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2007年9月13日 (木)

のどちんこの役割って

本日は、松矢篤三・古郷幹彦両先生の著書「のどちんこの話」からお届けいたします。

「のどちんこ」はなぜあるのか?

人体では「のどちんこ」そのものにはあまり重要な役割はないようです。形態・大きさが様々がさまざまでも、また、なくてもそれによる障害がみられないことから、このように考えてもいいでしょう。

しかし、それでは「のどちんこ」があまりに可哀想なので、その存在価値を論ってみましょう。

「のどちんこ」とは、軟口蓋の先端についた突起です。口蓋垂筋といわれる小さな筋肉が上下に走っており、この筋肉の収縮によって「のどちんこ」は短くなり、弛緩して長くなります。

「あー」と音声を出した時には真ん中でぶらぶらしていますが、口から強く息を吸うときには短く緊張しています。

口から息を吸うときに短くなって口峡を広め、吸気抵抗を減じているのは合目的的で理解できますが、「のどちんこ」がなければ、そのぶんもっと抵抗が少ないはずなので、積極的な「のどちんこ」の存在理由になりません。

「あー」と音声を出すときにぶらぶらして、ときに共振することで音声に変化を与え声音に変化を与え音声の個性をつくっていることがあるかもしれませんが、必然性にある行為とも思えません。

「のどちんこ」に分布する知覚神経は三叉神経咽頭枝で、三叉神経・迷走神経・舌咽神経などが分布する周囲組織と同様に嚥下の誘発点(食塊が触れると嚥下反射を誘発する点)となっていることは理解できますが、「のどちんこ」が嚥下のための特別な受容器ではありません。

一方、「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」の項で述べていますように、いびきや呼吸閉塞の原因のひとつとなっています。

このように「のどちんこ」はポジティブな面で存在しなければならない理由がみつからないのです。

四足歩行哺乳類では「のどちんこ」は咽頭蓋と重なっています。また咽頭はひとに比して高位にあります。このため咀嚼の最中に触感が咽頭口に吸い込まれないように、あるいは食塊やミルクなどの流動物が直接咽頭口に運ばれないように、口腔や食塊や流動物を「のどちんこ」で左右に分離し、そのうえで左右の梨状陥凹に導いていると理解するのが正しいのかもしれません。

人では「のどちんこ」と咽頭蓋が離れており、舌と軟口蓋の進化の過程ではきわめて重要な意義のあった器官なのかもしれません。名誉教授のようなものでしょうか。

参考文献 のどちんこの話 松矢篤三・古郷幹彦共著 医歯薬出版

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