魚を食べると体に悪い?
本日は鶴見大学歯学部教授斉藤一郎の著書「不老は口から」からお届けいたします。
魚を食べると体に悪い?
口の最も重要な機能は「食べる」ことです。このブログでは何を食べるか、について取り上げます。とりわけ、普段食べている食べ物リストの話をしたいと思います。
人が生命を存続させるためには栄養が必要で、その栄養は主に食事から摂取しています。
栄養には五大栄養素があり、それらは、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(無機質)の五つです。
ミネラルの必要量はごくわずかですが、体の成長や維持に必須の栄養素です。ミネラルとはそもそも水や土壌などに存在しています。
鉄、亜鉛、銅、コバルト、マンガン、モリブデンなどの金属は人体に必要なミネラルで、不足状態に陥ると味覚障害や貧血などの病気が発症します。
ところで現代社会は日本に限らず、世界中で大気汚染、土壌汚染、食物汚染などの環境汚染問題を抱えています。これらの環境汚染の主役は、重金属です。
アルミニウムやマグネシウム、チタンなどの比重の小さい軽金属に対して、重金属とは金や銀、銅など、比重が4~5以上の金属の総称です。
重金属は毒性の強く物が多く、微量であっても繰り返し摂取した場合、体内で蓄積され、人体に有害となります。公害病として知られている水俣病は有機水銀中毒、また、イタイイタイ病はカドミウム中毒が原因でした。環境汚染で問題となる重金属には、ほかに鉛、ヒ素などもあります。
私たちは、常に汚染された空気と水分を摂取し、汚染された土壌で栽培された穀物、野菜果実を、汚染された海や川で生息し食物連鎖した魚介類を体内に取り込んでいるのです。
それらに含まれている重金属はたとえ微量であっても繰り返し摂取させることで蓄積され、人体に影響を及ぼします。
1年ほど前でしょうか、「妊婦は胎児への影響を考慮し、キンメダイ等の魚の摂取量を控えるように」と国からの注意事項が発表されました。
注意が必要とされている魚はすべて食物連鎖による生き残った大きな魚です。
食物連鎖とは、何でしょうか?たとえば、農作物の場合、重金属を含んだ雨が田畑に流れ込み、農作物は根から重金属を吸い上げ、牛は重金属入りの草を食べ、そして重金属入りの牛乳やバターが出来き、人間は重金属入りの農作物を食べるというここの関係を食物連鎖というのです。
これが海の場合、魚の中に含まれている重金属が水銀なのです。
アメリカのレストランに行くと、入り口に必ずと言ってよいほど「マグロは水銀を多く含んでおり、それを食べることは健康へのリスクがあります」といった警告文が掲出されています。いかにもアメリカらしい感じですが、いずれにしても魚を食べること一つをとってもそれなりのリスクを伴うのだと知っておいた方が良さそうです。
明日へ続きます。
参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫
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