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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2007年9月30日 (日)

「長寿食の常識」は迷信?

本日は、精神科医 和田秀樹先生の著書 人は「感情」から老化する からお届けいたします。

「長寿食の常識」は迷信である。

ときどき「中年になって肉を食べるのを止めたら、イライラすることがなくなった」といって、人にも勧める人がいるけども、これはあまり根拠がない。むしろ、イライラしたり、ふさぎ込んだりと感情のコントロールが悪くなってきたときこそ肉を食べた方がよい。

感情に老化の兆候が表れているときは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足している可能性が強いからであり、セロトニンの原料は、タンパク質に含まれているトリプトファンというアミノ酸の一種だから、肉類を食べることで、補給することができるのだ。

そもそも「年を取ってきたから粗食がいい」という考えは迷信である。日本の平均寿命が男女とも50歳を越えたのは、1947年(昭和22年)、第二次世界大戦が終わってからのことだ。戦前は世界有数の短命国だったのだ。なぜ短命かというと、動物性タンパク質や脂肪分の不足が主な原因だったと考えられている。

低脂肪、低蛋白の栄養状態が続くと感染症にかかりやすくなる。衛生状態の悪かった当時、文字通りに致命的だったのだ。逆に結核などにかかると栄養価の高いものを勧められたことでもよく分かるだろう。

確かに欧米では「肉の取りすぎが短命の要因」として、長寿の日本を見習おうという動きもある。だがアメリカ人の場合、一日に約140グラムもの脂肪を摂っているのである。それに比べて日本人は約60グラムである。肉に関しては、アメリカが一日に約300グラム、日本は78グラムである。

また総蛋白に占める動物性蛋白の割合も、アメリカ人の約65パーセントに対して、日本人は約5パーセントだ。だが、これは少なければ良いというわけではない。この比率が遙かに低いアジア諸国は、日本人より寿命が短いのである。

肉類というと、コレステロールが気になるという人もいるかもしれない。しかし、最近の研究ではコレステロールがむしろ老化予防に役立っていることが明らかになっている。

たとえば、コレステロールはエストロゲン(女性ホルモン)の原料である。このエストロゲンは、骨粗鬆症の予防に寄与するし、アルツハイマーの予防になることも分かってきた。

女性のほうが長寿である理由のひとつにエストロゲンが挙げられるし、閉経後に病気をしやすくなるのもエストロゲンが減少することが原因と考えられている。

そもそもコレステロールには大事な役割がある。悪役とばかり思われているが、本来は細胞膜の原料なのだ。不足すると細胞の再生がうまく行かないのだから、老化を促進することにるのは当たり前の話だ。

コレステロール値が若いうちから飛び抜けて高いのは問題だが、高齢になってからはそれほど心配がない。東京都小金井市が実施した70歳老人の生存率の追跡調査では、コレステロールやや高め(男性190~219mg/dl、女性220~249mg/dl)の群がもっとも生存曲線がよかった。低い群(男性169mg/dl以下、女性194mg/dl以下)の生存曲線は、高い群よりも悪かったのである。

つまり肉は摂りすぎるのは良くないが、摂らなすぎも問題がある。「菜食主義がいい」「年寄りは魚だ」などと決めつけて食生活が偏ってしまうのはかえってまずい、ということだ。

POINT イライラしているときは、肉を食べる!

参考文献 人は「感情」から老化する 和田秀樹著 祥伝社新書

2007年9月29日 (土)

一日の唾液の量は?

本日は、鶴見大学歯学部教授の斉藤一郎先生の著書の中からお届けいたします。

一日の唾液の量は?

おいしそうなご馳走を目の前にすると、よだれが出てくるといった経験は誰しも持っていると思います。たとえご馳走でなくても、私たち人間がモノを食べるときは大量の唾液が分泌されていますが、いったい一日にどれくらいの量の唾液が出ているかご存じでしょうか。

正解を教える前に、唾液について少々勉強しましょう。

唾液が出てくるのは、口の中にある唾液腺です。唾液腺には二種類あり、ひとつは大唾液腺、もう一つは小唾液腺と呼ばれています。

大唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つがあります。何かモノを食べるときや話をするときに大量に分泌される唾液の大部分が、唾液腺から出てくるのです。

中でも最も大きいのは耳下腺で、頬の皮膚のすぐ下、耳の下あたりにあります。ここで作られた唾液は管を通り、上あごの奥歯あたりにある粘膜にある開口部という穴から口の中に分泌されます。この唾液はサラサラしているのが特徴です。

舌先を上あごに付けると、舌の裏にあるヒモ状のものが舌の裏を引っ張ります。その下の方で盛り上がっているところ、下あごの骨の内側にあるのが顎下腺です。ここから出た唾液も、管を通って口の中に分泌されます。

舌下腺は大唾液腺の中でも最も小さいものです。顎下腺の開口部の近くに数十個に分かれて管があります。よく子供の口からピュッと唾液が飛び出したりしますが、そういうものはだいたい舌の下部から出てくるのです。

これに対して、小唾液腺は、唇の裏や頬の裏側など口の中の粘膜や、舌、上あごなどにあります。

口唇腺、頬腺、舌腺、口蓋腺と口の中はすべて唾液腺で覆われていて、薄い粘膜のすぐ下に唾液腺が全部ついているのです。

さて、冒頭の質問にお答えしましょう。

正解は一日1.5リットル。なんと500ミリリットル入りのペットボトル3本分にもなるのです。唾液が出てくる場所がこんなに数多くあると知ったら、一日に1.5リットルも分泌されるのも不思議ではないでしょう。

もっとも、人間は唾液の分泌量を自在にコントロールすることは出来ません。唾液は自立神経によって支配されているのです。緊張すると、唾液が出てこなくて口の中がカラカラになります。反対にマッサージなどを受けてリラックスしているときは、勝手によだれがたくさん出てきます。このようなことが起こるのは、唾液腺が交感神経と副交感神経から二重に支配さえrているためです。

緊張すると交感神経が優位になって、唾液がピタッと止まってしまいます。リラックスして副交感神経が優位になると、唾液は非常によく分泌されるのです。

しかも、交感神経による支配と副交感神経による支配が瞬時に入れ替わるのも、唾液腺の特徴です。「親しい仲間同士で和んでいるときに、強面の見知らぬ男性が入ってきたら、途端に喉がからからになってしまった」と言うことが起こるのは、こうした理由からです。

唾液腺は非常にデリケートな臓器と言えるでしょう。

参考文献 「現代病」ドライマウスを治す 斉藤一郎著 講談社

2007年9月28日 (金)

子供にブラッシングを教えよう2

昨日の続きです。

ブラッシング成功のカギはお母さん

乳幼児はバカではなく、とても鋭敏な感受性を持っています。特に母親の心を感知し、母親が許す範囲でわがままをいったり泣いたりしているのです。

もちろん、父親やほかの家族の存在も重要ですが、乳幼児はお母さんが大好きで、その分、母親の本音がどこにあるかが一番大切なのです。

母親が心の底から本音で、子供のためにブラッシングが大切だと考えていれば、子供は素直に受け入れるようになります。

子供は大好きなお母さんの願いを踏みにじるようなことはしないのです。

口腔衛生意識や健康観を養う基礎となる大切な時期ですから、是非楽しく、一生懸命やってみてください。お母さんの意識が高ければ高いほど、家族は美しく輝いた歯になります。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館

2007年9月27日 (木)

子供にブラッシングを教えよう1

今日から2回に渡り、丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」から子供のブラッシングについてお届けいたします。

子供にブラッシングを教えよう

①ブラッシングは1本目が生えたら始める

子供のブラッシングは、いつから始めたらいいですか、という質問をよく受けます。

乳歯が1本顔を出した時からブラッシングを始めましょう。天から与えられた玉のように美しい乳歯を虫歯だらけにするなどということは天の意思、人の道に反したことなのです。

それに乳歯は、成長期における子供の咀嚼の主役であり、正しい栄養摂取を助け、咬むことによって、顎骨も成長します。また、永久歯が正しく萌出するためのパイロット役も果たしています。

乳歯は大切であり、軽視してはいけないのです。また、ブラッシングの習慣をインプリントするためにも、最初から習慣づけることが大切です。大きくなって、ブラッシングの大切さを理屈で分かる前に、食べたら磨くものという習慣を体にしみこませてしまうことが大切です。トイレに行った後に手を洗う、などと同じです。では、子供の歯はいつ頃萌出するのでしょうか。

②乳歯の萌出

標準的な乳歯の萌出時期を示しますが、3~4ヶ月程度の差はあるので、すこし遅れたからといって心配はいりません。6ヶ月、10ヶ月も遅れる例もありますが、歯胚があればいつか萌出してきます。特に悪い影響もなく、心配いりません。

③乳歯萌出の時期と順序

1.最初に萌出するのは下顎乳中切歯(下の真ん中の歯)・・生後6ヶ月前後

2.次ぎに下顎乳側切歯(真ん中のとなり)と上顎乳中切歯(上の真ん中)・・生後7ヶ月前後

3.上顎乳側切歯(上の真ん中のとなり)・・生後9ヶ月

4.あとは1年以上たってから下顎第一乳臼歯、上顎第一乳臼歯、下顎乳犬歯、上顎乳犬歯、下顎第二乳臼歯、上顎第二乳臼歯の順で萌出します。乳歯列完成は生後約2年です。

この時期のブラッシングの習慣づけは、美しい乳歯列を守ること、インプリントすることの両面でとても大切です。

このころ、子供は自分から進んでブラッシングするはずもなく、上手にも磨けません。お母さんを中心に家族が一緒に楽しく付き合い、面倒を見てあげることが大切です。

では次ぎに、この時期の成長に伴ったブラッシングの習慣づけの手順をまとめます。

  1. 1本生えたらブラッシングを始める。最初、粘膜が弱く痛がれば、水で濡らした綿棒などで清掃してもよい。
  2. 何本か萌出したら小さな乳児用ブラシで磨く。なじませるため、ブラシをおもちゃ代わりに与える。子供は何でも母親のまねをしたがるので、お母さんが率先して楽しそうにブラッシングしてみせる。
  3. 1歳半くらいから不完全ながら自分でブラシを使うようになる。子供が自分でブラシを使った後、親がひざの上に子供の顔を載せ、口を上からのぞき仕上げ磨きをする。
  4. 2歳くらいからかなり上手に磨けるようになる。しかし、小学校中頃までには、親の総チェックが必要
  5. それ以後は、原則として自分で磨かせ、時々チェックし、アドバイスする。

大事なことは、焦らず、時間を掛け、ゆっくりと身につけさせる事です。

小児科医の中には、小さいときからブラッシングを行うと、精神的に悪影響があると言う人がいます。私はその意見は間違いだと思います。幼いときに放置し、後になって無理に習慣づけようとすると嫌がるようになるのです。最初から時間をかけ、ゆっくりと身に付けさせましょう。

それに1歳半くらいから、虫歯は急速に増えてしまうのです。後になってからでは間に合いません。

明日へ続きます。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館

2007年9月26日 (水)

欠かせぬ自己管理

昨日の続きです。

本日も、「なくそう減らそう糖尿病 なくそう減らそう歯周病」シンポジウムのなかから、鴨井久一日本歯科大学名誉教授の基調講演をお送りいたします。

欠かせぬ自己管理

歯周病と糖尿病の間には、様々な相互作用があるはず。

まず、重度の歯周病になると、炎症がひどくなっているので、ブドウ糖の代謝障害が出てくる。また、歯周病菌からでる毒素が脂肪組織や筋肉などの中に入って損傷を与え、インスリンの効きが悪くなり、血糖コントロールが悪くなる。

一方、2型糖尿病の患者さんは食生活改善が必要なばあいが多く、合併症などによって体の中に慢性炎症を抱えている。

この場合、免疫機能が落ち、コラーゲンが主成分の歯肉の合成が阻害されると考えられる。

味は、歯を支えている所にある「歯根膜細胞」で感じている。肉をぐっとかんだ時に「ジューシーだ」と最初に感じるのは、歯根膜細胞のセンサーさが、歯周病によってそういう機能も悪化する。

歯周病と糖尿病の類似点の一つは、発症しやすい年代だ。慢性歯周炎は35歳ぐらいから増える。2型糖尿病も同様だ。毛細血管に異常が生じる点も似ている。また、糖尿病は食事、運動療法による生活習慣改善で血糖値をコントロールする。歯周病も同様で、歯を磨くという生活習慣によって予防する。

歯を磨くのは歯の汚れを取るだけでなく、感染源を除去するのが最大の目的で、プラーク(歯垢)コントロールと呼んでいる。

生涯コントロールし続けなければならないことも共通している。糖尿病は「しっかり治療しなければ、生涯治ったと同様な状態を保てる疾病」とされている。

定期的に医療機関へ行って、状態をチェックすることが非常に大事だ。

歯周病も「歯ブラシをかけたらちょっと血がでるけど、そんなに痛くないから」と放っておくのは良くない。3ヶ月に1回とか、半年に1回行って、歯肉の状態などをチェックする必要がある。

糖尿病も歯周病も、自己管理が欠かせない。病気になったら医者が治せ、歯医者が治せじゃだめだ。患者自身がどう意識を持って、自分の病気と闘っていくか、そして病気とうまくつきあって行くかと言うこを是非考えてほしい。

治療法のうち、プラークコントロールの基本は自助努力だ。家庭で誰でも出来る、歯ブラシという手段がある。自己流で磨く人もいるが、細菌がちゃんととれればそれでいい。一方、歯石は歯ブラシでは取れないので、歯科医院で取ってもらう。

また、歯周病の検査に唾液の中の細菌を調べる方法もある。歯科に抵抗のある人も、この方法なら受けてもらえるかもしれない。

歯周病菌をすべてなくすことは出来ないが、割合を少なくして、悪さをしないようにし、共存共栄することは出来る。是非、口の中にいい菌を増やしながら、健康で生きていってほしい。

古い映画で「明日ではおそすぎる」というせりふがあったが、歯周病対策についてはそういう意識をもって、自分自身で対処してほしい。

参考文献 毎日新聞 8月20日分

2007年9月25日 (火)

「口の機能」増進目指そう

本日は、毎日新聞8月20日に掲載された記事からです。

「なくそう減らそう糖尿病 なくそう減らそう歯周病」シンポジウムが7月22日に開かれました。その中で日本歯科医師会会長である大久保満男先生が言った事が記事になっています。

「口の機能」増進目指そう

歯の治療というと、口を大きく開けてキーンという嫌な音を聞き、痛い思いをするというイメージがあるだろう。これは歯科治療の一部にすぎない。

治療の本当の目的は、口の機能を維持、増進させることだ。

口の機能は食べることと会話することに大別されるが、どちらも人間が生きていく上で極めて大事だ。私たちは「食べるということは、単に動物のように栄養を取って生きているだけではなくて、人間の尊厳に関わる問題だ」と思っている。

高齢者の歯の治療のために、介護施設に通っている歯科医師が撮影したビデオ見た。ある高齢者は歯が1本もなく、いつも舌が前に出て、話すことも食べることも出来なかった。その人に20年ぶりにぐらいに上下の総入れ歯をいれてあげると、食べられるようになって表情が変わった。食事による栄養以上に、「食べる」という行為がその人の精神、生きる力を支えていた。

別の歯科医師は、どうしても最後に何か食べたいという高齢者に入れ歯をいれた。その人はブドウ1粒をかみ、「おいしい」といって1ヶ月後に静かに亡くなった。歯科医療は胎児の時から、人生最後の食事までを支える行為と言える。

高齢になっても歯がたくさん残っていて、自分の好きなものを好きなように食べられることが重要だ。私たちは89年から、80歳で自分の歯を20本持っていることを目指す「8020運動」を展開している。

当初は80歳以上では平均4本半しかなかったが、現在は約12本まで増え、80本で20本の歯を持っている人の比率は20%を越えた。近年若い人の虫歯がだんだん減り、歯を失う原因として歯周病が重視されている。歯周病は特に、糖尿病との関連が大きくクローズアップsれている。

私たちが日々患者さんを診てると、歯周病で、糖尿病にかかっている人が多い。糖尿病の悪化と共に歯周病がひどくなる人もいる。

最近研究が進み、歯周病をきちんとコントロールされ、歯周病と糖尿病もコントロールされ、歯周病と糖尿病が相互に関連しあっていることが分かってきた。今回のシンポジウムで、どうすれば両方の病気を予防し、きちんと食べて自分の人生を快適に過ごすことが出来るかを聞いていってほしい。

明日は、シンポジウムの基調講演 鴨井先生のお話をお送りいたします。

2007年9月24日 (月)

患者さんを救い続ける努力

先週の水曜日に午後の診療を休診にして、とある歯科医院のインプラントのオペの勉強を兼ねたお手伝いをさせていただきました。

主治医は、いつもの石川先生。場所は、今回の患者さん担当医であるM先生の歯科医院。

今回のオペは、上顎にインプラントを入れる患者さんが、上顎の骨が足りないために、インプラントが入れられず、骨を誘導するための手術です。

今回のオペでは、私は見学をさせていただければ良いと思っていたので、メモ片手に端の方で迷惑にならないようにしていました。

石川先生は、見学するのなら、オペ着に着替えていた方がより近くで見られるとのことで、オペ着着用を薦めてくれました。

オペが始まる時、にっこり笑って、こっちへおいでと手招きしてくれます。私にも手術に参加しろと言うのです。

手術中、ずっと術野の確保に集中していました。術者の石川先生と担当医のM先生が良く術野を見えるように唇と粘膜を指であげつづけました。

術中は、興奮の連続です。一流の先生の手術を間近でライブでみれるのは、何よりの勉強です。

手術時間は2時間強と言うところでしょうか。しかし、あっという間に終わってしまいました。

自宅へ戻り、本日行った手術に似ている文献や使った材料を整理してみました。

たくさん勉強して、たくさん練習して私も早く自分のものにしたいと強く感じました。

疲れたけど、またやる気がわいてきました。

2007年9月23日 (日)

20分で食べる噛まない学校給食

本日は、西岡一さんの著書「噛めば体が強くなる」からお届けいたします。

20分で食べる噛まない学校給食

少し前の「朝日新聞」の投書欄に、富山市の主婦が学校給食の早く食べる指導を疑問視する次のような内容の一文が掲載されていた。

彼女には4月から小学一年生になる長男がいる。そのため、前年の秋に就学予定児とその母親が小学校に集まり、先生から入学までのしつけと心得が説明された。

そのなかで彼女のはとても気になることがあった。それは学校給食についての説明であった。その説明によると、「給食の時間は20分しかないので、時間内に食べられるように、今から家でも訓練しておくように」という話だったという。

当時、長男が通う幼稚園でも小学校への入学に備えて、給食を25分以内に食べるように指導していたというのだ。

長男は体が標準より小さいこともあってか小食であり、また偏食もあって、食べるのに時間がかかる。だから幼稚園では、いつも最後まで残って食べているという。この母親はこのことが気になるので、家で長男に食事時間のことを口うるさくいうと、最近ではずいぶん早く食べられる様になったらしい。

しかし、まるで詰め込んでいるとしか言いようのない食べ方だという。そして、食べ終わると、必ず、「お母さん、何分かかった?」と聞き、長男にとって時間ばかり気にする食事になっているそうなのだ。

この母親は、自分が子供の頃の食事は「ゆっくりと良く噛んで」と指導されたものだが、いつの間にか、「早く食べて」に変わってしまったことに戸惑いを感じている。さらにこの母親は、食事はひとつの例にすぎず、学校教育では何でも画一化され、それにともない子供は落ちこぼれになることを心配し、学校側の事情もあるのだろうが、このままでいいのだろうかと、長男の入学を前にして、学校教育への疑問を投げかけている。

このお母さんの疑問は当然である。給食の時間は短く、それに悪名高き先割れスプーンを使わせ、犬食いをさせてきたのが学校給食であった。それに給食の献立にも問題がある。子供の好きな物を第一条件にするために、メニューはどれもこれも歯ごたえのない柔らかいものばかりとなっている。

戦後直後の学校給食の意義は大きい物があった。当時、食料が絶対的に不足していて、欠食児童や子供の栄養失調は大きな社会問題だった。

学校に弁当を持っていけない子供は、ザラにいた。子供の餓えを満たし、栄養を確保するのが目的で学校給食は始められた。そうした大きな役割を果たしてきた給食だが、現在では食の事情は当時とはまったく変わってしまい、食べ物は街にあふれる事態となっている。当然、学校給食もそれなりに新しい対応が求められるはずなのだ。

20数年前、学校給食30周年を記念して行われた全国一斉カレーの日なども、いかにも役人的発想である。この投書のお母さんも嘆いているように、画一的な教育の典型を学校給食に見ることができる。

学校給食は、ただ単に楽しく食べるだけではなく大事な食教育のチャンスでもある。先生も子供達と一緒にたべて、この機会に、世界飢餓、環境問題、健康と食べ物の関係、食べ物への感謝などを生徒達に話すことが出来るはずである。そしてゆっくりと食べ、良く噛む週間を植え付ける絶好の機会なのだ。

日本では学校給食は当然のように教室で食べるものとなっているが、欧米では食堂(カフェテリア方式)で食べるものと決まっている。勉強すれ机で食事というのは、食事を軽視しているように私には見える。家庭でそんなことをしているところはまずないだろう。

最近、日本でもごく一部の学校では給食を食堂で食べるところが出てきたようだが、これが広がり、食べることの大切さと食事のマナーを子供達に是非つたえたいものだ。

2003年になってから一部の学校で、良く噛める食材を使って、子供達に良く噛んで食べることの重要性を20年以上もまえから、学校で、講演で、本で訴えてきたが、ようやくその努力が報われつつあるのかなとうれしく思っている。きんぴらゴボウやたくあんなど、歯ごたえのあるものをメニューに加えて、子供達に良く噛むことの大切さも学ばせたいと心から思う。

2003年8月、文部科学省は子供の生活習慣病を予防するために、小・中学校に栄養教諭をおき、子供の食生活の指導を行うことを検討していると報じられたが、是非、早期に術源っして欲しいものである。

参考文献 噛めば体が強くなる 西岡一著 草思社

2007年9月22日 (土)

無理矢理生えてくる親知らず

本日は、日本デンタルコンシェルジュ協会佐伯健太郎さんの著書からお届けいたします。

無理矢理生えてくる親知らず

1人ひとりの顔や性格が違うように歯並びにも個性があり、時には歯の噛み合わせにも影響を与えます。

その代表的なものが「親知らず」です。

親知らずは元々あるべき歯の数には入っていないため、口の中に生えてくる場所が用意されていません。そのため、無理矢理横向きや斜めに生えてきて他の歯を圧迫するため、歯列を乱して噛み合わせを悪くしてしまうのです。また歯の一部だけが出ている場合が多いため、周りの歯肉は炎症を起こしやすく虫歯にもなりやすいという特徴もあります。

もともと親知らずには食べ物をすりつぶす役目があったのですが、人間が柔らかい食べ物を食べるようになったために必要が無くなってしまいました。そのため、この歯が4本ともきちんと生えている人は少なく、横向きや斜めになった親知らずが顔を出さず、歯肉の中に完全にもぐったままの人も少なくありません。

親知らずはもぐったままで成長します。前方に成長した場合、その力は前歯の歯列を乱す原因となります。

また、下顎の骨が成長を邪魔する場合は後ろに成長し、鼻腔に入ってしまいます。その時の力が顎関節症を引き起こすことが多いのです。

参考文献 噛み合わせが教える健康の秘訣 日本デンタルコンシェルジュ協会 佐伯健太郎著 メディアポート

2007年9月21日 (金)

歯並びは親の責任?

本日は、日本経済新聞9月15日分に掲載された生活コラムニスト ももせ いづみさんの歯に関するエッセーをお届けいたします。

快適 くらし予報

この年になって、歯科矯正をすることになった。

中学生の時に差し歯になった前歯の歯根がもう寿命なのだという。でも歯並びが悪いため、このままではブリッジ(義歯)などの治療をするのも難しい。ええい、この際だ、ずっとずっと先延ばしにしてきた歯科矯正をしよう!

私の子供時代は、歯科矯正をする子供はまれだった。でも、今は子供の歯並びは親の責任と言われていることも増えている。歯科矯正の重要性は十分理解しつつ、でも数年前にかかった歯科医院で、「あー、汚い歯並び!これは親の責任だね」と言われた時は、正直無性に悲しかった。

うちの親は共働きで必死に娘を学校にやってくれたんだ。何十万もかかる矯正ができなかったことを、親の責任だなんて言うな!

そう考えると、今は必要以上に親の責任が問われるものが多いなあ、と思う。日々のしつけや生活態度だけでなく、塾に通わせていい教育環境を手に入れることも親の役目。世の中はまさに格差社会。そのために必要な経済力が親にあるかないかで、子供の将来も決まるというような表現に行き当たるたび、何か違う。違うと信じたいと思ってきた。

親の責任に頼らなくたって、人はちゃんと成長して自分の責任で物事を決められるようになる。自分の働いたお金でお金で学校に通い直すことも、四十七歳で歯科矯正をすることもできるのだ。えへん。

数年前、母が「矯正をしてやれなくて心残りだった。貯金を渡すから今しなさい」といって来たことがある。とんでもないよと断りつつ、親の責任感ってずっと残るものだなあ、としみじみ。

親となった今、子供には出来る限りのことをしてやりたいと思う。自分の力でちゃんと出来る人間になれ、とも思う。親の責任なんて実はほんのちょっとのもので、あとはすべて自分自身なのだ。

というわけで四十路の歯科矯正開始。スマイル美人になって、また戻って参りますわ!

2007年9月20日 (木)

脳内メーカー

C3f6bcedb5ddc9a7_2 ふと、脳内メーカーをやってみました。

この結果が患者さんに伝わればいいけど(笑)

2007年9月19日 (水)

午後休診のお知らせ

本日、院長が出張のため、午後の診療を休診いたします。

明日からは平常通り診療いたします。

ご迷惑をおかけいたします。

しろくま歯科医院院長 猪狩

2007年9月18日 (火)

いろいろな感染症

本日は、宮田隆先生の著書「歯周病の本当に怖いわけ」からお届けいたします。

いろいろな感染症

歯周病は感染症です、などというと、あなたはマラリアや結核と同じ恐ろしい伝染病を想像するかもしれません。

歯周病は伝染こそしませんが、実は恐ろしい感染症であることにはかわりがないのです。

感染症というのは「病原性を有する微生物が体内に入り、そこで定着、増殖し特定の局所あるいは臓器に障害を引き起こすこと」と難しく定義されていますが、要するに細菌やウィルス、原虫など微生物が引き起こす病気で、生活習慣病や糖尿病などとは全く違う病気です。

少し感染症のことをおさらいしてみましょう。

端なる風邪と思われがちなインフルエンザは、世界中に広がるウィルスが原因の大変怖い感染症です。

1918年に大流行したスペイン風邪というインフルエンザでは、世界中で2.500万人が感染によって命を落としました。日本でも38万人が犠牲になりました。

いま、鳥インフルエンザが人に感染するのではないかと、世界中の保険機構が監視の目を光らせているのはご存じだと思います。

マラリアは特に発展途上の国々の人たちを悩ませる感染症ですが、以前は先進国でも猛威をふるっていました。マラリアはウィルスや細菌より大きい原虫という微生物から感染します。

マラリア原虫はハマダラカという蚊の唾液腺に寄生しています。ハマダラカは夕方に活発に活動して雄と雌が交尾します。妊娠した雌のハマダラカは、栄養が必要なため人の血を吸います。その時に唾液腺に寄生していたマラリア原虫を人に体内に注入するのです。

ですから、刺すのは雌だけです。著書らの歯科医学教育国際支援機構による現地活動のように熱帯で仕事をしていると、日の沈む前後には蚊に刺されないよう特別注意します。

マラリア原虫は最初に肝臓に侵入しますが、その後、赤血球を新たな寄生場所とします。

その時に高熱がでます。熱帯熱マラリアとか三日熱、四日熱マラリアと呼ばれるのはこの時期です。ですからマラリアは、赤血球が破壊されるため、ひどい貧血症状を起こします。アフリカでは貧血になった子供達に輸血をして、そこから今度はHIVに感染してしまうなど悲劇も起きています。

AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症させるHIVもウィルスです。ウィルスは細菌よりさらに小さい、最も小型で細胞構造を持たない単純な生物です。いや、ウィルスの構造から無生物という考え方もあるくらいです。

また、遺伝情報を伝える核酸であるDNAかRNAのいずれかしかもっていませんし、自分でエネルギーを出して増殖する能力もありません。ですから、いつまでも他の細胞に寄生していないと生きていけないのです(これを専門的には偏性細胞寄生虫といいます)。

HIVは免疫を担当するT細胞に寄生します。そのためHIVに感染すると免疫が働かなくなり、多くの人はAIDS になってしまうのです。

私たちに身近な感染症として最近注目を集めているのが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となるピロリ菌でしょう。

ピロリ菌も歯にこびりついた歯垢からも感染することが示唆されています。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 著者 宮田 隆 医歯薬出版

2007年9月17日 (月)

象の歯、犬の歯

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版された「なるほど現代歯塾」からのコラムをお届けいたします。

動物にはライオンやトラのような肉食動物、馬や牛のような草食動物、人や猿のような雑食動物がいます。

肉食動物のすべての歯は、高くて鋭い咬頭を持ち、肉を引き裂き細分し、骨をかみ砕くのに適しています。草食動物の臼歯は、平らになっていて、草をかみ、すりつぶすのに適した形をしています。雑食動物の歯は、両者の性質を兼ね備えて、その中間の形をしています。

象の歯は大きな体に似ず、人よりもすくなく26本しかありません。歯の「象牙質」は、象の牙、つまり象牙に由来しています。象の牙は犬歯ではなく、上顎の切歯(真ん中の歯)が長くなったもので、一生伸び続け、3メートルを超すものも珍しくありません。

象の臼歯は上下左右に6本ずつありますが、それらは同時に生えることはなく、草履のような大きな臼歯が1本ずつ、計4本生えているにすぎません。

ある期間働いて役目を終えた臼歯は、後方から生えてきた新しい臼歯に押されて抜け落ちてしまいます。象の臼歯は6本あるので、5回生えかわることになります。

犬の歯は人よりも多く、42本あります。私たちは犬歯という用語を用いますが、この歯は犬の牙に由来します。

犬は肉食動物なので、獲物を捕らえるために犬歯が発達しています。雄の犬歯は特に大きく、闘う武器としても使用しています。命名が良いイメージではないので、特に欧米では、尖頭のようにとがっていることから「犬歯」ではなく、「尖頭歯」と称するようになってきています。

身近な動物の歯の数をご存じでしょうか?

魚、蛇、ワニなどの歯の数はおおくてその数も一定していませんが、人を含めた哺乳類の歯の数は一定しています。

下の表に私たちの身近にいる哺乳類の歯の数を上げてみましたが、結構数がばらついているのがわかります。

  • 豚 44
  • イノシシ 44
  • 犬 42
  • 馬 40
  • 猿 32
  • 牛 32
  • 山羊 32
  • 猫 30
  • コウモリ 30
  • カンガルー 30
  • ウサギ 28
  • 象 26
  • モルモット 20
  • ネズミ 16

参考文献 なるほど現代歯塾 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 医歯薬出版

2007年9月16日 (日)

贅沢な夜

先日の事です。

私の師匠である石川先生が、郡山にいらっしゃるということだったので、同僚で先輩の高原先生が一席設けてくれました。

石川先生は、奥羽大学に用事があるということで、私たちも夜7時半に奥羽大学へ赴きました。

石川先生は、インプラント会社の方と一緒にいらっしゃっていました。その方ともお話がしてみたいと思いましたので、一緒に来てもらうことにしました。

場所は私の歯科医院の隣にある居酒屋。その居酒屋はとにかく料理がおいしいので有名なので、車で来ている先生方には都合がいいだろうと言うことになりました。

その居酒屋では、初対面の高原先生と石川先生の紹介が行われました。

もともと明るい性格の石川先生はすぐに高原先生ともうち解け、場はよい雰囲気になりました。

インプラント会社の方もとても良い方で、いろいろと今の情勢を聞かせてくれました。

そのうち、石川先生が、「ねえ、(インプラント会社の方に向かって) もし良ければCTの解析の図を見せてあげなよ」という話になりました。

会社の方は、急いで車に戻り、自分のPCをもってきました。

石川先生は、この会社のメンター、つまり指導インストラクターなので、居酒屋の席で石川先生の講義が始まりました。

普段なら、お金を払って聞きに行く話を、身近で、質問し放題。こんな天国の様な状況は滅多にありません。

私も、高原先生も夢中で話を聞き入りました。

つくづく、最近の医学は進んでいると感じました。それに、指導的立場の先生方が、我々よりも多くの勉強をしている。差は広がるばかりです。

しかし、患者さんの事を考えれば至極当たり前のことです。これからは、「これは肌にあわない」「難しそう」といった好き嫌いを無くし、全てにチャレンジしていかなくてはならないと思いました。

出来なくても良いと思います。知識さえあれば、患者さんに治療の幅を持たせることが出来ると思いますので。

まだまだ、経験も知識も不足がちです。反省しきり。

でも、贅沢な夜でした。満足。

2007年9月15日 (土)

歯科検診町民に普及を

本日は、読売新聞平成19年9月6日の教育ルネサンスに掲載された記事からです。

大学の地域貢献 歯科検診町民に普及を

北海道に秋の気配が漂い始めた8月24日午前7時、札幌市に隣接する当別町の公民館にお年寄りや親子連れが続々と集まってきた。

夏冬の年2回計8日間実施される町民健康診断。身長や血圧を測る大会議室の一角に、千葉逸朗・北海道医療大学教授(51)(口腔衛生学)の白衣姿もあった。

町では3年前から基本検診のメニューに歯科検診を加えているが、今年から、有料(1500円)の基本検診とは別に500円かかるようになったこともあり、受診者は多くない。

「歯では死なないと思っている人は多い。悪くなってからではなく、ならないように予防する意識を持って欲しいんですが」と千葉教授が苦笑いする。

この日、午前10時の終了までに健康診断を受けた住民約80人のうち、千葉教授に診てもらったのは10人ほど。だが、「歯科医になかなかいけないから」と昨年に続いて訪れた人や、「初めてだけど歯の事が気になっていた」と熱心に質問する人もいた。

北海道医療大学は、当別町に本部がある私立大で、薬、歯、看護福祉、心理科学の4学部を持つ。

「命を扱うのが医者なら、QOL(生活の質)を扱うのが歯科医。食や会話など豊かな生活に歯の健康は欠かせない。だが、歯科診療は、問題を自覚した人の来院を待つ『患者待ち体制』から抜け出せていない」と千葉教授。

歯周病と生活習慣病の関わりも指摘されるだけに、歯の定期健診の必要性を訴え続けてきた。

その提案を受け、大学と町が2003年に始めたのが、町民全員の定期的な歯科健診を目指す「当別町2万人歯の健康プロジェクト」だ。

町民健診の他、かかりつけ歯科医や健診結果を記す「歯の健康手帳」を作って町民に配布。JR石狩当別駅前の空き店舗に「歯の健康プラザ」を設け、大学関係者を講師にした各種の健康講座も開いている。

町民の意識啓発と大学教育への参加を兼ね、学生の実習に協力してくれる模擬患者の養成にも力を入れている。

地道な努力の積み重ねで、現在、歯科検診を受けた町民は約4000人にまで達した。国の健康増進法を受け、町も一昨年、健康目標の4つの柱のひとつに「歯の健康」を盛り込んだ。だが、千葉教授は「2万人にはまだ遠い。プラザで待っているだけでなく、さらに町に入って行かなければ」と気を引き締める。

秋からは、学内の医師や歯科衛生士と共に、育児サークルや老人クラブなどの市民グループや企業を対象に、出前健診や講座を始める。

「地域に貢献しながら地域から学ぶ『キャンパスレス教育』が理想」と大野弘機・歯科部長(64)。

大学との連携について泉亭俊彦町長(70)は「継続した取り組みが充実した成果を生みつつある。大学だから、行政だから、と肩ひじを張るのではなく、自然体で一緒に悩んで成長していければ」と期待する。

町民と試行錯誤を重ねた歯科医療モデルが、北の大地から発信されようとしている。

2007年9月14日 (金)

暇な時は割とにらむ。

今から5年ほど前の事です。

私はある勉強会に参加していました。

その先生はとにかく話が細かいのです。

普通、勉強会での講師の先生は、時間のスケジュールを気にして、省くところは省き、説明をしなければいけないところは、しっかりと説明するというのがスタイルです。

理解できない時は、個人で質問したりするものです。

ところが、この先生はすべてにきちんと時間を掛けて説明してくれます。もちろん時間は押しに押して、2時間延長なんてのは当たり前でした。

その先生が、歯に関するある方法を発見した時の事をはなしてくれました。

まだ、その先生が新人の歯科医師だったころ、毎日遅くまで大学に残って勉強していたらしいのです。

そのときの彼の日課は、技工室に置いてある、目上の先生や巧い先生が削った歯の模型を丹念に眺めることを自分に課していたそうなのです。

「継続は力なり」といいますが、その先生も毎日、毎晩、何百、何千と模型を眺めているうちに、歯の法則というか、発見をした。。。。。。という話でした。

勉強会では、「また、先生の余計な話が始まった」というムードだったのですが、私はその話は非常に衝撃的でした。

趣味でも生活でも、何でもよく観察するというのは非常に大事なんだなと改めて気がつかせてくれたきっかけだったからです。

今でもおつきあいがあるのですが、非常に優秀なA先生も、そういえば、文献でも模型でもじっとにらむように読んだり観察したりする癖があったなと合点がいったのです。

それからは、今でもその癖がぬけません。電化製品の説明書もじっくり読み込みますし、歯科の治療で難しい治療の場合は、口腔内写真とエックス線写真をずっと眺めるようになりました。不思議と解決策や抜け道が見つかる事が多いです。

先日、サージテルという拡大鏡を購入したという話を書きましたが、それも「診る・見る」と言うことの延長なのかもしれません。

いつもぽっかり時間があいたときは、今回の写真の模型をじっとにらみつける様に観察しています。

この模型は、別な勉強会に参加した時に、講師の先生が歯の巧い削り方の見本を模型にし239 てくれたものです。

毎回ため息の連続です。狭い口の中で、よくもこんなに巧く削れるもんだと感心してしまいます。きっと技工士さんも作りやすいし、口の中でも適合性は良いのだとうと思います。

適合が良いと言うことは、虫歯の原因の歯と歯の間の隙間が少ないということですから。

いつか、この先生の様に巧く削れるように、暇なときはにらんでいます。

2007年9月13日 (木)

のどちんこの役割って

本日は、松矢篤三・古郷幹彦両先生の著書「のどちんこの話」からお届けいたします。

「のどちんこ」はなぜあるのか?

人体では「のどちんこ」そのものにはあまり重要な役割はないようです。形態・大きさが様々がさまざまでも、また、なくてもそれによる障害がみられないことから、このように考えてもいいでしょう。

しかし、それでは「のどちんこ」があまりに可哀想なので、その存在価値を論ってみましょう。

「のどちんこ」とは、軟口蓋の先端についた突起です。口蓋垂筋といわれる小さな筋肉が上下に走っており、この筋肉の収縮によって「のどちんこ」は短くなり、弛緩して長くなります。

「あー」と音声を出した時には真ん中でぶらぶらしていますが、口から強く息を吸うときには短く緊張しています。

口から息を吸うときに短くなって口峡を広め、吸気抵抗を減じているのは合目的的で理解できますが、「のどちんこ」がなければ、そのぶんもっと抵抗が少ないはずなので、積極的な「のどちんこ」の存在理由になりません。

「あー」と音声を出すときにぶらぶらして、ときに共振することで音声に変化を与え声音に変化を与え音声の個性をつくっていることがあるかもしれませんが、必然性にある行為とも思えません。

「のどちんこ」に分布する知覚神経は三叉神経咽頭枝で、三叉神経・迷走神経・舌咽神経などが分布する周囲組織と同様に嚥下の誘発点(食塊が触れると嚥下反射を誘発する点)となっていることは理解できますが、「のどちんこ」が嚥下のための特別な受容器ではありません。

一方、「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」の項で述べていますように、いびきや呼吸閉塞の原因のひとつとなっています。

このように「のどちんこ」はポジティブな面で存在しなければならない理由がみつからないのです。

四足歩行哺乳類では「のどちんこ」は咽頭蓋と重なっています。また咽頭はひとに比して高位にあります。このため咀嚼の最中に触感が咽頭口に吸い込まれないように、あるいは食塊やミルクなどの流動物が直接咽頭口に運ばれないように、口腔や食塊や流動物を「のどちんこ」で左右に分離し、そのうえで左右の梨状陥凹に導いていると理解するのが正しいのかもしれません。

人では「のどちんこ」と咽頭蓋が離れており、舌と軟口蓋の進化の過程ではきわめて重要な意義のあった器官なのかもしれません。名誉教授のようなものでしょうか。

参考文献 のどちんこの話 松矢篤三・古郷幹彦共著 医歯薬出版

2007年9月12日 (水)

悩みどころはみな同じ

先週末に品川へ勉強会へ行ってきました。

最近は、早起きして遠出の勉強会へ出席すると、どうも調子がわるいので、前日の夜から会場近くのホテルに宿泊しました。

仕事を終えてからの東京だったので、ホテルについても食事へ出かける気力もなく、そのまますぐに寝てしまいました。

朝は、自宅で寝ていたかの様にぐっすり寝てしまい、かなり調子がいいです。実は私は寝る場所が変わってしまうとなかなか寝ることが出来ないのです。

それが、ぐっすり出ることが出来たので、かなり疲れていたのでしょう。

会場は、宿泊のホテルから歩いて10分程度だったので、10時の開始時間ぎりぎりまで、部屋でくつろいでしまいました。

今回の勉強会は、インプラントで審美治療を行う時の注意事項でした。

インプラントは、骨にインプラントというチタン性のネジを埋入して行くために、丈夫な骨が要求されます。

しかし、審美的要求の高い前歯部は、インプラントを埋入する場所の骨が少なく、またインプラント埋入後に必ず骨が吸収してしまうという欠点があります。

そのため、インプラントをすぐに埋入するのでは無く、埋入前に減少する骨や歯肉を計算して、あらかじめ骨を作る手術を行ったり、歯肉を移植などをしなければならないということでした。

今回講師をしてくれた先生も、それから聴講に来ていた先生方も日々の臨床で同じ悩みを抱えているということがわかりました。そして、この問題には答えがありません。患者さんのお口の中の状況が違うため、今後も一生悩み続けることだと思います。これに対応するには、やはり、歯科医学の基礎的事項をきちんとわきまえ、材料の構造、性質をしっかり頭に入れていなければならないと言うことです。

ルーティンワークの様に、この治療にはこの処置という決まり切った感じではなく、この患者のこの歯はこんな状況で、~~な色だから、この接着剤、この歯は、一度指摘をして見たいから、別の材料、接着剤で・・・・と言うように、歯科医師も流れ作業で治療を仕事をするのではなく、「医療をしているのだ」という初心の気持ちを常に持ち続けなければいけないと言うことです。

ただ、最近は、患者さんも非常に勉強して来院する場合が多くなってきました。患者さんのデンタルIQが向上して行くのは大変すばらしいことです。

患者さんに知識で負けるようでは、この仕事は続けて行くことは出来ないと思います。患者さんのため、そして自分のために今後もしっかり勉強し続けていかなければいけないと感じました。

2007年9月11日 (火)

紹介されました。

先日、拡大鏡のサージテルをこのブログにて紹介しましたが、そのサージテルの公式ブログでも私が紹介されました。

ちょっと照れくさいです。

2007年9月10日 (月)

私の考え

今日のお昼の休み時間の事だったそうです。

私が午後の診療のために診療室へ来たとき、従業員の1人が駆け寄ってきました。

「先生、XXXXXさんから電話がありました。」

「それで、なんだって?」

「今すぐに、私の知り合いの人が歯が痛いから診て欲しい」

従業員は、すぐに対応したらしいのです。

「では、3時から診療が始まりますので、そのとき来てください。予約の患者さんが優先になりますので、すこしお待ちいただく事になります。」

それを聞くや否や、

「なんで、痛いと言っているのに、待たねばならんのだ、今すぐやれ」

「おまえじゃ話にならん。院長をだせ」

従業員が答えます。

「院長は3時になったらきますので」

XXXXXさんは、すぐに怒鳴り散らしたそうです。

「だから、おまえの所はだめなんだ、☆☆☆さんの所の社長も、融通が利かないっていっていたぞ。」

そういって、電話を切ってしまったそうです。

私はその話しを聞いて、とても悲しくなりました。

私は、出来るだけ患者さんを救いたいと努力しています。しかし、それには限界があります。

医療はマンパワーです。

従業員も私も人間です。そのため、機械のように働き続けることはできません。

良い医療を提供するために、昼は休養が必要なのです。

それと、私たちの仕事はピザの宅配の様にてきぱきとスピードを上げて仕事をする訳にはいきません。(宅配ピザのみなさん、例えに上げてすいません)

患者さん、1人1人に十分な説明と治療を施さねばなりません。

また、予約制を採っている他の医療機関も同じと思いますが、仕事や家事をやりくりして予約を取り、診療に通って来てくださる患者さんを優先するのは当たり前だと思うのです。

本音は誰でも、「今すぐ、私を最初に治療して」と思っているはずです。でもそれを口にせず、痛い所を我慢して順番待ちをしてくれる患者さんに敬意を表したいのです。

私は、身内の診療や友人の診療も予約を取ってもらっています。開業当初は夜や休日に行ったこともありましたが、今はもうやめています。せっかく予約をとって来ていただいている患者さんに申し訳ないからです。

今後も私は今の気持ちを変えるつもりはありません。ご了承いただければとてもうれしいです。

私たちは、ただ粛々と毎日を丁寧に過ごすだけです。

ハワイのお大師さま

前回に引き続き、3回目です。今回も高野山大学教授 村上先生のお話です。

ハワイの御大師さま

1月の25日から1週間、ハワイ州の島々にある真言宗寺院を視察しました。2日目にはハワイ島キラウエラ火山を経由してナーレフ村の大師堂を訪ねました。

車から降り立ったとき、いきなり眼に飛び込んできたのは、大師堂の屋根が半分なくなっている光景でした。

お堂と言っても、40~50人は入れる大きさであり、側に少し小さな建物が付属しています。

私たちが来ることは連絡してあったので、すでに15、16名の日系二、三世の信者の方々が集まっておられました。

全てご高齢の方達であり、女性に交じって数名の男性がおられました。歓迎のレイを首に掛けていただき、堂の入り口に置かれた机に本堂の弘法大師像が祀られていました。般若心経を通読し供養した後で、破壊されたお堂についてお話を伺いました。

それによると、台風と地震によって屋根が落ちたので、寄付をいただき修理しようとしたが、シロアリなどの被害もあり、お堂を取り壊し、寄金を募って再建するしかないということでした。

この村に住む日系の人々にとって、大師堂の祀られている弘法大師の存在は、日系移民百年の歴史の中で、過酷な労働に耐えさせ、心の安らぎを与えてくれた唯一のよりどころで合ったのです。

しかし、雨水に汚された大師像は、側の建物に安置され、もはやご供養することが出来ない。信者の方々からこの大師像をしばらくホノムのお寺に遷してほしいと頼まれ、私たちは、大師像をもってホノムのお寺に向かうことにしました。

別れの挨拶を交わし、車に乗りながら、日系の人たちの人生をさせた大師信仰の力をひしひしと感じていました。それをあらためて思ったとき、突然、目頭が熱くなり、別れの言葉を飲み込みました。涙を見せまいと歯を食いしばり、ただ手だけを振っていました。

参考文献 3月15日発行 日歯広報ラインマーカーより

2007年9月 9日 (日)

口は幸福の究極の概念

本日は、メデントインスティテュード代表の伊藤正夫先生の著書からお届けいたします。

口は幸福の究極の概念をつくる

そもそも口は、人の幸福感ときわめて密接な関係を持っています。

口の機能がうまく働かないと、人は幸せを感じられなくなります。これは人の発達段階の一番初期の体験と結びついています。

オーストリアに有名な心理学者ジークムント・フロイトは、性的発達段階のひとつとして、口唇期というものを提唱しています。これは、授乳期にあたりますが、人の性格を形成する上で強い影響をもたらす時期です。

赤ちゃんは生まれてから、お母さんの乳房に吸い付くことによってのみ、生きることが出来るわけです。お乳が唯一の生活の糧です。

そのため、乳房に吸い付くことは、生存に欠くことの出来ない行為なわけです。赤ちゃんはこれでしか生きていけないということを感覚で感じ取っているわけです。

ところで、赤ちゃんはお乳を吸うときに、私たちがストローで何かを吸い取るように吸っているわけではありません。まずお母さんの乳房を口いっぱいにほおばります。そして乳房を舌で口蓋(口の天井)にぎゅっと吸い付ける、いわゆる吸綴(きゅうてつ)行動を起こします。これはとても強い吸引力です。

この時、赤ちゃんはまだ歯が生えていませんから、顎の土手、唇、ほっぺたと、口の全部の機能をつかっています。こうした行動によってお乳が口の中に流れ込み、飲むことが出来ます。

赤ちゃんは(ということはつまり人は)この時の感覚を覚えているのです。こうして口のすべてを使ってお乳を吸い、自分は生きていることが出来るという感覚、幸福の原始的な概念が構築されるわけです。

ところで、大人には、様々な幸福の概念があります。「幸福とは」と聞かれてば、人によって答えが違います。

しかし、幸福というものの核は、生後3ヶ月の間に決まっているのです。基本概念は赤ちゃんの頭の中に形成されているのです。

つまり、お母さんのお乳を飲む幸福感です。これは口という器官を通じて、情報が赤ちゃんの頭に入っているわけです。これによって口が、人にとっては死ぬまで幸福と密接な関係を持つことになるのです。

たとえば、幸福の瞬間といえば、恋人同士のキスがあります。これはお互いの幸福の感覚、すなわち生まれて以来慣れ親しんだ口の接触感覚を交換するという行為です。

歳をとったら、食べることだけが楽しみという人が多くなりますが、お年寄りは腹一杯食べたいからうれしいわけではありません。味わいやのどごしを味わいたい、そこに幸福を感じるのです。

これも赤ちゃんの時に確立した幸福感の延長線上にあるのです。

この口の機能に障害を受けると、幸福を感じられなくなります。幸福感が遠のいてしまうのです。

歯科医に、「この歯は抜きましょう」と言われただけで、人は大変に寂しい気持ちを抱きますが、これはたった1本の歯にせよ、自分の幸福の一部をはぎ取られるような感じがするからです。

口は、心臓などと較べれば生命の維持そのものには大きな役割を果たすわけではありません。栄養を体内に入れるという点だけならば、いろいろな方法があります。

しかし、、口は人が生きる目的である「幸福」と非常に密接な関係を持っています。口は幸福を感ずることが出来る器官だということが重要なのです。

参考文献 高度歯科医療最前線 監修 伊藤正夫 経済界

2007年9月 8日 (土)

噛み合わせによる不定愁訴

本日は、日本デンタルコンシェルジュ協会 佐伯健太郎先生の著書からお届けいたします。

噛み合わせの異常から不定愁訴が起きている

内科に外科、皮膚科、耳鼻咽頭科、婦人科、泌尿器科・・・・・。身体の不調を訴えて、毎日多くの人が病院を訪れます。中高年にもなると誰でもひとつやふたつ持病を抱えており、3人あつまれば病気自慢が始まる事も少なくありません。

血圧が高ければ高血圧、胃に潰瘍があれば胃潰瘍、血液検査の結果から肝臓の疾患が分かったり、心電図から心臓の病気が見つかったりしますが、これらの病気の原因はある程度はっきりしています。

中には、治療の難しいものもありますが、ほとんどの病気にはそれに見合った治療法があり、症状を緩和する方法があります。

一方で、どこといって悪いところも見あたらないのに、何となく身体がだるい、体調が良くないという人も多くいます。あちこちの医療機関を回って検査を受けてもなんの異常も見つからない。本人はとても辛いのに医者からは気のせいだと言われてしまう。そのような病名のつかない症状は、一般に不定愁訴と呼ばれます。

頭痛や腰痛、便秘や手足のしびれなど、不定愁訴は日常生活にあまり支障のないものから動けなくなるほどの重度のものまで数多くあります。

しかし、、多くの人が慢性的に苦しんでいるにもかかわらず、「誰にでもあること」「しばらく我慢すればおさまる」と考え、長年放置している場合がほとんどです。

このような不定愁訴と呼ばれる症状の原因は、意外なことにあなたの口の中にあるのかもしれません。

あなたの噛み合わせは正常ですか?

噛み合わせのほんの小さな不具合は身体のあらゆる場所に悪影響を与え、驚くほど様々な全身の症状となって現れます。

そしてこれらの不定愁訴をそのままにしておくと、一生つきあうことにもなりかねない慢性病の原因となる可能性もあるのです。

参考文献 元気で生きるために 噛み合わせが教える健康の秘訣  日本デンタルコンシェルジュ協会 佐伯健太郎

2007年9月 7日 (金)

術野拡大加速!

先日の東北デンタルショーにて、下見をし、私の医院にまで説明に来てもらった拡大鏡のサージテルがついに届きました。

本当は、サージテル以外にも多くの良いメーカーがあって、いくつもためしたのですが、どうも私にはしっくりこなくて、慣れているサージテルを選択しました。

私、サージテル歴は結構長くて、7~8年は仕様しています。以前購入した時は、在籍していた大学で購入しました。最初は一番拡大率が大きい2.5倍を購入しました。

それでも、目を慣らすのにはだいぶ時間がかかりました。

先日は書き忘れましたが、デンタルショーで私の相手をしてくれた担当の方は、なんと、以前購入した時と同じ方でした。

私も歳をとり、自分の目に自身が無くなってくると、狭い口の中で精密な作業をする場合は、逆に拡大鏡の様な補助装置を用いて仕事をするほうが遙かに楽で、自分に自身がもてます。

今回購入したのは、サージテルの中で最大倍率の7倍です。

いままでの2.5倍は一般診療、7倍は手術、根の治療に使い分けていきたいと思います。238

患者さんに良い治療を提供するには、自分にも少しは資本を投資してもいかな。なんてね。

2007年9月 6日 (木)

20%以上!

厚生労働省が実施した「2005年歯科疾患実態調査」によると、80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合が21.1%となり、1987年の調査開始以来、初めて20%を越えました。

厚生労働省では、日本歯科医師会とともに各団体・企業に協力を呼びかけ、2000年12月に「財団法人8020推進財団」を設立。

“80歳で20本以上の歯を保とう”という主旨の『8020(ハチマルニイマル)運動』を推進しています。

この運動では、「2010年の時点で、80歳で自分の歯が20本以上ある人に割合が20%以上」という数値目標を揚げていましたが、これを5年はやく達成出来たことになります。

歯科疾患実態調査は、6年ごとに実施されており、1999年の前回調査時には、80~84歳で、自分の歯が20本以上ある人の割合は13%という結果。

6年の間に8.1%も成績がアップしたことになります。また、1人平均の歯の本数も全体的に増加傾向にあり、80歳の平均は約10本です。

厚生労働省では、国民の歯科保険に対する関心が高まったことや、なるべく歯を残そうとする保存的治療が広まっていることがこれらの結果の理由とみています。

親不知をのぞく28本のうち、自分の歯が」20本あれば、ほとんどの食物をかみ砕いて、おいしく食事が出来ます。

80歳になっても、おいしく食事をして欲しいという願いから掲げられた「8020」という数字。高齢になっても明るく豊かに生きるため、「80歳で20本以上」を目標に、しっかりと歯をケアして生きたいですね。

参考文献 歯と歯磨きを科学するデンタルマガジン 朝昼晩19号 日本歯科医師会

2007年9月 5日 (水)

アンケート結果

昨晩、テレビを見ていたら、「巣鴨のお年寄りに聞いた、入れ歯で食べづらい食べ物は?」というアンケートを発表していました。

早速ソファーから飛び起きて、メモ片手にそのテレビにかじりつきました。

結果は以下のとおり。

  1. せんべい
  2. ガム
  3. キャラメル
  4. イカ・タコ
  5. たくあん
  6. ゴボウ
  7. ごま
  8. トウモロコシ

以上です。歯が健康な方には「?」のつく食べ物ばかりなのですが、入れ歯はもともと、口の中に固定されている物ではなくて、ただ「置いてある」ものです。

そのため、歯ぎしりや咀嚼をすると入れ歯はずれます。そのずれが歯肉に潰瘍を作り、痛みが出るのです。

繊細な歯肉に乗っているだけの入れ歯ですから、たくあんのようなものを噛み締めると、合っていない入れ歯は転覆し、ゴマやせんべいのような細かい食べ物は入れ歯と歯肉の隙間に入り込みます。吸着のあるキャラメルなんかは、入れ歯がはずれますし、トウモロコシなどは、かじると口から飛び出す可能性もあります。

入れ歯は、人工臓器です。義足や義眼のようにリハビリや慣れを必要とし、大変苦労します。入れ歯にならないような生活を心がけ、また入れ歯になってしまった場合は、入れ歯の定期検診をしっかり行い、汚れや歯肉に合っていない場合は調節が必要です。

また、入れ歯が嫌だったり、生理的に合わない方はインプラントにするしかありません。お金も苦労もたくさんかかります。

日々の歯磨きの試行に励みましょう。

2007年9月 4日 (火)

東北デンタルショー

先週末は、早起きして、仙台で開催されている「東北デンタルショー」を見てきました。

デンタルショーに行くのは何年ぶりだろう?

開業前と開業してすぐのデンタルショーは頻繁に参加しました。東京、横浜、仙台と。

今回のデンタルショーは、必要に迫られての参加です。

私の歯科医院もすでに新規の歯科医院と言うわけではなく、もう中堅どころになっていますので、備品や新しい医療器具の投資を考えなくてはならない時期でもあるのです。

前回、仙台のデンタルショーは、うちの設計を担当してくれた大木さんと参加したのですが、そのときは、道に迷った記憶があったので、今回は、ナビのついている母の車を借りて出発しました。

いとも簡単にあっさりと会場入り。前回の苦労はなんだったのかとうほど楽に到着。結局ナビも全く使いませんでした。

今回のデンタルショーのねらいは、顕微鏡、拡大鏡、技工用具、CTスキャン、文献です。

前回のデンタルショーと気分が違うのは、開業に必要な機材、材料が揃っているので、「全部見てやる」という気分ではないと言うことです。

考えてみれば、歯科医院をひとつ作るにも、多くの材料メーカー、人材が必要だなと改めて感じます。すごいエネルギーです。

まず、最初に訪れたのは拡大鏡。頭にヘッドバンドやメガネタイプの物をつけて、歯を診ます。

今でも拡大鏡を使っているのですが、もう10年以上使っていることと、すこし今の倍率に慣れてしまって、もう少し拡大率引き上げたいと思ったからです。

拡大鏡のブースでは、奇跡的に人混みがありませんでした。いつも混み合っているというイメージがあったので、今回はほんとにラッキー。

もともと、このために貯金をしていたので、今回はいろいろと拡大鏡に倍率を確認して、後日歯科医院へ来てもらい、調節して購入する事にしました。

かなり、拡大鏡に満足してしまったので、今回は顕微鏡はパス。

次は、技工機材の方へ向かいました。徐々に、私の歯科医院で出来る技工物を増やしていこうと思っているので、その下見。

ブースの担当の方にいろいろと説明をしてもらったのですが、やはり技工の専門の事はすこし私には難しい。次回は技工士さんも来てもらおうとおもいました。

継ぎに、文献を探しに行きました。

東北では、なかなか歯科の文献が豊富に揃っている本屋がすくないので、デンタルショーはまとめて本が探せるので、本当に便利。今回もいくつかのブースを回って、結構多くの歯科に関する本と購入することが出来ました。

本は重いので、後日、私が付き合いのある材料屋さんに持ってきてもらうことにしました。これも便利なシステムだなと思います。

最後に、歯科用CT。今後インプラントや原因不明の難病がこのCTにより多く救われると思います。本気で欲しいと熱望しまたが、熱意だけでは、この目のくらむ金額は生まれないので、泣く泣く断念。でも、今後の歯科の可能性は大いに感じました。

帰りは折角の仙台。福島にはないスウィーツに舌鼓を打ちつつ、帰りの帰路に就きました。

2007年9月 3日 (月)

食卓はしつけの宝庫

本日は、大脳生理学者で、京都大学名誉教授でいらっしゃる大島清先生のエッセイのご紹介です。

食卓はしつけの宝庫-弧食から幸せな子供は育たない-

かつての「日本の食卓」には、子供の精神形成に必要なことを学ぶ機械がたくさんありました。

「いただきます」などの挨拶の徹底は生活全体のけじめをつけ、食事前後の手伝いは、責任感や自主性を身につける効果があったはず。

食卓の会話は「なぜ冬はこの野菜をたべるのか?」「なぜ良く咬んだ方がいいのか?」などを教える場でもあり、それによって子供は自然に親を敬うことが出来ました。

すこし堅苦しいと思っても、おいしい物を食べる食卓だからこそワイワイ子供も楽しく学べたのです。

食卓の役割が薄れた現在ですが、たとえ親子2人であっても、家族が揃うことは重要です。様々な話をしながらしっかり味わうことは、一生を通じて脳に刻み込まれるもの。食事の時間が豊かなものであるほど、その後の人生も豊かになるといっていいでしょう。

何気ない食卓の会話から子供が学べる事は山ほどあるのです。

1人で食事をとる「弧食」には、そういった健全な学びがまったくありません。偏食で体調不良になるばかりか、深い情緒が育たず、理性のきかない大人になってしまいます。子供の幸せを願うなら、何よりも本来の食卓を取り戻すことです。家族が集まって一定の時間を過ごすだけでも、貴重なしつけのチャンスと考えてください。

2007年9月 2日 (日)

呼吸も噛み合わせの異常を引き起こす

本日は、日本デンタルコンシェルジュ協会の佐伯健太郎先生の著書「噛み合わせが教える健康の秘訣」からお届けいたします。

呼吸も噛み合わせの異常を引き起こす

歯は食事をするときに使うものと思われています。

食べ物を咀嚼するのは1日に1時間程度。しかし、呼吸は24時間休みなく続けなくてはなりません。

歯の噛み合わせの異常を考える場合、呼吸が歯に与える影響を無視することはできません。患者さんに、いつ噛み合わせのトラブルに気がついたかという統計をとったところ、朝の時間帯に起こったという答えが圧倒的多数を占めていました。

つまり、噛み合わせの異常は、睡眠時間の呼吸行動からも引き起こされているのです。

人が眠りにつくとき、全身の筋肉が弛んでリラックスした状態になりますが、顎の筋肉も例外ではありません。

仰向けに寝た場合、下顎と舌が下の方に落ちるために気道が狭くなり、呼吸がしづらくなってしまいます。そこで無意識のうちに落ち込んだ下顎を前方に出して気道を開き、鼻呼吸をします。そのときの噛み合わせは、下顎が落ちないように下の中切歯(真ん中の歯)の前に出す、受け口のような状態になっています。この状態を「下顎前方位」と言います。

しかし、左右の歯の高さが違ったり、歯並びが悪いために噛み合わせに問題があると、うまく噛み合うことができません。そのような場合、気道を確保するために、下顎を左右や斜めにずらして前に出し、無理に噛み合わせたりします。

ずらした顎を固定しようと横向きに寝ると、顎はさらにずれてゆがんで行きます。下顎を前方に出す途中に高い歯があれば、歯ぎしりでその歯を削って顎を前にだそうとします。就寝中、毎日このようなことが繰り返されたら、顎がゆがむだけでなく、歯も傾いたり、削られたりして噛み合わせの異常がますます進み、やがては背骨も歪んで身体全体のトラブルにつながります。

また、噛み合わせの異常によって睡眠中に十分に呼吸が出来ないと、血液中の酸素が不足し身体に大きな影響が現れます。特に大量の酸素を必要としている脳は、呼吸障害によって機能低下や機能不全、場合によっては意識障害や認知症などの症状を起こしかねません。

参考文献 元気で生きるために 噛み合わせが教える健康の秘訣 佐伯健太郎著 メディア・ポート

2007年9月 1日 (土)

大人の歯ぎしり

本日は、福島県歯科医師会が発行している「歯っぴいライフ・歯っぴいトーク vol2」よりお届けいたします。

大人のはぎしり-歯や組織にダメージ-

「乳歯が生えてきた頃に子供がよく歯ぎしりをするのですが、大丈夫でしょうか」というご相談を受けることがありますが、それによって、乳歯のかみ合わせが良くなる場合があるので心配ありません。

しかし、大人の歯ぎしりは危険です。眠っている間の歯ぎしりや、緊張してるときの歯のかみ締めは、ほとんどの人に見られますが、本人が自覚していない場合が多く、特別な精神的ストレスや緊張のために、その頻度や程度がひどくなるといわれています。

これらは無意識の癖であり、この癖のときには、思いっきり強い力でかみ続けた時の何倍もの強い力が歯にかかります。この力の結果、歯やその周りの組織がさまざまなダメージを受けます。たとえば、

  • 歯の咬耗
  • 知覚過敏
  • 歯質の破壊(代表的なものとしては根元の歯質がくさび状に欠損する)
  • 歯の破折
  • 歯根吸収

などです。

さらに細菌のかたまりからできたプラークが溜まって歯肉に炎症が起こっている時は危険です。歯ぎしりと歯肉の炎症が一緒になると、歯を支えている周りの組織破壊が急速に進み、歯をだめにしてしまうのです。特に、歯並びの悪い人、歯が抜けてそのままに放置している人は、より破壊されやすくなります。

歯にたいする影響のみならず、咀嚼筋などの顔面の筋肉や、頭を支える首や肩の筋肉に痛みが出ることもすくなくありません。さらに顎の関節に問題を起こす場合もあります。