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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
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2006年9月30日 (土)

ユニクロの診療4

前日からの続きです。

今回参加した勉強会は、インプラントの勉強会なのです。

インプラントと言うのは、人工歯根のことです。

どんなものか、簡単に説明すると、歯が何らかの事故や虫歯、歯周病にて欠損(抜けてしまった)してしまった場合、通常なら、入れ歯やブリッジといった補綴処置(掛けた部分を補う処置)を行うのですが、体質的に入れ歯が難しい患者さん、入れ歯を口の中に入れておくと、嘔吐反射や異物感が強すぎて、とても入れていられない方、またまだ年が若いために、歯を削らずに歯を元通りに固定したい患者さんといった方に適応です。

具体的にインプラントとは、骨にチタン性のネジを埋め込みます。

インプラントの発見は、スウェーデンのブローネマルク博士が、犬の顎骨にチタン性のネジを埋入して、経過を見る実験をしていました。

その骨とチタンがどの様な反応を示すかを見るために、ネジを犬の顎骨から外そうとしました。ところが、チタン性のネジは犬の顎骨から外すことが出来ませんでした。

チタン性のネジが骨とがっちりくっついて、離れなくなってしまったのです。

この骨とチタンはくっつくという性質を利用して、インプラントは誕生しました。

私が大学に所属していた頃は、大学の授業に本格的なインプラントの授業は有りませんでした。仕組みを説明する程度です。

そのため、インプラントは卒業してから自力で勉強する必要がありました。

私は、インプラントと入れ歯を専門に行う医局に入局したために、インプラント漬けの生活を送りました。

当時のインプラントは、まだまだ部品の数が多く、専門の知識と経験が必要といわれていました。多くの部品と仕組みを頭にたたき込み、手術の度に手術器具の分解清掃を飽きることなく繰り替えしました。

また、インプラントは、骨にネジを埋め込むという、本来なら死ぬまで触れることの無い「骨」を人間が触れるわけですから、絶対的な無菌状態を要求されます。

きちんと手順を踏んでしっかりインプラントが埋めたのにもかかわらず、失敗することがあります。色々な原因が考えられますがその中のひとつに、完全な滅菌状態を手術中に保つことが出来なかったという事が考えられます。本当にこの無菌状態を作り出すと言うことが大変なのです。

私は開業する時に、大学の様な環境で手術を行った方が、経済的にも精神的にも楽と言う意味で、完全滅菌が可能な手術室を作ってしまったほどです。

もちろん、患者さんの方にも責任は重大です。歯医者任せにして口腔内の清掃を怠ってしまうと、口の中のばい菌がせっかくよい状態で入れたインプラントを駄目にしてしまう恐れがあります。

そのインプラントなのですが、現在星の数ほど存在いたします。どのインプラントが一番自分に合っているかは、実際に使ってみなければわかないのです。

私は、いくつものインプラントの講習を受けて、色々確かめてみました。そして、やっと自分に合ったインプラントを見つける事ができました。それが、今回講習を受けたインプラントだったのです。

実は、この講習を受けるのは2度目です。

自分にあうインプラントを探す過程で1度講習を受けています。なぜこのインプラントを選択したかと言えば、私が大学で使用していたインプラントの会社が同じであるため、道具になじみがあると言うこと。道具がかなり改良されているため、以前ほど煩雑では無くなったということ。そして何より重要なのは、多くの論文が出ているので、歯科医学的に認知されている材料だと言うことです。

また、インプラント自体の性能が上がっているため、以前ほど大変では無くなってきていると言う点です。

部品の数も以前の10分の1程度ですし、コストもかなり下がっています。手間とコストがかからないと言うのがかなり重要なのです。

それは、患者さんの治療費の削減になるのです。

今回このインプラントの講師を務めて頂いている先生は、非常に良い先生で、こんな事を私に言ってくれました。

「以前のインプラントは、手間と過程が煩雑で、その反動がすべて患者さんの治療費に跳ね返ってきてきていました。しかし、すべての人が受けられる治療でなければ意味がありません。ベンツの様な限られた人の治療ではなく、ユニクロの様な、誰でも手軽に受けられる治療でなければいけないよ。」

私は、この言葉に目から鱗がでる思いでした。

しかし、いかに道具が良くても、インプラントは難しい治療であることには変わりはありません。

まだまだ誰にでも受けられる治療と言うのには、まだまだ時間が掛かるでしょう。

しかし、治療費に関して言えば、患者さんも少し頑張れば手が届くようにはなってきていると思います。

この勉強会はあと4回あります。

以前勉強していたインプラントを再び勉強し直すのはとても楽しいです。

早く患者さんに還元したいと思っています。

2006年9月29日 (金)

ユニクロの診療3

昨日の続きです。

電車の予定では、勉強会開始までまだ1時間余裕があるはずだからとたかをくくっていたのですが、実際は、時間をつぶせる場所がないようなのです。

でも考えを変えました。

もしかしたら、勉強会の会場がとても遠距離にある可能性もまだ捨てきれないので、ゆっくり散歩でもしながら探そうと思いました。

しかし、当日はとても天気が良くて、散歩していてもとても気持ちが良い。

一歩一歩、歩を確認しながら歩く散歩は、何と健康的なのでしょう。

先週あった出来事を頭の中で、良いこと、悪いこと含めて反芻しながら反省することができました。

悪かったことは、その原因を考え、良かったことは、なぜ良かったかを考え、もっと改善することは無かったのか等、少し哲学的になったのが笑えますが。

そんなことを考えながら、最初の角を曲がり、信号を2つ越え、突き当たりを右に曲がり2~3分歩くと目的地の会場が見えました。

所要時間15分。時間はまだたっぷりありますので、一度来た道を戻りました。少し周辺を散歩して見ようと思ってのです。なんて言ってもまだ45分もありますので。

日曜の朝9時なので、まだ喫茶店もお店もすべて閉まっています。

しばらく歩くと100メートル先にコンビニエンスストアを発見しました。ちょっと嬉しいやら、ほっとするやら。

コンビニエンスストアに着くと、目的は時間をつぶすことですから、雑誌のコーナーで立ち読みをしようと思いました。しかし、漫画をあまり読まないので、立ち読みに飽きてしまいました。そそくさと、早めに勉強会会場へ行こうと決意。

勉強会では、休憩が取れないことが多く、喉が渇くことが多いため、いつも飲み物を持参することにしています。

今回もご多分に漏れず、用意しようと思い、お茶のペットボトルを購入しました。

そのまま、勉強会会場へ。今回の会場はあゆ料理専門店の割烹店です。

昼食を期待しつつ、会場の3階へ。

やっぱりの1番乗り。少し微笑みました。

「先生、ご苦労様です。お時間まで少しお待ち下さい」

私の担当の材料屋さんk君。

「これ、良かったらお飲みください。」

差し出されたのは、先ほど私が購入したものと全くお茶のペットボトルでした(汗!)

明日に続きます。

2006年9月28日 (木)

ユニクロの診療2

前日からの続きです。

私の今回の勉強会の最終目的地は栃木県烏丸山。

前日の夜に妻に電車の乗り継ぎを調べてもらいました。そこで分かったことは、宇都宮から出る烏山線という電車は1時間に1本しかないと言うこと。

そのために、その烏山線に標準を合わせなければなりません。

勉強会が始まるのが、朝の10時。

そのためには、8時5分発烏山線への搭乗が必須になります。1時間後の便に乗れば、どうしても10時5分着になってしまうのです。

そのため、8時5分発の東北本線・烏山線に決めました。そのためには、7時35分頃に宇都宮へ着く新幹線しかありません。

その新幹線の出発時刻が6時51分。自宅から最寄り駅まで、車ですいていれば約10分、渋滞気味だとかなりの時間が掛かります。そのため、6時30分に家を出発することにしました。

もちろん時間的に朝食を食べる時間が無くなってしまったので、妻がおにぎりを用意しておいてくれました。

駅までの車中、つい妻とのおしゃべりが盛り上がってしまい、ゆっくり運転。気が付けば6時45分。急いで新幹線に飛び乗りました。

新幹線での宇都宮までの旅は快適でした。少し早起きだったためか、読書中に寝てしまいました。

宇都宮へは早々に到着したので、コーヒーを飲みながら東北本線・烏山線の乗車ホームで時間まで読書をすることにしたのです。

しかし、幾ら待っても電車の到着した感じが無いのです。遅いなとイライラしながらホームの先を見ると、何と電車がいるではないですか!!

なんと2両の小さな電車だったのです。電車はとうに到着していたらしく既に乗車している人が多くいました。

烏山線が出発すると、中には地元の高校生が多く乗っていました。日曜日なのに、学校に通っているなんて、感心だなと思います。受験勉強でもするのでしょうか?それにしてはみなにぎやかにしています。

いまは、こんなに緊張感が無いものなのかと再認識。余裕があります。今の高校生には。

しかし、それとは逆に私の緊張はどんどん上がって行きました。

電車の外の風景が山の方、山の方へと向かっていくのです。言葉は悪いですが、狐や熊が出そうです。

駅も寂しそうで、少し心配に。

どの駅かは忘れましたが、高校生が一度に下車してしまうと、電車の中はがらんとしてしまい、ほとんど乗客はいなくなってしまいました。

「俺、電車間違えてないよな~、これから最新の勉強をしに行くのに、今向かっているのは山奥だしな~。」

何度も、勉強会のパンフレットの住所と路線図の確認をしました。

約50分の乗車後、電車は烏山駅に到着しました。

勉強会は10時からです。今は8時55分。1時間も時間があるから、何処かのファミレスかマクドナルドで朝の朝食でも食べようかなというもくろみは見事に外れ、そこには交通量が少なく、地元の人もあまり歩いていない、寂しい町並みが広がっていました。

「どこで、時間をつぶせばいいんだろう。1時間も」

明日へ続きます。

2006年9月27日 (水)

ユニクロの診療1

先週の連休のことです。

私は、朝の5時に起床し、出発の準備を整えていました。今回の勉強会は非常に思い入れが強く、絶対遅刻はしてはいけないと思っていたからです。

場所は、栃木県烏山。もちろん初めての場所です。

当初はこの勉強会に参加すべきか非常に迷っていました。同日に大学の医局総会が有ったからです。

私は大学の医局を離れてから、必ずこの医局の総会に出席していました。全国に散らばった先輩や学友に出会えるのはもちろん、母校の現状を知り、母校の雰囲気・空気を吸えるからです。

ただ、前回も今回出席した勉強会と重なってしまい、このままじゃ一生参加できないと思い、前回は医局総会、今回は勉強会と割り切ることにしました。

始めは、栃木県という近県であるということと、未知の場所へロングドライブがしてみたいという気持ちがあったために、車で行く予定をしていました。

そのため、事前に書店に行き、地図をみて検討しました。しかし、今回は、どうしても頭の中にイメージがわかないのです。いつもは勉強会の前は行く場所のイメージがわくのですが、今回はどうしてもわいてきません。

そのため、今回はあえて電車を使っていこうと決断いたしました。

続きは明日。

2006年9月26日 (火)

機材もお疲れぎみ

秋風が目立つようになってきて、だんだん夏の疲れが出てきているようです。

この季節になると、患者さんの症状も夏の頃とは多少様変わりしてきます。

しろくま歯科医院だけかもしれないのですが、歯肉が腫れて痛みが出てくる患者さんが多いのです。

夏に無理したツケが歯にも及んでいるのでしょうか?

開業して3年半は経過しましたが、この傾向は全くかわりません。

誰か知っている先生がいれば教えて欲しいです。

疲れが溜まっているのは、人間だけでは無いようです。

先ほど3年半経過したといっていましたが、そのツケが機材にも及んでいるのがはっきり分かります。

いつも問題を起こす機材と言うのは決まっているのですが、最近では他の機材も機嫌が悪い。

エンジンやタービンと言われる歯を削る機械も調子悪いのです。

歯は削る際に高熱が発生します。この高熱は神経や歯質を壊死させてしまうため、歯を切削する際には注水しながら行うのです。

しかし、最近水の出がわるい。以前なら軽くフットペダルを押しただけでも注水が開始されたのですが、最近は、切削中に注水が止まったりします。あわてて歯から離します。

今日の午後にメーカーの方がメインテナンスに来てくれるというので、これで機嫌がなおってくれればいいのですが。

2006年9月25日 (月)

喫煙はお金がかかる

9月19日のyahoo!ニュースにこんな記事が出ていました。

“喫煙は歯の健康に影響 宮城県国保連調査”

「煙草を吸う人は歯の治療代も高く付く」

宮城県国民健康保険団体連合会が、県内の歯科医療機関で受診した50歳以上の患者についてデータ分析したところ、こんな結果が明らかになりました。

煙草は歯周病の危険因子と見られており、医療費の負担増大も招く傾向が浮かび上がりました。

調査には県歯科医師会が協力。2005年7月のデータを基に、東北大学大学院の歯学研究科と医学系研究科が歯科医療費と喫煙習慣、保有指数の関連性を分析しました。

対象者のうち、喫煙者は6093人、非喫煙者は2万5206人(249名は不明)。分析結果によると、医療費は非喫煙者の1万5015円に対し、喫煙者は1万7059円と約2000円上回りました。

歯数と喫煙の関係に一定の傾向は確認されなかったが、0~19本(残存歯数?)場合は、医療費が1万6000円前後で、20本以上は1万4479円と、歯数と治療代の関連性は高いことが分かりました。

このデータから言えることは、おそらく喫煙者は歯周病の罹患率が非常に高いために、歯の欠損および脱落、抜歯等が多いため、その部位を覆う義歯、ブリッジ等の処置代がかさむのではないのかと思います。

煙草自体が精神衛生上、大変よろしいという方も確かにいるので、絶対禁煙とはいえないですが、その代償は咬合不全、消化不良、治療費の増大と確かに大きいと思われます。

2006年9月24日 (日)

トレーナーストップ

毎週、ジムにてトレーナーの指導を受けているのですが、先週のトレーニングの日は体調不良のため休んでしまいました。

夜、診療が終わり自宅へ戻ると、もう立ち上がることも出来ないくらいの立ちくらみ。食欲も無く、しゃべるのも億劫という感じだったのです。

私は、それでもジムへ行こうとしたのですが、妻に「今日は休んだほうが・・」と止められたのです。本当にその判断は正しかったと思います。その日から昨日までの1週間は体に力が入らず、下痢が続いていました。

それで、昨日。

トレーニングのためにジムへ向かいました。トレーニングを行う前には必ず、有酸素運動を10分間行うことになっているのです。まず体を温めるのです。

昨日は非常にジムが混んでいて、いつも最初に行うバイクが埋まっていたので、ランニングマシーンで汗をかこうと思いました。

ただ、いつもと違うのは、汗の量が半端無くでること。だらだらと汗が出てきて、少し目眩もします。10分終わったところで、気分が悪くなり、トイレへ。

ちょうどトレーニングの時間になったので、トレーナーのところへと向かいました。トレーナー曰く、「ちょっと、顔色が悪いですよ」とのこと。

「大丈夫だと思います」と私。しかし、本当は全く大丈夫では無くて、ふらふらしていました。

少し、トレーナーにマッサージをしてもらったところで、「今日は止めた方が良いと思います」と、トレーナーストップ。その日はおとなしく帰りました。

結局2週連続休むことになってしまいました。

最近、少し忙しすぎることと、おもしろい本が続々と刊行されていて、寝不足が続いていることが原因かなと思ったりもしています。

今後は体の管理も出来ないと、一人前の大人ではないと深く反省いたしました。

2006年9月23日 (土)

子どもの歯を守れ!! 4

子どもの歯を守れ!!の4回目です。

永久歯になる時は要注意

子どもは乳幼期には母乳からお母さんの免疫をもらっていますが、離乳期から12歳ぐらいまでは、免疫機能が十分備わってはいません。

そのため非常にたくさんの細菌の攻撃を受けていることをご存じでしょうか?

免疫機能が備わっていないのに、小さい子はありとあらゆるものに興味をもって触りまくり、舐めたり、口に入れたりします。

「子どもがインフルエンザを幼稚園から持ってきて、家族中にうつったのよ」などといいますが、そのとおりです。

子どもはいろいろなウィルスを家に持ち帰ってきます。免疫力の弱っているお年寄りにとって、子どもは危険な存在といえます。外から帰ってきた孫を膝に抱きかかえるなどもってのほかといいたくなるほど、子どもは細菌だらけということを知っておいてください。

とくに離乳期は免疫力が一番低い時です。さまざまな病原体に感染する心配もありますが、虫歯菌についても同じです。こんな時に虫歯菌に感染すると急激に広がる恐れがあります。

幼稚園で「みそっぱ」といって虫歯で歯が真っ黒になってしまった子どもを見たことがあるでしょう。あれも虫歯菌に感染してしまった証拠で、それこそあっという間に虫歯が広がってしまうのです。

こういう時期に有効なのがフッ素です。お近くに歯科医院に相談してください。

それから、乳歯から永久歯に生え替わる時期も気をつける必要があります。よく、「乳歯はいずれ生え替わるから虫歯になっても大丈夫」と思っている人がいるようですが、とんでもない話です。小さい頃から、歯磨きをしたりおやつの時間を決めたり、バランスの取れた食生活をして歯を大事にする習慣の付いていない子が、永久歯が生え替わってから良い習慣が出来るようになるとはとうてい思えません。

乳歯がいっぺんに抜けて、永久歯が1本ずつ生えてくるわけではありません。乳歯が虫歯だらけになっている環境は虫歯菌で一杯です。そこに永久歯が生えてくるのですからもちろん虫歯菌に感染します。

乳歯から永久歯に虫歯菌が感染しないようにしなければ、大事な永久歯を駄目にしてしまいます。

乳歯のうちから、虫歯はきちんと治療し、少しでも虫歯菌を減らしておきましょう。永久歯が生えそろう頃(12歳頃)になると、免疫力も付いてきますし、歯を再石灰化する力も付いてくるので、虫歯にはなりにくくなりますが、18歳前後、親元を離れるころに、また虫歯が出来てくることがあります。親の監督下を離れて、食生活が不規則になることが原因と思われます。この時期も要注意です。

参考文献 「もう虫歯にならない」 花田信弘著 新潮OH!文庫

2006年9月22日 (金)

子どもの歯を守れ!! 3

「子どもの歯を守れ!!」の3回目です。今日も昨日の続きです。

口に「良い細菌」を棲ませる

お母さんから子どもにうつされるのは、ミュータンス菌のような悪い細菌だけではありません。良い細菌もお母さんから子どもにもたらされます。

赤ちゃんはほとんど無菌といってよい状態で生まれてきます。そんな赤ちゃんに菌を植え付けれるのはお母さんの仕事です。最初によい細菌を植え付けることが出来れば、子どもの免疫力はぐんとアップします。

だから、どうか「悪い菌を植え付けたら大変だから赤ちゃんには近づかない、キスもしない」なんて考えないでください。

無菌状態でいるくらい危ないことは無いのです。

お母さん自身が、口の中をはじめ、健康な状態であること。そうすれば、良い菌を赤ちゃんに植え付けることが出来ます。

スキンシップは赤ちゃんを健康に育てる上で欠かせないことです。

たくさん抱きしめて、愛情を込めてキスしてあげるためにも、お母さんが健康でいること、口の中から悪い細菌を追い出しておくことが大切だということを忘れないでください。

生え始めで決まる

歯の運命は生え始めの時期に決定されるといっても過言ではありません。

生え始めの時期に唾液中のミュータンス菌が多ければ、その子どもは虫歯になりやすく、良い細菌が優勢であれば虫歯になりにくいからです。

歯が生え始めた時に、真っ先に歯に付着するのは「ムチン」(酸性唾液性タンパク)と言うものです。そして、このムチンによって覆われた歯の表面の膜は「ペリクル」と呼ばれています。

このペリクルに、虫歯を引き起こさない善玉の常在菌の代表・サングイス菌やミティス菌などが付着すれば、健全な歯垢が形成され、歯の表面は守られます。

こうなると、唾液の緩衝能力が有効に働き、歯の表面の持続的なPHの低下が避けられるので、ミュータンス菌が真っ先に歯に定着した場合に比べると虫歯になりにくいし、ミュータンス菌が入ってきても排除されます。ですから、甘いお菓子を食べても虫歯になりにくいのです。

ところが、歯の生えはじめに唾液の中にミュータンス菌がたくさんいる子どもは、生え始めの歯のペリクルにこの菌が定着してしまい、よい細菌が定着するのを妨げてしまいます。

ミュータンス菌は、歯の表面や、歯と歯の間などにのさばって、いずれは虫歯になってしまいます。

たとえ、ミュータンス菌の感染を完全に防ぐのは困難だとしても、感染の時期を遅らせるだけでも有効なのです。せめて、常在菌が付着して健全な歯垢が形成されるまで、感染を遅らせる努力をして欲しいと思います。

甘いお菓子は子どもにはとても魅力的です。お母さんとしては、虫歯になるのが心配で食べさせたくないけど、「食べちゃいけません」と言い切れる人は少ないのです。どうしても、「しょうがないわね、少しだけよ」ち妥協してしまいます。

でも、ペリクルに良い菌を植え付けることが出来たあとなら、甘いお菓子を食べても虫歯になりにくいのですから、それまでの辛抱です。完全に禁止するのは無理でしょうが、せめて砂糖を使う量を減らし、おやつの時間を決め、だらだらとお菓子を食べたりすることだけはやめましょう。

おやつには、砂糖が少なく、口の中に留まる時間が少ないものがおすすめです。チョコレートやキャラメルよりも果物や野菜を使ったデザート。ジュースよりお茶や牛乳が良いでしょう。おやつを食べた後は、すぐに口をゆすいだり歯磨きをするようにしましょう。

少なくとも永久歯が生えそろい、免疫機能が完成する12歳まではお菓子を始めとする砂糖の量をコントロールする必要があるのです。

乳用期には、親子で愉しみながら歯磨きをし、正しいブラッシングを習慣づけることが大切です。最後は必ずお母さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。

正しい知識が子どもの歯を守ります。明日も続きます。

参考文献 「もう虫歯にならない」 花田信弘著 新潮OH!文庫

2006年9月21日 (木)

子どもの歯を守れ!! 2

昨日もブログに書きましたが、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはミュータンス菌はいません。

この菌はもともと人の口の中にいるものでは無いのです。では、ミュータンス菌はいつ口の中に入ってくるのでしょうか?

1992年のアメリカの集計データによれば、ミュータンス菌の感染は、生後19ヵ月(1歳7ヵ月)から31ヵ月(2歳7ヵ月)の間に集中しています。

生後19ヵ月までの子どもの口には、ミュータンス菌がほとんど見られないのに、その後すこしずつ感染する子ども達が増えていって、36ヵ月(3歳)以降になると頭打ちになり、あまり増えていません。

ここでちょっと、誤解のないように繰り返しておきますが、ミュータンス菌に感染することイコール虫歯になるということではありません。

口の中にミュータンス菌の数が多くなって、さらにそこに砂糖が入ってきてはじめて虫歯になっていくわけですから、実際に虫歯になるパーセンテージは、ミュータンス菌を保菌する(感染して菌を持っている状態)パーセンテージよりもう少し低くなります。

さらに、生後19ヵ月前に感染すると虫歯になりやすく、36ヵ月以降に感染すると虫歯になりにくいという結果も出ているのです。

つまり、ミュータンス菌の主要な感染時期は19ヵ月(1歳7ヵ月)から31ヵ月(2歳7ヵ月)までの、わずか1年の間。この間に母子感染を防げば、子どもを虫歯の危険からかなりの確立で守れるということになります。

とりあえず、お母さんに注意してもらいたいのは、生後19ヵ月(1歳7ヵ月)から31ヵ月(2歳7ヵ月)の1年間です。せめてこの間だけでもいいから、お母さんの口から子どもにうつさないように、そして子どもの口の中にミュータンス菌を増やさないようにして欲しいのです。

この続きは明日へ

参考文献 「もう虫歯にならない」 花田信弘著 新潮OH!文庫

2006年9月20日 (水)

子どもの歯を守れ!! 1

今日から、何回かにわけて、「子どもの歯を守れ!!」と題してブログを書いてみたいと思います。

今回使用するテキストは、「もう虫歯にならない」花田信弘著 新潮OH!文庫です。

子どもの虫歯は親のせい?

「お菓子ばっかり食べているから」「歯をきちんと磨かないから」と怒られながら、痛みをこらえた経験ありませんか?

私は、歯科医師の息子のくせに、学校で一番虫歯が多いと言われて恥ずかしい思いをしたことがあります。

しかし、虫歯の研究が進むにつれ、虫歯の原因はそんなところにあるわけでは無く、感染症が原因だと言うことが分かれば、皆さんはびっくりするでしょうか?

感染症と言えば、真っ先にインフルエンザやコレラ、エイズなどを思い浮かべますが、正確にはウィルスや細菌、寄生虫などの微生物が体内に侵入して、臓器や組織の中で増殖することを感染症といいます。

インフルエンザやエイズなどのように人から人へ伝染する病気のことを伝染性感染症、膀胱炎や破傷風のように伝染しないものを非伝染性感染症といいます。

虫歯は、インフルエンザやエイズと同じ伝染する感染症なのです。

虫歯は口の中にいる細菌のうち、とくに「ミュータンスレンサ球菌」という細菌の感染によって出来ると言うことは30年前ほど前から分かっていました。

虫歯菌の感染によって虫歯になることは、歯科の世界では常識のようになっていますが、未だに一般の人には広まっていないようです。

皆さんの中には、甘いものの取りすぎで虫歯になるとか、歯垢が溜まって歯のエナメル質が溶けて虫歯になると考えている人が多いのではないでしょうか?

「感染症だということは、うつらなければ虫歯にならないってこと?」

その通り。答えはYESです。

「子どもの虫歯はお母さんやお父さんが虫歯菌をうつしたから出来た」といわれたら、「えっ!」と絶句してしまう親御さんがほとんどでしょう。

「お菓子ばっかり食べているから」「歯をきちんと磨かないから」と子どもを叱ってきたのに、なんと責任は自分にあったとは・・・。

その証拠に赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。赤ちゃんには歯がないから当然といえば当たり前だと思うかもしれませんが、虫歯の原因になるミュータンスレンサ球菌が本当に全くないのです。

では、一体、赤ちゃんに虫歯菌を誰がどこでうつすのでしょうか?

1994年にスウェーデンで、お母さんの歯をきれいにすることによって、赤ちゃんの虫歯菌の感染を減らすという試みが行われ、その結果が論文として発表されました。

ひとつのグループは、歯科衛生士によってお母さんの歯の汚れを徹底して取り、さらに栄養指導を行いました。もう一方のグループは、何も特別なことはしませんでした。そして、子どもが7歳になった時点で調べてみると、歯をきれいにしたお母さんのグループで虫歯菌を保菌して(継続的に持って)いた子どもの数は、何もしなかったグループの子どもの2分の1だったという結果がでました。

お母さんの歯をきれいにするだけで、赤ちゃんの歯を虫歯菌から守ることが出来ました。このことから、お母さんが感染症であったと考えられるのです。

「でも、どうやってお母さんから子どもにうつったのかしら」とお思いになるでしょう。

出産前後、お母さんの唾液中でミュータンスレンサ球菌が異常に増殖している場合があります。これが問題なのです。

ではなぜ、ミュータンスレンサ球菌が異常に増殖するのでしょう。原因は、妊娠期の不規則な食事の取り方にあります。

つわりがあったり、胎児に胃が圧迫される状態では、三度の食事を規則的に取ることはできません。

十分なカロリーを摂取するためには、間食が多くなります。また出産後も母乳を出すために、頻繁に間食を取るような食生活が続きます。

そうすると、ミュータンスレンサ球菌は間食を利用して異常増殖するのです。

お母さんがこんな状態で、赤ちゃんの離乳が始まります。

赤ちゃんが離乳食を食べ始めた時期に、自分の唇にスプーンをあてて食べ物の温度を調べたりしませんでしたか?

食べやすい大きさにするために自分の口の中で噛みきってから赤ちゃんにあげたりしませんでしたか?

赤ちゃんの手が食べ物で汚れた時、舐めてきれいにしてあげたことはありませんか?思いついたことは必ずあるはずです。

何気なくしていたことから、赤ちゃんに虫歯菌をうつしていたというわけです。お母さんやおばあちゃん、家族の他に保育園など大人の口から感染して、子どもの歯に虫歯菌が住み着くようになるのです。

明日も続きます。

2006年9月19日 (火)

トラックバック

こんにちは。

いつもこのブログを読んでくれてありがとうございます。

ここで少しお知らせ。

しばらくの間、トラックバックの書き込みを中止いたします。

最近、有害なものと思われるトラックバックが増えてきましたので。

少し時間をおきたいと思います。

2006年9月18日 (月)

400回!!

今から1ヵ月ほど前のことです。

詰め物がとれたということで、あるまじめそうな患者さんが来院されました。

非常に明るい方で、一緒にお話していると、こっちまで明るくなりそうなほどのナイスガイ。

お口の中の状況を診てみると、大きな虫歯は少なく、歯石が少し付いている感じでした。

私はこの患者さんの虫歯を診療している時、非常に苦しい思いをしていました。

今考えるだけでも、苦しくなりそうです。

患者さんを診療する前には、必ず「問診票」という患者さんへの質問表を記入してもらいます。どこが痛いのか?体の具合はどうかといったことです。

その中に、「一日何回歯を磨きますか?」という項目があるのですが、その患者さんは、その項目に、(1日 400回磨く)と記入してあったのです。

何度もいいますが、その患者さんは、非常に明るく、まじめで、しかもナイスガイ。

たぶん何かの間違いだとは思うのですが、1日400回って・・・・。

そのギャップが非常におもしろくて、おもしろくて。でも、まじめに記入してくださっているのは、他の項目を見ればあきらか。

衛生士さんと二人で、「先生、たぶん本当に400回磨いているんですよ」と後で話し合ったのですが、おかしいったらありゃしない。苦しいのは笑いをこらえるのが苦しかったのです。久々に「ツボ」にはまった感じでしたので。

今度、その患者さんに、本当は何回磨いているのか聞いてみようと思っています。

2006年9月17日 (日)

歯の着色

歯に色が付く原因は、食べ物と加齢によるものがほとんどです。

子どもの歯は、比較的白いのですが、年齢を重ね、成長するに従い、黄色みを帯びてくるのはなぜでしょうか。

歯が黄色くなってくる原因は大きくわけて2つあります。

一つ目は、食べ物による外側からの着色です。

コーヒー、紅茶、日本茶、烏龍茶などのお茶類。コーヒーカップや湯飲み茶碗に茶渋が付くのと同じです。

他にもブルーベリーやコーラ、ブドウ、ブルーベリー、オレンジジュース、木イチゴ、カレーなど色の濃い食材の多くは、歯に着色しやすいという特徴があります。

これらの食べ物に含まれる着色成分はいずれも、最初のうちは単なる歯の表面の汚れにすぎません。

しかし、時間が経つにつれ、次第にエナメル質の中に染みこみ、普通に歯磨きをしただけでは落とせなくなってくるのです。

また、ご存じの通り、煙草のヤニも歯が変色する大きな原因です。喫煙する習慣のある人はないひとに比べて、歯が黄色っぽくなりやすいというのは本当です。

もう一つの黄色っぽくなる原因は、加齢によるものです。

歯の表面は半透明のエナメル質で覆われています。その下に象牙質という黄色い層があります。象牙質の色は誰でも年を重ねることに従って、だんだん濃くなっていきます。

一方エナメル質は少しずつ薄くなっていきます。その結果、エナメル質から下の象牙質の色が透けて黄色っぽく見えるようになってくるのです。

他にも歯が変色する原因として見られるのが、虫歯の治療などで神経を抜いてしまった場合です。

時間が経つにつれ、歯が内側から茶色から褐色に変色してくることがあります。これは神経が死んでしまい、象牙質に栄養が届かなくなったり、象牙質に汚れが溜まってしまったために起こる現象です。

また加齢や生活習慣病とは関係なく歯が変色してくる人もいます。

これは、永久歯が形作られる7歳頃までの幼児期に、テトラサイクリンという抗生物質を飲んでいた影響と言われています。症状としては、歯肉と歯の境目が、帯状に茶色く変色したり、縞模様が出来たりします。歯の表面全体が褐色になる場合もあり、色のつきかたには個人差があります。

この様に、歯が黄色っぽくなるいわゆる変色は、外からの要因と内側からの要因があります。

参考文献 “きれいな歯をつくる 大人のためのデンタルブック” 倉治ななえ著 オーイズミ出版

2006年9月16日 (土)

味覚

私が毎月楽しみにしている雑誌に“GOETHE(ゲーテ)”があります。

中でも特にSONYの井出伸之さんの「対極を愉しむ」というエッセーがあるのです。その中で興味深い話が載っていたので、今回はそれをまるごとご紹介。

世界の食ビジネスでは「うまみ」は公用語

海外滞在が長くなると、無性に日本食が食べたくなるという人がいる。

僕はどちらかといえば、どこへ行っても現地の料理を愉しむほうだが、帰国直後はやはり寿司屋や天麩羅屋に駆け込むことになる。どういうわけだか、無性に食べたくなるのだ。

僕はこの春まで、スイスにある世界的な食品メーカー、ネスレの社外取締役を務めていた。就任当時、不思議に感じたことがある。英語で議論している最中に、食に関するある日本語がときどき混じるのだ。「うまみ」である。

なんと日本の「うまみ」は、「 U M A M I 」として世界で通用する言葉になっていたのだ。

もともと日本食は海外でも評価が高い。さらに日本の食に関する言葉が、世界の公用語にもなっていた。これは日本料理のレベルの高さを示す話である。

しかし、単においしいというだけでは、日本人があれほど日本食を食べたくなる理由にならないと思うのだ。僕はこの疑問が解けないでいた。

ところが、先日、あるパーティーで食品メーカーの方から、なんとも興味深い説を教えていただいた。初対面だったが、彼の会社のキャッチフレーズについて始まった立ち話は、僕が思わず膝を打つほどの話へと展開したのだ。

日本料理が、独自の味わいを出せる理由

その説とはこうである。そのそもうまみは、2つの成分に大別できるという。アミノ酸系と核酸系だ。前者で代表的なものが、グルタミン酸。後者はイノシン酸である。

日本料理の大きな特徴は、うまみがアミノ酸系でも核酸系でもないこと。なんと、この2つを複合し、掛け合わせることによって生まれるうまみだというのだ。

例えば、日本料理のベースである「だし」は、昆布とかつお節から取る。これは昆布のグルタミン酸とかつお節のイノシン酸が掛け合わされることによって深みのある味が出ている。

それぞれを単独で使うよりも、うまみが10倍になると言われているというのだ。刺身も同様である。生魚のイノシン酸としょうゆのグルタミン酸が掛け合わさり、何倍ものうまみが出る。この掛け合わせこそが、日本料理のうまみの原点なのだ、と。

対してフランス料理に代表される欧米系の料理の特徴は、核酸系だという。これこそが、日本人が海外で日本料理を食べたくなる理由なのだ。

単一に核酸系ばかり食しているうち、あの深みのある掛け合わせの味を体が求め始めるのだ。また、欧米の料理が核酸系ということは、アミノ酸系が取れない。その結果、本能的に体がアミノ酸を求めるというのである。

フランス料理にも掛け合わせがあった

だが、欧米料理の中でも、日本人に特に好まれる料理がある。イタリヤ料理だ。この料理も、上記の仮説で説明できる。

イタリヤ料理は、グルタミン酸が多く含まれるトマトやチーズをイノシン酸である肉に合わせることが多い。だからフランス料理などに比べると、日本人が好む掛け合わせ的「うまみ」を味わうことが出来るというのだ。

ただし、グルタミン酸とイノシン酸の掛け合わせは、微妙な比率が「うまみ」を左右するらしい。黄金比率は5:1だという。

実はイタリヤ料理や韓国料理も、掛け合わせによる複合的な味を出している。だから、日本人は好んで食べる。ただし、比率がもっとも洗礼されているのが日本料理。だからこそ日本料理は、日本人はもちろん、世界中のグルメを堪能させているのである。

ただ、この仮説を聞いて、僕はフランス料理のすごさにも改めて気づくことになった。日本料理とは違う“掛け合わせ”である。

例えばチーズとワイン。そこには理屈を越えたうまさがある。うまいチーズと冷えた白ワインが口の中でとろけていく味は、なにものにも換えがたい。ここにも「うまみ」の秘密があるのか、ぜひ探求してみなければ。

また僕の好きなパリのレストラン「SAVOY」があるが、この店には「パンのソムリエ」がいる。注文した料理にあうパンをクルミ入り、オリーブオイル風味などなど十数種類のパンから選んでくれるのである。羊の肉でこのソースなら、このパンで、という具合だ。これがまた美味しいのである。

そしてフランス料理は、貪欲に日本の味を吸収してきた。ヌーベルキュイジーヌはその代表例である。いわば「対極」をかけあわせてしまったのである。

実は、いかに日本料理を高く評価する欧米人も、日本料理ばかり食べていると、自国の料理を食べたくなるのだという。そこには日本料理とは違う“掛け合わせ”があるのあkもしれない。対極の妙味である。

どうですか。私はこの文章を読むたびに、日本の味を再確認すると同時に旅行へ出かけ、美味しい料理に舌鼓をうちたくなるのですが、いかが?

2006年9月15日 (金)

噛む健康学14

腕を動かす時、肘を曲げたり、ひねったりと複雑な動きが出来るのは、動きに関与出来る骨が複数本あるからなのです。

しかし、口の動きはどうでしょうか?下顎ひとつの骨しかないのに、肉をかみ切るような「パクパク」も草をすり潰す「もぐもぐ」も自在に行うことが出来ます。

それは、ひとつの骨なのに、2つの関節(左右)を持っているからなのです。これらのことから、噛むという行為は、非常に緻密で複雑です。手足を動かす事よりずっと高次な行動とされています。

左右の顎(あご)の関節を使い、左右両方にある側頭筋(そくとうきん)と咬筋(こうきん)をそれぞれ動かしコントロールします。

咬筋は噛みしめる時に動く顎(あご)と頬(ほほ)にある筋肉で、側頭筋はこめかみ部分にある筋肉です。しかし、噛むために必要な筋肉は顎(あご)の筋肉だけでは無いのです。

実は、首筋、胸、背中にある12種類の筋肉を使って下顎(したあご)を動かしています。

あるデータによると、歯をしっかり噛みしめると、例えば太股やふくらはぎなどの筋肉までも活性化するそうです。そして普段より大きな力が発揮されることがわかっています。

重い物を持ち上げるなど、いざ力を入れる時には、顔をしかめます。これはぐっと噛みしめることで全身の筋力がフルに使えることの証拠です。

プロ野球選手や大相撲の力士など、一流のアスリートの多くは、歯の手入れを欠かさないと言います。常に歯を食いしっばった状態でプレーしているので、奥歯などは欠けたり折れたりしてガタガタだそうです。

きっちり噛む事が出来なくなると、それだけ普通の力の半分も出せなくなるのですから、いかに噛むという行為きちんと出来ることが重要か、ここからもよく分かります。

高齢者になると、つまずいたりして転倒する事故をよく起こします。骨密度が低下していますから、骨折もしやすく、それが寝たきりの原因ともなりかねません。つまずきや転倒が起こる原因は全身筋力の低下が大きいと思われますが、噛む力の弱さや噛み合わせの悪さにも原因があるのではないかとも言われています。

噛む力が弱まると、全身の筋力も低下することになります。さらに左右の噛み合わせのバランスが悪いと背骨などの全身の骨格バランスが崩れる事はよく知られています。これが、全身のバランス感覚を司る三半規管にも大きな影響を及ぼします。

三半規管は耳の奥にあり、体が傾くと、三半規管が体の傾きを感知して、脳から筋肉に「体の向きを調整せよ」という指令が出されます。

しかし、常に頭の位置が不安定に傾いていると、三半規管は正しく機能できません。それでバランス感覚が悪くなり、つまずきや転倒が起こると考えられています。

高齢者に多く見られる難聴や耳鳴りも、噛む行為によって耳の筋肉を鍛える事で大幅に改善したという報告もあります。ガムを噛むことで、耳周辺の血流が良くなり、筋肉の働きも活発になったとの報告もあります。

参考文献 不老は口から アンチエイジング最前線  斉藤一郎著 光文社

2006年9月14日 (木)

噛む健康学13

今日も、斉藤先生の「よく噛んで食べる」(NHK出版)からお届けいたします。

胃に負担をかけない噛み方

考えてみれば、分かることなのですが、食物と言うのは、いつでも人間の味方ではないということなのです。残念ながら。

食物は人間にとっては基本的に「有害物質」なのです。例えば、牛乳はバランスのとれた栄養食品です。

しかし、十数年前の不幸な症例ですが、牛乳を直接、静脈注射された患者さんの死亡事故が起きました。

牛乳に限らず、肉、魚などはいずれも大切な栄養源なのですが、どんな食物でも人の体に直接進入した場合、本来、人間の体に存在しない物資ですから、「異物(人体にない物質)」と判定されます。

すると、病原菌やスギ花粉が体内に侵入したときと同様に、異物の有害作用を消去する免疫反応が起こります。

しかし、免疫反応はいつも人の味方として、体を守ってくれるとは限りません。逆に、新しい病変の原因になる場合があります。

これが、不都合な過敏反応またはアレルギーと呼ばれる一連の病気で、時には命に関わる重篤な症状を起こします。

カニ、エビ、青みの魚などは、胃の調子が悪い時には、人によってはじんま疹やアレルギー、アトピー性皮膚炎などの原因になります。

ここで、口から食べた食物が胃腸で消化・吸収される仕組みを見てみましょう。

まず、口から入ってきた食物をよく噛んで細かくします。細かく噛み砕かれた食物は唾液という体液に包み込まれることによって、それぞれの食品が持つ特有の刺激性が和らげられます。

例えば、塩味の濃いおかず(塩辛、佃煮など)もよく噛んで唾液と混ぜることによって、口腔、咽頭、食道、胃の粘膜への過剰な刺激が和らげられるのです。

咀嚼された食物は、すべてそのまま食道を通過して胃に入ります。すると、胃粘膜細胞から大量の胃液(1日平均2~3L。強酸性の胃酸や消化酵素などが含まれる)が分泌され、肉や魚などのタンパク質は低分子のペプチド(少数のアミノ酸が連結したもの)に分解されます。

これらの分解作用によって、食物は、体内においてほとんど異物として反応しなくなります。さらに、十二指腸や小腸上部、膵臓からの分解酵素によって、ペプチドはアミノ酸にまで分解されます。

この状態にまでなれば、血液中に吸収されても、安全な栄養素として自分の体つくりに使えるのです。

一方ご飯やパンに含まれるデンプンは、タンパク質の100倍以上の大きな分子からなりますが、胃ではほとんど分解されません。唾液や膵臓から分泌されるデンプン分解酵素であるアミラーゼで分解されて小さな分子のブドウ糖となり、小腸から血液中に吸収されます。

このように、食物を食べるという行為、さらには胃や腸での消化作用が、「有害な食物」を「有益な栄誉源」に変身させ、人間の免疫機能を守る重要なプロセスであるということをおわかりいただけたと思います。

あなたはよく噛んでいますか?「あまりに美味しかったから」とか「忙しいから」「時間に遅れそう」などの“いつもの癖”であまり噛まずに食べてしまってはいませんか?

ダンプカーから砂利やゴミを落とすかのように、食物を噛まないで胃に流し込んでいませんか?

よく噛まないで飲み込まれた食物は、当然のことながら消化するのに時間がかかります。すると、強い酸性作用を持つ胃液は食物を分解しいている間中、自分自身の胃壁にも負担をかけます。これが、胃弱や胃腸炎などの消化器疾患を引き起こす誘因となり、胃腸の働きを弱めてしまいます。よく噛むことは、食物を効果的に消化すると同時に、自分の“胃を守る”有効な方法なのです。

当たり前だけど、なかなか難しい事かもしれません。

2006年9月13日 (水)

帝王切開がもたらすリスクとメリット

紀子さまが9月6日に帝王切開にて男子をご出産なされました。大変おめでたいことです。

今日は、すこし趣を変えて、帝王切開のリスクとメリットに付いてです。今日のテキストはNEWSWEEK「0歳からの教育」です。

帝王切開がもたらすリスクとメリット

出産は、自然なプロセスですが、母胎には結構負担がかかります。

今でも、毎年世界で50万人の妊婦が各種の合併症で死亡しています。死ぬほどでなくても、自然分娩の場合には痔や腰痛といった後遺症の心配があります。

また高齢出産は、赤ちゃんにもリスクがあります。

だからかどうか、帝王切開による出産が増えているのです。

アメリカの場合、50年前には帝王切開で生まれる新生児は50人に1人に満たなかったが、今では4人に1人を越えています。

帝王切開は病院を儲けさせるだけで、かえって出産のリスクを増すという批判があるのは事実です。

しかし、妊婦が希望する例も増えていて、頼まれれば医者も喜んで手術する傾向が強いのです。

帝王切開は安全なのだろうか。これから出産する人はどんな選択をすれば良いのだろうか?

むずかしい質問です。帝王切開にすれば、陣痛の苦しみや、一部の後遺症から解放されるし、出産日の予定もきめやすい。

だけれども、回復は遅れます。術後2~3週間は車を運転出来ず、重い物を持ち上げるkとは出来ません。

自然分娩の場合より長い入院が必要だし、ほとんどの人は鎮痛剤を投与されるため、術後に倦怠感が残りやすい。

安全性となると、さらに不透明です。妊娠合併症が見られる場合には、帝王切開の方がリスクを減らせます。しかし、自然分娩で安全に出産できるはずの女性が帝王切開を望んだ場合については、その安全性は十分に検討されてはいないのが現実です。

帝王切開のほとんどは今も医師の指示で実施されており、手術例が増えているのも主として医学的な理由によるものです。

ひとつには、出産年齢の上昇で早産が増えている事や、不妊治療のために多胎妊娠が増えているという事情があります(胎児が小さすぎると自然分娩が難しい場合があります)。

無痛分娩で硬膜外麻酔をしたり、陣痛促進剤を投与された女性では帝王切開が必要になることが多いとの報告もあります。

胎児の様子をモニターで観察しやすくなったため、陣痛に上手く反応していない場合は、帝王切開を選択する例も増えています。

妊娠のリスク要因が同じでも、担当医や生活環境によって帝王切開の割合は異なります。地域の小さな病院なら、たいていは1人の主治医が妊娠初期から出産まで担当します。担当医が変わらないのは好ましい事だが、主治医に出産に立ち会ってもらいたいという理由だけで、陣痛促進剤を使う例もあるそうです。

いずれにせよ、大事なのは妊婦が自分の希望(自然分娩か帝王切開か)をはっきり伝えることです。妊婦が帝王切開のリスクとメリットをきちんと理解していることが確認出来れば、医師は帝王切開の希望にも応じてくれるはずです。

ただし、「最初が帝王切開だったから次も帝王切開で」というのは理由になりません。肥満や高齢などのリスク要因がないかぎり、帝王切開の経験者が次の出産で自然分娩を選んでも、それほど問題はありません。ただし、万が一の場合に対応出来る病院で生むことが条件となります。

結局、分娩中に何が起きるかは赤ちゃん次第。親の都合通りには行きません。いずれにせよ当分は、子どもの都合に合わせていかなければいけないのです。

参考文献  NEWSWEEK「0歳からの教育」 フレドリック・フリゴレット、クリスティン・ユンゲ著

2006年9月12日 (火)

ご迷惑をおかけいたしました。

昨日は、衛生士さんの一人が、体調不良のために急遽休んでもらうことにいたしました。

そのため、患者さんには多くのご迷惑をおかけいたしました。

予定の時間に始める事が出来ずに、ご気分を害してしまった患者さんには、本当に申し訳なく思います。

今後、この様な事がないように、十分自己管理して邁進したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

しろくま歯科医院 院長 猪狩弓彦

2006年9月11日 (月)

患者ですけど・・なにか?1

先日、自分の歯が痛いということを、このブログでご報告しました。

その後、私のとった行動は、一般の患者さんと同じ行動でした。

まず、その日からいつもより根気よく歯磨きをするようになり、痛みのある場所では無理に噛まないようにしました。

それから、近くの先輩の先生(高校の時の家庭教師の先生が開業しているのです)にメールで連絡しました。

「実は、○○○○部位が・・・・・・・で、×××な感じなんです。診てもらえませんでしょうか?」

すぐに、連絡がきて、予約を取りました。

昨日、ついに行ってきました。歯科医院へ。

その先輩の歯科医院へ行く前に折り菓子を買い、床屋へ行き、準備万端。

私がいつも行く床屋がちょうど、その先輩の歯科医院の近くなのです。

予約を取ったのが4時。

まだ、1時間ほど時間があったので、喫茶店で食事をする事にしました。

緊張でなにも食べていないことが分かったからです。

次回(いつになるか分かりませんが・・・)、は問診から診察へ編です。

「この患者ですけど・・・なにか?」は私の治療が終わるまでをリポートしていきます。

2006年9月10日 (日)

ドライマウス1

鶴見大学歯学部教授 斉藤一郎先生の著書に「ドライマウス」があります。

今後、何回かに渡ってこの「ドライマウス」をこの本のなかから抜粋してお届けいたしますので、もし、自分の症状が当てはまっているとしたら、是非参考にして頂きたいと思います。

ドライマウスとは一体どのような症状なのでしょうか?

簡単に言えば、口の中が乾く症状、病気のことです。前出の斉藤先生によれば、とりわけここ数年、ドライマウスの患者さんが増えているそうです。

はっきり言って、ドライマウスは悲惨です。

・口の中が乾いて夜眠れない

・上手く会話が出来ない

・クッキーなど乾いたものが食べられない

斉藤先生は言います。

「自分はドライマウスという病気である」と自覚する人も増えてきているというのですが、これは氷山の一角だということです。潜在患者はその数十倍、数百倍にもおよぶと考えられる とのことです。

街を歩けば、清涼飲料水のペットボトルを携帯している人を多く見かけます。持ち歩いて飲みたい時に飲めるという、ペットボトルの形状が、こうした人々を増やしたのかもしれません。

清涼飲料水の量も多くなったといいます。一昔前は、250ミリリットルの細い缶だったのが、ある時期を境に350ミリリットルとなりました。携帯用のペットボトルは500ミリリットルです。前出の斉藤先生は、出始めの頃は多すぎて飲めないという感じだったのが、いまでは簡単に飲み干せてしまうそうです。

こうした事を考えると、潤いが減っているのは目や肌だけではないといえるのでしょう。口も渇いているのです。

中には「自分は喉が渇いているのであって、口が渇いているのではない」と考える人もいるかもしれませんが、口の中が潤っていれば、喉は渇きません。

ドライマウスでない人に、ドライマウスの苦しみを分かってもらうために、前出の斉藤教授はこいうのだそうです。

「お酒をたくさん飲んだ次の朝、口の中がカラカラに乾いていることがあるでしょう。ドライマウスの人はそれが1日中続いているのです」

口は消化器であるとともに、目と同様、感覚器でもあります。感覚器は非常に鋭敏な器官ですから、ほんのすこし障害を受けるだけで、著しくQOL(生活の質)を低下させます。

私もまだドライマウスの事について、詳しくは分からないのが現状です。この本を通じて皆さんとご一緒に学べていけば良いなと思っております。

2006年9月 9日 (土)

きりがいい数字

しろくま歯科医院のHPのカウンターの数字が1並びだったため、撮ってみました。

11111です。

手抜きです(笑)。_603

2006年9月 8日 (金)

患者さんの気持ちがよく分かりました

昨日の事です。

パソコンを使った仕事をしていた時の事です。

文献の意味が分からずに頬杖をつきながら、ある指が顔のある場所を押した時です。

「痛い!」

ずきっと鈍痛がしました。

背中に冷や汗が出ました。

非常にお恥ずかしいので、どの歯が痛みが出たかは言えませんが、

非常に落ち込みました。

早速レントゲンを撮ってみました。

自分一人では手に負えないことが判明。

医者の不摂生とはよく言ったものです。

急いで何とかしたいと思います。

2006年9月 7日 (木)

ちょっとしんどい・・。

先週末に東京で勉強会が行われました。

場所は上野。

10時から勉強会のため、それに合わせて7時半の新幹線に飛び乗りました。

新幹線の中では、エアコンが効きすぎていて、正直全く落ち着ません。勉強会の会場もえてしてそんなことが多いので、カーディガンを持参しているのですが、今回役に立ったのが新幹線の中とは何とも皮肉な話です。

カーディガンを着用したとたん、体が安心したのか、とたんに眠気に襲われ、熟睡してしまいました。

気が付いたら既に上野に到着していました。余裕を持って出発したので1時間前に到着してしまい、駅構内にある本屋をぶらつくことにしました。

しかし、東京の本屋はすばらしい。

5分ほど店内を物色しただけなのに、3冊も本を購入してしまいました。

地方の本屋と東京の本屋の違いは、店の大きさは遙かに地方の方が大きいのに、ベストセラーの本ばかりが大量にあるのが地方、小さいながらもさまざまなジャンルの本が多くそろっているのが東京。

東京の方が、多くの職種のかたが存在して、要求や欲求が高いのが原因なのかもしれなません。

時間が迫ったので、コーヒーショップでアイスコーヒーを購入して、勉強会会場へ。

今回、1年を通して参加している、この勉強会は、本当につらい。

何が辛いかと言えば、たぶん実習がなく、実用向きではない話が多いからだと思うのだけれども、昨日の勉強会も機材の説明を一日中していた。

確かに、機材の扱いは非常に大事だけれど、新幹線を利用してまでも聞きに行く内容ではないかもしれないです。

後半は症例発表があったのですが、それも、「私はこんなにすごい事ができます」と自慢されているみたいで、少し腐り気味で聞いていました。

たぶん、非常に有意義な内容だったと思うのだけれども、今回は全くそれがくみ取れませんでした。すいません。

こんな勉強会もたまにはあるかも・・と自己弁護しつつ会場を後にしました。

だって、機材の説明の最後に、「機材のカタログを読みましょう」だもんね。

その後、妻と東京で待ち合わせました。

その時懐かしいものを食べました。

それは私が大学院の卒業を目前に控えていた時、学会発表のため出かけた盛岡で食べた冷麺のお店が東京に出店していたのです。

すごい行列が出来ていましたが、新幹線の時間までまだ余裕があったので、ゆっくり並んで、懐かしい冷麺を堪能してきました。

今回の勉強会では、勉強会以外のところで非常に実りあるものになりました。

来月の勉強会は那須方面です。

2006年9月 6日 (水)

ため息が出る診療

先日、キャンセルが続いたために、ぽっかりと時間が空いた時がありました。

その時、読んでいない歯科雑誌をじっくり見る時間が出来ました。

今回読んだ記事は、1本の歯をしっかり治していくというものでした。

写真で丁寧に解説してあるのですが、とにかく目の付け所が私と全く違う。

非常に丁寧な観察眼にはほとほと感激・感心しきり。

しかし、このような診療は、1回1人あたり2時間以上時間を取って行っていると思われ、非常に贅沢な感じがしました。

もちろん、保険の治療でこの様な時間を取ってしまうと、破産してしまうので出来ませんが、いつか余裕が出てきたらやって見たいですね。

その時が来るまでしっかりと知識と経験を積まなければいけないと自己反省・自己叱咤激励。

ただ、このような記事を読んでいると、不思議と診療に前向きになりやる気が出てくるので、「こんな事、できねーよ」と腐らずに、じっくり「うらやましー」と思って見るのも悪くはないかもしれないね。

2006年9月 5日 (火)

9月から変えました。

最近の些細な悩みは、診療用に使っていたサンダルのソールがちぎれて、歩くたびにバフバフと音が鳴り、靴下が丸見えになってしまう事です。

今使用しているサンダルは開業当時に従業員皆おそろいで揃えたものなので、既に3年半近く使用していることになります。

3年以上、ほとんどこのサンダルを履いて生活している計算になりますから、そりゃサンダルだって「バフバフ」と悲鳴をあげますわな。

そこで、半年前から多くのサンダルを試しました。通信販売でよさそうな物を見つければ、取り寄せて見たり、シューズショップで試着したり。どれも長時間はき続けられないものばかりでした。

結局、3年前と同じ物を注文しました。届くまでに1ヵ月も掛かってしまいました。あまり履いている人が少ないために、在庫がなくなっていたそうなのです。_601

でも、今日サンダルが届きました。まだ、緊張しているのか、少し硬くなっているようです。いまいち足になじみません。でも、そのうち仲良くなれるでしょう。

そのサンダルに合わせて白衣の色も変えてみました。今まではグリーンでしたが、今日からは濃紺に変えてみました。これからは、2色の白衣で挑みます。_602

気分転換に白衣の色が増える可能性もあります。

2006年9月 4日 (月)

減量その後・・・。

先日お伝えした、「減量」に関しての答えの日です。

この日は、とても患者さんが多くて、8時50分くらいから、トレーニングが始まるのですが、終わったのが8時15分頃。

それから軽めの夕食を取ろうと思ったのですが、あまりの疲れで、体があまり動かないので、仕方なく小さなチョコレートとおにぎりだけを取って、トレーニングへと行きました。

もちろん、ジムに着いた時は、9時ぎりぎりで、少し遅れてしまいました。

その日のトレーニングが、最初の最初から腕が全く上がりません。いつもはあげているバーベルが全く上がらないのです。

いつもは軽いと思っているバーベルを上げながら、トレーナーに向かって、

「今日は、ごらんのように疲れているので、軽めのメニューで・・」みたいな気持ちを声に出さず、顔で表現してみたのですが、

トレーナーは、「はい、もう少し頑張りますよ。はいあと2回!!」とまったく取り合ってくれません。

結局、トレーニング終盤までキツさは変わりませんでした。

喉もカラカラになり、終了間際に水をごくごく飲んでしまいました。

「あ、これから体重計るんだった・・・・。」

すでに、後の祭りでした。

その後の体重測定では、1週間前に比べて150gしか体重が減っていませんでした。

トレーナーは、「たぶん筋肉が増えたので、体重が減らなかったのだよ」とやさしい言葉をかけてくれましたが、かなりショックでした。

なかなか体重は減ってはくれません。

この体重チャレンジは今後も続けていくそうです。

2006年9月 3日 (日)

笑顔を台無しにするのは・・・・・・

本日はDENTAL TRIBUNE紙からのレポートです。

米国審美歯科学会(AACD)が行った消費者アンケートで、笑顔を台無しにするものの1位に「変色した歯」が選ばれました。

AACDによると、審美歯科施術のなかでホワイトニングに対する要望は、1966年から3倍以上に増加しているといいます。

AACD会長のMarty Zese歯科医師は、「健康な歯と歯肉を維持するには、日常的なホームケアと専門家による定期的なクリーニングが不可欠だが、特定の食べ物によって歯のステイン(着色)を除去することが出来る。例えば、リンゴや梨、セロリ、ニンジン、カリフラワー、きゅうりなどは、食物繊維が多く、唾液の分泌を促し、自然に歯を綺麗にし、細菌を除去する」とアドバイスしています。

2006年9月 2日 (土)

傷はなめたら治るのか2

傷はなめたら治るのか?という話題でブログをお届けしていますが、実は、実際にネズミを使った実験で確かめた研究者がいるのです。

この研究は、1974年に英国の科学誌「ネイチャー」に掲載されたもので、「大変おもしろい」とこのレポートを書いている山口さんは書いています(唾液は語る 工業調査会)。

実験用ネズミ(マウス)の背中の皮膚を中央で1センチ四方の大きさに切り取ります。なぜ背中かといえば、ネズミが自分自身ではその傷をなめることが出来ないようにするためです。

これらのネズミを1匹1匹別々の飼育かごに入れて飼育すると、傷の治りはとても遅くなります。

ところが、4匹のから6匹をグループにして同じかごの中で飼育すると、、ネズミはお互いの傷をなめあっているのが観察され、傷の治りも1匹1匹別々にしたものよりもはるかに早く治りました。

このことは、やはり傷はなめることによって早く治ると言うことを示唆しています。

次に、唾液腺を除去してしまったネズミでもグループで飼育すると傷をなめ合うのですが、傷の治りは別々にしたネズミのように遅くなってしまいます。

さらにおもしろい事に、唾液腺の導管を糸で縛って唾液を口の中に流れ込まないようにすれば、正常なものよりは、傷の治りは遅くなりますが、唾液腺を除去したネズミよりは早く治ることが認められました。

これらのことから、傷の上に塗られた唾液(口腔内に外分泌された唾液)がその傷を早く治すために役立つばかりでなく、唾液腺から血液中に内分泌されるなんらかの物質により傷の治りが促進されるということが考えられます。

唾液のなかに分泌される、あるいは唾液腺から内分泌されるどんな物質が傷の治癒に関わっているのかは、傷の治癒のメカニズムが複雑なので、現在のところ不明ですが、おそらく唾液腺に含まれる色々な生理活性物質が関わっているにしがいありません。

この実験がネズミに取っては、大変気の毒でしたが、大変有意義な実験だったのではないでしょうか?

唾液の話は、今後も続けたいと思います。

2006年9月 1日 (金)

傷はなめたら治るのか?1

山口昌樹 高井規安共著、「唾液は語る」という本を読みました。

大変興味深い(歯科医師にとっては・・・ですが)話が満載です。

今後、この内容もブログでどんどん紹介しようと思いますので、期待していてください。

今日は、その中の、「傷はなめたら治るのか?」を2回にわけて紹介します。

後半(明日)は少し、内容が難しくなるのかもしれません。

では、前半部です。多少、本の中身を読みやすく変えてあります。

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動物も人も傷口をなめる

ずいぶん前の話ですが、唾液腺という色々な内分泌腺との関係を調べようとした事があります。

その研究のひとつに男性ホルモンをなくすと、唾液腺はどうなっていくのかという実験をしました。

それにより唾液腺のある酵素の合成が男性ホルモンに依存するということを確かめたのですが、その時に実験用のネズミのキンタマ(睾丸)を抜き取るという手術をしました。

ネズミのキンタマは体の割にはすごく大きくて(脳と同じくらい)、しかも、当たり前ですが、体の外に飛び出しているのでそんなに難しい手術ではありません。ピンセットとハサミでほんの30秒で終わります。

手術が終わって麻酔から覚めると、ネズミは中身のなくなって小さくしぼんでしまったキンタマ袋の傷口を一心不乱に舐め始めます。

傷口は何もしなくても大体3日くらいで綺麗にふさがるのですが、様子をうかがいに動物飼育室に行きますと、その去勢されてしまったネズミはいつでも熱心に傷口を舐めていました。

飼育ゲージの中にはオスにしか理解できない、切ない空気が漂っていました。中には、仲間に舐めてもらっているネズミもいました。

その時、「動物というのは、怪我を舐めて治すものだな」とあらためて感心したことを思い出します。

皆さんも、近所の犬や猫が怪我をした時に、自分の傷をぺろぺろなめているのを見たことあると思います。人でも同じような事を経験します。

私たちは思わずその指をくわえてその傷口を舐めたり、唾液をつけたりしますよね。

それにしても、どうして動物や人は傷口を舐めるのでしょうか?

本当に傷口を舐めれば早く治るのでしょうか?

ただの気休めなのでしょうか?ただの気休めにすぎないかといえば、そうではありません。

いつも唾液によって覆われているような傷口、つまり口の中に出来た傷は膿んだりすることは滅多にありませんし、、皮膚の怪我に比べてずっと早く治ります。

確かに、唾液には細菌の活動を抑えたり(抗菌作用)、さらに破壊したり(殺菌作用)する働きをする多くの物質が含まれています。

ですから、唾液によって傷口が細菌に感染されにくくなると考えられます。さらに唾液には血液を固めることによって止血を促進したり、さらに傷口を早くふさぐ物質も含まれています。これらの物質は、もちろん傷口の治癒に対して有利に働く事はいうまでもありません。

唾液には傷を治す成分が含まれている

それでは、唾液に含まれている抗菌因子、すなわち細菌に作用する物質として代表的なものをいくつかあげてみます。

①リゾチーム 

これは、ペニシリンの発見でノーベル賞に輝いたアレキサンダー・フレミングによって1922年に発見されました。ある時、風邪をひいたフレミングが自分の鼻汁をたまたま細菌を植えたシャーレにぽとりと落としました。

次の日にシャーレを見てみると、鼻汁の落ちた所の周りの細菌が溶けていたというエピソードは有名です。

さて、このリゾチームは溶菌作用、つまり細菌の細胞膜を破壊して殺菌する作用だけでなく抗炎症作用もあります。そして、唾液以外にも、涙液、乳汁などの外分泌に存在するポピュラーな物質で、現在では化学的に合成されて薬剤として風邪や鼻炎などの薬の成分として使われています。

②ペルオキシダーゼ

唾液腺から分泌されるものを特に唾液ペルオキシダーゼと呼んでいます。抗菌作用があります。

英国人が、すりおろしてローストビーフにつけて食べるのを好むホースライディッシュ(西洋わさび)には多く含まれています。

③ラクロフェリン

この物質も唾液にだけ含まれるというのではなく、とくに乳汁中に多く含まれます。細菌にとって鉄イオンは必須の物質です。

ラクトフェリンは、まわりの鉄イオンを吸着して細菌がこれを利用出来なくしてしまいます。その結果、細菌の発育が抑制されることになります。またリゾチームの溶解作用を助ける働きもあります。

④免疫グロブリン

細菌が傷から進入して動物の細胞に感染するには、まず細胞にとりつかなくてはなりません。唾液中の免疫グロブリンAは、直接、細菌を破壊するわけではありませんが、細菌の付着機能をマスクして細菌感染を防いでいます。

明日も、「傷はなめたら治るのか?」の続きをお伝えします。