歯の詰め物でも汚染される
昨日の続きです。本日も斉藤一郎先生の著書より、重金属汚染についてお届けいたします。
歯の詰め物でも汚染される
マグロなどの魚の水銀汚染について述べましたが、アンチエイジングの立場から、本書で詳しく言及したいのは、アマルガムについてです。
アマルガムとは、水銀と他金属の合金を意味しています。語源はギリシア語の「やわらかい物質」に由来しています。
アマルガムは歯の詰め物として長年使用されてきました。成分の55%が水銀の合金で、水銀と銀、スズ、銅などを練和し硬化させて、歯の充填用として使用します。
虫歯の部分に銀色の詰め物をしてあるのを見たことがありませんか?あれがアマルガムで、健康保険が適用され、かつては広く使用されていました。歯科用の水銀は無機水銀が使用されていますが、メチル化されると水俣病の原因となった有害な有機水銀となってしまいます。
アマルガムは、口の中の入れる前は軟らかく、そして蒸発しやすい性質をもっています。軟らかいアマルガムは、虫歯を取り除いたところに圧力をかけながら少しずつ詰められ、次第に食事が出来る硬さに変化していきます。
アマルガムを使用すると辺縁破損が起こりやすく、二次カリエス(虫歯)の発症頻度が高くなります。いまでは人体と環境への影響を懸念して、歯の治療にアマルガムを使用を中止する歯科医院が増えてきました。
とはいえ、かつての虫歯の治療で歯にアマルガムが充填されている人は大変な数に上ると思われます。
アマルガムに含まれる水銀は、吸入により肺に入ります。そしてその約90%が体内に移行します。消化管、肺などいろいろな経路を経て体内に吸収された水銀は、さまざまな臓器に分布しています。
歯にアマルガムを充填したラットで水銀量の臓器分布を調べると血液、腎臓、肺、毛髪や爪などに分布することがわかっています。
アマルガムを詰めていても、そこから水銀蒸発あるいは水銀イオンが溶出する量は微量であるため、急性水銀中毒あるいは慢性水銀中毒を生ずることはないとこれまで考えられてきました。
重金属汚染による深刻な中毒の発症率は非常に少なく、普通はそれほど心配する必要はありません。
しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。普通はそれほど心配する必要はありません。
しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。実際、アマルガムによる水銀アレルギーについて多数の症例が報告されています。症状としては口腔内の浮腫、潰瘍、口腔以外では湿疹、皮膚炎などです。
水銀過敏症は、水銀蒸気が比較的大量に発生する際に起こります。歯の詰め物としてアマルガムを充填したときや詰め物を取り出すアマルガムの充填除去時です。
日本人健常者のアマルガム成分金属に対する感作陽性率(何らかの障害を受ける確立)は水銀11.1%、スズ6.3%、銅1.0%、銀0.1%となっています。
水銀過敏症は金属アレルギーの一種です。特にアマルガムは口腔粘膜や歯肉に常時接触しているため、アレルギーに原因になることも知られています。
金属アレルギーは発疹・痒みを伴う皮膚炎、関節痛などの症状をもっています。アレルギーですので、一度生じてしまうと、長年悩まされることが多いのが特徴です。
アレルギーの原因となる金属は、水銀の他にも、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、銅などがあります。
これらは普段の生活環境に広く存在していて、皮革、セメント、砂、消毒薬、予防接種薬など、見た目では金属に見えない物にも入っています。アレルギーが起こるのがアクセサリーなどが原因であれば即刻身に着けるのを中止します。歯の詰め物に含まれていれば、やはり除去するのが賢明です。
歯科治療に使用されている金属には、水銀の他にパラジウム、クロム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、白金(プラチナ)、金、銀などの合金が使用されています。この中で貴金属は、人体に影響を及ぼすことが少ないとされていますが、高価なために、非金属との合金が使用されることもあります。
参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫
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