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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2017年7月17日 (月)

自宅での歯の健康は誰が守る!?

最初から言い訳っぽい感じで今回のブログはスタートします(笑)。
朝からずっと夕方まで患者さんの歯を見続け、治療と治療の合間の時間は歯の資料や歯の写真の整理を行い、夜も次の日の患者さんの事などを考えて生活していると、歯医者では無い時間帯(夕飯から残業の無い時間帯)は、歯の事を考えたくないのです。ほんとに。
そのため、家族の歯の健康は、私の妻が担っています(笑)。
妻も子供の宿題を見たり、歯科医院の事務の仕事や家事をやったり、相当忙しいのに、私よりも使命感をもって熱心に子供の歯を磨きます。
ほんとに頭が下がります。
ご苦労さまです。
(「料理人は自宅では料理をしない」って例えは、私の場合にも当てはまるみたい。)

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2017年7月 6日 (木)

子供との信頼関係

友人のS先生がFacebookにて『子供の注射 親がつくウソに小児科医が忠告 「信頼関係を失う」』という記事を載せていました。
とても共感出来たので、シャアさせて頂いたのです。
その記事にはこんな事が書いてありました。
それは小児科医のツイートに関する記事で、そのツイートにはこんな事がつぶやかれていました。
《小児科研修中に、上の小児科の先生に教えられた事。
「注射は痛くないなんて嘘はついたら駄目。痛いけど痛いのはすぐ終わる事、体のために注射が必要だって事を、小さい子供でもきちんと話し合う。そうしないと、信頼関係を失うよ」
というわけで、娘にも毎回説明してから予防接種行ってます。》


《だまし討ちをすると、子供は賢いので親との信頼関係も、病院との信頼関係も損ないます。それは悲しい事です。(当日一番辛い思いをするのは本人です)
一旦病院嫌い、医者嫌いを刷り込まれると、なかなか払拭できず、次の受診が更に辛いものになる事も。
嘘だけはつかないで欲しいな、と。》



このツイートの様に、保護者の些細な一言で、その後の治療が非常に困難になってしまうケースは、小児を扱う医師は全て経験していると思います。
歯科医院で多いのは抜歯の際の注射と歯を削るときやエアー(空気)で歯を乾燥させるときなど、刺激のある治療の際だと感じています。
些細な事ですが、重大なこと。

2017年4月26日 (水)

やり直しのきかない年齢


息子が宿題をしている事を観察していると、難しい問題に直面すると3つの対応が有ることに気がつきました。
1:好きな課目でチェレンジしたい時は真剣に頑張って回答を得ようとする。
2:嫌いな課目、もしくは難しいと思った宿題は何とか親に手伝って貰おうとする。
3:最初からやる気が無く、問題を飛ばしてしまう。
ざっくりいえばこのパターンで毎日の宿題問題が展開していくのですが、考えて見れば自分もこんな感じでしたよね。もしかすると私よりマシかもしれません。
息子は帰宅すると宿題を終わらせないと遊びに行きません。嫌な事は最初にやってしまいたいみたいだから。私は夜中まで宿題を放置していましたから(苦笑)。
では、大人には宿題はないのでしょうか?とふと考えました。
もちろん有ります。しかも大人の場合の宿題とは仕事を示すと思うのですが、必ず責任と契約がつきまといます。
その責任と契約の合間に自分のチェレンジしたい事を学習したり勉強したりしないといけません。
年齢的に仕事に関する事ではやり直しのきかない年齢になってきたと思っています。
歯科の技術を物にしよと思うと、今までの経験から最低でも5年。自信をもって行えるまでには10年は掛かります。
だから、新しい技術を修得しようと思ったら、背水の陣で望まなければいけないと思っています。
噛みついたら、最後まで頑張る。やり始めてから「俺、これは向いていないわ」ってはもう言えないのです。
放り投げてしまうと、大事な時間、寿命までも捨てることになってしまう。
だから魅力的な治療法が幾つも紹介されてきていますが、今修得しようとしている技術に自信が持てないと次には行かないようにしています。
一つの技術を修得しようとすると一緒に高額な機材も購入しないといけないですからね。
ただ、齢を重ねてきたため、自分のやりたい仕事を選ぶ『目』は自信を持てるようなっているので、馬鹿な失敗は減ってきていると思いますけど。
息子を観察していて羨ましいのは、やり直しがどんどんきく年齢。沢山失敗して、沢山経験して家族を持つ前に自分の「天職に出来る何か」を見つけて欲しいと思います。

2017年3月19日 (日)

息子の歯の治療

先日突然、息子が歯が痛いと言ってきました。

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最初は、歯ぎしりなどが原因で痛がっていると楽観していました。
すこし、調整したけど、また痛みがぶり返す。
最後は最初の写真の様に立ち上がることも出来ない。
これはもしかしてと思ってレントゲンを撮影して調べて見れば、大きな虫歯。
しかも私が過去に治療した場所。
父親として反省しきりです。
その後、だんだんと痛みが増してきて、ついに神経を取る処置をしなければならなくなりました。
息子に麻酔をしながら治療をしたのですが、治療中はずっと泣いていました。
しかし、絶対に手で治療を遮らなかったし、暴れなかったし、口を閉じることもありませんでした。
これは、恐怖と戦う中で結構立派な事では無いかなと自分の息子だから言うわけではありませんが、感じました。
親として痛かったろうなと思います。
かわいそうだったとも。
しかし、自分の子供の治療が出来て良かったです。
子供の患者さんの親御さんはこんな気持ちで我々に託していると思ったら、気持ちが引き締まりました。
こんな大切な事に気がつかせてくれた息子よ、ありがとう。
2枚目の写真は、ママに宿題のヒントを教えて貰いながら「お風呂にはいりたいよ〜〜」の図。

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2017年1月27日 (金)

過保護治療

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娘の矯正を行ったら痛みが酷くて、しくしくと泣いていたというブログを書きました。 次の日に親ばかでブラケットからワイヤーを外してしまいました(汗)。 痛みの原因というのが、歯肉にワイヤーが当たって痛いということだったのです。 そこで、ネットで探しまくり、ワイヤーに装着する事が出来る極細の身体親和性の高いシリコンチューブを発見。 早速購入。 そこで娘のワイヤーに通して見ました。 これで、娘の矯正の痛みが減ったら、一般の患者さんにも応用しようっと。 結局、娘を人体実験にしてしまった。 まあ、結果オーライ。

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2017年1月20日 (金)

親には辛い治療

今、娘の矯正を自分でしているのですが、いよいよワイヤーを歯に付ける治療を行いました。
ワイヤーを付けるまでは顎位を整える治療をしていたのですが、それも一段落したためのワイヤー装着です。
しかし、このワイヤー装着後の歯の痛みは、慣れないとかなりの痛みらしいですね。
娘が治療後、自宅に戻ってから、痛みをこらえていたのですが、そのうち、しくしくと泣いてしまいました。
しかし、娘が「私、頑張る」と私に気を遣ってくれる一面もみせて、親としては辛い夜になりました。
はやり歯を移動するという治療は、冷静に考えても痛いはずです。
娘の横で、娘を気遣う奥さんも「最初はしょうが無いから、がんばろう」って勇気づけてくれました。
しょうが無いとは分かっているけど、自分の子供に痛い思いをさせるのは辛いですね。
まだまだ根っからの矯正治療は気持ちの面で出来ていないのかもしれないです(苦笑)

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2016年12月17日 (土)

この季節になると・・・。

12月になると当院も必ずクリスマスバージョンになります。
待合室の白熊も冬支度。
何だか気分が上がりますね。
この間恒例の話しを子供たちに話しました。
私:「パパとママはサンタさんから子供のよい子にしてたかを成績表に付けるように言われているんだよ」って。
私:「その成績表次第でプレゼントの大きさが決まるんだよ」
息子:「パパって英語でサンタさんと話しているの?すげーなー」って感心しきり。
私:「いやいや、日本語でメールでサンタの日本支社へ送るんだよ、サンタも忙しいからね」
娘:「パパ、そのサンタさんの日本支社ってAmazonの中にあるの?」
私「大汗・・・・そんな分けないじゃないか、Amazonとサンタさんは別だよ。だけど、忙し過ぎる時はAmazonがサンタの代行してくれるって聞いたことがあるよ」
皆さんもこんな会話を子供たちとしていますよね。
だって、本当の話だもの(笑)。

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2016年12月16日 (金)

KOデンタルショー

昨日のブログ「緊急事態」のその後です。
無事、会場である東京ビックサイトへ到着し私の担当の今泉くんと合流するために、彼のLINEへ連絡。
しかし、彼からの連絡はありません。

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仕方が無いので、子供たちと一足先に会場内へ。

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それから10分後くらいに今泉くんと合流出来ました。
これだけ会場がデカいから直ぐに合流するのは困難です。迷うのもうなずけます。
このKOデンタルショーの良いところは子供の遊び場がキチンと管理されていること。
本当は、奥さんと合流し、子供を預けてから購入する機材や材料を見て回るはずだったのですが奥さんから「本日ギブアップ宣言」のメール。今日は奥さん無しの子供たちとの少旅行となりました。

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こればかりは仕方が無いので、子供を連れて機材の商談へと望みました。
今回は長年の夢でしたレーザーを購入しました。
ビックリするほどの値引きがあったためなのですが、今後の診療の幅が広がるかと思うとワクワクして来ます。
会場内はかなりの来客数があると見えて、観てみたい展示ブースの前には黒山の人だかり。とてもじゃないけど子連れで、じっくりと商品を見ている余裕がありません。

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仕方がないので、事前に決めてあった商品だけに絞り、どんどん購入していきました。
ほとんどが、消費系の機材です。毎年、このデンタルショーに的を絞り購入している物ばかり。
約1時間で買い物終了です。
その後は会場内に設置されている子供の遊び場スペースでマジックショーを観て会場を後にしました。
その後はお台場で少し遊び、くたくたになりながら早めに福島へ帰宅いたしました。

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なかなか疲れましたが楽しい親子3人の小旅行でしたよ。

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2016年9月14日 (水)

妊婦後期の歯科治療

出産間近の歯科治療は、専門の施設で行った方が安全な事が多いです。
出産間近の妊婦さん(後期)とは一体いつからを指すのかと言えば、妊娠8ヶ月から出産までの期間を示します。
この頃になるとかなりお腹も大きくなり、これまで以上に体に負担がかかってきます。
歯科治療に関して言えば、一番大事なのは妊婦さんの体調(貧血、腰痛、お腹の張り)に留意して、こまめに休憩して短時間で済ませなければいけません。
歯科治療では「母子の安全が最優先される」という大前提を考慮して、痛みが出そうな歯の治療は妊娠中期(妊娠5〜7ヶ月)までに終了させておくことが重要です。
また、妊婦さんに高血圧症候群や切迫流産、妊娠糖尿病などの合併症のある場合には、主治医である産科医に全身状態の問い合わせをしながらの治療となります。
もしくは、最初に書いた通り、通院している病院に歯科がある場合は、そちらの歯科にて産科の先生と相談しながら治療を行う必要も出てきます。
妊娠後期になると現れる母体の状態としては、胎児がいるためエネルギー配分が変化し、母体の脂肪から作られるブドウ糖が胎児に優先的に送られるため、ケーキやチョコレートなどの甘い菓子類を頻繁に食べるようになります。また女性ホルモンの分泌量もピークを迎えるため、口腔衛生が不十分な状態では虫歯や妊娠性歯肉炎のリスクが高まります。

2010年8月20日 (金)

歯磨きは痛いものと思わせてはいけない。

Htbookcoverimage 今日は、坂本洋介先生の著書『元気でキレイは口もとから~アンチエイジング歯科のすべて~の中から、子どもの歯磨きについての抜粋です。

◇歯磨きは痛いものと思わせてはいけない

歯が生えはじめたら、子どもに歯磨きの習慣を身につける工夫が必要です。乳歯はいずれ生えかわりますが、大切な役目をもっています。

しっかりと噛むことによって脳に刺激を与え、脳の発達を促したり、言葉の正しい発音に影響し、顔の筋肉の発育を促します。

また、顔の調和を整え、永久歯が正しい位置に生えてくるための目標にもなります。

少し大きくなった子どもたちには、歯磨きが嫌いな子が多いようです。その理由には、親の最初の歯磨きの指導が間違っていたことが挙げられます。

嫌がる子どもを押さえつけて、強引に歯ブラシを口の中に入れて磨いて、痛い思いをさせていませんでしたか?

「歯磨きは痛いもの、つらいもの」と最初に思い込ませてしまうと、あとから改めるのは容易ではありません。「歯磨きは気持ちいいもの」と実感させるには、次のような方法で歯磨きをさせてみるのがいいでしょう。

①まず口の中がよく見えるように、子どもを寝そべらせて頭をひざの上に乗せます。生え始めのころは、ガーゼや柔らかい布で優しく歯の表面をぬぐってやります。口の中に物をいれることに慣れさせるためです。

②次に、軟らかめの歯ブラシで力を入れすぎないようにして、隅々まで磨きます。泡がじゃまになるので、歯磨き剤は使わないようにします。キレイに磨けると歯の表面はすべすべして気持ちよくなるので、子どもは喜ぶはずです。子どもが喜ぶ歯磨きが出来れば100点です。

また、子どもに歯磨きの習慣を身につけさせるときは、オレンジ、アップルなどフルーツ味の子ども用歯磨き剤で歯磨きの楽しさを感じさせるものもよいでしょう。

参考文献 元気でキレイは口もとから~アンチエイジング歯科のすべて~ 北海道新聞社

2010年6月11日 (金)

バンボ ベビーソファ

418z3n0ahml__aa300_ バンボベビーソファってご存じですか?

私がこの子供用のイスをしったのは、偶然、患者さんが持参したのがきっかけでした。

その患者さんは、まだ小さいお子さんを治療室に連れてくるときに、この『バンボ ベビーソファ』を抱えて入ってきました。

よちよちと動いてしまうお子さんを、このイスにピタッと合わせて座らせてしまうと、子どもの首が安定し、身動きがとれなくなるのです。しかも、子どもも窮屈ではなさそうで、むしろ楽しそうです。

これは、すごくいい物だと実感。

私の子どもも、ちょうど首が据わったばかりなので、試しにとこのソファを購入してみました。

寝転んでばかりだと、退屈してしまっていた時なのか、ニコニコと笑いながら、おとなしく座っているではありませんか。1944

親として、うれしくなってしまいました。

うちの子どもが使わなくなったら、診療室に常備して、小さいお子さんが動かないように座らせて置こうかしら・・・。

2010年2月20日 (土)

虫歯の伝染経路

本日は、カトレア柴田歯科院長 柴田征紀先生の著書『子どもの歯ならび基礎のきそ~成長を生かして無理なく美しく~』よりお届けいたします。

◇虫歯は人から人へうつります。

人はなぜ、虫歯になるのでしょう。

よく歯を磨かないから?

甘いものをよく食べるから

食べかすがたまるため?

遺伝的で歯が弱いため?

どれも関連性はありますが、正解ではありません。

虫歯は細菌により感染症で、虫歯の菌に感染した結果、虫歯にかかってしまうのです。私たちにとって最も身近な感染症といえるかもしれません。

インフルエンザのように全身症状を引き起こすものとは違うため、通常の感染症とはイメージが異なるかもしれません。

虫歯を引き起こす細菌は、口の中で活発にする細菌で、歯の表面のエナメル質にとりつくという特殊な性質を持っています。

◇虫歯菌の伝染経路

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中はとてもクリーンな状態でミュータンス菌は存在しません。

しかし、成長とともに乳歯が生えてくると、その乳歯が虫歯になってしまうお子さんがたくさんいます。存在しなかったはずのミュータンス菌はどこからやってきたのでしょうか。それは赤ちゃんの最も身近にいるお母さんの口の中からなのです。

お母さんとお父さんは、とくに乳幼児の頃というのは一心同体のように非常に密着して生活しています。そうした生活の中でお母さんの口の中のニュータンス菌がお子さんに感染してしまうのです。

食事のときに同じ箸を使ったり、同じスプーンやフォークで食べたり、あるいは同じ食器で食べたりといったことから、知らないうちに、虫歯菌はお子さんの口の中に感染してしまったのです。

とはいえ、赤ちゃんを無菌室ででも育てない限り、虫歯菌に感染させないということは無理な話です。

ですから、あまり神経質になることなく、丁寧な歯磨きなどでご自分の口腔ケアに気をつけながら、お子さんの口の中の状態にも常に気を配って、お子さんの口の中の管理をしていただければよいと思います。

参考文献 子どもの歯ならび基礎のきそ~成長を生かして無理なく美しく~ 柴田征紀著 海苑社 

2010年1月27日 (水)

どうしてうちの子だけむし歯に?~最近の考え方

本日は、田中英一先生他の著作である『お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども~小児歯科医からのメッセージ』よりお届けいたします。

◇歯磨きしているのにむし歯になる!

診療室にいらっしゃるお母さん方のなかで、お子さんのむし歯が見つかると、「歯磨きしているのに、どうしてうちの子はむし歯になるのでしょう?」と方を落とされる方がいます。

家庭での生活の様子をよく聞いてみると、一日に朝晩2回はお子さん自身が歯が磨いているようです。それだけ聞いていると、ナルホド、お子さんの歯に関心をもって生活しているようです。

しかし、お母さんは、「うちの主人は歯が悪く、私も小さいころからむし歯で苦労しているので遺伝でしょうか?子どもがむし歯になっても、しょうがないとあきらめています」と言います。

実際に、遺伝的に歯の質が悪く、どうしてもむし歯になってしまいやすいという人はいますが、私が臨床に携わっている30年近くでそういう方に遭遇したのはごく希でした。

最近のお母さん方は、自分の経験を含めて、知識や情報をよくおもちです。がしかし、それらが本当に正しいことなのか、ここでよく考えてみましょう。

◇実は生活習慣病

平成17年の厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、近年では乳歯の健全な歯の割合が増えてきており、全くむし歯のない乳幼児に割合も増えてきています。それには、いろいろな要因がありますが、一つは保護者たちの口腔保健に対する意識が高くなってきたことが上げられます。家庭でのケアやかかりつけの歯科医をもつことなど、大人を含めて、以前とはかなり違う状況です。

しかし、一方で、社会全体のIT化が進み、スピーディーで、コンビニエンスな生活様式が喜ばれ、ストレスの多い社会になっているのも事実です。そのなかで、日本人の生活は深夜化し、生理的な生活リズムに狂いが生じてきています。子ども達もその影響を受け、文部科学省、日本学校保健会の調査などでも「こどもたちの生活時間の大人化」に警鐘を鳴らしています。

子どもたちの健全な成長を考えると、とても心配な状況です。それに加えて、保護者が保護者の便利さを子どもに押しつけて、子ども達にとっては本来好ましくない生活習慣を余儀なくされていることが多々見受けられます。

たとえば外出時に、周りに迷惑をかけないよう、静かにしていてもらいたいがために、子どもの口にアメを放り込んだり、お菓子を箱ごと子どもに持たせて、自由に食べさせている、といったことなどです。

診療室にいらっしゃるお母さんた方に聞いてみると、「その時は、アメが“黙らせ薬”のように感じていた」と言っていました。

現代のように、予防歯科医学が進み、保護者たちの知識や意識も高まってきた中でのむし歯の原因は、普段の何気ないことのくり返し、つまり生活習慣から発生することが多いのです。

現に、厚生労働省では、歯肉炎、歯周病は「生活習慣病」としていますし、文部科学省では、歯肉炎、歯周病だけでなくむし歯も生活習慣病として子ども達に指導しています。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども~小児歯科医からのメッセージ 田中英一先生他著 医歯薬出版 

2009年12月 5日 (土)

どうして同じ本ばかり読んでもらいたがるの?

本日は、ジェイナ・マーフィ著の『うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの?』よりお届けいたします。

◇どうして同じ本ばかり読んでもらいたがるの?

幼い子どもの親なら、もう何度となく読み聞かせている本が一冊や二冊はあるでしょう。

あまり何度も読んだので、文章はすっかり頭に入っているかもしれません。それでも読み聞かせるたびに、子どもは顔を輝かせて聞いているはずです。

親は、子どもが本に興味を示すとうれしいものですし、将来、優等生になるかもしれないと期待してしまいますが、本を読み終えて「おしまい」と言ったとたんに、「もういっかい!」と言われると、同じ絵本ばかり読み聞かせていて意味があるのだろうか、と思い始めます。

でも、心配はいりません。初期の読み書き能力を研究する専門家のほとんどが、その問いにイエスと答えています。

子どもが同じ本を何度も読んでもらいたがるのは、子ども自身にとっても、発達の面でも、もっともな理由があるからだ、とリザベス・ディラー博士は言います。

「本の読み聞かせは、子どもの潜在能力を最大限に引き出し、発達させるためには、親がしてやれる一番大切な仕事の一つです。そもそも読み聞かせには、いくつかとても重要な効用があります。その一つは、親子が特別な時間をもてることです。また、ものごとの連続性を教えることが出来ます。物語には、始まりと中間と終わりがありますから。さらに、読み聞かせによって、本は楽しめるものだということを教えられます。」

また、十分に読み書かされて育った子どもは、そうでない子どもより、早く字が読めるようになるとも言われています。

子どもは、異なる本をたまに読んでもらうよりも、同じ本を何度も繰り返し読んでもらう方が、たくさんのことを学ぶようです。

まだ、幼稚園に入る前の子どもにとって、本に書き出されるのはあまりに未知の世界ですから、何度も読んでもらって初めて、物語の内容になじみ、使われている単語を覚え(ただし覚えられるのは一度にひとつか二つ)、また自分が見ている絵と聞いているお話を関連づけられるようになるのです。

その関連づけができるようになるには時間がかかり、だからこそ、繰り返し同じものを読み聞かせるのにうんざりしはじめたころ、子どもが安心してその本の世界に入り始めることも少なくありません。そして、そのころにはんて初めて、つぎのページで何が起きるかを予想できるようになり、ときには次の単語を覚えていることもあるのです。

「大好きなページがつぎに控えていることを知っている子どもの期待感が、手に取るように感じるでしょう。何かが起きよいとしていて、その何かを知っているというのは、子どもにとってはとても満足すべきことなのです。それは、子どものなかにとてつもなく大きな自信を植え付けてくれます。」とハインズ・ベリー博士はいいます。

◇だから・・・

*何度もくり返し読み聞かせよう

一日に三回、四回と同じ本を読まされたら、いいかげん逃げ出したくなるかもしれませんが、それによって得られる長期的な見返りは、ひょっとしたら途方もなく大きいかもしれません。

さまざまな研究によって、三歳までに日常的に本を読んでもらった子どもは、そうでない子どもよりも、学校の成績がよいことが証明されています。

ディラーラ博士が説明するように、「本を読めば成績がオールAになるというわけではありませんが、読み書きが子どもの能力を最大限発揮させる手助けになるのは確かです」。

事実、学齢に達する前に本を読んでもらった(あるいは読んだ)経験が多いほど、読解力のすぐれた子どもになり、その傾向は小学校に入ってからもすっと続いています。

*子どもが選ぶ本でわかること

どんな本を選ぶかによって、幼い子どもの心のなかを推しはかれることもあります。

ハインズ・ベリー博士によれば、癇癪を起こしやすい子どもは、モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』をくりかえし読んでもらいたがるといいます。

その本が癇癪を起こしても大丈夫だと認識させてくれるからです。子どもがある特定の一冊にこだわるようなら、その本にしかない魅力は何なのかを探ってください。多くの子どもにとって、自分ではコントロール出来ない感情(例えば恐怖や嫉妬)を扱った本をくり返し読み聞かせることで、彼らがその感情を克服するのを助けられるかもしれません。

*読み聞かせは楽しく

子どもはあなたの声が大好きで、あなたと遊ぶのが大好き、そしてあなたの愛情を自分にだけに向けてもらえるのが大好きです。読み聞かせの時、あなたの声音を変えたり、小道具をつかったり、子どもに参加させて楽しませることが出来たら、彼らは読書について一番大事なことを学び、自分でも本を読んで見たいという気持ちになるでしょう。

参考文献 うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの? ジェイナ・マーフィ著 草思社  

2009年11月10日 (火)

小児虐待の早期発見に

本日はデンタルトリビューン氏2009年11月号よりお届けいたします。

◇小児虐待の早期発見に~小児歯科への大きな期待~

(英国)小児歯科医は小児虐待を見つけるキーパーソンの一人と考えられており、英国において子供の歯科治療放棄(デンタル・ネグレクト)に関する政策書が作成された。

Warwick大学、Sheffield大学およびLeeds大学歯科研究所による共著であり、このような政策書は欧州初とのことである。

◇デンタル・ネグレクトを見逃すな

児童虐待は大きく分けて、①子供に危害を加える虐待(身体的虐待、性的虐待、心理的虐待)②生活上必要な配慮を怠るネグレクト-の2つがある。

これまでに虐待を受けている子供はそうでない子供に比べ、歯科疾患の未治療率が高いことを示す調査結果が得られている。デンタル・ネグレクトは口腔衛生を損ない、子供の健康に甚大な影響をもたらす可能性があり、激しい痛みや睡眠不足、さらには体重の減少や身体発育の遅れまで引き起こす危険性がある。

Warwick大学小児科准教授のPeter D .Sidebotham氏らは、「デンタル・ネグレクトの徴候が、より広範なネグレクトや児童虐待の危険信号を意味する可能性がある」と指摘し、「小児歯科医は子供を治療する際に、そいった徴候を見逃さないよう注意して観察してほしい」と述べた。

◇対応は困難、児童保護の専門家へ

同政策書では、デンタルネグレクトが疑われる子供を評価する際に考慮すべき要因として、う蝕の評価や保護者の観察、治療癧の確認、診療における児童の反応など、多数列挙。また、歯科医療チームとしてそれらにどのように対応するべきかについて教示している。すべての歯科医療関係者は定期的に児童保護研修を受けるように呼びかけており、虐待やネグレクトの徴候の見分け方、そして、児童虐待の懸念がある場合の具体的な対応法に関する研修が必須であるとしている。

一方で、児童保護研修を受けている歯科医師は多いが、実際に児童虐待が行われるケースに対して、研修で学んだことを実践するのは困難だということが報告されている。

このため、もしも児童虐待が少しでも疑われるケースに遭遇した場合は、児童保護の経験がある他の医療従事者にアドバイスを求めることや、児童保護サービスに委任することが推奨されている。

2009年10月11日 (日)

乳歯のうちに治しておきたい噛み合わせ2

本日は、昨日に引き続き、『口腔の育成をはかる~こんな問題に出会ったら   生活者とともに考える解決法~』(佐々木洋先生ほか編)の中から、嘉ノ海龍三先生の著作分よりお届けいたします。

◇こんな習慣は要注意

噛み合わせに関しては、以下の習慣に注意しましょう。

①頬杖をつく:顎の成長期に、頭の重みを顎骨の特定の部位で長時間にわたって支えることが続けば、それに応じた骨の変形が起こってもおかしくありません。頬杖の付き方にも個人差があり、手をあてがう部位によって、加えられる力は異なり、変形も異なります。歯列の狭窄や顎の偏位として表れる場合があります。

②睡眠時の横臥歯性:うつ伏せだと、頭を左右どちらか一方向に傾けて眠るしかなく、枕の当て方によっては、一日8時間、頭の重みが顎骨の一方の側面にかかることになり、変形が起こると考えられます。

以上のような習慣が長期間続けば、軽度の変形に留まらず、顔面の非対称や顎関節に影響を及ぼすこともありますので、注意が必要です。

◇よりよい咬合をめざして

不正咬合の原因が明らかで、それをあらかじめ取り除けるのなら、本来の意味での予防は可能です。

しかし、吸指癖による開咬などの場合以外では、不正咬合の原因というのは特定出来ることが少なく、多くの場合、種々の要因が関与していると推定できるに留まります。

そのため、不良習癖の除去などに加えて、初期の異常が新たな異常を招いたり増悪することを防ぐための、早期の治療が大切であると考えられます。

乳歯歯列の治療は比較的短時間で、単純な装置で行うことができます。乳歯列期においては以下の点が大切です。

①う蝕の発生を抑制し、健全な乳歯列と乳歯咬合を育成する

②咬合に悪影響を及ぼす習癖を除去する

③反対咬合や臼歯部交叉咬合など、咬合干渉がある場合、早期に取り除く。

骨格的にバランスがとれ、上下顎の歯がしっかり咬合して、はじめてよく噛んだり、力を入れてくいしばることが出来ます。

つまり、しっかりと咀嚼筋、口腔周囲筋を使うことが出来ます。このようにしっかり機能させることが口腔環境を整え、よりよい発達を促す効果をもたらしてくれるでしょう。

参考文献 口腔の育成をはかる~こんな問題に出会ったら   生活者とともに考える解決法 佐々木洋先生ほか編の中から、嘉ノ海龍三先生の著作分 医歯薬出版

2009年10月10日 (土)

乳歯のうちに治しておきたい噛み合わせ1

本日は、『口腔の育成をはかる~こんな問題に出会ったら   生活者とともに考える解決法~』(佐々木洋先生ほか編)の中から、嘉ノ海龍三先生の著作分よりお届けいたします。

◇不正咬合の成り立ち

不正咬合とよばれる噛み合わせや歯並びの異常は、さまざまな要因が重複しあうことで発現します。その要因は、遺伝的・先天的要因と、環境的要因に大きく分けられます。

さらに、環境的な要因のなかにも、内分泌の異常や栄養障害による全身的なものと局所的なものがあります。

乳歯列期で関係のある局所的な要因には、乳歯の早期喪失、咬唇癖、吸指癖、舌突出癖、口呼吸、異常嚥下、おしゃぶりの常用、睡眠態癖、舌の形態異常、小帯の異常、歯と顎の不調和、鼻咽腔疾患、顎関節の疾患、その他の外傷など数多くのものがあげられます。

◇乳歯列から対応したい不正咬合

日本人における発現頻度は反対咬合、過蓋咬合、開咬の順に高いといわれます。

乳歯列の反対咬合には自然治癒の可能性が高い歯性のものと、自然治癒の可能性の低い骨格性のものがあります。自然治癒しない反対咬合は、混合歯列や永久歯列期になると著しく悪化する傾向にあり、乳歯列のうちに前歯の噛み合わせを改善しておくことで、その後の顎の成長に寄与する可能性があると考えられています。

乳歯列期には骨格性の反対咬合はもちろんのこと、いずれの場合でも、前歯の被害を改善し、上下顎の近遠心的関係を良好な状態にすることが臨床的に望まれます。

乳歯列期の開咬の多くは、吸指癖を主とする口腔習癖が原因といわれています。ですから、一般的には口腔習癖を中止させて自然治癒を促すことが第一ですが、必要に応じて口腔周囲菌のバランスを整えるために筋機能訓練を行うことが望まれます。ただし、鼻疾患など、ほかの疾病が関与するものに対しては、原疾患への対応が必要です。

乳歯列期の上顎前突も吸指癖によるものが多く、同時に上顎歯列弓の狭窄を認めることもあります。この場合、まず吸指癖の中止をはかり、次に上顎歯列弓の側方拡大などをおこなう方針が考えられます。この場合も、必要に応じて口腔周囲筋のバランスを整えるための筋機能訓練が有効です。原因が重複するため、乳歯列期には、開咬と上顎前突が併発している例が高頻度に見られます。

乳歯列期に改善しておきたい噛み合わせの1つに、乳臼歯部の歯冠崩壊や早期喪失を原因とする過蓋咬合や、下顎遠心位を伴う著しい過蓋咬合があります。このような噛み合わせでは、下顎の成長は抑制され、顎運動も制限される状況が考えらるため、早い時期に対応していきます。

次に問題となるのは交叉咬合です。。正常咬合では、上顎の歯が下顎の歯の内側に位置して咬合することをいいます。交叉咬合には、偏側性と両側性があります。噛み合わせのずれや歯の傾斜による交叉咬合と、上顎歯列が狭窄、あるいは下顎歯列が拡大している骨格的な交叉咬合に分けられます。

交叉咬合が放置された場合、成因に関わらず自然治癒する可能性は低く、歯の交換、顎の成長とともに歯列の左右の非対称性は著名になり、顔面の非対称性を呈したり、顎関節の機能や形態に障害を及ぼす危険性が高いと考えられています。

機能的な面においても、反対咬合や交叉咬合、また部分的な咬合干渉が歯列内に存在すると、片側的な咀嚼運動パターンが習慣化(偏咀嚼化)して、さらに不正咬合を助長してしまう場合もあります。

できるだけ早期に発見し、改善することが望ましいでしょう。

乳歯列期では、霊長空隙、発育空隙という言葉が存在するように、切歯部に歯間空隙がのある歯列が多く、叢生歯列の発現頻度は低いといわれています。口腔習癖に関連する乳歯列期の叢生歯列ならば、習癖の中止をはかりますが、この時期に将来の顎と歯の不調和の予測は難しく、一般的には経過観察にとどめます。正し、乳歯の早期喪失があり、永久歯列の空隙の縮小が起こる場合は、それを防ぐ目的で必要に応じた保隙処置を行います。

明日へ続きます。

参考文献 口腔の育成をはかる~こんな問題に出会ったら   生活者とともに考える解決法 佐々木洋先生ほか編の中から、嘉ノ海龍三先生の著作分 医歯薬出版 

2009年10月 8日 (木)

ほ乳瓶が止められません

本日は、田村文誉先生の著書『上手に食べるために 2』よりお届けいたします。

◇どうしたらいいでしょう?

Q:5歳ですが、まだほ乳瓶から水分を飲ませています。コップからではうまく飲めずに泣き出してしまいます。どうすればよいでしょう。

A:ほ乳瓶を使っている時の赤ちゃんの口の動きは、おっぱいを飲むときの『吸啜(きゅうてつ)』という動きです。つまり、顎をあけたまま舌を前後に動かし、乳首を口の奥まで引き込み、舌の動きで絞り出すようにして飲み込みます。

これは「乳児嚥下(えんげ)」という飲み方です。

赤ちゃんのころはこの飲み方で良いのですが、食べ物を食べるには、徐々に「成人嚥下」という飲み方に変わっていかなくてはなりません。いつまでもほ乳瓶を使っていると、この乳児嚥下を卒業しにくくなりますし、食べ物を食べることにも影響が出てしまいます。

そうはいっても、なかなかうまくいかないですよね。いきなりほ乳瓶をやめてしまって水分の摂取量が減ってしまっては大変です。経管栄養チューブや胃瘻などによって水分量が確保出来る場合は良いのですが、すべてを経口摂取しているならば、まずは水分量の確保を最優先に考えます。

つまり、ほ乳瓶をやめられないなら、当面はほ乳瓶からの水分摂取は続け。平行してスプーンやコップから水分を飲む練習を始めていきましょう。また、ストローは、コップから飲めるようになってから始めましょう。

ほ乳瓶を使っているうちは、ストローのような長い物をくわえさせると、乳児嚥下を誘発してしまうことがよくあるからです。

参考文献  上手に食べるために 2  田村文誉著 医歯薬出版

2009年9月 7日 (月)

丈夫で健康な赤ちゃんを産むために

本日は、医歯薬出版からの『ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』より菅野直之先生の執筆分よりお届けいたします。

~丈夫で健康な赤ちゃんを産むために~

◇プラークと全身の病気

口の中を手入れしないと、プラークと呼ばれる細菌やその細菌が出したものの塊が増えてきて、歯周病になることはよく知られています。しかしこのプラークや歯周病が全身にも悪影響をもたらすことは、あまり知られていません。

プラークの中の細菌は、毒素を出すことで歯肉を腫れさせたり、歯を支えている顎の骨を溶かすだけでなく、腫れた歯肉から菌が体の中に入り込んだり、炎症を引き起こす物質を出すことにより、全身にもさまざまな影響をおよぼします。

◇口の病気が赤ちゃんに

現在、このプラークや歯周病は、中・高年期の糖尿病、動脈硬化、膵臓癌、肺炎の原因になることがわかっています。また、女性では、お腹の中の赤ちゃんに悪影響をもたらす事も知られています。

妊娠すると、つわりの影響や生活習慣の変化から口の中の手入れが思うように出来なくなり、プラークが増えて歯周病が進みやすくなります。

しかし、このプラークや歯周病をそのままにしておくと、腫れた歯肉が作り出す炎症を起こす物質が、子宮収縮の引き金になると考えられています。その結果、歯周病の妊婦さんは健康な歯肉をもつ妊婦さんに比べ、早産・低体重児出産が多いこともわかっています。

早産・低体重児出産では、生まれた赤ちゃんにさまざまな問題が起こる可能生が高く、大人になってからも生活習慣病になりやすいことが知られています。

早産・低体重児出産の原因として、これまでは人種、年齢、喫煙、経済状態、栄養状態、生殖器感染が考えられてきましたが、近年、歯周病もそのひとつであることが明らかになってきました。

◇健康な赤ちゃんを産むためには

歯周病は予防や治療が可能です。歯周病をもつ妊婦さんも、安定期の早い段階で歯周病の治療を受ければ、早産・低体重児出産の割合は減少することが報告されています。日頃から歯肉の健康に気をつけ、妊娠がわかったら歯科医院で早めに口の中の検診を受けてください。

歯周病をもつ妊婦さんの治療は、歯磨き指導や歯石を取る簡単な処置が中心です。安定期で全身状態に問題がなければほぼ安全に治療ができます。歯周病だけではなくむし歯の治療なども安定期であれば可能です。

口の中に不安を抱えている人は、ぜひかかりつけの歯科医院で相談してください。口の中の健康に気を配ることは、ご自身だけではなく、生まれてくる赤ちゃんの健康にもつながります。

2009年9月 5日 (土)

子どもの歯列が悪くなる原因

本日は柴田征紀先生の著書『子どもの歯ならび基礎のきそ』よりお届けいたします。

★歯列が悪くなる原因

むし歯と同様、親御さんが気になるのはお子さんの歯ならびだと思いますが、一般的に歯ならびが悪くなる原因を大きく分けると遺伝的な要因と後天的な要因とがあります。

遺伝的な原因として歯の大きさや形、歯の生える時期、あごの骨の発育のしかたなどがあります。

後天的な原因にはむし歯などのために生え替わる時期より以前に、乳歯が抜けてしまった場合などがあります。

そのままにしておくと、失った歯の後の歯が前の方に移動して、あとから生えてくる永久歯の邪魔をすることがあるためです。乳歯を早期に失った場合にはすぐに適切な処置をすることが肝心です。

逆に永久歯が生えてきているのにもかかわらず、乳歯やその歯根が残っている場合も永久歯列が悪くなる原因になります。

ですから、乳歯が永久歯へと生え替わる時に、スムーズに移行することが重要だといえます。乳歯がむし歯などになった場合に早めに歯科医院で処置をしてもらうようにしましょう。

★癖によって歯並びが悪くなることがあります。

小さい頃から正しい姿勢や正しい食べ方を身につけることは歯列、顎の発育などにとても重要で、よく噛んで食べるということが基本です。

よく噛むことはそれだけ顎を動かすことになるので顎の発達を促し、咀しゃく筋も発達します。

逆に片側の奥歯だけで噛む癖(片がみ)や頬杖をする癖があると、歯列や顎の発育がアンバランスになる原因になります。

むし歯があると痛いので逆の奥歯ばかりで噛むようになり、片がみになりやすいので、むし歯などはすぐに治すようにしましょう。

そのほか、生活上の悪い習慣としては指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口呼吸などもあります。

こうした習慣は歯列の乱れやかみ合わせを悪くする原因ともなります。ひいては顎の骨の成長にも悪い影響を及ぼすので、こうした癖に気づいたら注意してあげてください。

ただ、あまり厳しくしても精神的にストレスになってしまうので、お子さんの負担にならないように、時間をかけて気長に見守ってあげるようにしましょう。

参考文献 子どもの歯ならび基礎のきそ 柴田征紀著 海苑社  

2009年8月 5日 (水)

チンパンジーの「叱らない」教育

本日は、AERA with Baby 2008年春号よりお届けいたします(写真も本より複写いたしました)。

◇親の背を見て、子は育つ!~教えない、そして叱らない。~

人間とチンパンジーのゲノム(遺伝子情報)の違いは、わずか1.23%。容貌はかなり違いますが、2本足で立ち歩く、手で道具を使えるなど、ほかの動物と比べると類似点も多いそう。

松沢先生(京都大学霊長類研究所 所長)がいうとおり、人間とチンパンジーはまさに「進化の隣人」なのです。

アユム(チンパンジーの名前です)は、母親を見て、課題の仕組みを理解し、自発的にチャレンジするようになりました。このような「母親から何も教えない子育て」は、野生チンパンジーにとっても、一般的な子育て法です。

「写真は、野生の母親チンパンジーが道具である石を使い、木の実を割っている所です。子993_4 どもはそばで見ています。母親は絶対に、子どもに教えません。見て、覚えられなければ、その子は石を使えない。野生のチンパンジーにとって、石を使えないことは大きなデメリットですから、なんとか見てまねしようとします」(松沢先生)

野生の場合、石を使えるようになるのは4歳ぐらいから。親の「お手本を至近距離で観察して、自分で何度も試して見る。うまくいかない時には、また、親のお手本を見る、ということを繰り返します。ところが、親が石を使う様子を見て育ち、自分もチャレンジしてみるものの、どうしても使えるようにならないケースもあるのだとか。

人間の母親は、「これが出来ないと子どもが苦労する」と、親心から一生懸命、教えようとします。その結果、上手に出来なかったり、やる気がなくてふざけいている子どもに苛立ってしまうこともしばしばあります。

「チンパンジーのお母さんは、絶対に子どもを叱らないんです。子チンパンジーも人間の子どもと同じように、歩いていて突然、立ち止まったりするんですけど、母親はそっと背中を押して、歩くようにうながすくらいしか指示をしない。そして、子どもが歩き出すのをじっと待っているのです。」

◇「忙しい」からこそまねしたい、チンパンジー流「叱らない教育」

忙しく、つい「早く早く」とせかしてしまうことも多い人間の母親には、なかなかできないことも多いです。

子どもの自主性を尊重して、親の都合では叱らない。「そはいっても、人間はチンパンジーとは違うのだから」という声も聞こえてきます。確かにそうではありますが・・・・・。

「人間の親はいろいろな「都合」を子どもに押しつけがちですよね。自分が忙しい時に、子どもがのんびりしているとせかしたり。偏食のお母さんが、自分は食べないのに、子どもには「野菜を食べなさい」といって叱ったり。

そんなとき、叱っても子どもは野菜を食べませんが、お母さんが楽しそうに、おいしそうに食べてみせれば、自分から食べるようになると思うんですよ」

確かに、子どものは母親のことをよく見ているもの。無意識のうちに言っている口癖を子どもにまねされて、驚いて苦笑した経験のあるお母さんも多いのでは。

前述の野生のチンパンジーが石を道具として使うことにしても、もし母親が石を使えなければ、子どもには学ぶチャンスもありません。つまり、親が出来ないことは子どもも出来ない、ということなのです。

それは、人間もチンパンジーも同じではないでしょうか。教えようと力むから、親はますます忙しくなってしまう。ならば子どもにみて学習してもらえばいい・・・・。

この発想の転換が出来れば、私たちの人間の子育ても少し、身も心も楽が出来るようになるかもしれません。

2009年7月 7日 (火)

指しゃぶり、どうしたらやめられるの?

本日は、田中英一先生、佐々木洋先生他の著書『すこやかな口 元気な子ども』よりお届けいたします。

◇3~4歳までは様子をみましょう。

指しゃぶりは哺乳に深く関係する行動で、哺乳の発達過程から指しゃぶり・おしゃぶりについてまとめました。次のようになります。

①母体内で胎児が行う指しゃぶりは、乳汁を取り込む機能〈吸啜)の発達に深く関わっている

②新生児に不可欠な「哺乳」は反射的な不随運動である。

③月齢2,3ヶ月から反射的な哺乳は弱まり、自律的な吸啜(自律哺乳)が可能になり、遊び飲み・ながら飲みが始まる

④遊び飲みは栄養摂取が目的でない吸啜で、母親との一体感の強化や不安解消の意味をもつ

⑤この延長上に「指しゃぶり」(非栄養的吸啜習慣)がある。

⑥非栄養習慣でも安心感や幸福感が得られる

⑦離乳に不可欠な原始反射の消失や感覚受容の拡大には、指しゃぶりやおもちゃなめの刺激が関与する。

⑧高等霊長類の吸啜行動は3~5歳頃まではみられる。

また赤ちゃんの指しゃぶりを観察してみると、はじめは指の区別なく口にいれていたのが、次第にお気に入りの指が決まっていく様子が見られます。

これは、鋭敏な口の中で指を察知しながら、個々の指の運動機能が分化すると、直立二足歩行の人に特有な、物〈道具)を把持することや、人差し指を使って対象を指示することmできるよになっていきます。また、指で数えるにも5本の指の分化は不可欠です。

このように吸啜習癖は哺乳や離乳あるいは指の感覚・運動機能分化の過程と深い関係にあり、乳幼児期の指しゃぶりを心配する必要はないのです。

子どもはどんどん発育していきます。。さまざまな活動からの刺激や満足感より、指しゃぶり(吸啜)への渇望は次第に減っていき、幼児期後半には社会性のめばえから、大半の子どもは指しゃぶりを自発的にやめていくことになります。

参考文献 すこやかな口 元気な子ども 田中英一、佐々木洋他著 医歯薬出版株式会社  

2009年6月11日 (木)

母の愛はオーラルエコの敵?

本日は、福岡博史先生の著書『歯と口を治せば、からだの不調は治る』よりお届けいたします。

★むし歯の原因、ミュータンス菌は母の口から子の口へ

子どもの歯は、大人の歯よりもやわらかく、酸にも弱くなっています。また、食事の機会も頻繁にあるため、むし歯になるリスクは非常に高いといえます。

とはいえ最近は、むし歯予防の思想が広まっているお陰で、食べたらすぐにうがいをさせたり親が歯磨きをしてあげたりして、以前よりも乳幼児のむし歯罹患率は下がっているようです。

けれども本来、むし歯の原因であるミュータンス菌は、赤ちゃんの口腔内にはほとんどいないと言われています。また、たとえ、ミュータンス菌が口腔内にあっても、歯が生えていない時期は当然むし歯になりません。

しかし、乳歯が生え始める頃には離乳食が始まります。そしてその頃、ミュータンス菌も見られるようになります。それがどこから入ってくるかといえば、そのほとんどが、親を通しての感染なのです。

大抵のお母さんは、自分の口で食べ物をやわらかくしたり、さましたり、ちぎったりして赤ちゃんにあげるようになります。赤ちゃんのあまりのかわいさに、キスだってするでしょう。

親子ならではの愛情あふれた光景ですし、それを非難するつもりはありませんが、口腔衛生の観点から言えば、それは限りなくむし歯リスクを高める行為だと言わざるを得ません。もちろん、お母さんだけでなく、赤ちゃんの周りにいる全ての人に言えることですが、とくにお母さんは、妊娠・出産中に口腔環境が悪化していることも少なくないので、普段以上に口腔ケアに気をつけて赤ちゃんに接するようにしましょう。

ミュータンス菌は一定以上の数にならないとむし歯にはならないので、例えば食後だけでなく食事前にも歯磨きをするのにも効果があります。

また、歯が生え始めてからは、哺乳瓶を長時間くわえさせるのも、むし歯リスクを高めます。ミルクにはかなりの糖分が入っていますし、ミュータンス菌は糖分を得て増殖するためです。

参考文献  歯と口を治せば、からだの不調は治る 福岡博史著 主婦と友社  

2009年6月 1日 (月)

大人と同じ食事ができるようになるまで

本日は、佐々龍二先生監修 昭和大学歯学部小児成育歯科学教室編集・著作の『よい歯を育てる食生活』よりお届けいたします。

◇大人と同じ食事ができるようになるまで

歯が生えそろうにつれて、上手に食べられるものが増えていきます。好奇心旺盛なこの時期に、いろいろな味を体験させましょう。

★手助けは控え、食べることを十分楽しませましょう。

自分の手やスプーン、フォークなどの道具を使って食べる練習をする時期です。まわりを汚しても多少は目をつむりましょう。適当な一口量の感覚を身につけさせるためにも、一口大に切る、フォークにさしてあげるなどの過剰なお手伝いは控えましょう。

子どもの大切なステップ。

においをかぐ→目で見る→手にとって→くちびるでとらえて→前歯で一口かじりとる

★無理に硬いものを与えてはあごは強くなりません。

大人と同じように固形物を食べられるようになってきても、幼児のうちはまだ噛む力や消化能力は十分ではありません。無理に硬いものや繊維の強いものを与えると、丸飲みや食べ方を覚えさせることのなってしまいがちです。

★奥歯がそろわないうちは食べにくいものもあります。

食べ物を奥歯ですりつぶし、唾液と混ぜてペースト状にまとめてから飲み込む、ということを、大人は意識せずに自然にしています。奥歯の生えていない小さい子には、次のようなものは食べづらいので、調理方法に気をつけましょう。

肉のかたまり《線維が強くて噛み切れない》→簡単にくずれるように軟らかく煮込んだもり挽き肉を使ったり。

生野菜・ウィンナーやかまぼこなど《線維が強くて噛み切れない、かんでもまとまらない・噛んでもばらばらになるだけで的あらない》→適当な大きさに切って、ポテトサラダの混ぜたり、少量のマヨネーズであえたりして口の中でまとめやすくする。あまり小さくすると、かえって噛みにくくなるので注意。

★甘いものを与えすぎないようにしましょう。

子どもは甘いものを好みがちです。取りすぎにならないように量をコントロールしてあげてください。幼児期に甘味の嗜好がつよくなると、酸味や苦味などの受け入れが悪くなります。また、甘いものの取りすぎは、カルシウムの吸収を妨げます。

甘味・・エネルギー源 旨み・・タンパク質 塩味・・ミネラル

味は本来、これらの栄養を多く含む食品であることを伝えるシグナルなのです。甘いものや味の濃いスナック菓子などを欲しがるままに与えると、カロリーや糖分、塩分の取りすぎになってしまいますから気をつけましょう。

★キシリトールなどの代用糖に注意

キシリトールはむし歯の原因にならないといわれていますが、キシリトール入りの製品の中には砂糖を使っているものもあり、この砂糖がむし歯の原因にもなります。また、代用糖も砂糖と同様に、与えすぎると甘味嗜好が強くなってしまいます。

参考文献 佐々龍二監修 昭和大学歯学部小児成育歯科学教室編集・著作 『よい歯を育てる食生活』 デンタルコミュニケーションズ わかば出版 

2009年5月29日 (金)

良い歯並びは子どもの頃に作られる!

本日は、第21回日本歯科医学会総会記念誌編集委員会の編集である『ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』よりお届けいたします。

◇良い歯並びを作る方法は?

良い歯並びを作るためには、日常の生活の中で悪い歯並びを作らないように予防することが大切です。多くの場合、食生活が鍵になり、特に大切な時期は、母乳から離乳食、幼児食、成人食はと大きく食生活が変わる0~3歳の間です。よい歯並びを作るためには、少しの知識とそれを実行する少しの努力が、保護者の方に求められます。

◇舌は歯並びに関係しているの?

口は食生活と最も深い関係にあります。良い歯並びには、口の周りの筋肉がバランス良く鍛えられていることが必要です。

その中でも舌は、複雑な動きをする筋肉で、歯並びに大きく関係します。母乳を与え始めた頃の赤ちゃんは、生まれつき備わった動きで、口の中に取り込んだ乳首を上顎に当て、舌を前方へ動かしながら母乳を吸います。

離乳期に入ると、舌を使って軟らかい食べ物を後ろに送り、飲み込みを助けます。舌は、歯のないときから食べることに大きく関わっています。舌が正常に働くことが正しい歯並びを作ります。舌がうまく役割を果たすことが出来ないような癖は歯並びにも影響します。

◇母乳をやめないと歯並びは悪くなるの?

いつまでも夜間に母乳を与え続けると、歯並びに影響を与えることがあります。授乳期は、舌を前に出すような動きが母乳を飲み為に必要でした。しかし、生後4、5ヶ月たって離乳期に入り、スプーン、コップなどの食器を使うようになると、舌は食べ物の塊を喉の奥に送り込むような働きをするようになります。すなわち、離乳の時期は、固形の食べものを飲み込む方法を習熟していく期間でもあるのです。

コップが使えるようになった後も夜間に母乳を与え、舌を前に出す動きを続けると、時として悪い癖として残ってしまいます。これは幼児嚥下癖とよばれ、歯並びに影響を与えることがあります。多くの場合、夜間に母乳を与え続ける理由は、「泣いて、寝てくれないから・・・・・」ということのようです。

ちょっと頑張って、1歳をめどに母乳が止められるよう努力してみてください。

◇指しゃぶりはいつまで良いの?

長期間にわたって「指しゃぶり」を続けると、歯並びに悪い影響を与えることがあります。華選びの事だけを考えれば、すぐにもやめさせたいものです。しかし、必要以上に叱りつけたりして、子どもの心に負い目を負わせることがあれば本末転倒です。

おおらかな気持ちで、忍耐強く、「指しゃぶり」をやめる機会を探し続けることが大切なのではないでしょうか。

小学校入学を機会に子どもに言い聞かせ、「指しゃぶり」をやめられたという例もあります。この子どもはしばらくの間、歯並びに問題がありましたが、「指しゃぶり」をやめるときれいに戻りました。「おしゃぶり」も使いすぎると歯並びに悪い影響を与えることがあります。注意が必要です。

◇固いものを噛むと歯並びにいいの?

よく噛むことは消化に良いばかりではなく、口の周りの筋肉を鍛え、歯並びにも良いと考えられています。固いものを多く食べていた古代人は現代人に比べて顎がしっかりしていました。古代人のように固いものを食べることは現代では困難ですが、口の中で、左右それぞれ20回ずつ噛むことが出来れば理想的だと思います。

◇歯並びの治療開始時期はいつ頃?

受け口(反対咬合)は、早めに初期治療をうけることをお勧めいたします。最近では、3歳の頃から使える治療器具(ムーシールド)もあります。

ほかの歯並びの問題は7歳頃を目処に、一度、診察を受けた方が良いでしょう。

歯の数の異常や、上唇の中央にある小帯と呼ばれる部分が、歯並びに影響を与えることがあります。いずれにしても、歯並びは、親子で顔かたちが似るように、同じ傾向を辿ることがあります。定期健診を続け、時期を逃さず治療を開始することが望ましいと考えます。

参考文献 『ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』 第21回日本歯科医学会総会記念誌編集委員会の編 柳澤宗光著 医歯薬出版 

2009年5月28日 (木)

せっかく作っても食べてくれない

本日は、 田村文誉先生の著書、『上手に食べるために2~摂取指導で出会った子どもたち』よりお届けいたします。

◇せっかく作っても食べてくれない

料理が得意なお母さんも、そうでないお母さんも、お子さんに十分に栄養をとって欲しい、美味しく食べて欲しいという気持ちは同じでしょう。どちらのタイプのお母さんも、自分が心をこめて作った料理をお子さんが食べてくれないときには、悲しくなってしまうことでしょう。

Lちゃんのお母さんは、料理があまり得意ではありません。Lちゃんは一人っ子なのでお母さんの愛情を一身に受けています。Lちゃんは広汎性発達障害で、地域の小学校に通っています。学校のお友達とけんかをして帰ってくることもありますが、学校は大好きで、毎日元気に通学しています。

お母さんは専業主婦で、家に一人でいることが多く、その間、いつもLちゃんのことが心配でたまらないのです。毎日、なんとか頑張って料理を作っているのですが、せっかく作った夕飯なのにLちゃんはほとんど食べてくれません。「これでは栄養失調になってしまう!」とお母さんはまたまた心配になります。

でも、学校の先生によれば、「給食はよく食べていますよ。おかわりもします」とのこと。それで、お母さんは、「よっぽど私の料理が美味しくないのね!」とますます落ち込んでしまうのです。お父さんは「美味しいよ」と言ってくれるのですが、肝心のLちゃんが食べてくれなくてはどうしようもありません。

お母さんの話しを聞いていて、「お母さんはLちゃんのことが心配でたまらない→深刻な顔をしてしまう→Lちゃんは暗い顔のお母さんはイヤ→だから食べたくない→学校では楽しいので食べる→お母さんはさらに落ち込む・・・・」といった悪循環になってしまっているのかなと思いました。

昼間ずっと一人でいて、お子さんのことを一生懸命気にかけているお母さんは、このような負のサイクルにはまってしまうことがあるようです。一人で抱え込まないで、気持ちを分かってくれる専門家に相談出来るとよいなと思います。

料理な得意なお母さんも、お子さんが食べてくれないと、それはがっかりしますよね。

Nちゃんのお母さんは、フルタイムで働いていて、忙しい毎日なのですが、料理が得意で朝と夜の食事はきちんと作っています。けれどもNちゃんは、好き嫌いが多く、食べたり食べなかったりするのです。太っても痩せてもいないので、きっと食べている量は足りているのでしょうが、今日食べたと思ったら、明日は食べないといった状況で、お母さんは何をどれくらい作ったらよいか予測がつかないので困っています。

Nちゃんは自閉傾向があるといわれています。自閉のお子さんの場合、白いご飯しか食べない、あるいは逆に白いご飯は食べない、決まった色のおかずにこだわるなど、偏食を示す場合があります。自閉のお子さんは偏食を治すのは簡単なことではありません。無理強いしても逆効果なため、本人が受け入れられる食べ物が、徐々に増えていくのを待つしかないでしょう。

料理が得意なお母さんにとって、は腕の振るいがいがなく、また仕事でくたくたに疲れて帰ってきて必死で料理しても、まったく食べてくれなかったりするので、もしかすると大声で叫びたくなる時があるかもしれません。とても辛いことだと思います。

「せっかく作っても食べてくれない」、という悩みを抱えているお母さんはたくさんいます。専門家に相談しても、即効性のある答えは得られないかもしれません。でも、よく話しを聞き、気持ちをわかってくれる専門家を見つけることで、安心して食事の時間を育んでいけるのではないでしょうか。

参考文献 上手に食べるために2~摂取指導で出会った子どもたち 田村文誉著 医歯薬出版  

2009年4月15日 (水)

お母さん、ご存じですか?授乳、哺乳、そして離乳

本日は、第21回日本歯科医学学会総会記念誌編集委員会編の『ご存じですか? ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』よりお届けいたします。

◇母乳やミルクだけで十分?

乳幼児前半の赤ちゃんにとって、母乳やミルクはほぼ完全な栄養が含まれる食品です。しかし、生後5~6ヶ月頃からビタミン、カルシウム、鉄分などの栄養素が不足し、「ミルク」だけから栄養を摂ろうとすると、大量に飲まなくてはならなくなってしまいます。ですから、「ミルク」以外のいろいろな食べ物を消化し、その栄養を吸収出来るようにならなければなりません。それはその後の成長の過程でも大変重要になっていきます。

◇離乳にはどんな意味があるの?

生まれてすぐの赤ちゃんでも、母乳やミルクを吸って飲むことは出来ます。それは食事というよりも、生まれもった「反射」の一つです。ですから固形状のものをかみつぶして飲み込むことは出来ません。固形状のものが食べられるようになるには、食べ物に応じた口の中への取り込み方、消化吸収をよくするための口の中での処理の仕方などを覚えて行くことが必要となります。

このようにお母さんのおっぱいを吸って母乳を飲むことから、固形状のものを噛んで食べられるようになるまでの一連の流れを離乳と言います。離乳は、ほぼ大人と同じものを食べるのに必要な「食物を口に取り込む(補食)」、「食物を潰して唾液と混ぜることによって消化を促す(咀嚼)」、「食べ物を飲み込む(嚥下)」の3つをゆっくりと時間をかけて学び、身につけるための大切な過程なのです。

離乳は生後5ヶ月ころから1歳3ヵ月くらいまでの約1年間の時期に行うのが良いとされています。その際の食事を「離乳食」と言います。離乳食をスムーズに進めて行くためには、口の機能と食べ物の形状が調和していることが重要となります。

◇子どもの成長を暖かく見守る

哺乳から離乳完了までの段階は、乳児から幼児へと成長していく過程と重なっています。食器を使い、自分で噛んで飲み込むことが出来るようになるまでの流れから順に考えて見ましょう。

①初期:唇を閉じて飲み込めるようになる状態

②中期:舌と上顎で食べ物を潰して飲み込めるようになる状態

③後期:歯肉で食べ物をつぶせるようになる状態

④完了期:歯肉や歯でかみつぶせるようになる状態

哺乳から離乳への移り変わりは、それぞれ子どもの口・歯の成長や感覚・運動の発達とともに進んでいきますので、個人差はあります。

何歳までにどの段階という決まったものはなく、子どもの成長に合わせて変化していけばいいのです。食べるという行動の成長は、全身の成長・発達に深く結びついています。成長がゆっくりな子どもも、早い子どももいますが、到着地点が同じならば、時期はそれほど気にする必要はありません。あくまで目安として考え、それぞれの子どもにあったペースで進めて行くことが大事です。

◇赤ちゃんの発育の二つの面

赤ちゃんが育っていくと言うことには二つの意味があります。一つは体の形の成長で、もう一つは運動の発達です。食べるということは全身の成長・発達の大切なポイントになります。食べるための手の動きはもちろん、食事は姿勢にも影響を与えます。

感覚や心の発達、内臓の発達ととも密接に結びついているのです。乳児の口は生まれもって母乳やミルクを吸うのに適した形になっています。やがて乳歯が生え、それを支える顎の骨も形が変化していきます。この頃に離乳が始まり、唇や舌の動かし方、顎の開け閉めの仕方、そしてものを噛んで飲み下すことを覚えはじえめていきます。

成長と発達という両方の大きな変化が同じ時期に起こり、ものを噛んで飲み込むことが出来るようになります。私たちはなにげなく、食べ物を噛んで飲み下していますが、唇や歯、舌などの感覚が食べるという行動のために非常に重要な働きをしています。それは私たちが赤ちゃんだった頃に「離乳」の一連の流れを経てきたからこそ出来ることなのです。

乳児はおもちゃなどいろいろなもをすぐに口に入れようとします。それは口や唇の感覚が最も敏感だからです。口に物をもっていくことで、その感触を確かめ、そして様々な感覚を高めていきます。多くの感覚を体験することによって、より複雑な運動もできるようになります。離乳食などでいろいろな食べ物を覚え、その感覚を十分に確かめてもらうことが、子どもの発達につながります。(吉田昌史先生著)

参考文献 ご存じですか? ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド 第21回日本歯科医学学会総会記念誌編集委員会編 医歯薬出版   

2009年4月12日 (日)

乳歯が黒く変色?

本日は、倉治ななえ先生の著書『子どもの歯をじょうぶに きれいに』よりお届けいたします。

Q:転んで打った乳歯の前歯が黒く変色。永久歯に影響はありませんか?

A:経過をみながら適切な治療を受ければ、影響はありません。

心配なら歯科医に相談を!

打撲などで打った歯が黒ずんでるときは、歯の神経が死んでしまった可能性があります。ただ、痛んだり、腫れたりということがなければ固定してしばらく経過をみます。6~7ヶ月たつうちに、また白く戻ってくれば、あとはほうっておいても大丈夫。自然に永久歯に生えかわるでしょう。自然に永久歯にも生えかわるでしょう。

ところが半年程たってもまだ黒ずんだままで、乳歯の根の先がうんでしまうこともあります。こうなると、乳歯の下で育っている永久歯にも悪影響がありますから、乳歯の神経を抜き、乳歯そのものは抜歯しないで残しておきます。

歯の外傷は、時間が経てばたつほど治りが悪くなるので、ぶつけたら24時間以内に歯科医で診てもらいましょう。

参考文献 子どもの歯をじょうぶに きれいに 倉治ななえ著 主婦の友社  

2009年3月20日 (金)

オキシトシン

本日は、AERA with Baby 08年春号よりお届けいたします。

◇出産に関わるホルモン「オキシトシン」が記憶力をアップさせる?

近年、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の松井秀樹教授たちが行っているオキシトシンの研究が注目を集めています。

オキシトシンとは、妊娠、出産ととても関わり合いの深いホルモン。出産前は、子宮の収縮を刺激して陣痛を促す働きがあり、出産後は母乳の分泌を促したり、気持ちを鎮め、行動を落ち着かせる効果があると知られています。

松井教授のグループはこのオキシトシンに反応する受容体を、記憶・学習を司るいわゆる脳の一部、海馬に発見。授乳中の母マウスと、妊娠経験のないマウスをえさを置いた迷路に入れて、記憶とオキシトシンとの関係を調べました。

授乳中のマウスが間違える回数は妊娠していないマウスの約6割。3日後には同じ実験を行ったところ、やはり授乳中のマウスが間違える回数は妊娠していないマウスの約7割と少なく、授乳中のマウスの方が高い記憶力をもつと分かったのです。

そこで、授乳中のマウスに投薬し、オキシトシンが作用しないようにしたところ、間違える回数は、妊娠していないマウスと同レベルにまで上昇。

こうして授乳により分泌されるオキシトシンが記憶力を増す効果を持つと証明されました。つまり、授乳する母親の記憶力がアップする可能性もあるといえます。アンケートでも産後、「忘れっぽくなった」というお母さんが多いですが、それは脳のせいではなく、育児による体力の消耗が原因かもしれません。

オキシトシンが記憶力に影響するというメカニズムが明らかになったのはこれが初めて。最近ではオキシトシンの坑不安、坑ストレス作用にも注目した実験が進行中です。

2009年3月 2日 (月)

食を通じた心の発達

本日は、巷野悟郎先生、向井美恵先生、今村榮一先生監修の『乳幼児の食行動と食支援』よりお届けいたします。

◇食を通して発達する心

子どもの心は、人とのやりとりを通して発達します。このやりとりのなかで重要な関わりの一つが食べること、食事です。一方、食べ方や食事場面での周りの人との交流の持ち方は、子どもの心の発達を反映しています。すなわち、食べることと心の発達は相互に関連しあっているのです。ところで食を通じて心のどのような所が発達するのでしょうか。いくつかあげると、愛情関係の発達、対人関係・社会性の発達、自我の発達、身体感覚の発達、感情発達、味覚・味わいの発達、食べ物との関係の持ち方、が考えられます。

もちろん、これらの発達は相互に重なっているところがあります。以下に乳幼児期から毎日の生活のなかで繰り返されている食べることや、食事のときの家族とのやりとりがどのように心の発達に関係しているのかについて述べ、心の発達の観点から食べることの意義を再確認します。

~食と心の発達~

◇愛情関係の発達

愛情関係とは、アタッチメント〔乳幼児期に形成される愛情関係(情緒的な深い結びつきのこと)〕を形成している人との間に愛情を感じること、そして相手に対して愛情を抱くことです。

アタッチメント理論を提唱したボウルビィは、アタッチメントの形成に食べることは関係ないとしました。しかし、一方では生物学的にみて、アタッチメントを形成することが、危険な動物や環境から身を守り、生命を維持するための食事を供給され、生き残るのに重要な役割を担っていることにも触れています。

また、彼はアタッチメントを形成するためのアタッチメント行動のなかに、乳房に吸い付くことを含めています。従って、食べることは、愛情関係の発達に決して軽視できないものと考えます。

①子どもと親の関係

乳児が母親に対してアタッチメントを形成するのは、生後半年を過ぎたころです。そのころになると、乳児は母親の不在に悲しみ、母親に出会えることに喜びをもつとともに、にこやかな表情で母親への愛情を表現します。それ以前の乳児は、母親からの愛情を受けて、母親の腕に抱かれて安心して哺乳しているのですが、このとき母親から愛情をもらっていることも、乳房が母親のものでもあることも認識できていないかもしれません。

3ヶ月くらいになると、乳児は母親の顔が分かるようになるとともに、哺乳中に乳房や母親の顔に触るなどして、乳房が母親のものであることを理解するようになります。この時期には、母親に心を寄せて、アタッチメント行動m活発化してくるので、乳児は、母親からの愛情を感じることと、母親に対する愛情を抱きしめることの両方が可能になると考えられます。

その後、6,7ヶ月ころに、乳児に対する母親の愛情と母親に対する乳児の愛情が明確になるのですが、その以前の3,4ヶ月ころから、食べ物をもらうことと母親の愛情との関係が認識されつつあるといえます。

なお、この3,4ヶ月の時期に、子どもの空腹を見極め、タイミング良く授乳する母親の感受性は、アタッチメントの形成にとても重要です。

その後、授乳は母親が食事をつくって食べさせることに移っていきますが、安心できる場所で、親が愛情を込めてつくった食事を、親と一緒に食べることが、子どもの愛情関係を発達させ、子どもの安心感を育てることになるのです。

このような、食べることと愛情関係の発達、食べることと愛情の確認は、子どもが成長しても続きます。例えば、親が子どもに与える食べ物の多少は、親の愛情の多少に関係すると考えられるので、子ども達は、食べ物の多さを競うのです。

②食事環境が愛情関係に与える影響~「弧食」の影響~

愛情を込めずに食べ物を与えることは、食を通じてなされる愛情関係の発達、安心感の形成の発達を妨げます。また、一人で食べさせる弧食も、一緒に食べることを通じて成される愛情関係の発達を妨げます。

足立(1983)は、夕食を一人で食べる子どもが小学5年生で約9%いるとともに、一人で食べている子どもの多くが食事を「つまらない」と感じていることを報告しました。また子ども達は、一人で食べている食事場面に絵を描いた際に、寂しさを表現していました。

足立ら(2000)はさらに、17年後にも小学校5,6年生を対象に調査を行っています。この調査では、夕食を一人で食べる子どもが約9%から約7%へとやや減少しているものの、その一方で、「ひとりで食べている時が一番楽しい」とする子どもが、朝食で約15.5%、夕食では8.2%いることが明らかにされました。このような子ども達は、愛情と食べることの関係を感じていないのかもしれません。

この弧食という状況は、親のやむを得ない事情によって生じてる場合と、親の子どもに対する愛情の不足によって生じている場合があるのかもしれませんが、弧食の多い中学生は、家族と食事をする機会が多い子どもに比べ、イライラする、気が散る、大声を出したい、不安になる、などの症状を感じることが多いことが確認されています。(小西、黒川、2001)

この報告を参考にすると、おそらく、一人で食べている小学生は、中学生よりもさらに心理的に満たされない思いが強く、より精神的に不安定であることが予想されます。

参考文献 乳幼児の食行動と食支援 巷野悟郎、向井美恵、今村榮一監修 医歯薬出版 

2009年2月16日 (月)

三つ子の魂百までも!

本日は、医歯薬出版から『ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド』よりお届けいたします。

◇健康な口

健康な口とは、むし歯がなくてきれいな歯並びをしているだけでなく、「食べる」「話す」という役割が十分に発揮でき、豊かな生活を支える口のことです。

この「食べる」「話す」という口の役割のためには、乳幼児期からよく噛むことや歯磨きをすることが大切です。

◇歯磨きはいつから始めればよいの?

乳幼児の歯磨きは、次の4つの段階に分けられます。

1:歯磨き準備期(誕生~約6ヶ月)

生まれてから半年ぐらいは、歯ははえてきません。この時期は、母乳をあげた後の口の中は唾液がきれいにしてくれるため、口の中の清掃は必要ありません。歯が生え始めるまでの準備として、顔や口のまわりを触ってあげ、触れられることに慣れさせましょう。

2:歯磨き導入期(約6ヶ月~約1歳半)

生後6ヶ月くらいから、下の前歯が生え始めます。下の前歯が生え始めたら、ガーゼや綿棒で歯をぬぐう程度から始め、口の中を触れられるのに慣れていなから、歯ブラシを使い始めます。歯ブラシをおもちゃとして慣れさせるとよいでしょう。

1歳頃には、上下の前歯が揃ってきます。上の前歯は唾液が届きにくく汚れが残りやすいので、糖分の多いものをよく食べたり、飲んだりする習慣があると、むし歯が出来やすくなります。寝る前に母乳をあえることや、哺乳瓶でジュースやスポーツ飲料を飲ませることもむし歯の原因となります。

この時期には、1日1回の仕上げ磨きを習慣づけるようにしたいものです。まずは、離乳食を食べた後の機嫌のいいときを見計らって、仕上げ磨きの練習を始めましょう。膝の上に寝かせ、口の中をのぞき込むような姿勢を取ると磨きやすくなります。子どもがスキンシップのひとつと思えるような楽しい雰囲気を作るとよいでしょう。

3:歯磨き習慣化の時期(約1歳半~約3歳)

1歳半くらいから、今度は奥歯が生えてきて、2歳半くらいには乳歯が全部生えそろいます。奥歯の噛む面の溝にはプラークが溜まりやすいので、しっかりと歯磨きを行う必要があります。しかし、この年齢では、まだ歯ブラシをうまく使うことはできません。3歳くらいまでは、歯磨きを無理にさせるよりも、食生活に気をつけ、歯磨きの習慣を身につけさせることが大切です。遊び感覚で家族一緒に歯磨きを行うと歯ブラシに興味を持ち、大人や兄姉のまねをするようになります。

自分でやろうとする意欲を大切にし、思い通りに磨かせた後、保護者が確実に仕上げ磨きをするのがよいでしょう。最初は歯ブラシを噛んでしまい、すぐ毛先が開いてしまうので、子どもが使う歯ブラシと仕上げ磨きよう歯ブラシの2本を用意します。また、この時期には、ブクブクうがいもできるようになるため、歯磨きやおやつの後にはブクブクうがいをするように練習させることも大切です。

4:歯磨き上達の時期(約3歳~約5歳)

すでに乳歯は20本生え揃っています。食後すぐの歯磨きの習慣もつき、ぶくぶくうがいも上手くなってきているこの時期に、歯磨きの必要性や意識を少しづつ理解させ、自分で上手に磨けるようにしていくことが大切です。まずは、歯ブラシを噛まないこと、同じ歯を繰り返し磨くことから始めます。子どもがうまく磨けたら、いっぱい褒めてあげてください。それでも一番奥の歯などの磨き残しやすいところは、保護者の仕上げがまだ必要です。また、この時期は歯と歯の間に汚れが溜まり、むし歯が増加しやすいので、デンタルフロスと呼ばれる糸状の製品で汚れを落とし、フッ素入りの歯磨きも使用するとよいでしょう。

☆仕上げ磨きのポイント

ポイント1

上の前歯の歯と歯肉の境目、奥歯のかみ合わせの溝、歯と歯の間は汚れが残りやすいところです。

ポイント2

歯ブラシは歯に垂直に当て、細かく振動させましょう。

ポイント3

上の歯を磨くときは上唇の裏側にある筋を磨かないように気をつけましょう。奥歯から磨き始め、痛みを感じやすい上の前歯は最後に磨きましょう。

ポイント4

奥歯のほっぺ側と前歯の裏側を磨くときは「イー」、下の舌側を磨くときは「アーン」という口をさせて磨いてあげると磨きやすいです。

参考文献  ご存じですか?ライフステージでわかる歯と口の健康ガイド 川本亜子著分 医歯薬出版