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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2017年5月15日 (月)

中尾くんがしろくまに来た。

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株式会社ジーシーの代表取締役社長でもある中尾潔貴くんがしろくま歯科に遊びに来てくれました。
一般の方はジーシーって会社の事はまったく知らないと思うのだけれども、今日本でこの会社がないと全ての歯科医院が立ちゆかなくなるといっても過言ではないくらい重要な会社です。
ほとんど全ての機材に精通している会社でオールラウンドに商品を展開しています。
私の学位論文(私の学位論文は材料学でした)ではジーシーの会社の材料が無ければとても実験することすら出来ませんでした。
とにかく細々とした材料の商品タグを見ると「ジーシー」って書いてあるくらい。
中尾くんとは東京歯科大学の時の同級生。
かれは人見知りのしない凄くまっすぐで、本当にいい人って感じ。
歯科医師になってからは、かなり真面目に医療に取り組んでいて、凄いなって思ったほど。
だから、社長になったって来たときは正直驚いた。でも彼の様に分け隔て無い公平な性格ではないとこういった厳しい世界ではやっていけないかもしれないね。
彼がその時に私に話してくれた話しとしては、歯科医はもっと頑張らなければいけいと。
人間の欲は限りないけど、老後に歯がなく、どろどろのお粥のような食事しかできない現状は我々にしか救えないって力説していました。
本当にその通りで、人間の最後に残る欲は食欲と睡眠欲って聞いたことがあるけど、食事が美味しくない生活って悲惨だものね。
今の歯科医師過剰時代を乗りきる秘訣も彼は『そこ』もあると着目しているらしく、グローバルに歯科界が善くなることを真剣に考えていました。
全ての歯科医師の事を考えて行動している(決して自分の会社の事だけを考えている感じでは決して無かった)中尾社長には頭が下がりました。
私なんて、正直言って今月は従業員へちゃんと給料払えるかなとか、借金の返済大丈夫かなとか、患者さんに満足感を与えられたかなって位の世界観の中でしか生きられていません。
同級生との人生の差を感じてしまった再会でした。
中尾くん、また遊びに来てね。
ジーシー応援するよ。

2017年4月23日 (日)

思い込みの恐怖

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今、マクドナルドが8年ぶりに新定番を発表したとしきりにTVCMを流していますよね。
子供たちが寝静まったとある晩の事です。
夫婦でTVを観ていた時に、そのマクドナルドのCMが丁度流れました。
私は得意げに、「マクドナルドが新定番が出たっていっているけど、マクドナルドの定番商品全部言える?」と奥さんに質問しました。
奥さんは、「まず、エビ関係のものが確かあったと思う」とのこと。
私は内心ニヤッとして、「エビは定番にはありません!」と自信を持って言い切りました。
だって無いんだもの。
でも妻も頑として譲りません。
私が「じゃあ、定番のメニューの中に無かったらなにかしてくれる?」と執拗に妻に言い寄ります(苦笑)
奥さんは、少しタジタジとしながらも、「絶対大丈夫。絶対あるから」と聞きません。
じゃあ、調べて見るねってその場でスマホでメニューを読み込みました。
なんと、マクドナルドの定番商品の中にエビは有ったのです。
本当に愕然としました。
人の記憶は何て曖昧で、自分勝手なんだろうってその時思いました。
奥さんには、「じゃあ、有ったらどうする?って聞けばよかった。あんまり自信満々に無いっていうから・・・」と苦笑い。
人と会話したり、大事な打ち合わせの時はキチンと下調べをして望まなければと思いました。
怖い怖い。
何かの本で読んだことがあるのですが、街の中に溢れる医院の看板。

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人はその看板を読むことはほとんど無く、景色として脳に認識してしまうそう。
そのため、街の看板の宣伝効果はほとんどゼロ。
しかし、全く宣伝効果が無いかといえばそうではなく、体の具合が悪くなったときに初めて街の医者の看板が目に入ってくるんだそう。
人間の脳は余計な事は記憶があいまい。
あそこに医科の看板があったな〜〜、マクドナルドにはエビ系の定番は無かったな〜など曖昧なのです。
それとも加齢のせいで脳が頑固になっているのか。
柔らか頭になりたい。

2016年7月30日 (土)

それを言っちゃいけないよ(涙)

何度もこのブログで書いていますが、木曜日は、私の医院は半日で終了なのです。
最近は、息子と喫茶店へ行き、ピアノ帰りの娘を迎えに行くというパターンがすっかり定着しています。
ただ、子供たちの帰る時間が年々遅くなり、今はだいたい3時くらいになってきました。
そのため、夫婦の時間がちょっとだけ出来るので、よく子供たちには内緒で(こっそりと)、昼食を外食にする事があるのです。
この日は、ちょっと疲れていたので、近くにある私のお気に入りのラーメン屋さんで食べない?と提案してみました。
ここは、日和田にある白河ラーメンのお店なのですが、本場の白河を彷彿とさせる出来き。白河出身の嫁が言うんだから間違いない。

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しかし、私はここの味噌ラーメンが大好きなんです。野菜がたっぷりで、しかもニンニクがたっぷりと掛かっている。本当に元気が出るし、ニンニクが多すぎるので休みの日にしか食べられない。
本当に大好きな味噌ラーメンは、駅前にある『大番』のニンニク味噌ラーメンが大好きなのですが、あまりにもニンニクの量が半端ないので最近は仕事の事を優先して控えているのです。しかし、ここの味噌ラーメンはその『大番』のラーメンの味にそっくりなんです。そりゃハマるわけだ。
奥さんは、グルメなので食事の度に食べるラーメンを毎回変えているのです。本当に人生得しているなっていつも思います。
で、美味しくラーメンを食べていると、妻だ突然言い出しました。
「あなた、歯に何か着いているよ。」
「ん?(なにか挟まったかな?)」
「ん、、、、、、あ、歯の汚れか。歯医者なのに歯石付いてるよ」
「奥さん、それを言っちゃいけないよ(泣)」

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2016年6月11日 (土)

久々の息抜き

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この間、「歯の健康フェアー」の事をブログに書きました。私の担当の「ジョンソン&ジョンソン説明」が終了したのが約2時すこし過ぎ位。 そこからダッシュして駅に向かい、仙台まで行きました。 目的は、半年まえから決まっていたGRAPEVINEのLIVEに行くためです。 本音を言えば午前中から行って買い物でもしたかったのですが、歯科医師会の仕事がはいってしまったので仕方が無いです(苦笑)。 5時開演だったので、会場までのアクセスやその他諸々の事を考えると3時半頃には仙台入りしていたかったのです・・・・。 奥さんとは会場付近で待ち合わせしていたのですが、なんと乗車した新幹線の私の席の二つ前に座っていました。新幹線に入ってきて、私は直ぐ気がついたのですが奥さんは全く気がつかなかったみたいです。 ライブ会場に早めについたので、会場限定のグッズを買おうと思って向かったのですが既に終了。地味なバンドだけど結構人気なんですよね(笑)。 奥さんが頑張ってくれたおかげで入場整理券が凄く前の方だったのです。もうボーカルの田中さんが目の前って感じ。いつも私達は先に入ったとしても後ろの方の出やすくて壁に寄りかかれるところに陣取る事が多いのですが、今回はなんとなく前の方に行ってしまいました。

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今回のツアーは『BABEL BABEL ツアー』。
もう私のファン歴10年。最初は奥さんと同じ趣味を持とうと思って,一生懸命CDを聞きまくりましたが、今では絶対に私の方がファンです。奥さんが加入しているファンクラブの冊子も隠れてこっそりと隅々まで読み込んでいるし。
今ではライブで奏でる曲はほとんど頭と体が覚えているって感じにまで熟成されています(笑)。
しかし、悲しいかな、知らない曲が何曲かあるんです。
今回辛かったのはアンコールの際の3曲が全て知らない曲。私がファンになる前に発売された曲なんです。しかも古いファンにはおなじみの曲らしく、みんなその曲にノリノリ(辛い)。
まだまだ甘いと自認する日々でございます。
しかし、久々にリフレッシュ出来き、夜の仙台に別れを告げました。

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2010年1月14日 (木)

軍事向けガム開発

本日は、デンタルトリビューン2010年1月号よりお届けいたします。

◇軍事向けガム開発~抗菌性う蝕予防ガム~

《米国》歯磨きの時間も手段もない状況で任に当たる兵士は、口腔衛生維持の手段としておもに支給品の甘いガムに頼っていたという。

従来のガムは唾液性分は促進されても口腔衛生維持の手段としては決して十分なものではなかった。しかし、近い将来、う蝕や歯周病の悪化を防ぐために抗菌性ペプチド配合ガムが実用段階に入る可能性がある。

◇KSL含有でプラークの形成を阻害

兵士にとって、う蝕や歯周炎の罹患や悪化は戦力低下にもつながるため、深刻な問題としてとらえられている。U.S. Army Dental Research Detachment(USADRD)の資金援助のもとケンタッキー大学薬学部教授Patric Deluca氏らは、う蝕を予防するガムの開発を行ってきた。

現在、米国国防総省がガムの臨床試験材(CTM)の製造業者を求めて世界中に広報しており、近々、第Ⅰ相試験が行われると2009年11月12日付けのケンタッキー大学プレスリリースで発表された。

このガムには、抗接着および研磨剤の働きをするKSLという抗菌性ペプチドが含有されており、プラーク形成の阻害や分解を促進することが出来る。

◇AIDS罹患小児にも

開発者であるDeluca氏の後を継いだ助教授AI-Ghananeem氏は「研究の焦点は兵士であるが、他にも多くの可能性を内包している」と述べた。また、世界の国々、特に第三世界にも影響を与えるとし、「アフリカでは、AIDSに罹患して生まれた子供たちは深刻かつ痛みを伴う歯科疾患を抱えている。このガムがQOLを向上させるだろう」と、新たな展開についても触れている。

なお、KSLは歯周病原性菌やう蝕細菌のみに効果を発揮するわけではなく、その他の口腔内の常在菌にも作用すると考えられている、そのため、通常のブラッシングに代わるものではなく、あくまで非常手段として使用するのが好ましい。

2009年11月25日 (水)

哺乳動物の歯の決め手

本日は、西原克成先生の著書『歯はヒトの魂である~歯医者の知らない根本治療~』よりお届けいたします。

◇よく噛める歯が哺乳動物の決め手

歯には、食べる時にかじり取ったり、引き裂いたり、砕いてすりつぶしたりするほかに、ことばを話たり詩や歌を読む時、舌と口唇と頬粘膜と共同して音を作りだす働きもあります。

さらに食物や唾液を嚥下(飲み込む)する時に必要な、口唇・舌ととに陰圧を作るための密閉の働きがあります。

食べることは、生命を維持するうえで、呼吸と並んで最も大切なことです。

ヒトは雑食動物です。哺乳動物のうち最も精密に切断磨砕(トリボスフェニックス=切り裂きとすり潰し)型の臼歯を持つヒトは、よく噛ま(咀嚼)ないと充分に消化・吸収されません。

脊椎動物の定義は「骨性の脊柱をもつ脊索動物で、特徴器官が腸管呼吸の鰓と肺」です。そして哺乳動物とは「長ずると咀嚼を行うことになる吸啜のシステムを持って生まれてくる脊椎動物」ですから、咀嚼を行う歯が哺乳動物の決め手となる器官です。

そのうえ、咀嚼器官を動かすすべての筋肉が呼吸の内臓鰓腸筋肉に由来します。酸素を吸収しながら咀嚼し、咀嚼しながら呼吸するのです。

哺乳動物の極端に発達している内臓頭蓋の顎・口腔・顔面の筋群は、舌の含めてすべて、大半の時間を食べることに費やして、顎を動かして、咀嚼しないと十分な外呼吸が行われません。

咀嚼を充分にするだけで心臓が生き生きしてきます。咀嚼とともに行う外呼吸が不十分がと心臓もぐったりとして、当然ミトコンドリアで行われる細胞呼吸(内呼吸)も不十分となります。

従って、役にたつ歯は、よく噛めなければなりません。顎に植わっている歯には歯根膜という繊維関節があり、頭蓋骨も縫合によって繊維関節で結合している。

咀嚼時も呼吸時もこれらの繊維関節が反復的に波動運動をする時、この顎と頭蓋骨は、歯があれば生涯にわたって繊維関節部で骨髄造血を行っています。

外呼吸と内呼吸の仲立ちをするのが心臓脈管系と骨髄造血系ですから、咀嚼がうまくいかないと急速に体力が衰えるのです。

頭蓋骨以外で生涯にわたって骨髄造血を行うのは、腰骨の腸骨(頭の顎に相当する)と手や足の関節骨・肋骨等の関節骨です。

顎は上顎が固定されていて、下顎がよく動くようになっています。上顎の歯列弓の歯全体でもちをつく時の臼の役割をして下顎の歯列弓の歯全体で杵の役割をしています。上顎の骨の植わっている歯列と下顎の歯列を組み合わせように、下顎骨を頭の骨(側頭骨)に耳孔の前で結んでいるのが顎関節です。

美しくないゆがんだ歯列弓は、生体力学の力の偏りでできますから、当然顎の型と顎関節の型にも変形が及びます。そうするとよく噛めなくなるので役に立ちにくい歯になります。

役に立たない歯というのがあるのでしょうか。歯列から外に出た八重歯、いつまでも顎の骨に埋まったままの歯(歯列が狭まって充分に萌出出来ない歯)、斜めに生えている親知らず(智歯)、歯周病でぐらぐらになった歯や腐って根だけになった歯は、そのままでは何も役にはたちません。さらにかみ合わせが駄目になった歯列はあまりよく噛むことが出来ず、かみ合わせの不調で役に立つ歯とはいえなくなります。

参考文献 歯はヒトの魂である~歯医者の知らない根本治療~ 西原克成著 青灯社  

2009年11月11日 (水)

犬はなぜ『イー』と言えないのか?

本日は、松矢篤三先生、古郷幹彦先生の共著である『のどちんこの話』よりお届けいたします。

◇犬はなぜ「イー」と言えないのか

犬の鳴き声をよく聞いていると、「ワン」「ウー」「キャン」などの音には人の用いる母音に近い音が含まれています。しかし、その音は、「ウ」「オ」「ア」に近い音のみで、「イ」「エ」に近い音は含まれていません。

人の子供なら生まれて一年もたたないうちに他種類の音声を獲得し、その中にはすでに「イ」とか「エ」といった音素が含まれているのに、犬ではどんなに賢くても「イー」と鳴くことができないのはなぜでしょう。

母音(アイウエオなど)は、声帯での音が声道(咽頭音、口腔、鼻腔)を通過する際に音響敵な修飾を受けて作られるもので、「声道の形」が母音の音韻形成に最も寄与しています。

声道の形を変化させているのは、軟口蓋・舌・口唇・歯・下顎などですが、鼻音化母音(後出)以外の母音では、軟口蓋の挙上により鼻咽腔は閉鎖されますので、咽頭腔と口腔の形態のみがそれぞれ母音の音韻の特徴(ホルマント)を決定していると言えます。

人も犬も「口のひらき」と「舌の移動」で、口腔の形態を変化させることができますが、人は舌根の前後運動で口腔の形態のみならず、咽頭腔の形態も変化させることができるのです。

ところで、「アー」「オー」の特徴を与える声道の形は、「大きな口腔と小さな咽頭腔」で、「イー」「エー」の特徴を与える声道の形は、狭い口腔と広く長い咽頭腔です。

人類は直立歩行によって咽頭が広く長くなったことは以前述べましたが、同時に四足歩行の動物では平らである舌の後1/3が人では垂直に折れ曲がり、咽頭腔に面する部分が生まれ(人の舌根部)ました。

この舌根部の前後運動が咽頭腔の形態をも変化させることができるので、「イー」「エー」の発音が可能となったのです。

ちなみに、犬は二本足でチンチンしても「イー」「エー」は言えないので念のため申し申し添えます。

参考文献 のどちんこの話 松矢篤三・古郷幹彦共著 医歯薬出版 

2009年11月 8日 (日)

恐竜頭骨に噛み跡

Yahoo!ジャパンのニュースに『恐竜の頭骨に噛み跡』という記事が載りました。

本日は、それをお届けいたします。

◇若い時にかみ合った跡=肉食恐竜の頭骨化石に-米大学091102121454

白亜紀末期ごろ(6500万年前ごろ)に主に北米大陸に生息した当時最大級の肉食恐竜、ティラノサウルス・レックスは、若い時に縄張りなどをめぐって同種同士でけんかすることがあったようだ。

米ノーザン・イリノイ大などの研究チームが2日までに、米モンタナ州で発見された頭骨化石に、相手にかまれた跡とみられる穴を見つけ、国際的な堆積(たいせき)地質学会の学会誌に発表した。
 

頭骨化石は11~12歳で死んだ個体のもので、2001年に細かく割れた状態で見つかった。時間をかけてつなぎ合わせたところ、上あごの左側に、右側にはない穴があることが判明。コンピューター断層撮影装置(CT)でも調べた結果、同年代のレックスの歯形と合う穴が4カ所確認された。致命傷ではなく、治癒したとみられる。
 

争った相手が兄弟姉妹だったか、競合するライバルだったかは不明だが、こうした化石が見つかるのは珍しい。現代では、ワニのクロコダイル類で、若い個体同士がかみ合うことがあるという。 

2009年10月29日 (木)

歯の治療に思う

本日は、AERA09.10.26 No50号の中の『内田樹の大市民講座』のエッセイをお送りします。

◇歯の治療に思う

歯の治療を始めて3ヶ月ほどになる。

もともと歯茎が悪かったのだが、前歯がぐらぐらしてきて歯医者に行ったら「下の歯は全部ダメです」と宣告された。

歯を13本抜いて、インプラントにする。

歯槽骨が形成されるのを待ち、骨が出来たら人工歯を植えていく1年がかりの大手術である。

いまは「骨づくり」の段階なので、下の歯列は全部仮歯である。

歯科医の治療を嫌う人が多い。

ドリルの機械音を聞くと総毛立つという人がいるし、ローレンス・オリヴィエがダスティン・ホフマンの奥歯をがりがりと削って拷問する「マラソンマン」に言及する人も多い(思えば「歯科医が拷問する」というシーンだけ記憶されて、あとは忘れられてしまった気の毒な映画である)。

でも、私はわりと平気である。

もちろん、それだけ治療者の腕がいいということもあるのだが、私は身体の不調については、「悪くなったものは仕方がない。ありものでやりくりするしかない」というあきらめのいい人間なのである。

眼がわるくなろうと歯が悪くなろうと、「あ、そうですか」と涼しく現状を受け入れることにしている。

仮歯だと硬いものはかみ切れないけれど、「石器時代だったら、とっくに餓死しているところだ。良い時代に生まれたものだ」と感謝して日々を過ごすほうが、精神衛生上はよろしいようである。

2009年10月26日 (月)

自分専用『練り歯磨き』

本日は日本経済新聞2009年10月22日分の新製品の欄に掲載された『買い手のホンネ(産地研調査から)』よりお届けいたします。

◇自分専用、高齢者ほど多く

家族で同じものを使っていると思われがちな練り歯磨きで、自分専用の商品を使う「マイ歯磨き」愛好者が広がっている。

日経産業地域研究所の調査では、家族や同居人と共用ではなく、自分専用の歯磨きを使う人の割合が高齢化するにつれて増えていることが分かった。

特に60代女性の場合、全体の46%が個人専用を使っている。

練り歯磨きの購入に当たっては、選ぶポイントとして「歯周病予防に役立つ」が30%を超えてトップ。一般的に歯磨きの一番の役割を思われがちな「むし歯予防に役立つ」をわずかな差で上回った。少子高齢化で子供向けの需要がへっており、高齢者対応が大きな比率になってきていることが背景にある。

そのほか「口臭予防に役立つ」(22%)、「刺激が少ない(歯にしみない)」(12%)など、加齢に伴って気になってくる症状の改善を期待する回答が目立つ。加齢臭を気にしてか、「口中が粘つかず、すっきりする」は29%と全体でも3位に入った。

これを明確に表しているのが「マイ歯磨き」派の年齢分布。20~30代のころは「いつも家族や同居人と共用のものを使っている」が65%程度を占めていたが、50代以上になると自分専用を使う人が4割を超える。

練り歯磨きのトップブランド花王、サンスター、ライオンの大手3社がそれぞれしのぎを削っているものの、どれも単一ブランドとしてのシェアは1割程度。消費者が使いたいブランドをかなり分散させていることがわかる。

こうした傾向を受け、メーカー側も「歯肉を引き締める」「知覚過敏の人に」など、やさしい使い心地をアピールする傾向が強まっている。スーパーの特売品などを買って一家に1品目で済ませていた消費者も、年を取るにつれ多少高価でも自分に合った効能を求めるようになるようだ(詳細は「日経消費ウォッチャー」10月号に掲載)

2009年10月23日 (金)

大人は時間を短く感じる?

本日は、日本経済新聞 2009年10月18日号のサイエンスのページの『ナゾ謎かがく』の欄よりお届けいたします。

◇大人は時間を短く感じる?

子供の頃と比べ、大人になると時間が速く過ぎると感じる。

有名な説明は「ジャーネーの法則」と呼ばれるものだ。

同じ1年でも10歳と60歳とでは人生における比率が10分の1と60分の1で全く違う。高齢者はその分、同じ時間でも短く感じるという説明だ。

しかし、実際には時間経過の感じ方には個人差があるし、子供と老人とで60倍の差があるわけでもない。心理学実験によって、加齢により時間認識が変化する原因が探られている。

時間の経過をどのように感じるかは心理学で「時間評価」の問題といわれる。人には心的時計といえるものがあり、これが物理的な時計よりも速く進めば、実際の時間経過をみて「まだ1時間しかたっていない」と感じるし、逆に心理時計が「もう一時間過ぎた」と感じる。

千葉大学文学部の一川誠・准教授によると、心的時計の進み具合には身体の代謝の状態が大きく影響しているという。

身体の状態が活発なら心的時計の進み方は速く、不活発なら遅くなる。

高齢になると一般に代謝は低下する。そこで心的時計の進み方が鈍り、時計の経過を速く感じるという説明が可能だ。「年をとるにつれ動力源のゼンマイが遅れているイメージ」(一川准教授)

また、会議中に何度も時計を見るなど時間経過に注意を向けるほど、同じ時間でも長く感じられることが知られている。

時間を気にする回数が多いほど経過時間を長く感じるとの説がある。これが子供と大人の違いに関係している可能性がある。子供には待ち遠しい行事が多いのに対して、大人になると慣れ親しんだ刺激の少ない出来事ばかりのため、時間経過に注意を向ける回数が減り、その分時間の進行が速く感じられる。

さらに、広い場所にいる方が、狭い場所よりも時間が長く感じられるという実験結果がある。大人になって昔の小学校を訪れたとき校庭が小さく感じられる。同じ空間でも子供は広く認識し、時間に経過をゆっくり感じさせる傾向を強めているとの見方もある。

加齢に伴って時間経過を速く感じる理由には、これらのいくつかが複合的に関係していると考えられている。

「それぞれの要因の詳しい解明や、お互いの関係はまだ分からないことが多い」と一川准教授はいいます。

2009年10月14日 (水)

絵本「はがぬけたらどうするの?」の書評

本日は、日本経済新聞2009年10月9日分の『こころの一冊』からお届けいたします。

「はがぬけたらどうするの?」~分化の多様性を知る一歩~

《かいだんぶんこ の後藤啓子さんのテキストです。》

歯が生え替わる時期になると、日頃は目立たない子供も注目の的になります。

「この歯、動くんだよ」

と言うと

「見せて」と、皆が口の中をのぞき込むからです。

ある時「僕、歯が抜けた」とやってきた男の子に「その歯どうしたの?」と聞くと、

「下の歯だから屋根に投げるんだけどね、うちはマンションだからベランダから投げた」と答えました。

これは乳歯が抜けたらどうするか、世界の64の地域の66の風習や言い伝えを紹介した本です。

日本のように屋根に投げるほかに、枕の下に置いて妖精やネズミが持って行くのを待つ国、パンや肉の中にいれて動物に食べさせる国、畑に植える国、金や銀のペンダントやイヤリングにする国、お日様に向かって投げる国といろいろですが、同じ風習が近い国のものとは限りません。

風習は違えど、いずれも確かな子供の成長を喜ぶ心が伝わってきます。

子供に風土や分化の薫りを意識させる一歩になりそうです。

2009年10月13日 (火)

仏像から人の歯

本日は、スポーツニッポン10月8日号の中の記事より。

◇仏像から人の歯

大津市の安養寺(浄土宗)本尊木造阿弥陀如来立像の内部から人間の歯や頭髪を発見。

「極楽浄土を願ったり仏像を生身に近づけようとしたりするとみられ、特殊な阿弥陀如来信仰の一端が伺える貴重な発見」

と同市関市博物館。

鎌倉時代に納められたとみられる。Pk2009100702100117_size0

2009年10月 2日 (金)

『理解する』と『行動する』は別モノ

本日は、デンタルトリビューン紙209年9月号より、群馬大学非常勤講師である高橋美保先生の「歯科医師のための心理学」を、お届けいたします。

◇計画的行動理論

「わかる」だけでは実行できない

予防歯科という観点から、患者の毎日のケアの指導に力を入れているクリニックも多い。しかし、歯科医師や歯科衛生士がいくら懇切丁寧に指導しても、患者自身が実行してくれなければ効果は見込めない。

例えば、不規則な生活や夜遅く飲酒する患者に対し、就寝前の歯磨きを指導したとしよう。歯科医師の熱弁に、患者も目からうろこを落とし、「よくわかりました!」と答えて帰宅する。しかし、「先生に言われたように、ちゃんと寝る前に歯磨きしなくちゃ」と思ってはいるのだが、「眠いから、今日はさぼってしまえ」と歯磨きの実行につながらないケースも見られるのではないだろうか。

◇行動を促進する3つの要因

このように、「行為の重要さを理解する」ことと「行動する」ことには大きな隔たりがある。

「行動」につなげるには、どのような指導が有効だろうか。心理学では、特定の行為の「行動」に影響を与える要因についての研究が数多くある。今回紹介する「計画的行動理論」も有力なモデルの1つである。

この理論によれば、人の意図的な「行動」は「この行為をしよう」という意図(=行動意図)から直接の影響を受ける。さらに、この行動意図は①行動に対する態度(その行動に対して、本人がどの程度肯定的か)②主観的規範(その行動を、周囲の重要な他者がどの程度期待していると認識しているか)③行動コントロール感(その行動を実行できそうだと自覚している度合い)-の3つの要因によって規定される。

冒頭の例では①は満たしたが、②と③が不足していたと推測される。計画的行動理論を扱う研究には禁煙やダイエット、口腔衛生といった健康関連のテーマが多く、メタ解析によって、行動意図の約40%、実際の行動の約30%という、高い説明率を示すことが確認されている。

◇特に、コントロール感が重要

つまり、冒頭で例示した就寝前の歯磨き習慣を身につけるためには、次の3点を自覚させて行動意図を持たせることが有効であると言える。

①患者が口腔衛生維持の重要さを理解し、「そのためにも就寝前の歯磨きを実行することが大事である」という肯定的な「態度」を持つようにすること。

②家族や恋人が患者自身による口腔衛生の管理を望んでいるという「主観的規範」を患者にもたせること

③「私は口腔衛生の管理を実行できる」という患者の「行動コントロール感」を高めること

特にこのうち3つ目の行動コントロール感は「行動意図」と「行動」の両者に作用し、比較的大きな影響力を持つと考えられている。行動コントロール感を高めるには。就寝前の歯磨きを一度実行してみるように促す、歯科医師が「あなたならできる」と患者を励ます。どんなに泥酔しても就寝前には歯磨きをするという人の話を紹介する、などが有効である。

2009年9月29日 (火)

酒は百薬の長か、悪魔の飲み物か

本日は、歯科材料モリムラが隔月に発行している『クリニカル・M・リポート新聞』に出ていた野尻寛先生の「閑話休題」よりお届けいたします。

◇酒は百薬の長か、悪魔の飲みのもか

酒はたばこと並んで嗜好物のトップだが、たばこの弊害が明らかになって禁煙は世界的標準になった。

一方、酒はというと「酒は百薬の長」とも言われるように適量なら呑まないより呑んだほうがよい、というのが一般的な話だが、悪魔の飲み物とも言われている。

◇適量

酒飲みはいつも自分は適量呑んでいると思っているのだが、適量とはなんだろ。

一日の飲酒量に関してはWHOや厚労省の定めたアルコール摂取の適正基準というものがある。

欧米の古い話では、一日50mlという基準を見たことがあるが、現在では一日30mlから更に厳しくなって一日20mlという基準が適正として提示されている。15度の日本酒なら200mlで30ml,5度のビールなら500mlで25mlのアルコールを摂取したことになる。

『常習飲酒家』 日本酒に換算して一日平均三合飲む人

『大酒家』 日本酒に換算して一日平均五合以上、五日間以上継続して飲む人

◇アルコールと長寿

・一日30mlを摂取する人は呑まない人より長寿傾向があり、

・一日30ml以上を呑む人は標準より短命の傾向があり、

・大量摂取の飲酒傾向のある人は様々な病気との関連があり、より短命となる。

ところで、八年ぶりに見直された指針によると、ガンなどの疾病リスクを高めない摂取量は、男女とも純アルコール量で一日に20グラムまで。ワインで小さめのグラス2杯、ビール(アルコール度3.5%)なら375ml缶二本までとなっていて、前記の統計より少なくなっていてたばこ飲みに続いて酒飲みの肩身も狭くなりつつある。

十五度の日本酒を一合(180ml)でも27mlで多すぎ、150mlだと22mlとかなり厳しい、5度の缶ビール350mlだと17.5mlでこれなら合格。

これなら呑まない方がましだと思うかだが、実行する方は、きっと長生きをなさるだろう。

◇日常的にアルコールを呑む人

日本酒で一日平均二合以上三合未満を呑む男性ではガンになるリスクが1.4倍、一日平均三合以上のグループでは1.6倍になった。

日本酒一合はビールで大瓶一本、ワインでグラス2杯(240ml)、ウィスキーダブルでは一杯に相当する。

一日二合以上のお酒を飲むことによって、ガン全体の十三%が生まれる計算になる。

特に飲酒と喫煙が重なると危険度は一気に高まる。たばこを吸う男性だけに限ると、一日平均二~三合のグループでは1.9倍、一日平均三合のグループでは2.3倍もガンが出来るリスクが高くなった。

大腸ガンでは、一日平均二合以上のお酒を飲み、たばこを吸う男性の場合、お酒もたばこも取らない人に比べ発生率が三倍になる。

もし、お酒もたばこも世の中からなくなったら、男性の大腸ガンの約半分が無くなる計算になる

◇依存性

ところで酒の耽溺や依存性については、たばこの32%に比べてアルコールは半分以下の15%、大麻は更に弱く9%といわれていて、オランダでは大麻は解禁の傾向が広まりつつあると言われるが、我が国では違法である。

◇チャンポンと悪酔い

ちゃんぽんとは異種の酒を同時に呑むことをいうのだが、一般に悪酔いしやすいと信じられている。

特に醸造酒と蒸留酒をまぜて呑むと深酔いや二日酔しやすいと信じられていて、この考えはかなり定着している。

しかし、幾つかの実験に私の経験を加えると、例えばビールと焼酎と日本酒を同じ夜に呑んだとしても、総体としてアルコールの絶対量が適量であれば深酔いや二日酔いはしないということになっていて、異種の酒を呑んだときは結果的に飲み過ぎる事が多いので二日酔や悪酔いするのだ。

◇飲酒と頭痛

ワインと頭痛の関係が文春6月号に出ていて、血管を拡張して偏頭痛を招く物質たとえば赤ワインやオリーブオイルに含まれるポリフェノール、それに柑橘類やチョコレート、発酵乳製品に含まれるチラミン、ハムやソーセージなどの加工肉の保存料として用いられる亜硝酸ナトリウム、最後に化学調味料としてのグルタミン酸ナトリウム、この中の三種類が重なると頭痛が生じやすい。

赤ワインにハムやソーセージ、それにチーズ、オリーブオイルたっぷりのイタリアンなどという組み合わせはよくある例で、それは決してワインのせいではないことがわかる。

◇アジア人顔面紅潮症候群

今年の二月、ローマで開かれたG7における我が国財務大臣の醜態を思い出すまでもなく、我が日本人に酒の弱さには定評がある。

ALDH2次損はもともと東アジア人の四〇~五〇%に認められる遺伝性代謝障害で、肝臓のアルデヒド脱水酵素(ALDH2)の働きが阻害される。

ALDH2次損者がアルコール飲料を飲むと発がん性のアルコール中間代謝物質であるアセトアルデヒドが血中や組織に蓄積される。

飲酒習慣のあるALDH2次損者には、消化管ガン、肝臓ガン、遅延性アルツハイマー病、およびその他の重篤な健康障害と有意な関連があることが認められている。

長期にわたる健康リスクに加えて、アセトアルデヒド値の上昇は、顔面紅潮、頻脈(心拍数の増加)、頭痛、吐き気、めまいなどの症状を引き起こす。

ALDH2次損者は、飲酒による不快な反応に苦しみ、長期の健康リスクに直面しているにもかかわらずアルコールを常飲する割合が高い。

◇酒に弱い人の飲酒

同じような理由で、顔がすぐに赤くなる酒に弱い体質の人が飲酒と喫煙をすると、、食道ガンになるリスクが、飲酒も喫煙もしない人に比べ、最大190倍も高くなるということが、東京大学の中村祐輔教授と松田浩一助教の研究でわかった。

同じ体質の人でも、飲酒・喫煙をしないと、リスクは7倍程度さがった。

この研究でもアセトアルデヒドを分解する酵素の2つが、食道ガンのリスクに関連していることが明らかになった。

アセトアルデヒドは酒で気分が悪くなる原因物質で、たばこの煙にも含まれる。顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、日本人の四割がこのタイプ。

アセトアルデヒドを作る働きが弱いと気分が悪くなる前に、ついつい余分に飲んでアセトアルデヒドが増える。

飲酒・喫煙の影響についても調べたところ、酒に弱く2つの酵素の働きが弱い人が、一日缶ビール一本以上の飲酒と喫煙をすると、相乗効果が働き、酒に強く飲酒・喫煙をしない人に比べ、食道ガンのリスクが19倍も高くなっていた。

◇酒は憂さ晴らしに逆効果

よく憂さ晴らしに酒を飲むことがあるが、嫌なことを思い出しながら酒を飲むと、その効果が強められ、嫌なことを忘れようと酒を飲んで一時的に楽しくなっても、翌日には楽しいことを忘れ、嫌な記憶が強く残ることが東大の薬理学松木則夫教授の実験で明らかにされた。

所詮、人間は食べるために生き、生きるために食べるのだが、これを酒飲みに当てはめると、生きるために飲み呑むために生きるのだから、ま、お互い適当にいきましょう。

最終的には死ぬために生きていると考えれば、面白さは増すでしょう。

年をとってしまった友人達と久しぶりに会うと、

「しばらく呑んでいないと調子が良いな」という挨拶のあと、「では、呑もうか」という不思議な話になる。

酒は親しき友自体が体によくない。そういえば前立腺肥大の病因の1つに「親しき友」があったはずだ。

多量の飲酒が発がん性をもたらすことはかなり具体的に指摘されており、同じく多量の飲酒を続けると脳の萎縮をもたらしたり、アルツハイマー症の誘因になっているというデータも確率している。

どちらかと言うと酒飲みにネガティブなデータが多いのも事実で、やがては酒税の増税など、喫煙者に加えられていると同様のプレッシャーは免れえないだろう。

2009年9月22日 (火)

感情の老化防止ツール

本日は、和田秀樹先生の著書『人は「感情」から老化する』からお届けいたします。

◇感情の老化予防ツールがたくさんある時代

先日、朝日新聞の読者投稿欄に、九十一歳でパソコンのホームページ作成をはじめた女性の話が掲載されていた。

九十一歳の今も、特に体に悪いところはなく、百歳まで生きるような気がするが、いつまで外出できるかわからないので、今のうちからホームページを作って、そこで友達を増やそう、という話で、深く感動を覚えた。

こんなに若々しい、「超」高齢者もいるのだ。おそらく四十代、五十代でも、この九十一歳の女性よりも、前頭葉が老け込んでいる人はたくさんいるはずだ。

今どきはさすがに、コピーやファックスは部下に頼まないとできないという人は絶滅しただろうが、パソコンを使わない(使うつもりのない)人は、まだ結構いる。事実、先日もメールを送ろうとしたら、自分では開けないという五十代の人がいて驚いた。

インターネットの時代である今、「感情の老化予防ツール」はたくさんある。日記形式で文字を書いていくだけで、自分のホームページが簡単に作れて、写真も一緒に公開できるブログは、猛烈な勢いで開設者が増えている。すでに約九〇〇万人が開設していると言われ、その中には大評判を呼んでテレビドラマにもなった『鬼嫁日記』のようなものある。となると、妻の事が腹立たしければ、『もっとすごい鬼嫁日記』を書くというという方法だってある。

以前であれば、自己表現として小説やエッセイを書いても、まず発表の機会は無かったが、今や人気ブログはプロもアマチュアも関係ない。面白ければ、ネットの読者の支持を集めて、やがて本として出版されるというのはひとつの定番コースとなっている。

もちろん、日々の生活をデジカメと文章で記録して、かつそれを面白く読んでもらうには、かなりの工夫が必要だ。だが、それ故に奥深く面白いともいえる。

人気ブログを作るコツに1つは毎日更新することなので、ブログのネタを探して一日中格闘している「ブログ病」患者が急増している、とも言われている。だが、そのために通勤や散歩のコースを変えたり、常に被写体を探す目で周囲に注意を払っているのだから、脳への良い刺激になっていることは間違いない。

以前のホームページ作成に比べてブログは格段に簡単だ。反面、以前なら書いた文章を何度も読み返していたのに、そのまま投稿することが激増して、頭を使わない垂れ流しのような文章が多いという批判的な指摘もある。

だが、それでもやらないよりはやってみた方がずっといい。要は使い方であって、まずは実践してみることだ。能書きばかり言って、実践が伴わないのは、やはり前頭葉の老化と無関係ではない。

ツールはある。あとはアフターファイブをいかに感情の予防に使うかが問われている。

参考文献 人は感情から老化する 和田秀樹著 祥伝社新書

2009年9月17日 (木)

歯ならびが第一印象を左右する

本日は、デンタルトリビューン紙2009年9月号よりお届けいたします。

今回は、一般社団法人 日本臨床矯正歯科医会がインターネット調査を行ったデータをお送りします。

◇7割が「歯並びが第一印象を左右する」と認識

●●全国の男女1.000名を対象に●●

日本臨床矯正歯科医会(会長=平木建史氏)は、6月に全国で10~50歳代の男女1.000名を対象に『歯並びと矯正歯科治療』に関するインターネット調査を行いました。

その結果、「歯並びで第一印象が左右されると思うか」に対して、「思う」20.4%、「やや思う」52.2%と、合計72.6%が歯並びによって印象が異なることを感じている結果となりました。

特に、お見合いや入社試験、デート、商談といった重要な社会活動においては、歯並びが結果を左右する可能性があると認識されています。

「歯並びが美しい人から受ける印象」としては、「清潔感」や「健康的」、「上品」が上位を占め、同会は「日本でも米国のような意識が広がりつつある」とコメントしています。

◇9割は年齢制限があると誤解

さらに、「歯並びに自信がない」が46.2%と半数を占めており、「口の状態について当てはまるもの」(複数回答)では、「歯並びが不揃い」22.6%、「歯と歯の間にすき間がある」21.8%など、実際に不正咬合の疑われる人が全体で63.4%に達しました。

一方で、矯正治療に関する知識は乏しいことも明らかになりました。「舌癖が歯並びに影響する」について「知らない」が81.7%、「歯肉が健康ならば何歳でも治療可能」については「知らない」が86.9%でした。

つまり、半数は「歯並びに自信がない」と思いつつも、9割が治療には年齢制限があると誤解していることがあきらかになりました。

同調査では、「20歳代で矯正治療をはじめた人」が、2007年に8.1%、2008年に12.0%、2009年に15.4%と3年間で顕著に増えているという結果も示されました。

今後も継続して情報提供し、矯正治療を正しく理解してもらうことによって、さらなる潜在患者の掘り起こしにつながるだろう   と占めています。

2009年9月 9日 (水)

4000年前の骨格

本日は、デンタルトリビューン紙2009年9月号よりお届けいたします。

◇4000年前の骨格に歯牙欠損と歯根露出の痕跡

〔ドイツ〕米国アパラチアン州立人類学助教授Gwen Robbins氏およびインド研究チームは、ハンセン病の痕跡を示す最古の骨格がインド北西部のウダイプル近郊で発見されたとPLoSONE(2009;4:e5669)に発表しました。

◇最古のハンセン病のエビデンスに

今回発見されたのは4000年前の成人男性の骨格であり、Robbins氏らは解析の結果、歯牙欠損や歯根露出などの状態からハンセン病の痕跡だと推定しました。

これまでのハンセン病の起源について、約5万年前に現代型ホモ・サピエンスがアフリカを去った際に伝播したものが、紀元前4世紀頃にインドから伝播したか、不明でした。

歴史学者は、紀元前1550年頃に書かれたサンスクリット語の賛美歌『アタルバ=ベーダ』にハンセン病について記されていることや、紀元前4世紀にアレクサンダー大王の軍がインド遠征から帰国した直後にヨーロッパで最初の症例が報告されたことから、ハンセン病の起源はインド亜大陸であると考えられてきました。

一方で、多くの生物学者はハンセン病の原因となるらい菌は容易には伝播せず、ヒトの間で長期間密接な接触が必要であるため、都市での密集した暮らしや長期間密接な接触が必要であるため、都市での密集した暮らしや長距離貿易が開始した紀元前約3000年以前は伝播していなかったと主張していました。

ロンドン大学感染症講座のHelend,Donoghue氏は、「今回の歯牙解析により、アレクサンダー大王の軍が遠征先のインドからハンセン病を持ち帰ったという学説を裏付けられた」と高く評価しました。

ハンセン病は最終的には末梢神経障害を発症し、皮膚の感覚麻痺や筋肉の衰弱を引き起こします。長期間ハンセン病を患う患者は、感覚麻痺による負傷を繰り返すため四肢の使用が不可能になります。感染力は強くないですが、潜伏期が長いため感染時期や場所の特定が難しいのです。

世界で約25万人が発症し、特にインドは患者数が最も多い国の1つであり、2007年の新たなハンセン病患者数は13万8000人でした。さらに、一生涯ハンセン病の障害を抱える患者数は約200万~300万人以上であるといいます。

2009年9月 2日 (水)

八重歯がかわいいといわれるのは日本だけ

本日は、荒木和彦先生の著書『知性は歯から』よりお届けいたします。

◇八重歯がかわいいと言われるのは日本人だけ

ここ数年、国全体が不景気と言われている中、飛び抜けて業績をあげているのは、ブランド企業なのだそうです。

一流といわれるブランドの服を着てバッグを持って、日本の女性は世界でも最もおしゃれな人たちといっていいでしょう。

ただ、本当の美しさを手に入れるという意味では、私は、「もう少し自分自身に投資してもいいのでは?」と思わずにいられません。

ハワイに住むアメリカの友人は、以前こんな事を私に聞いてきました。

「日本人は歯ならびを治すお金もないのに、どうして海外旅行ができるのか」と。

確かに、テレビや映画に登場する欧米の俳優やタレントは、誰もが見事に整った歯ならびをしています。とはいえ、彼らが生まれながらに美しい歯ならびを持って生まれてきたのかといえば、決してそうではありません。

欧米人、特にアメリカ人は、他人からの視線や好感度を、非常に重要なものだと考えています。ですから不揃いな歯ならびは、幼児期に治療されるケースが圧倒的です。

アメリカでは12歳の子どもの約70%が、歯科矯正の治療を受けているというデータがあるほどです。子どもがある程度の年齢になったら、矯正歯科医のもとを訪れ、将来的に矯正治療を受ける可能生があるかどうか確認することも、ごく普通に行われています。

よく耳にするエピソードですが、日本で可愛いと言われる八重歯も、“Devils teeth(悪魔の歯)”と呼ばれ嫌われています。

極端な話、ある程度の年齢で八重歯があったり、歯並びが悪かったりすると、「あの親はどうしたんだろう?」と思われてしまう程、歯並びに対する意識は高いのです。ですから、子どもの歯ならびは親が治して当然、という常識が浸透しています。

さらに話がセレブリティや俳優に及ぶと、歯並びに対する意識はより厳密なものとなります。

アメリカでは男性であっても、歯並びが悪い人がビジネスで成功することはあり得ない、とさえ言われています。これは歯並びが悪い=自己管理能力がない、と見なされるからです。

女性に関しては、歯並びのトレンドさえ存在します。例えば、現在のトレンドは、前歯がズラッと一気に並んだような歯並びです。流行に応じてファッションを変えるように、歯並びさえも自分の理想のプロポーションを追求するのですね。

日本人同士なら、例えば衣食住の中では、ファッションにお金をかけるけれども、住む所は六畳一間のワンルーム、といった感覚が、当たり前のように通用します。でもこんなところは、欧米の文化ではあり得ない話です。

彼らにとってはの豊かな生活とは、第一に自分の健康であり、快適な住まいがあってこそ。

欧米の考え方がすべて正しい言うつもりは毛頭ありませんが、自分の身体や生活の土台こそお金をかけるという姿勢は、日本人もこうすこし見習ってみてもいいのではないのでしょうか。

実際、歯並びの良さは、日本以外のほとんどの国に共通する美意識の表れです。高価なブランドものは買うことが出来ても、自分の身体に投資しないのでは、本質的な意味でのおしゃれとはいえないと思うのですが・・。

たった数本の歯を治療するだけで、顔の輪郭までもが変化します。食べ物も楽に噛めるようになるため、肌の調子が良くなったとおっしゃるかたもいます。

実際人間の顔は、噛むことによって肌表面の細胞が活性化されていくのです。細胞が活性化するということは、肌がそれだけ生き生きとして、ハリを保っていられることを意味します。

こうなると気分も変わってきますから、物事に対して積極的になれたり、性格が明るく前向きになれたなど、まるで別人の人生の扉が開かれたのと同じような効果が生まれてくるわけです。

とはいえ、「たかが歯ならび」と思われる方もいるでしょう。でも私がこれ程歯ならびの良さを重視するのは、それが単に見た目のことだけでは済まされない、重要な問題をはらんでいるからなのです。

◇“美食同源”が人生の基本

歯ならびが悪いということは、多くの場合、“かみ合わせ”も悪いことを意味しています。

そして、かみ合わせの悪さが原因で、発音が不明瞭となり、さらには顔の歪みや身体の歪みを招くことすらあるのです。

きちんと物が噛めて、鮮明な発音が出来るなど、本来の口腔機能を維持する、あるいは向上させながら、外見的にも美しく整った歯ならびをつくる。審美治療とは、本来こういった目的を主眼として、行われるべきものです。

ですから審美治療について、単に見た目だけの美しさを追求する治療だと、安易な解釈をするのは大きな過ちです。審美治療を受けようと思っている皆さんご自身も、こういった認識をもって治療に臨まれるのが、トラブルを未然に防ぐ一つの方法なのではないかと思います。

私は一人の歯科医として、“美食同源”という言葉をコンセプトに治療を進めています。

人間の歯は、食事のために顎を動かすとき、本来きちんとした運動が出来るようになっているものです。つまり、おいしいものをおいしく食べられる歯と、美しい歯ならびというのは、本来同じものであるはずなのです。

顎の状態を良好に保ち、歯肉も健康で、なおかつ美しい歯並びで毎日を過ごせたら。その後の長い人生は、心からの笑顔にあふれた、すばらしいものになると思いませんか?

参考文献 知性は歯から 荒木和彦著 愛知出版

2009年8月 7日 (金)

大統領をも悩ます入れ歯

本日は、医学博士であり、さとう歯科院長の佐藤満先生の著書『入れ歯相談所』よりお届けいたします。

◇大統領をも悩ます入れ歯

どんなに偉い人であっても、あわない入れ歯には相当悩まされていたようです。アメリカ合衆国の初代大統領のジョージ・ワシントンもその一人です。

当時の入れ歯は上下の入れ歯がバネでつながっていて、そのバネの力で口の中に押さえつけるものでした。

ワシントンの肖像画を見ると、口元が一文字にしっかりと結ばれ、きびしい表情をしています。

非常に気難しい印象を受けます。しかし、これは威厳を出そうとしているわけではないのです。唇を閉じて、力一杯かみしめておかないと、入れ歯が飛び出してしまうからなのです。

強力なバネの入れ歯ですから、その力で入れ歯は歯ぐきに食い込んで痛いですし、食事にも困っていたようです。

3期目の大統領選挙を拒否した理由の1つに、入れ歯のためにまともな発音が出来なくなり、人前で演説するのが嫌になったから、という説もあります。それほど悩まれていたわけです。

イギリスのエリザベス一世もむし歯に苦しんで前歯を泣く泣く抜いたそうです。その後に入れ歯を作ったようですが、口を開けてはいけないと言われていたぐらいですから、とても人には見せられない飛んでもない入れ歯だったのでしょう。

笑う時も口を手や扇子で覆うというエチケットが出来たのも入れ歯のせいだと言われています。

日本ではどうでしょう。

南総里見八犬伝を書いた滝沢馬琴は、入れ歯を3両でつくったのですが、痛いし、あわないで高すぎると怒ったそうです。

東洋、西洋を問わず、入れ歯の評判は昔から相当悪かったようです。

参考文献 入れ歯相談所 佐藤満 ブイツーソリューション

2009年7月28日 (火)

「シュガーレス」と「ノンシュガー」はどう違う?

本日は、安田 登先生の著書『チームで取り組む 象牙質知覚過敏症~しみる!痛い!にどう対応?~』よりお届けいたします。

◇「シュガーレス」と「ノンシュガー」はどう違う?

最近、ダイエット食品やう蝕予防のためのガム、飴などに「ノンシュガー」、あるいは「シュガーレス」という表現が使われています。

さて、中身がどう違うのか興味があるところですが、実は表現は異なるものの定義は全く同じです。どちらも砂糖を使用していない、砂糖が少ない、つまり“無糖”を意味しています。

厚生労働省の栄養表示基準では、「ブドウ糖、果糖などの単糖類、砂糖、乳糖、麦芽糖などの2種類が、食品においてはも、飲料においても0.5%未満である必要がある」と定められております。

ノンシュガー、シュガーレスといっても甘いわけではなく、甘み成分には糖アルコール(エリスリトール、キシリトールなど)、非糖分系の天然甘味料(ステビアなど)、人工甘味料(アスパルテーム、サッカリンなど)が使用されています。これらは う蝕原因菌の餌とならない甘み成分といえます。

歯科関係者の一部で「ノンシュガー」と「シュガーレス」を別の物としてとらえる説もありましたが、残念ながらそれはまった根拠のないことであるといってよいでしょう。ちなみに「微糖」「低糖」「低シュガー」「糖分カット」「シュガーカット」などの表現をしているものは、食品では100g中5g以下、飲料では100ml中2.5g以下であることが必要とされています。

話はそれますが、「シュガーレス」、「ノンシュガーレス」といっても「ノンカロリー」ではないことに注意しましょう。甘味料の中には砂糖よりわずかだけカロリーが少ないものもありますし、第一、糖分の他に生クリーム、バター、卵などが含まれていれば、当然のことながら「ノンカロリー」ではありません。いずれにしても表示にはだまされないようにしなくてはいけませんね。

参考文献 チームで取り組む 象牙質知覚過敏症~しみる!痛い!にどう対応?~ 深川優子 安田登著 クイッテッセンス出版

2009年6月30日 (火)

見た目で判断することのリスク

本日は、デンタルトリビューン紙2009年6月号の高橋美保先生の『歯科のココロ 患者ココロ』よりお届けいたします。

◇見た目で判断することのリスク

「この人はきっとこういう人」

人は見た目が9割・・・・ではないが(実際9割という数字に科学的根拠はない)、私たちは自分でも気付かないうちに人を見た目やイメージで評価している。

患者がへの字口をした高齢男性なら「頑固そう」と判断した経験はないだろうか。こうした、典型的な型に当てはめる人の見方を「ステレオタイプ」、あるいは、より広い概念として「暗黙の性格観」という。

言い換えれば、ステレオタイプとはわれわれが社会生活のなかで身につけた「あるカテゴリーに属する人に典型的な態度や行動に属する知識」である。

ステレオタイプの利点は、例えば初診患者であっても、外見や職業など少ない情報を手がかりにどんな人かを想定し、相手とのやりとりをスムーズに進められる場合などである。

◇その思い込み、凶暴につき

もちろん、欠点もある。ステレオタイプ的な思い込みによって、個人の固有性を軽視してしまうという点である

初診患者が“くたびれた服を着た高齢女性”であることから、歯科医師やスタッフが「老齢のまずしそうな女性→理解力や動機づけが低そう」と乱暴に判断し、説明を簡素にすませてしまうような場合である。

その患者が外見とは別に高い教養と治療意欲を持っていた場合、「あのクリニックは説明をおざなり」と謗りを受けることにもなりかねない。

ステレオタイプ的な判断が不正確な評価に結びつくことを示した実験がある。被験者に小学生女児の日常場面や学習場面の映像を見せ、学力を推定させる実験である。被験者は、日常場面の映像で女児の家庭が「貧困家庭(低学力予想)として描写されるか、また、見る映像が「日常場面のみ」か「日常場面+学習場面」かで、2×2の4群に分けられた。各群に映像中の女児の学力を推定させた結果、「日常場面のみ」を視聴した2群ではその値にほぼ差がなかった。

“ステレオタイプの呪縛は強い”

ところが、「日常場面+学習場面」の2群は、同じ学習場面を視聴したにもかかわらず「貧困家庭(低学力予想期)」群よりも「中産階級(高学力予想)」群が有意に女児の学力を高く推定していた。

さらに後の調査によって、前者の群は学習場面の映像によって女児の間違える場面ばかりに注目し、後者の群では正解を答える場面ばかりに注目していることが明らかとなった。

つまり、日常場面ばかりに注目していたことが明らかとなた。つまり、日常場面の映像で〈貧困家庭→低学力〉、〈中産階級→高学歴〉というステレオタイプが被験者に働き、その予断を裏付けるような点を裏付けるような点に注目して視聴したために、学力の判断に差がでたのである。

注目すべきは、①ステレオタイプに基づく判断は自分で気がつかないほど自動的・無意識的に行っているため、修正の機会が少ない点②ステレオタイプに合致しない情報は「例外ととらえられる点である。われわれは普段出会う相手に対して、外見や職業、出身地、ときに血液型さえふくめ、ほぼ自動的にステレオタイプ的な認知や判断を行っている。冒頭で述べたように利点もあるが、「人を見た目で判断する」ことのリスクにも常に自覚的でありたい。

2009年6月26日 (金)

ティラノザウルスの歯

Yahoo!ニュースにこんな記事が出ていました。以下全文です。

日本最大級の草食恐竜「丹波竜」が見つかった兵庫県丹波市の「篠山層群」下部層(前期白亜紀、約1億4000万~1億2000万年前)で、大型の肉食恐竜ティラノサウルス類の歯の化石が見つかった。推定される体長は約5メートルで、これまで考えられていた同時期のティラノサウルス類の約2倍の大きさという。

 発掘した同県立人と自然の博物館(同県三田市)は「大型化の年代が大幅に早まる可能性があり世界的に貴重」としている。27日に千葉県である日本古生物学会で発表する。

 化石は長さ約1.8センチ。先端が欠けたものと合わせ計2本が、今年1~3月に見つかった。

 同類は中生代ジュラ紀の約1億6500万年前に現れ、約1億2500万年前までの原始的なタイプと、後期白亜紀以降の進化した大型のタイプが見つかっていた。国内では石川県や福井県などで同じ前期白亜紀のものが見つかっているが、いずれも小型だった。同館の三枝春生主任研究員は「進化の年代が大きく変わる可能性があり、見つかった地層の年代を再度確認したい」としている。【粟飯原浩】
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しろくま歯科医院は『歯』に関することはなんでもお伝えいたします!

2009年4月26日 (日)

最も魅力的な特徴は・・・・・

本日は、デンタルトリビューン紙 2009年4月号よりお届けいたします。

◇最も魅力的な特徴は『笑顔』~男性もオーラルヘルスに感心を~

(米国)他人の何にもっとも魅力を感じるのか?

米国歯科医師会(ADA)およびプロクター・アンド・ギャンブル社が協同で行った全米での電話アンケート調査により、他人に対して最も魅力的に感じる身体的特徴は瞳や鍛え上げられた身体を抑えて男女ともに「笑顔」であること、および、米国の口腔ケアの習慣が報告されました。

◇18歳以上、1000人を対象に

同調査は2月11日付けのADA(米国歯科医師会)プレスリリースで報告されました。調査方法は電話によるアンケート形式であり、対象は米国住居者から無作為に抽出した18歳以上、1000人とし、電話時間は平均22分でした。

アンケート内容は「最も魅力的に感じる身体的特徴」や「健康維持のために必要な習慣」、「口腔ケアの習慣」を尋ねるものなど多岐にわたりました。

「最も魅力的に感じる身体的特徴」としては事前に用意された5項目(素敵な笑顔、美しい髪、きれいな瞳、きれいな肌)のうち、「素敵な笑顔」の選択率が男女とも高かったのです。

一方で、「素敵な笑顔」の構成要素の一つとなる口元において口腔ケアが重要となりますが、その意識は高いとはいえない結果でした。

◇男性で低いブラッシング率

「口腔ケアの習慣」については性差が認められ、、ブラッシングを2回/日以上行う割合は女性が86%であるのに対して、男性ではわずか66%でした。

また、歯ブラシや電動歯ブラシのヘッドの交換頻度は、女性が平均3~4ヶ月ごとであるのに対し、男性は平均5ヶ月間使用し続けていることが分かりました。

さらに、デンタルフロスを使用して、1回/日以上歯間清掃するをする人は残念なことに半数に留まりました。また、3分の1が、ブラッシング時の多少の出血を「正常」と捉えており、歯周病やその他の疾患の可能性があるということについて知らない人が多い結果になりました。

口腔の健康は全身の健康維持のためにも重要であり、口腔ガンをはじめ口腔にも症状が認められる全身疾患もあるため、定期的な歯科検診は重要です。ADAで患者相談を担当しているAda Cooper 氏は「われわれ歯科医師は、自分の口腔の健康状態を常に把握しておくことの重要性を伝え続けなければならない」とコメントしています。

2009年3月24日 (火)

対人関係は三者のバランスから~認知的均衡理論~

本日は、デンタルトリビューン紙 2009年3月号より、群馬大学非常勤講師の高橋美保先生のコラムよりお届けいたします。

◇好きな人の好むものを好きになる

「先生の腕はよいが、医院の建物が古すぎて居心地が悪い」、「歯科衛生士(DH)さんは優しくて信頼できるが、院長先生が無愛想で苦手だ」など、患者にとって歯科はいつも完璧に満足できるところとは限らない。

しかし、「院長先生が苦手だったので行きたくなかったが、信頼できる衛生士さんが院長を尊敬しているということが分かり、通い続けることにした」などと、態度が変化することもある。

このように、認知する2つの対象間にずれがあるとき、人は態度を変えることでずれをなくそうとする傾向があります。認知のズレや矛盾は心理的な不安を招きやすいからだ。「衛生士さんは好きだが院長先生が苦手」という状態は心地よいものではない。そうした不安を減らそうと、意識的・無意識的に態度変化が起こる。

バランスをとるため、好・悪が変化

心理学ではこうした態度変化を説明するモデルとして「認知的均衡(バランス)理論」がある。P(自分)-O(他者)-X(対象)という三者関係を扱うので「P-O-Xモデル」とも呼ばれている。

P-O、O-X、P-Xに対して、それぞれ好き-嫌い、信頼-不信といった心情関係を、肯定的な関係なら「+」、否定的なら「-」と符号化する。この三者関係が均衡状態か否か、不均衡な場合はどこの関係に態度変化が起こるかを予測、説明するモデルである。

この3つの符号の積が「+」になる状況はPにとって安定した均衡関係となり、態度変化は起こらない。すべての関係が「+」であるに越したことはないが、例えば「患者(P)は衛生士(O)を信頼している(+)が、院長先生(X)は苦手である(-)うえに、院長先生と衛生士の信頼関係が出来ていない」という場合も該当する。

ただし、後者の場合、衛生士が転院してしまえば、患者も転院してしまうことが予想出来る。

◇患者さんの来院行動を促進するために

さて、冒頭の例に3つの符号の積が「-」になるのは、不均衡な関係といえます。不均衡な関係は不安定な状況であり、患者(P)の態度変化が起こりやすくなる。考えうる態度変化は①院長先生を怖いと思わなくなる②衛生士を信頼しなくなる-の2つが予想される。この理論では、PとOのい二者間計がもともと「+」の場合、その関係は変化しにくいと考えるためである。

また、P-O-Xのうち二者関係が明確になり、新しく好意的な均衡関係がつくられることがある。例えば、通院中のサッカー少年(P)が、院長先生(O)もサッカー(X)のファンであることを知ったとする。すると、それまでなんとも思っていなかった院長先生に親しみが沸いて通院も楽しくなり、受診に積極的になることが予想される。

均衡した対人関係は安定的で長続きする。患者やスタッフ同士の良い関係と持続させたいと思うとき、こうした身の回りの三者関係をチェックしてみるのもうよいかもしれない。

2009年3月18日 (水)

遅刻何分まで許せる?

本日は、日本経済新聞 平成21年3月14日分のPLIS1(プラスワン)よりお届けいたします。

◇遅刻、何分まで許せる?

待ち合わせの際に、相手の遅刻を何分までなら許せるだろうか?インターネット調査会社のヤフー・バリュー・インサイトを通じて聞いた(二月下旬実施、有効回答率数千)ところ、プライベートな約束の場合は三割の人が「二十分以上三十分未満」でも許せると答えました。

プライベートな待ち合わせの場合はおおらかに構える人が多いようで、「三十分以上」でも許すという人が十五%いました。一方、自分が遅刻した場合は何分までなら許されると思うと訪ねると「十分未満」で、意識の上では自分に厳しかったようです。

時間厳守のための道具として、インターネットを使ったルート検索が一般化している様子。事前に乗り換え案内や地図を検索しているかを聞いたところ「必ず検索する」「検索することがおおい」が合わせて約八割でした。

携帯電話の普及により、遅刻しそうな場合に一報を入れやすくなったことで、相手をイライラさせることが減ったようです。もっとも“便利さ”ゆえに怒りを増幅させることもあるので要注意です。

「携帯電話を使った遅刻の事前連絡で許せない態度」を聞いたところ「悪びれない」「誤らない」「約束の時間が過ぎてから連絡してくる」といった軽い態度がやり玉に。「携帯があるからと、約束にルーズになる人がおおい」(五十代男性)という指摘もありました。

◇「何分後に着く」を伝えて

仕事関係も含めた待ち合わせの際の注意点について、企業のマナー研修などを手掛けるウィズ・リミテッド(東京都港区)日本代表の西出博子さんにアドバイスしてもらいました。

調査では仕事上のアポイントに関して「必ず五分以上前に着く」「早く着いても、十分以上早く面会を求めるのは好ましくない」と答えた人がともに九割を越えました。いずれも基本的なマナーですが「大きな企業だとエレベーターをまったり、受付に時間がかかったりすることがある」と西出さん。「約束の時間ちょうどに担当者に面会出来るよう、こうした時間も計算にいれておくように」

遅刻の理由として「寝坊しました」と言うのは、ビジネスの場では失礼にあたるとも。時には正直な説明よりも「電車が遅れたといった交通機関に関する理由を挙げた方が無難」。スムーズに仕事に入ることが出来るからです。

「体調が悪かった」と明かすのも、相手に自分のイメージを考えるとマイナスです。電話で遅刻することを伝える際は、あれこれ言い訳するより「まずお詫びをし、何分遅れそうだ、何分後に着く、という結論から伝えることを優先するように」ということです。

ホームパーティーに招かれた場合、相手の家に「ちょっと遅れて訪問する」「ちょっと早めに訪問する」と答えた人がともに約四割でしが、どちらが正解か。招いた側の準備を考えると「正式なマナーとしては、数分遅れて到着すべきだ」そうです。

もっとも、レストランの予約に関しては、高級店であればあるほど時間厳守がマナー。「遅くなるなら連絡を入れるのは当然だが、店側の予約も考慮すると十五分が限界ではないか」と話します。男性と女性の待ち合わせでは「出来る限り男性が先に到着するのがよい」

2009年2月 7日 (土)

古代人の食生活を推定

本日は、デンタルトリビューン紙2009年2月号よりお届けいたします。

◇プラークで古代人の食生活を推定

〔米国〕数千年前に、現在のペルーにあたる地域に暮らしていた人々はどのような食生活をしていたのでしょう。

当時の口腔衛生状態が不良だったおかげで詳細に解明する手がかりを得ることができ、彼らが栽培していたと思われるカボチャや豆など農作物の痕跡が見つかったことがThe proccedings of theNational Academy of Sciences USA 〔2008:105:19622-19627〕に掲載されました。

◇農作物の栽培も

同研究は、スミソニアン熱帯研究所および国立科学博物館所属研究員のDolores Piperon氏と、バンダービルド大学考古学教授のTom Dillehay氏によって行われました。同氏らは、およそ5.500~9.200年前のペルー北部Nanchoc谷の定住地跡と思わしき円形家屋状構造体から発掘された、6~8人のヒトから採取した39本の歯を対象とし、採取したプラークを分析しました。

その結果、豆、ピーナッツ、カボチャ、現地でパカイと呼ばれるフルーツを食べていたらしいことがわかりました。

これらの歯は、6.970~8.210年前のものと同定されました。ほとんどの歯からデンプン質穀類が検出され、約1/3の歯には大量のデンプン質穀類が付着していました。

同氏らは「本研究の結果から、これらの時代には既に農作物の栽培が行われており、当時の食生活の痕跡が現代に至るまで保存されていたことがわかりました。さらに、それらの穀類のなかには調理されているものもあったようだ」と指摘し、「歯から採取された穀類の詳細な分析によって、ネアンデルタール人と現代人との栄養学的差異など、古代人のさまざまな謎が明らかにされることが期待される」とまとめました。

2008年12月10日 (水)

歯のゆらぐ男と口臭き女

本日は、磯村寿賀人先生の『おもしろい歯のはなし60話』よりお届けいたします。

◇歯のゆらぐ男と口臭き女

歯科の二大疾患はむし歯と歯槽膿漏(歯周病)です。昔の人たちはそれらが引き起こす痛みと歯がなくなる不自由さに苦しめられたようです。

むし歯は歯が腐ってボロボロと朽ちていくのが目に見えるので、口の中に目に見えない虫がいて、それが歯に取り付いて腐らせるのだと考えられてきました。

しかし、歯槽のうろうでは健全な歯がグラグラと動き出して、ついには抜け落ちてしまうその不思議さをどう解釈したらよいのかと、とまどいを見せています。

歯の根のまわりに悪い液状のものがたまって、それが歯の根を押し上げて歯がぬけてしまうのだと考えてもいたようです。

中国の『病原候論』という書物には、「歯漏(しろう)」として、「手の陽明の支脈は歯に入る。風邪経脈に客として歯根に流体して齦を腫らし膿汁を出さしめ、癒えて更に発る。これを歯漏という」と記されています。

歯肉が腫れて膿みが出る症状として、歯槽にうろうのことが書かれています。

唐の詩人韓癒に次のような詩があります。「去年は一つの牙(奥歯)落ち、今年は一つの歯(前歯)落ちぬ。俄然として落つこと六つ七つにして、落ちる勢いは殊にいまだやまず、あとに存(残れる)するものみな動揺し、すべて落ちてのちおそらく始めて止むべし」と。

歯がつぎつぎと失われていくのにどうするすべもない無力さをなげいています。

日本では、『病の草子』という絵巻物に、歯槽のうろうに苦しむ男女の様子がおもしろおかしく描かれています。平安時代から鎌倉時代にかけて後鳥羽上皇に仕えた土佐光長の作と言われています。生老病死に苦悩する人々のありさまや病相が描かれていて、疾病の図録としては世界最古のものと言われ、国宝に指定されています。(写真は京都国立博物館のHPより)

その中に、「歯のゆらぐ男」と題して、「おとこありけり、もとよりくちのは、みなゆるきて、すこしも、こわきものなれば、なましひに、おち抜くることはなくて、ものくふ時にさわりてたえかたりけり」とあり、中年の男が食事をしながら、口を開けて痛む歯を女房に見せている絵が描かれています。表情豊かで、当時の庶民の生活ぶりが伺われます。

もうひとつは、「口臭き女」と題し、「宮こに女ありけり、みめ。かたち、かみすかた(髪、姿)あるいかしかりければ、人さこしにつかいけり、よそに見るおとここころをつくしけれとも、いきのか(息の香)あまりにくさくてちかつきよりぬれは、はなをふさきてにけぬ。たたうちいたるにも、かたはらによる人くささにたえかたかりけり」との詞書があり、中年の高貴な身分の女性が歯をみがいているそばで、女官がたもとで口をおおって臭いを防いでいます。あまりに口臭がひどいので、男に逃げられてばかりいるとの説明書きには苦笑させられます。「歯がゆらぐ」とか「口臭がする」というとは、おそらく重度の歯槽膿漏にかかっていたと思われます。

参考文献 おもしろい歯のはなし 60話 磯村寿賀人著 大月書店

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2008年11月 4日 (火)

歯科医療はなぜ誤解されやすいのか?

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版 「なるほど現代歯塾~健康で快適な生活のために~」よりお届けいたします。

◇歯科医療はなぜ誤解されやすいのか~一生懸命やっているつもりですが~

当事者だからなのでしょうか?歯科医療に対しては、多くの方が疑問や不満をもっておられるように思うのです。

歯科医師に寄せられるクレームには、スタッフによる配慮の足りない一言、治療の内容について、治した歯の色や形への不満、時間や回数がかかりすぎる、何度治しても再発する、自費診療の金額等々種々さまざまで、心して改めるべき点もありますが、中には歯科医療の性格上ある程度しかたがないことや、患者さんの理解不足や勘違いによるものも少なくないのです。

これからお話しするのは、週刊誌やTVのワイドショウなどで、おもしろおかしく取り上げられるような問題の駄目歯医者や、法外な治療費を要求するような悪徳歯科医師のいいわけではないつもりです。

歯科疾患や歯科医療の特異性などを理解していただくことで、私たち歯科医師との間によりよい信頼関係を築くことが出来れば、それが患者さんの歯や口腔の健康に大いに役立つということを、いくつかのクレームの例をあげながらお話して見たいと思うのです。

◇治したはずの歯はまた悪くなった

虫歯を治しに行くと、歯科医師は虫歯の部分を削り、金属やプラスチックを詰めます。痛くなると、今度は神経を取ってその部を埋めます。虫歯を治したいといっても、悪くなった組織を取り除き、それ以上悪化しないようにしたうえで、失った部分を人工物で置き換えただけのことで、決してもとの健康な組織に回復したわけではありません。

一方、手に怪我をして、病院で手当を受けた場合はどうでしょう?医師は傷を消毒して縫合し、傷が治るのを待ちます。つまりは、患者さんの治癒力が有効に発揮しうる環境を整えただけなのですが、しばらくすると傷口はふさがり、もとの健康な皮膚でおおわれます。

どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか?皮膚は再生するのに対し、歯は再生しないからです。一度失った歯は二度ともとには戻りません。

手の傷が治ったということと、虫歯が終わったといっても、健康な歯と比べると欠陥だらけなのです。

そいうわけで、治療を受けた歯は、治療の履歴のない健全な歯に比べると、症状が再発したり、さらに深刻な状況に陥ったりする可能性が高いので、術後のフォローアップが重要になってくるのです。

◇治療期間が長い、治療回数が多い

年末が近づいてくると、「毎日でも通うので、お正月までに歯を治して、おせち料理をおいしく食べられるようにして欲しい」といって来院される方が毎年何人かおられます。こういう方は、歯の治療も家を建てたりするのと同じで、突貫工事さえすれば、工期が簡単にできると思っておられるようです。

入れ歯や冠(クラウン)は、ものを作るということなので、歯科技工士ががんばってくれればその分早くできるかもしれませんが、歯肉の腫れを治したり、神経の治療をしたり、歯を抜いた後の歯肉の治癒を待つというような場合には、期間の短縮はできないのです。

歯科の治療は、患者さんの治癒力を利用して治すステップと人工の歯を作るステップからなっており、それ相当の期間、回数が必要なのです。

☆治療費が高い、明細が不明瞭

保険診療を前提に考えると、日本の治療費は、欧米諸国に比べかなり安いといえます。ちなみに歯科先進国であるアメリカの場合、日本の数倍から10倍程度の治療費がかかるうえに、日本のような健康保険制度がないので、個人で費用負担しなければなりません。

アメリカ人は、もともと歯の健康に対する意識が高く、歯を非常に大事にする国民だといわれていますが、これは治療費が高額なためにそせざるをえなくなったともいえます。また、民間保険では、定期検診の費用が支払われるので、予防に熱心になるという事情もまります。

反対に日本では、国民皆保険制度の手軽さゆえ、痛くなるまで放っておくような方がいつまでたっても減らないのも事実です。また、一方、歯科医院側としては、いくら十分な時間をかけて丁寧に診察しても、受け取る保険診察報酬は変わらないので、出来るだけコストを削減し、少しでも多くの患者さんを診ようとする傾向もあり、こういう事情から、日本の歯科医療のレベルが一部で低下したり、診療内容とその治療費の関係が不透明になったりということも否定出来ません。

最近では、この解決策の一つとして、保険診察においても治療の内容のわかる明細領収書の発行が義務づけられています。

実のところ、クレームなどだれもつけたくないし、聞きたくもないはずです。そのためには、術前に納得がいくまで主治医と話し合ったうえで治療を受けて頂くことが重要ですが、一番望ましいのはなるべく治療をうけないことです。これは決して歯科医院に行くなということではなく、治療を受ける必要のない状態に自分の歯を保つということです。これからは、虫歯を治すためではなく、虫歯にならないように歯科医院を利用していただければと願っています。

参考文献 なるほど現代歯塾~健康で快適な生活のために~ 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 医歯薬出版

2008年9月 9日 (火)

徳川将軍家に見る退化小実験

本日は、丸橋賢先生の著書「退化する若者たち」の中から、お送りいたします。

徳川将軍家に見る退化小実験

骨は語る

徳川家の将軍は家康に始まり、十五代の慶喜で終わりますが、この間の頭骨や歯列の変化を調べた貴重な研究があります。

東京大学理学部の人類学研究教室の教授であった鈴木尚氏の研究で、「骨は語る-徳川将軍・大名家の人々」(東京大学出版会)にまとめられています。

江戸時代の庶民とはまったくかけ離れた生活をしていた将軍の骨や歯列は、当然の結果として当時の庶民のものとは違います。

同一の民族でも隔絶した環境と食生活をしていたのだから、これはまさに退化の実験ですし、しかも極めて実施しがたい貴重な実験であります。この結果が語る事実から学ぶべきことは非常に大きいです。

将軍の食生活は、豆腐、鶏卵を用いた料理、刺身、赤貝の丸煮、ハマグリの吸い物、焼き物などのほか、アワビの貝類に昆布を敷き、クワイ、エビ、タイ、ミツバ、シイタケ、松茸などを入れ、卵をかけて煮たものなどが共されていました。

すべて毒味役が確かめられたのちに食されたと鈴木尚氏は記します。そのような食生活と歯や骨との関係について、次のようにまとめています。

「将軍の中で六十歳という最高齢で死亡した十二代家慶の場合、すべての歯は咀嚼による摩耗(咬耗)がまったくなく、どの歯もそれらが生え出た青年の頃そのままの状態で、しかも各咬頭は真珠のように滑らかで、かつ光沢がありました。いわんや、それより若い他の将軍にあっては、なおさらのことであります。つまり、当時のみならず、現代の庶民に比べても歯の咬耗が甚だしく少なかったことが、将軍の歯の特徴です。このことから考えると、固いもの、歯ごたえのあるものは食膳に上がらないのみか、上記の食品も噛む必要がないほど軟らかく調理されていたものを思われます。後述するように、将軍の咀嚼器官の発達が甚だしく悪かったのは、たぶんこんなところに主な原因があったのでしょう。」

退化が激しく進行した徳川将軍家

このような環境下にあった徳川家の将軍には、共通して貴族形質とよばれる著しい退化傾向が認められました。クラウディング(乱杭歯)、歯周病痕(歯槽骨の吸収)、虫歯、不正咬合などが現代人と同程度に認められます。しかも骨や歯を見ると、一代進むごとに、退化も大きく進行したことが分かります。現代人も祖父母に比べて父母の退化が進み、その子たちの退化は激しく進んでいますが、この点も徳川将軍家と現代日本人は似通っています。

二代将軍、秀忠の頭骨は、墓の石室が崩れ、石に押しつぶされて形が分からないが、四肢骨や筋付着部の発達から見て、戦国武将的な逞しい体であったとされています。

六代将軍、家宣の遺骨は保存状態が、良好で、下顎前歯の歯槽吸収が見られ、下顎角は大きく開いています。

九代将軍、家重では臼歯が傾斜し、激しい歯ぎしりの痕が見受けられます。十二代将軍、家慶は細長い顔をして、下顎角も大きく開き、全歯にわたる歯槽骨吸収が認められます。歯周病が相当に進行していたと考えられます。咬合も反対咬合(受け口)になっています。

そして、江戸末期の将軍、十四代家茂は、現代の退化した若年者の最先端をゆく顔形、咬合となっています。細長い顔形で、下顎骨は細く、眉上隆起、頬骨、下顎角などの突っ張りがありません。下顎角は大きく開き、前歯部はオープンバイトとなっています。このタイプの咬合ではほとんどのケースで強い頭痛、肩こり、首のこり、吐き気などが出現しています。極めて悪質な退化型です。歯列も歪み、虫歯も現代人と同様に多く、第三大臼歯(親しらず)も半埋伏状態です。

家茂は甘いものが好きで、砂糖や氷砂糖、羊羹、葛などを好んで食べたとされています。しかも病弱で脚気に苦しみ、最後は胸痛、咽頭の腫れ、足の浮腫などを悪化させて、二十一歳で病死しました。

この家茂の頭骨の形態、歯列や咬合状態を見れば、生きる力が弱く、とても長生きなど出来ないと思われます。

人類学的尺度で振り切れば、困難に見舞われるたびに、弱い個体や集団は淘汰され、消滅してきました。徳川家の将軍が巡った運命もこの例に漏れがなかったように見えます。

個人の健康や民族の健全な持続的生存を願うならば、弱気を愛し、許し、保護する心情は人間として当然のこととしたうえで、主眼は強い心を持ち、励まし鍛え、強きを育てる方向におくべきではないでしょか。

参考文献 退化する若者たち 丸橋賢著 PHP出版

2008年8月21日 (木)

大統領をも悩ます入れ歯

本日は、佐藤満先生の「入れ歯相談所」よりお届けいたします。

大統領をも悩ます入れ歯

どんなに偉い人であっても、あわない入れ歯には相当悩まされていたようです。アメリカ大統領の初代大統領のジョージワシントンもその一人です。

当時の入れ歯は上下の入れ歯がバネで繋がっていて、そのバネの力で口の中の押さえつけるものでした。ワシントンの肖像画を見ると、口元が一文字にしっかりと結ばれ、きびしい表情をしています。非常に気難しい印象を受けます。しかしこれは威厳を保とうとしているわけではないのです。唇を閉じて、力一杯噛み締めておかないと、入れ歯が飛び出してしまうからなのです。

強力なバネのバネの入れ歯ですから、その力で入れ歯は歯ぐきに食い込んで痛いですし、食事にも困っていたそうです。

3期目の大統領選挙を拒否した理由の一つに、入れ歯のためまともな発音が出来なくなり、人前で演説するのが嫌になったから、という説もあります。それほど悩まされていたのです。

イギリスのエリザベス一世も虫歯に苦しんで前歯を泣く泣く抜いたそうです。その後に入れ歯を作ったようですが、口を開けてはいけないと言われたぐらいですから、とても人には見せられないとんでもない入れ歯だったのでしょう。笑うときも口や手を扇子で覆うというエチケットができたのも入れ歯のせいだといわれています。

日本はどうでhそう。南総里見八犬伝を書いた滝沢馬琴は、入れ歯を3両で作ったのですが、痛いし、合わないで高すぎると怒ったそうです。

東洋、西洋を問わず、入れ歯の評判は昔から相当悪かったようです。

現代の入れ歯は、しっかりと合うように作れますから、良い時代に生まれたものです。

参考文献 入れ歯相談所 佐藤満著 ブイツーソリューション