゃぶりなら大丈夫なの?3

昨日の続きです。

おしゃぶりの功罪2

2005年秋に、米国小児歯科学会の乳幼児突然死症候群(SIDS)専門委員会は従来の姿勢を大幅に変更し、SIDS発生を抑制する有効な手段として、睡眠時のおしゃぶりの使用を推奨を勧告しました。しかし、おしゃぶりがどのように、SIDSの発生を抑制するのかは証明されていません。また、赤ちゃんの睡眠環境は各国の育児事情によって大きくことなるので、すべての国がこの勧告に該当するかどうかもわかっていません。

SIDSの発生は1歳未満に限られ、中でも生後6ヶ月以内がほとんどなので、起きている時に使用したり、満1歳以降の子どもにおしゃぶりを与えてもSIDSの予防にはなりません。

一方、母乳哺乳児のSIDS発生率が低いことは、以前から良く知られていました。したがって、たとえおしゃぶりにSIDS抑制効果があったとしても世界中のすべての赤ちゃんにおしゃぶりが必要と言うわけではないのです。特に、母乳育児中あるいは母乳育児を希望している方には、おしゃぶりを使わないことをおすすめします。

また、最近日本ではアレルギー性鼻炎や扁桃腺肥大による口呼吸の子どもが増えたと実感する臨床家が多く、一部でおしゃぶりを口呼吸防止に有効なトレーニング器具としえ勧める傾向があります。しかし、鼻呼吸が本来の呼吸パターンである赤ちゃんに、あえて副作用を無視してまでおしゃぶりを積極的に用いることは推奨できません。

一方、前述の鎮静(痛)効果は広く認められ、育児、看護担当者にとってはおしゃぶりが“都合の良い方便”となっている現状が伺えます。

人手の足りない看護環境や孤立しがちな育児環境が多い実態をふまえると、おしゃぶりの使用の是非を一律に判断するのは難しいと思いますが、今後、おしゃぶりに変わるケアが模索されていくことを期待しています。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

2007年10月 9日 (火)

おしゃぶりなら大丈夫なの?2

昨日の続きです。

なぜ、指しゃぶりをやめられないのでしょう?

幼児期になると、子どもは母親が自分とは異なる存在であることを理解し始め、養育者との基本的信頼感が確立する3歳頃には、親元を離れて1人で行動するようになります。

さらに行動範囲や興味が広がる4歳以降では、不安解消が目的の吸綴も不要となっていきます。多くの子ども達がこのような経過をたどっていくので、3,4歳までの指しゃぶりを心配はないのです。

4歳以降も指しゃぶりが続く子ども達がいます。その理由として、内在する安心感が弱い、外界との接点がうまくもてない、といった状況から生まれた吸綴行動への潜在的欲求があると考えられるかもしれません。しかし、どのような理由や背景があったとしても、この行動を続けていれば、繰り返し学習から行動パターンとして定着していきます。これが、指しゃぶりが継続する多くの子ども達の背景です。

おしゃぶり習慣

西欧で非栄養的吸綴習慣といえば、主におしゃぶりの長期使用をさします。スウェーデンでは1940年~1980年までの間での長期にわたるおしゃぶりと指しゃぶりをしらべたデータがあるのですが、前半は指しゃぶりがリードしていたものの、後半はおしゃぶりが盛り返し、両者の頻度は逆転しています。

つまり、第二次世界大戦後、社会で積極的におしゃぶりが使われ始めると、指しゃぶりは激減したものの、結果として非栄養的な吸綴行動全体は増加したと読めます。

また、日本でも指しゃぶりとおしゃぶり習慣の頻度が逆転しそうな状況であることが分かっています。

おしゃぶりを日常使っている子どもには、指しゃぶりはほとんど見られません。また、前述したように、母乳育児が3歳以降まで続く社会集団でも指しゃぶりはみられません。

授乳行動を介した養育者との相互作用が、赤ちゃんの発育に大切な要素であることや、授乳機会を自制した西欧社会でおしゃぶり習慣が定着した訳が理解できます。

おしゃぶりの功罪

このようにおしゃぶりの使用には、歴史的にも文化的にも変遷があったようです。新生児から使用することは一部地域を除く欧米社会では一般的ですが、アジア地区でも急激に使用頻度が増えていると思われます。ではこの傾向は世界中の保険医療機関に認知されてきた結果なのかというと、実はそうではありません。

現在、世界的に母乳育児が推進されていますが、人工乳首もおしゃぶりも母乳育児を阻害する要因と考えられ、これらを排除する勧告もなされています。

おしゃぶり習慣で吸綴欲求が満たされるだけでなく、乳首の認知混乱が哺乳量・哺乳時間の減少をもたらすからです。

また、耳管機能の障害や細菌叢の変化が原因で、滲出性中耳炎の罹患頻度が倍増することもしられています。

唯一、おしゃぶりの使用を有効だとする状況として考えられるのは、経管哺乳へ移行するための準備として、おしゃぶりは吸綴機能の発達促進に有効な手段と考えられてきました。しかし、確証は得られておらず、この目的で使用することは否定されていませんが、明確な根拠はありません。

明日へ続きます。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

2007年10月 8日 (月)

おしゃぶりなら大丈夫なの?1

昨日からの続きではありませんが、今回は「おしゃぶり」に関してです。

今回から数回分のテキストは、「すこやかな口 元気なこども(医歯薬出版)」からです。

赤ちゃんの吸綴機能

赤ちゃんが自分の意志で哺乳量を調節する“自律哺乳”が出来るようになるのは、生後3ヶ月以降です。その後は栄養摂取目的の哺乳だけではなく、主に不安解消が目的の吸綴が増えてきます。前者はストロー飲みなどの成人様の吸綴運動として発達していき、後者は遊び飲みや乳首以外の指やタオルをしゃぶる習慣として定着していきます。

栄養摂取が目的でない吸綴には鎮静(痛)効果があり、授乳を介した基本的信頼感(アタッチメント)の形成を強化すると同時に、むずがる赤ちゃんの機嫌を落ち着かせるための手段として、夜間授乳のおしゃぶり使用の動機にもなっています。

赤ちゃんが指しゃぶりするわけ

しかし、多くの赤ちゃんにとって、これが初めての指しゃぶり体験ではありません。超音波検査装置で確認すると、胎生15~20週ごろから、胎生の赤ちゃんが指をしゃぶる様子が頻繁に観察されます。

羊水に浮かんだ胎児にとって、母体内は温かく安全で、また重力の影響が少ない、自由に体を動かす事の出来る空間です。安易に指を吸うことが出来き、手指と口の感覚を発達させることが出来ます。

もともと口には「ものを探る」働きがあり、出生後も手足を吸ったり、なめたりして自分の身体を認知していきます。新生児期には、重力によって身体の動きは制限されるので、指しゃぶりはお休みしています。しかし、首がすわるなど次第に重力に拮抗して身体をコントロールすることが出来るようになると、自然に口もとに届いた指を反射的にくわえるようになり、鎮静効果をもった非栄養的吸綴運動として定着していきます。もちろん、指しゃぶりをしない赤ちゃんもいます。

3歳までは吸うのが当たり前

新生児の口は、食べ物としては乳首からの乳汁だけを受け入れるようになっています。咬んだり、つぶすことはまだ出来ないので、危険な固形物や身体に害があるのかもしれないすっぱい味(酸味)・苦い味(苦味)は受け付けません。

これは生まれながらにもつ、自ら身体を守るための反射的なしくみの一つなのですが、このままでは固形物の摂食、つまり離乳は始められません。原始反射の減退・消失が離乳には欠かせないのです。また、こうした口の脱感作や、指しゃぶりやおもちゃなめから生まれる感覚刺激によって拡大していくと考えられています。

このように、赤ちゃんの吸綴行動は、哺乳から離乳に至るまでの口の動きだけでなく、こころと行動の発達に深く関係しています。

吸っているのは、母親の乳首や自分の指であったり、身近なタオルやおしゃぶりといった人工物であったりと多岐に渡るのですが、こうした背景から、人やチンパンジーなどの高等霊長類の吸綴行動は3~5歳までは当たり前の行動と考えられています。しかし、対象が異なれば、様々な吸う行動の頻度は互いに拮抗します。

たとえば、社会学的調査からは、ヒト社会でも3歳以降まで母乳育児を続けている集団では、指しゃぶりはほとんどみられないことが報告されています。母乳で育つ赤ちゃんにとっては、お母さんの乳首がもっとも魅力的なのは当然でしょう。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

2007年10月 7日 (日)

おっぱいを飲む

今回は、金子・菊谷両先生の監修した「上手に食べるために-発達を理解した支援-」からお届けいたします。

おっぱいを飲む

おっぱいを飲むときの赤ちゃんの口の動き

生まれたばかりの赤ちゃんの場合、おっぱいを飲む動き(哺乳行動)は、原始反射である「哺乳反射」によって行われます。哺乳反射には、「探索反射」と「吸綴反射」があります。

生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、しっかりと栄養を取るために、このような反射は亡くてはならないものです。けれども、この反射は成長とともに次第に消えていきます。

生まれたばかりの頃は口に入ってくるものは何でも反射的に吸ってしまうため、飲む量を調節できず、そのために吐いてしまいます。

けれども、「吸うことを拒否する能力」は少しずつ発達していきます。通常の場合、生後3~4ヶ月ごろになると、何となく飲みが悪くなったような気がしてくるのですが、これは赤ちゃんが「自分で飲む量を調節出来るようになった」と言うことなのです。そしてやがて反射は少しずつ消えていき、5~7ヶ月ころになると、離乳食を食べ始めることが出来るようになって来ます。

赤ちゃんの飲み方。

赤ちゃんがおっぱいを飲むとき、口はどうなっているのでしょう?

口は上下に大きく開け、上は上顎、下は舌が乳房を支えています。そして乳首を上顎の奥の方まで引き込んで、「吸綴反射」の動きで飲んでいます。つまり、唇と顎は開いたままで、飲むことが出来るわけです。

このような飲み方は「乳児嚥下」と言われます。けれども、いつまでもこのような飲み方をしていると、固形物を食べることが出来ません。「哺乳反射」が消えていくのとほぼ時を同じくして、唇や顎を閉じながら飲み込む、「成熟嚥下」が出来るようになっていきます。

哺乳反射の残る4ヶ月以前に離乳食を始めてもなかなかうまくいかないのは、このような発達のしくみがあるからなのです。

参考文献 上手に食べるために 金子芳洋・菊谷武監修 医歯薬出版

2007年10月 6日 (土)

子供はほめて育てよう

本日は、日本経済新聞(9月25日)に掲載された「脳を鍛える大人のDSトレーニング」監修者 川島隆太先生の記事からお届けいたします。

子供はほめて育てよう*******東北大学教授 川島隆太

息子が4人いる。大学生の万平(22)と康介(19)、高校生の端記(17)、中学生の克也(14)。計算や音読で脳を鍛える「脳トレ」がブームになり、我が子の脳を刺激して賢く育てようと熱心な父親が多いようだが、脳を研究している僕自身が実行したのは一つだけ。

毎日、短時間でいいから机に向かわせる習慣をつけさせることだ。

ゲームは放っておくと何時間もしてしまうので、平日は禁止。終末のみ「兄弟4人で合計2時間まで」と決めた。守らなければゲーム機を壊すと宣言し、実際にソフトを目の前で折ったこともある。

ゲーム自体は悪くなくても、目が悪くなると感じた。家族団らんや兄弟同士の関わり合いの時間も奪われる。生活時間の配分には、親がしっかりと関わるべきだ。

脳には栄養と睡眠がとても大事だから、寝る時間にも厳しくした。小学生までは9時に寝る。高校受験のころも10時には布団に入れさせた。朝食を食べないと登校させない。眠くて食べられないならもっと早く起きろと言った。

長男は東京の大学で医学部生になり、次男は教育に関心があるようだ。進路相談には乗ったが、勉強を見たり干渉したりはしなかった。それには僕の父親の存在も関係しているかもしれない。

父は物理の研究者で、今の僕など足下にも及ばないスパルタ型だった。父親が家にいる終末は憂鬱でしかたがなかった。その父をモデルに「怖い父親」」を僕もやってきた。食事の態度が悪ければ手を上げ、悪さをすれば尻をたたいた。

父親が怖いと分かれば、子供は自然と自分を律するようになるからだ。

ところが、三男が誕生した時、僕自身の変革が求められる事態に至った。長男と次男が「萎縮している」感じた妻が「これからは強くしないで」と言い出したのだ。しかる子育ては間違いだという。「子供はほめて育てよう」という方向へ、時代の空気も変わった。

仕方なく、三男が生まれた瞬間に気持ちを切り替えた。次男までとは違い、三男、四男はほとんどしかっていない。下二人は、しつけの行き届かない面があるのかもしれないが、伸び伸び育った。

面白い発見もあった。長男と次男が、僕にしかられたと同じように三男や四男をしかり、兄弟間で教育するのだ。子供が家庭の中で社会をつくり、教育までするというのは驚きだった。結局、親が頑張らなくても子は育つということを学んだ。

ゲームソフトの監修で何億円というロイヤリティーを得たが、個人で受け取らずに大学の研究棟建設にあてた。身の程を越えたお金があっても困るだけだ。子供に金銭教育はしていない。自ら稼ぐようになってから学べばいい。

お金に限らず、親があれこれ子供にしてやるのは間違っている。子供は他者が自分のために何かをしてくれると学習してしまう。世の中、そんなに甘くない。脳のトレーニングも大事だが、家庭で生き方のトレーニングを出来ないのは不幸だろう。

2007年10月 5日 (金)

喫煙とインプラント

本日は、日本大学歯学部教授 萩原芳幸先生の「50歳からのインプラント」よりお届けいたします。

喫煙とインプラント

喫煙が健康に悪影響を及ぼすということは誰でも何となく知っていて、喫煙=肺ガンというイメージも広く浸透しています。

一方、喫煙が歯や歯肉にも悪影響を与えている事はあまり知られていません。1990年代に入ってから歯科や口腔外科の視点からもさまざまな研究が盛んに行われる様になり、とくに、喫煙と歯周病の因果関係が高いことが分かってきました。

年齢や喫煙量にもよりますが、現在、喫煙者は非喫煙者の3~4倍、元喫煙者でも1.5~2倍ちかくのリスクがあると言われています。

インプラントは比較的新しい治療法であるため、何千何万という対象者を長期的に調査したデータはありませんが、歯周病に対するリスクと同様であることは想像がつきます。

喫煙者におけるインプラント失敗率は、非喫煙者に比べて2~3倍高くなるという報告もあり、インプラント治療におけるリスクファクターの上位に位置づけられています。

では、タバコの何が歯周病を発症させたり、インプラントに悪影響を与えたりするのでしょうか?喫煙により末梢血管が収縮して血流が低下するということは知られています。

口腔内でも同様の現象が起き、まずは血行不良によって低酸素状態に陥ることが歯周病菌の繁殖を助長hしているとも考えられます。

インプラントの場合では、これに加えてニコチン・タールなどの有毒物質が骨や歯肉の再生や修復に悪影響を与え、抵抗力を低下させてしまうので、手術後の傷の治りを阻害・遅延させたり、インプラント生存率(耐久性)を低下させると考えられています。

参考文献 50歳からのインプラント  萩原芳幸、葉山めぐみ共著 小学館

2007年10月 4日 (木)

歯周病の予防はますお口の清掃から2

昨日の続きです。

歯ブラシの効能

さて、それでは歯ブラシの効果ですが、私たち歯科医はお口の汚れ、特に歯と歯肉の汚れを「染め出し」によって評価しています。普通、歯科医は食品添加物に使われる色素が入った専用の染め出し液を使用し、米国のオレリーという歯周病医が考案したプラークコントロール・レコードという記録方法を用いて歯の表面の染め出された面の数に対して、歯の数掛ける4面で割った数字で評価するのです。

たとえば、すべての面の4つの面が染め出されたとすれば、100%ですし、すべての歯の2つの面が染め出されたとすれば50%、と言うことになります。つまりプラーク・コントロール・レコード=染め出された歯面の数/(歯の数X4)となります。

この評価方法が歯周病の治療に導入されてずいぶん経ちますが、一つだけはっきりと分かったことがあります。それは、いくら頑張って歯ブラシをしても0%にはならない、という事でした。私自身も長い臨床経験で体験済みです。つまり、私たちは歯ブラシだけでは完璧にプラークを取り除く事はできないのです。

完璧に取り除く事の出来ない理由の一つには、おそらく歯の形に問題がありそうです。特に奥歯は歯肉との境目の少し上の部分が最も大きく膨れたようになっています。ですから、ちょうど突き出た岩の様になっていて、その下の部分はどうしても歯ブラシが届きにくくなってしまいます。

もう一つの問題は歯と歯とが接触している部分です。この接触部分は人それぞれ大変個性があって実に複雑です。面と面の広い面積で接触している人もいれば、わずかな点で接触している人もいます。

まや、虫歯の治療で冠を被せてもらったりすると、人工的にいろいろな形の接触形態になってしまいます。ところがこの接触している部分が大変汚れやすいのです。ます、歯ブラシで完璧に磨くことは不可能です。

若い人は「歯間乳頭」という歯肉が歯と歯の間を埋めていて簡単には食べ物がその部分に入らない様になっていますが、年をとって来るとどうしても歯肉がやせて歯と歯の間に隙間が出来るようになります。そうすると歯の接触している部分にバイオフィルムが発生し歯周病に罹りやすくなります。ですから、その部分をいろいろな補助器具を駆使して清掃する必要が出てきます。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版

2007年10月 3日 (水)

歯周病の予防はまずお口の清掃から1

本日は、宮田隆先生の著書よりお届けいたします。

歯周病は感染症で、それも深刻な感染症であることは何度も強調しました。そして、その感染源は細菌達の集合住宅であるバイオフィルムにあり、その中に潜む歯周病菌であることもお話しました。ですから、その歯周病菌が繁殖しないような状態を常に保っていれば理論的には歯周病にはならないはずです。

ただし、これもすでにお話しましたが、私たちの数%、おそらく7~8%ぐらいの人は、どうやらもともと遺伝子的に歯周病に罹患しやすい体質を持っていて、なかなか歯周病から逃れることが出来ないようです。

しかし、残りの90%の人たちは、バイオフィルムさえ駆逐すれば(あくまで理論的には、ですが・・)歯周病にはならないはずです。

ただ、残念ながら生まれて死ぬまで完璧にお口の清掃を出来るかたなどいませんし、さらに加齢現象の様々な影響で私たちは知らぬ間に歯周病に罹ってしまっています。問題は、どうそれを最小限の被害でとどめるか、ということでしょう。

歯を良く清掃し、お口の中を清潔に保つことは、私たちの身体に多くの効能があります。もちろん、虫歯にもなりにくくなります。虫歯の原因は歯にこびりついた食べかすに繁殖した虫歯菌が原因ですから、そういう意味では予防はそう難しいことではありません。

虫歯菌が繁殖して大量の酸を出し、PHが5.5以下になると歯の表面が脱灰し始めます。ですから、その前に歯をきれいにしておけば虫歯にならないことになります。

しかし、歯周病の場合、歯周ポケットが出来てしまうと、歯ブラシだけでは歯周病の進行を止める事はなかなかできません。

こういうふうに考えたら如何でしょう。ます、歯周ポケットがない状態では、歯と歯の周りの清掃は大変効果があります。しかし、運悪く歯周病菌に感染して歯肉が腫れたり、わずかな歯周ポケットが出来てしまうと、清掃だけを目的とした歯ブラシだけで治すのは難しくなります。

清掃プラスちょっとした工夫が必要となります。その「工夫」についてはあらためてお話します。

さらに、歯周病が進行してはっきりとした歯周ポケットが出来てくると、歯ブラシによる清掃だけでは決して治りません。もちろん、しっかり歯ブラシしてお口の中をきれいに保てば歯周病の進行を遅らせることは可能です。しかし、あなたが体調を崩したり、何かの原因で免疫力が落ちたときに、歯周病は確実に、そして急速に進行してしまいます。つまり、歯周ポケットがあるかないかで日常のケアの考え方が全く違う、ということなのです。ただし、あなたは自分で歯周ポケットがあるかどうかは分かりません。もちろん、歯周病の得意な歯科の先生に診察してもらい、歯周ポケットを測定してもらうのが確実ですが、歯ブラシをすると「出血」する、という兆候で自分も歯周ポケットの有無程度の判断は出来ます。

よくテレビでも「歯肉からの出血」が歯周病の危険信号といったコマーシャルを耳にしますが、それはその通りなのです。

歯周病がもっと進行するうがいぐらいでも出血することがあります。ですから、歯ブラシの後や、うがいで出血したら、まず歯周ポケットがあると判断すべきでしょう。

明日へつづきます。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版

2007年10月 2日 (火)

歯への特別な思い

今回は、伊藤正夫先生監修の「高度歯科医療 最前線」からお届けいたします。

歯への特別な思い

アメリカで歯並びを治す歯科矯正が発展したのは20世紀初頭です。それでけの歴史を持つ国だけあって、アメリカでは、口元に対する美意識は、私たちの想像を超えるほどシビアです。

たとえば、ミスアメリカ・コンテストなどでは、プロポーションやインテリジェンスに加え、美しいスマイルが診査の対象になっているようで、歯には完璧なまでの美しさが求められています。

何年か前、ミスハワイの治療を担当したアメリカの審美歯科医によれば、彼女は顔の正中線と歯列の正中線が2ミリずれていただけで本線の優勝を逃したとのことです。彼女は改めて審美歯科を訪れ、顔の正中線と歯列の正中線をきちんとそろえ、翌年再挑戦し、見事に栄冠を手にしました。

アメリカではそれほど厳しく歯の審美性にこだわるようになっているのです。そうした土壌が確立されていますから、アメリカ人は子供の頃から歯の大切さを徹底的に教えます。

アメリカの子供達のベッドサイドには「tooth fairy(トゥース・フェアリー)/歯の妖精」と書かれた小さな袋が掛けられているのをよく見かけますが、乳歯が抜けると子供達は大切にこの袋にしまいこむのです。

すると寝ている間にトゥース・フェアリーがコインを持ってきてくれるという訳です。実際には親が妖精の代わりを演じてコインと乳歯をすり替えておくのですが、子供達はトゥース・フェアリーが自分の歯を持っていき、コインを置いていってくれたと信じているのです。歯は大切なものであると子供達の心に植え付けるために考え出されたアイディアなのでしょう。

日本では、抜けた乳歯を家の屋根に投げ上げる習慣があります。神様から与えられた歯を神様にお返しする感謝の儀式なのかもしれませんね。

また、アメリカでは、子供の歯列矯正が大変盛んです。これは、日本で塾に通わせたり、そろばんを習わせたりするのと同じくらい、いやそれ以上に普及しています。中流家庭以上では、子供の時に歯列矯正するのが半ば常識です。アメリカの映画やテレビドラマを見ていると、子供達が矯正器具を付けている姿をしばしば目にします。それがなんの違和感も感じさせないほど、子供の歯列矯正は普通に行われています。

ただし、3億人を越える人口の国ですから、豊かな人もいれば貧しい人もいます。だれもが歯列矯正を子供の時から出来るというわけではありません。

アメリカでは矯正装置を装着している子供を多く見かけますが、これは成人になってから歯並びが悪いと、その人の家計が苦しく十分な教育を受けていないと、外見だけで判断される傾向があるからです。

また、肥満は出世のマイナス要因になることはよく知られた事実ですが、歯並びも然りで肥満とともに自己管理能力の反映として評価されます。

子供の時代に治療を受けられなかった人は、大人になって自分の経済力で治療します。そういう人は単に歯並びが良いと言うだけでなく、もっと歯そのものが美しい、白い、形もきれいである。そういう欲求を持ちます。

それが審美歯科に発展して行くわけです。

したがって、社会的地位や経済力の強調が歯列矯正から審美歯科を生み、特に美しいことが大きな価値を持つ映画スターにその傾向が顕著になり、こぞって歯をきれいにした、その典型的なスタイルがハリウッドスマイルに結実したということになります。

参考文献 高度歯科医療 最前線 伊藤正夫監修  経済界

2007年10月 1日 (月)

口の中は細菌の巣窟

本日は、波田野先生の著書「歯から始まる怖い病気」からお届けいたします。

口の中は細菌の巣窟

歯は賢固な城壁に守られています。

表側に見えているエナメル質という丈夫な帽子の部分と、歯が埋まっている歯肉と歯を支える骨に取り囲まれて、歯はがっちりとガードされている。鉄壁な守りなので、絶対に大丈夫だろうと油断していると、いつの間にかエナメル質の一部が溶け出して、虫歯に成っています。

きちんと歯を磨いているのにおかしいな、と思うことがあるかもしれませんが、歯磨きは適切な場所を、正しく磨かなければ効果がない。

歯を磨くというのは、歯の表面にブラシを掛けることではなく、ましてや食べかすを除去するために行うのではありません。

もちろん、食べかすが残っているのは困りますが、大切なのは歯と歯の間や歯と歯肉の境目に生息している細菌を取り去ることです。そこがしっかり磨かれて、細菌がいなくならなければ目的は果たせません。歯を磨いていたとしても、虫歯になってしまうのです。

歯と歯の間に白っぽい粘りのあるものがついていることがあります。ほとんどの人の歯についているはずです。それを取って顕微鏡で見ると、たらこの粒のような丸いものや糸くずのようなものが動いているのが見えます。もっと拡大すると、真珠のネックレスのように繋がっていたり、ぶどうの房のような形、あるいは棍棒が連なっているようなものもあります。これら統べたが細菌です。

細菌は、1ミリメートル角の升に、一億匹入る大きさと言われています。もちろん、人間にとって有益な細菌もいれば、悪さをするのもいる。日和見菌といって、通常は関係ないのですが、ある条件になるといきなり悪さをする細菌もいます。

どの細菌にも共通していえるのは、増えるスピードがとにかく速いということです。ひとつの細菌は、30分で2個に分裂します。その後、4.8.16と2の2乗で増えてい来ます。

ひとつの細菌が24時間後には275億個になっているということになります。

口の中全体を考えると、いったい何億の細菌が生息しているのか想像もつきません。この細菌の大群の中に虫歯の原因菌もいて、虎視眈々と活動の機会をねらっているのです。

参考文献 歯から始まる怖い病気 波田野尚樹著 祥伝社新書