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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
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2008年6月30日 (月)

休日救急歯科診療

昨日の日曜日に休日緊急歯科診療の当番になっていましたので、一日診療をしてきました。

最近では、日曜日に診療を行っている先生も多いので、前回行ったときよりも受診された患者さんは少なかったです。

多くは、前日に歯科医院を受診されたかたで、未だに痛み取れずに受診する方が3名、前日の歯科医院で付けた仮歯の脱離が1名、子供が転んで前歯を強打したお子さんが1名の計5名でした。

この日は救急で緊急的な処置しか出来ませんので、明日必ずかかりつけの歯科医院に行ってもらうように約束をしてもらいました。

しかし、一日中いつ患者さんが来るか分からない緊張感は慣れない私はとても疲れました。

いい勉強にはなりましたけど。

2008年6月29日 (日)

再石灰化を促進するミネラルパックで

本日は、株式会社GC(ジーシー)による健康マガジン「ヘルシーダイアモンド」に掲載された東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の田上順次教授のインタビューの記事をご紹介いたします。

☆食事のたびに小さなむし歯が出来ている

私たちが一般的に“むし歯”と呼ぶのは、歯に穴が開いていて着色が生じてしまった状態を示すことがおおいです。しかし実際に口の中では、目に見えないレベルで歯が溶けてむし歯が出来き、それを修復するという作業が毎日繰り返し行われています。これが、歯の「脱灰」と「再石灰化」であります。

歯の表面のエナメル質を形成しているのは、ほとんどが「カルシウム」と「リン」というミネラル成分でありますが、これらはごく弱い酸性度(pH5.5)で溶け出してしまいます。

食事をしたり甘い飲み物を飲んだりすると、口の中に生息しているむし歯の原因菌が糖を取り込み、分解して酸を生成します。この酸によって、歯の表面からミネラル成分が溶け出すことを、「脱灰」といい、この状態が続くと本格的な“むし歯”ということになります。

この「脱灰」を食い止める役割を果たすのが、唾液です。唾液は、酸を洗い流して口内を中性に戻すばかりではなく、唾液中に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分が、歯に取り込まれて修復の材料をなります。これが「再石灰化」と呼ばれる現象です。

むし歯を発症させないための「内科的齲蝕治療」を研究する田上教授は、「脱灰と再石灰化のバランスが保たれていれば、むし歯は出来ないはずです。しかし、歯が酸にさらされる時間や回数が多いと、歯の脱灰が続き、再石灰化が追いつかずにむし歯が進行してしまいます」と警告します。

つまり、三度の食事以外に間食をする回数の多い人や糖分を含んだ飲み物を飲む機械が多い人、また唾液の分泌量が少ない人などは、むし歯のリスクが高くなります。

柑橘系のジュースやお酢なども酸性が強く、むし歯ではないが歯を脱灰する要因になります。またビールやワインなどのアルコール類も酸性であるため、長い時間をかけて酒を飲むことも、脱灰のリスクを高めることになります。日常の中に、脱灰と再石灰化のバランスを狂わせる生活習慣がないかどうかを見直すことも、むし歯予防の大切な要素です。

☆歯にミネラル成分を補う「MIペースト」

再石灰化を促す環境を整えるためには、必ず食後の歯磨きを行い、口の中に酸を作る糖を残さないことです。また、むし歯菌の塊であるプラークやそれが固まった歯石を徹底的に除去するために、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けるのも効果的です。

最近では、再石灰化を促すミネラル成分を歯に浸透させる「ミネラルパック」も注目されていいます。これは、牛乳由来の成分であるCPP-ACP(リカルデント)を配合した「MIペースト」というものを、パックするように歯に塗る方法です。

「MIペーストには、唾液と比較するとはるかに高濃度のカルシウムとリンが含まれています。これを使うことで、脱灰によって失われたミネラル成分が効率よく歯に再吸収されます(田上教授)」

使用方法としては、まず歯磨きを行い口腔内を清潔にした後、綿棒などを使って歯全体にペーストを塗布するだけです。牛乳成分由来なので安心して使うことが出来ます。10~30分程度したら軽く口をゆすいでも良いです。もっと効率的に行うためには歯型から作る「カスタムトレイ」というものにペーストを塗り、歯全体に被せる方法もあります。

「歯磨きの後にミネラルパックを行うことで、通常よりも再石灰化がより促進されます。また、歯の隙間に残ったペーストの働きによって口内が酸性になりにくい状態を維持出来るため、むし歯予防の相乗効果も高まるでしょう。

さらに、知覚過敏を起こす歯の象牙質の微少な空隙にもカルシウムやリンが取り込まれるため、症状が緩和される効果もあります(田上教授)」

これまでのむし歯予防は、歯磨きによって糖や虫歯菌と取り除き、唾液により再石灰化を待つしかありませんでした。しかし、「MIペースト」を使うことで、攻めの予防”を行えます。

むし歯になりにくいじょうぶな歯を作るためにも。必要なものを補給してやるケアが行えるわけです。丈夫な歯を作るためのミネラルパックは、新しい時代のむし歯予防法といえます。

2008年6月28日 (土)

歯肉の腫れや出血はほっとけない

本日は、花田信弘先生、井田亮先生、野邑浩美先生の著書よりお届けいたします。

痛くもかゆくもないのに、歯の根元では歯周病が始まっています。

歯周病は、歯を支えている骨、歯槽骨が溶けてなくなってしまう病気です。痛くもかゆくもないので、気づきにくいのが厄介なところです。

「歯ブラシで磨くと血がでる」、「歯肉が腫れている」程度のところで気がつくと、治療も比較的簡単ですので、ちょっとおかしいな、とおもったら迷わず歯科医に行きましょう。

歯周病の治療も虫歯の治療を同じように、検査から始まります。まず、歯周ポケットの検査(ポケットプロービング)をします。

歯周ポケットとは、歯と歯肉の間のすきまです。ここが歯周病の発生場所です。歯と歯肉がぴたっと着いていれば、ポケットは出来ないのですが、もともと1mmぐらいの歯肉溝というすきまがあります。これが、歯周病のために30歳代半ばぐらいから徐々に隙間が開いてくるのです。

3mm以上の隙間が出来ると、炎症が起き、出血します。歯周病が始まっています。ポケット診査ですが、中の歯垢をキレイに取り除き、歯肉の腫れがおさまってから、細い針のような器具を歯と歯肉の隙間に差し込み、歯周ポケットの深さを測り、出血のあるなしなど歯肉の状態を調べます。

それともう一つ重要なのは、X線検査です。歯を支える骨に変化がないか調べます。歯周病が歯の根元ですすむと、歯を支えている歯槽骨が、自分にも害が加わることを恐れ、退却していくと思ってください。

この歯槽骨が減っていないかを調べるのがX線の検査です。

歯周病は誰にでも起こる病気です。早期発見があなたの歯を救います。

参考文献 むし歯・歯周病 ~もうむし歯で悩まない~ 花田信弘 井田亮 野邑浩美共著 小学館

2008年6月27日 (金)

歯の無い人は寝たきりになりやすい

本日は吉川涼一先生の著書よりお届けいたします。

歯のはい人は寝たきりになりやすい?

「虫歯や歯周病で歯を失ってしまった人は、老後寝たきりになりやすい」という統計結果をご存じでしょうか。

若い頃からはを大切にして出来るだけ歯を残すことが、老後の幸せにも繋がるというお話です。

統計的に見ると、歯を失った人はそう出ない人に比べて、寝たきりになる確立は10倍、アルツハイマーになる確立は4倍高いと言われています。

また、日本歯科医師会が薦める「8020(ハチナルニイマル)運動」(「80歳になって20本以上、自分の歯を残しましょう」という運動)の中で行われた調査では、お年寄りの歯がどれだけ残っているのかということと医療費のあいだに明らかな関連があることがわかりました。つまり、残っている歯の数が多い人ほど、医療費が安かったのです。

ちなみに、兵庫県歯科医師会が高齢者を対象に行った調査では、残存歯20本以上の人と、まったく歯のない人では、1ヶ月の医療費に1万5000円もの差がありました。

歯は、健康のバロメーター。歯を失ってしまうと、健康を維持している生活活動の一部が狂ってしまうので病気になりやすいのです。それが、この統計結果に現れていると思います。おろそかには出来ませんね。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2008年6月26日 (木)

お前は何様だと思われるかもしれませんが・・・。

昨晩は、いつものスタディーグループ「浜の勉強会」が郡山で開かれました。

今回の発表は私の番でした。本当は、5月に行われるはずでした。それが延期になり昨日になったのです。

前回発表した時は、非常に喜んでいただいたのですが、ある先生に「お前の発表は出し惜しみをしすぎ」と注意されました。別に出し惜しみをしているつもりは無かったのですが、結果的に出し惜しみのような内容になってしまったのかもしれません。

そのため、今回はだし惜しみなく、すべてさらけ出す覚悟で資料を作成しました。テーマは「明日から使えるテクニック」みたいな感じで。

資料の作成を始めたのは2月の後半からです。最初に行ったのは、今まで私が研修会で習ったり、先輩に教えを受けたもので、とても患者さんに喜ばれた治療の内容を列挙する所から始めました。

今回私に与えられたテーマは虫歯の治療だったので、痛みが無く、キレイに、保険で出来る、簡単な、を念頭に置いて作業を始めました。

とにかく、保険で出来るというのが大前提なので、私が使っている材料で、保険適用の良い材料をピックアップしました。その上で、材料屋さんにその材料のカタログを大量に注文しました。幹事の先生の話によると、今回はかなり人数が増えて10人以上になるかもとのこと。自然と気合いが入ります。

次ぎに行った作業は、いかに見やすいレポートを作成するかと言うこと。私が考えた事はとにかく、いつもの治療の流れに乗って説明していこうと考えました。そこで出来た順番は、

1:虫歯になってしまう原因

2:虫歯の種類

3:最近の治療の考え方

4:実際の治療の仕方

5:その際に使用する器具や薬剤の紹介

6:治療で出来た穴を埋めるにはどうするか

7:穴を埋める際にはどんな問題があるのか

8:再発しないための処置とは

9:材料を埋める際の理論

10:実際の穴の埋め方

11:埋める際に使う材料の紹介と使い方

12:材料を埋める時の審美的に満足出来る色を付けるための技術、考え方

13:私が使用している材料の説明となぜこの材料を使用するのかの理由

14:審美的に材料を使うための歯の削り方

15:実際に私が行った症例の写真

以上の15項目をわかりやすく説明しようと思いました。

で、実際にレポートを作成するのは思いの外大変でした。今回は自己満足で終わってはいけないので、全く知識のない先生を相手にするつもりで(実際はそんなことはありません)、図や写真を多く取り入れることにしました。

今回のテーマに沿った患者さんがいれば、許しを得て写真撮影を行いました。レポートに使用したいからです。図も多く作りました。慣れない作画用ソフトを用いて作成したのですが、さすがに下手で、自分で苦笑してしまいました。

だいたい、15項目をわかりやすくすると、1項目1~3枚ほどかかります。参考文献などで調べながら(間違ってはいけないのです。人間の体の事に関わることですから)、作成してやく2ヶ月かけて完成しました。また、文献だけでは分かりずらいので、付録として模型も作りました。だいたい10人以上が来るといわれているので、余裕をもって20個。技工士の黒澤さんと池田さんに残業して作ってもらいました。

レポートが完成したのですが、枚数が多いのでクリアブックに入れることにしました。その方が見やすいと思ったからです。

だいたい35枚近くありますので、クリアブック1冊に入れ終わるのに10分くらいかかります。20冊用意することにしたので、かなり時間がかかりました。当初は5月半ばの予定でしたので、5月の頭までには完成していなけれいけなかったので、結構ハードでした。

その後延期の知らせがありました。本音を言えばすごくこの延期は嬉しかったです。レポートを説明しなければいけないので、自分でもう一度勉強し直したかったからです。時間は1ヶ月ありますので、いくつか内容を変更したり、追加したりすることができました。

前日までに実際に使用している材料や機材を準備して本番に備えました。

そして、当日。

参加人数は4人despair

本当に愕然としました。参加してくださった先生は熱心に話しを聞いてもらいましたし、良いディスカッションも出来たと思います。明日からすぐに使える内容だったためか先生方に喜んでいただいたと自負しています。

でも、顔では笑っていましたが、心はずっと泣いていました。多くの先生に役に立つ内容を検討し、地域の患者さんに役に立って欲しいというその一心で頑張ってきたのに。4人しか参加しないとは。

欠席した先生は当日いけないと連絡をしてきたそうです。まあ、いろんな事情がありますし、お互い様なので多くは語りません。

こんなに報われない仕事をしたのは久しぶりです。大学院時代は私が仕事を覚えるように色々と無駄な仕事を行ったことがありますが、それは私も分かっていて、仕事を覚えるために喜んで行いました。

お前は何様だと思われるかもしれませんが、もう私はこの研修は引き受けないと思います。だって馬鹿馬鹿しくて。

本日のブログは子供じみた感じになってしまいました。自分でもイヤになります。でも書かずにはいられなかったのです。

すいません。

2008年6月25日 (水)

理髪外科医

本日は、長谷川正康先生の著書「噛む~歯は命~」よりお届けいたします。

中世紀口腔衛生を支えた理髪外科医

中世紀時代のイタリアにおいては、理髪師が医師の業務の一部、主として外科的範囲の瀉血、吸角法、抜歯、口腔内清掃などを担当していました。

瀉血(しゃけつ)は、刺絡(さつらく)ともいい、静脈に傷を付け血液を体外に出す医術の一方法です。血圧亢進、脳貧血、脚気による心悸亢進などのときに応用して効果を上げた古い時代の療法です。

吸角法は角法ともいい、これも医術の一種で、そのはじめは角製の吸血器を用いていました。皮膚の表面から傷を付けずに血液を吸い出す方法です。この吸血器も中世記には金属や、ガラスで作られるようになりました。この方法は洋の東西を問わず行われていたらしく、我が国では、丹波康頼が選した「医心方」(912年)には、角嗽(チトルカメ)という名で悪血をとり、血圧の高い人の隆圧に用いるとあります。この方法は、現在も漢方で蛭を利用して行われています。

それはさておいて、理髪師が外科を担当していた名残は、いまも看板として残っていることはご承知でしょう。あの理髪店の看板の白、青、赤です。包帯、シーツの白、動脈の赤、静脈の青を表しています。

この商標は、1540年、パリの理髪店外科医メヤーナ・キールが用いたのが最初とされています。

彼ら理髪師の本業は、もちろん整髪にあり、外科的処置や口腔内清掃は副業だったのでしょうが、外科的処置や口腔内清掃の料金は一定ではなく、その処置の状況によって礼金として受け取っていました。

その礼金をいちいち受け取る煩わしさを避けるために、礼金をいれる箱が置かれました。その箱には、本業の整髪の手を休めず迅速に仕事が出来るようにTo Insure Promptness(迅速を保証するために)と書かれていました。この文字を取るとTIP(tip)となり、これがお礼としてあげるチップの語源となったといわれています。

しかし、これには異説があるようです。中世期イギリスのコーヒー店でコーヒーを運ぶサービスを円滑にするため、入り口に箱を置きました。それは前と同じ文字が書かれていました。そこに小銭を入れたお客様からコーヒーが運ばれ、入れなかった人は後回しにされました。こんな事からサービスを良くするためのお礼をチップといったという説もあります。

当時、理髪外科医として有名であったチンチオ・ダマトの著書には小外科の処置法が述べられていますが、その他、歯石除去法、歯の汚染の処置法、歯磨剤の調整法などが記載されています。また、塩の水は歯を白くし、歯肉の潰瘍によいと、塩の効果を述べています。

最近、我が国にも審美歯科学会というのができましたが、ダマトは古代から医術の中に含まれ、「美粧医学」と名付けられ、理髪師は医師の仲間として美粧医学と、ある程度の外科の仕事の仕事に携わっていた、と。

したがって、この中世紀の時代、歯石を除き、歯を清掃して美しくする仕事は、当然、理髪師の手中にあったといっていいわけです。

ダマトは「歯に生ずる沈着物は、胃からのぼってくる蒸気によって出来るので、毎朝歯を擦り清潔にしなければならない。それを怠ると歯は変色して歯石に被われ、虫歯の原因となるので、これを取り除かねばならない」といっています。

このように、一般庶民の歯の清掃は、理髪師の仕事でもあったのです。この理由をJ・ウッドフォードは「抜歯を別にすれば、最良の理髪外科医の口腔治療は清掃であった。なぜなら、この頃の一般庶民は家庭用歯ブラシがなかったから、彼らに口腔清掃をまかせた」といっています。

理髪外科医は、18世紀(1745年 江戸中期)までヨーロッパに存在していました。ヨーロッパ近世外科医の父と呼ばれるアンプロワーズ・バーレ(1517~90)が医師として身を立てるにいたった第一歩は、理髪店の見習生となって刺絡法を修得したのがその動機となったといいます。彼は、16歳の時、パリにでて理髪外科医の許に勤めて修行したといいます。

この他に、理髪外科医出身の医師も多くいました。現在のような型の歯ブラシが考案されたのは、ヨーロッパでは17世紀頃で、毛は馬毛が用いられました。

中国においては、959年頃(10世紀)の歯ブラシが発見されています。これは中国熱河省大管子村にあります遼時代(916~1125年)の王の墓の埋葬品の中から、洗面器、含嗽盃とともに見つかったものです。植毛はすでに腐敗して抜け落ちて何の毛かは分かりませんが、柄は象牙製であったといいます。中国ではかなり古い時代から使われていましたが、一般庶民には縁なき品であったでしょう。

曹洞宗の道元禅師の「正法眼蔵」の中には、中国の喜定16年(1223年)に宋に留学中に、牛角製柄に馬毛を植えた歯ブラシが使われていたことが出ているといいます。

参考文献 噛む~歯は命~ 長谷川正康著 求龍堂

2008年6月24日 (火)

可能性が広がるのは気持ちいい

先週末は仙台へインプラントの勉強会に参加してきました。

仙台駅からかなり離れた場所にあるらしく、地下鉄にのって目的地近郊へ行きました。

初めての場所なので、1時間前に仙台に到着しました。

地図によれば、地下鉄の駅から、会場までは徒歩7分と書いてあります。

しかし、どう見積もっても20分は歩いています。

梅雨空と湿気でもう汗だくです。

おかしいと思いつつ歩を進めていると、目の前に交番が。

「すいません、この場所に行きたいのですが?」

「あ、この場所はこの先しばらく歩くと、地下鉄の駅がありますから、そこから右に曲がって、4~5分です。」

しばらく行った地下鉄とは先ほど私がいた所です。私は、道を間違えて歩いていたのです。

またきた道をとぼとぼと歩いて戻り、言われた道成に歩くとすぐに到着しました。

今回の研修内容は、いつも私が使用しているインプラントとは違うインプラントメーカーが主催するものなので、すこしインプラントに対する考え方が違います。患者さんに満足してもらうというゴールは一緒なのですが、アプローチの仕方が少し違います。

今回は、インプラントが困難な場合の対処法や新しい技術、考え方を学んできました。すごく自分の臨床の可能性が広がったみたいで、とても嬉しくなりました。

やはり私は歯科医なので、この道を極めて行くしか生きる道がないように思います。いまさら他の仕事はできませんし。他の事には目もくれず、歯科の仕事だけを考えて勉強をし続けるしかないと思います。

しかし、他メーカーのインプラントの勉強会に多く参加していますが、毎回新しい発見があります。他のメーカーなので、ちょっとした工夫が必要なのですが、そこを考えるのがまた楽しいのです。

今回の勉強会でお隣に座られた同じ福島の先生と一緒にインプラントの勉強もするお約束をしました。こうした同じ目的を持つ仲間と出会えるのも勉強会の楽しいところです。

2008年6月23日 (月)

午後は、臨時休診いたします。

本日午後は、大きな手術がありますので、

臨時休診いたします。

明日は通常通り診療いたします。

しろくま歯科医院

猪狩弓彦

2008年6月22日 (日)

本日は、研修会へいってきます

本日は、インプラント関係の研修会のため、仙台へ行きます。

どんな研修会になるかとても楽しみです。

この模様はまたいつかお知らせいたします。

2008年6月21日 (土)

虫歯の進行具合と症状

本日は、青山健一先生の著書「よくわかる家庭の歯学」よりお届けいたします。

●虫歯の進行度合いと症状

C1

エナメル質に限った虫歯の事です。以前は「早期発見・早期治療」を謳い文句に、この程度の虫歯でも治療していました。今ではC1は治療すべきではないという考えかたに変わってきています。というのも、虫歯の自然治癒力がないと考えられていたのですが、エナメル質に限っては、再石灰化によって虫歯が治癒できるのです。とくにフッ素を使用する人に、再石灰化が起こりやすいので、削って治すのではなく、フッ素を使って再石灰化すかどうか経過を見ていくべきです。

ちなみに、エナメル質には神経が通っていないので、痛い、しみる、といった自覚症状はまったくありません。

C2

虫歯が象牙質まで達した虫歯の場合です。象牙質は、エナメル質と違って、再石灰化も起こさず、硬さも5~6倍柔らかいので、あっという間に歯の神経に到達してしまいます。

この状態でなるべく早く治療をしなければなりません。象牙質の虫歯も深くなると、痛みやしみるなどの自覚症状が出てきます。とくにデンタルフロスを使っていない人は、歯と歯の接点(コンタクト)から虫歯になり、本人が気づかないうちに虫歯が進行する場合が多いのです。

C3

歯の神経にまで虫歯が到達すると、常時の激痛になります。ここまで虫歯が進行すると、歯の神経を取り除かなければなりませんが、いったん歯の神経を取ると、その後その歯は、血液の循環による栄養を補給できなくなりますので、年々弱くなっていきます。そうしていつかは枯れ木と同じようになってしまいます。

ですから、C2の段階までのうちに早めの治療を受けることが大切です。

C4

虫歯に感染している部分を取り除いて、歯肉の上から歯の見える部分がほとんど無くなり、歯の根元だけが残っている状態です。虫歯が歯肉にまで達してしまうと、このC4の歯はもう抜歯になってしまいます。

早期治療が歯の寿命を縮めるとき

従来の歯科治療では「早期発見。早期治療」が常識的な方針でした。しかし、今ではフッ素の普及や定期的な健診により「早期発見、定期検診」が効果的だというスタンスになってきました。

歯の表面の最も硬い部分のエナメル質に限定した虫歯では、早い時期から削って治療することは逆に歯の寿命を縮めることにもなりかねないのです。

しかし、エナメル質は人間の体の中で最も硬い部分であり、虫歯の進行もとても遅く、数年たってもたいした進行がないこともよくあります。

それを歯科医院で簡単に削って詰め物をするために、虫歯より大きく削ってしまうと、数年かけて進む虫歯の進行を、一瞬にして数年分を削ってしまうことになるのです。

エナメル質の下にある象牙質はとても軟らかく、虫歯の進行が早いので、象牙質まで進行している虫歯は「早期発見、早期治療」の対象になります。

患者さんの立場のなると、自分の虫歯がエナメル質に限定したものなのか、それとも象牙質まで進行した状態なのかは、自分で判断することは難しいと思います。

歯の表面が黒っぽくなっているぐらいの虫歯は、エナメル質に限定していますので、削ってまで治療する必要はありません。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年6月20日 (金)

大黒屋カフェ

昨日の休診日に妻と大黒屋カフェに行って来ました。

午前中に銀行との打ち合わせがあり、午後に向かいました。

私の住んでいる郡山からは車で30分くらい行ったところにあるこのカフェ。

とにかく、大人の喫茶店という雰囲気。

店内は決して広くは内のですが、他人に全く気を使わない感じと、

店内に流れる「どうぞゆっくりしていってください」という何とも言えない雰囲気。

こだわりのコーヒーと品のあるスウィーツ。

とにかく大満足の喫茶店です。

また、必ず近日中に出かけます。

必ずです。

お勧め。

2008年6月19日 (木)

またまた挑戦中

今まで何度も、何度も失敗している事があります。

今回は絶対成功しようと思います。

その挑戦は、ドストエフスキー著「カラマーゾフの兄弟」の読破です。

過去、10回は挑戦してきて、ことごとく失敗。

今回は、この難題に望む前に十分なトレーニングを積みました。

とにかく集中力を持続させ、早く読む訓練をこの3ヶ月ほど積みました。

一日で約400ページほどの単行本2冊は読めるようになりました。

かなりの集中力が持続できると自負しています。

今回は頑張りますよ。

2008年6月18日 (水)

赤ちゃんの口にはミュータンス菌はいない

本日は、坂本洋介先生の著書「元気でキレイは口もとから」よりお届けいたします。

赤ちゃんの口にはミュータンス菌はいない

生まれたばかりの赤ちゃんの口には、ミュータンス菌が存在しません。乳児の口の中にニュータンス菌がみられるようになるのは、離乳食が始まるころからです。

これは、離乳食が始まるとお母さんが熱い離乳食を冷ましたり、口の中で砕いて小さくしたり柔らかくしたりして、口移しで子供に食べさせたり、同じ箸やスプーンを使ったりするためです。

つまり、母親の口の中のミュータンス菌が子供の口の中に入ってしまうのです。ミュータンス菌を完全になくすことは出来ませんが、唾液1ml中1000個以下にすれば感染しないといわれていますから、出来れば赤ちゃんの使うスプーンや食器類は別にするのがよいでしょう。

もちろん、母親をはじめとして父親、兄弟など赤ちゃんに接する人たちがキチンと歯の手入れをしておくことが大切なのはいうまでもありません。

参考文献 元気でキレイは口もとから 坂本洋介著 北海道新聞社

2008年6月17日 (火)

ジルコニア

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる歯科インプラント治療」よりお届けいたします。

ジルコニア

医療の現場では、2年おきくらいに新しい技術が導入され、大きなイノベーションが起きています。そのなかには、医療メーカーや製薬会社が売り込みをかけて大々的に発表するものがありますが、本当に使えるものはごくわずかなのです。

しかし、発表当時は全くダメなもの、それから2年も経つと先例されて使えるようになってきます。たとえば、型どりした歯型をコンピュータで三次元的に読み込んで機械で人工歯を作る技術、CAD/CAMがあります。当初は適合も悪い上にコストも高く、とても使える代物ではありませんでした。しかし、3年ほどまえからアメリカで徐々に普及してきて、あっという間に技術革新されました。

日本でも2006年11月に薬事法の認可が降りて、本格的にCAD/CAMを使った治療が始まりました。現在では工作精度も上がり、歯科技工士が造る補綴物(人工歯)と遜色ないレベルにまできていますし、人工ダイヤモンドであるジルコニアを使った人工歯も作れるようになっています。

ジルコニアの利点は、金属をまったく使うことなく、天然歯と遜色のない審美性を持った材質であることです。もちろん強度も強く、理想的な材料といってよく、身体に害がなく、生体親和性に優れたジルコニアは、今後の歯科治療を変えていくでしょう。

私のクリニックでも昨年からジルコニアを使った治療を開始していますが、非常に扱いやすく、しかも見た目も美しく、納得の行く治療が可能です。

まず型どりした歯型を専用の読みとり機でデータ化し、その情報だけをスウェーデン工場(現在は幕張にアジアの拠点が出来ました。)にメールで送信いたします。そうすると一週間くらいでジルコニアの人工歯の土台が出来上がってきます。

それを噛み合わせや歯の色のチェックをしながら仕上げて行くのですが、型どりから仕上げまで2週間もあれば完了です。将来的にはCAD/CAMで治療するのが当たり前になるでしょう。

ジルコニアクラウンとは、金属を一切使わない修復システムで、生体親和性と優れた審美性を追求する治療法です。

ジルコニアは審美的な白色を有しているだけではなく、生体親和性においてもすぐれ、医療分野で人工関節の球状骨頭部などに既に20年近く用いられています。

またスペースシャトルの断熱保護材やF1のブレーキディスクなどにも使用され、過酷な状況下での耐久性も証明されています。

今までのオールセラミッククラウンではどうしても強度的に弱く、せっかく治療したのにも関わらず割れてしまうことがありました。ジルコニアは人工ダイアモンドやセラミック包丁などに使われている材料で、通常のセラミック強度よりはるかに硬く、強靱で科学的に安定した物性を持っていますが、あまりにも硬すぎるために加工が難しく、今まで歯科治療に使うことが困難だったのです。

しかし工業界では一般的になってきたCAD/CAMという技術を使い、ジルコニアの塊(インゴット)をコンピュータで切除しえ作ることが可能となったのです。

今までは工作精度に問題があり、治療に使えるようなものではありませんでしたが、近年CAD/CAMの技術が進化して、現在では30ミクロン以下の適合も可能となり、技工士さんが手作業でつくる金属クラウンと遜色ないレベルに達しています。将来的にはインプラントを除くすべての人工歯がジルコニアに移行していくと思います。

現在、私のクリニックでもジルコニアクラウン・ブリッジを使用した治療を行っておりますが、透明性が高く、口腔内では天然歯ととものバランスのとれた自然な印象を与えることが出来ます。

歯を作り出す歯科技工士はとても過酷です。ひとつひとつハンドメイドで丁寧に仕上げられるのですが、彼らは毎日徹夜を覚悟で、応えてくれているのです。CAD/CAMが、彼らの過酷な労働条件を少しでも軽減してくれれば、技工士さん達のストレスも軽減されるでしょう。 722

イギリスには「ビスポーク」という言葉があります。721_12

お客さん一人一人にあった型を元に、革靴や服をつくるシステムの事です。昔は当たり前のように行われていたことですが、現在では限られた一部のセレブのための特別なサービスとなってしまいました。

例えば、ビスポークで靴を作るとだいたい50万円くらいします。こんなに高いの?と思うかもしれませんが、ビスポークは最低でも2足は作るのです。そして、一足目で当たりが強いところをや履き心地をチェックして、その靴を捨ててしまいます。もったいない事ですが、そうして出来上がった靴は靴擦れもなく、手入れを怠らなければ一生ものなのです。価値あるものはそれなりに高価なのです。

将来、歯科クリニックに行くと、「ビスポークにしますか?それとも機械で作りますか?」などと聞かれることになるかもしれません。

参考文献 よくわる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年6月16日 (月)

寝だめ

東北地方では、大きな地震があり、当医院も大変大きな揺れに見舞われました。

ちょうど、朝の朝礼が終わり、診療の準備を始めているときの揺れでした。

私は2階の自宅にいたのですが、体が後ろに大きく傾くほどの揺れでした。

本当に地震が苦手です。震災に遭った方々の一刻も早い回復をお祈りいたします。

昨日の日曜日は、一日寝ていました。

まだ、体が完全に復調してはいないみたいで、時折めまいがあったり、

体が熱っぽくなっています。

時間が許す限り、体を休めようと努力しております。

一つ良いことがありました。

早く床につくようになったため、間食が減り、体重も減りましたsun

2008年6月15日 (日)

上あごはまな板、下あごは包丁

本日は、茂木伸夫先生の著書「歯医者さんにかかると寿命が延びる」よりお届けいたします。

上あごはまな板、下あごは包丁

ものを噛むときには上あごと下あごの歯が噛み合って大きなものを小さく粉砕していきますが、上あごと下あごの骨の作りは全然ちがいます。

上あごは海面骨という比較的柔らかな骨で出来ていますが、下あごは緻密骨と硬い骨で出来ています。また、噛むときには顎関節という耳のすぐ近くにある蝶番が回転して下あごを動かしています。

ちょうど下あごは包丁の刃で、上あごは、まな板と考えてください。下あごの歯は、強い力が出せるようにがっちりとした下あごの硬い骨に支えられています。

また、下あごの歯で噛んだ強い力を硬い骨がまな板となって噛み合ったらどうでしょう。どちらも壊れるか、どちらかが壊れるかとなってしまうでしょう。

上あごの比較的柔らかな海面骨が衝撃をソフトに受け止められるように出来ています。また、上あごには上顎洞という空洞が頬の中に両側にあり、力を緩衝する役目も果たしています。

ある歯医者さんで下あごの親知らずを抜いてもらったら一晩中痛かった。でも今度違う歯医者さんで上あごの親知らずを抜いてもらったらほとんど痛みがなかった。今度の歯医者さんはとても上手だな。というお話。そうでしょうか。上あごは柔らかな骨のために外への痛みの放散がしやすいし、抜いたところへの栄養素なども運ばれやすいのです。

状況により症状はまちまちですので、間違って決めつけないようにお願いいたします。決めた主治医は信頼しましょう。

参考文献 歯医者さんいかかると寿命が延びる 茂木伸夫著 愛育社

2008年6月14日 (土)

応急処置あれこれ2

本日は、昨日の続きです。

本日も清水先生の著書からお届けいたします。

出血が止まらない

歯医者で抜歯などの外科処置を受け、血が止まらない時は、まず圧迫します。この時、麻酔は切れていますので痛みがありますが、30分から一時間、ガーゼ、なければティーバッグなどの柔らかいものを咬んだままでいるとほとんど止まります。

軽度の出血の場合は、圧迫で止まるはずです。ただ、薬を服用している時、たばこを吸う人、歯肉が感染している時の抜歯などでは血が止まりにくいことが多いのです。また圧迫しているつもりでも、話しをしていると、かえって咬んでいる物で傷口をたたいていることもありますので、なるべく咬んだ歯を離さないようにしゃべってください。

たばこを吸う人や血の味が気になって傷口を吸ってしまう人は一週間程度、唾液に血がまじることがあります。出血量が多く見えますが、それはたばこを吸うリスクと考えてください。

それでも血が止まらない時

血液の病気や坑凝固剤を服用している人は、本当に止まらないことや、輸血しないと止血できないこともあります。大事にきちんと全身疾患の有無、薬の服用について担当医に話すようにしてください。そして、とにかく病院につくまでは圧迫しておいてください。

歯が抜けた

打撲などで歯が抜けた時の予後は、再植するまでの時間が出来るだけ短い方がいいので、出来るだけ早く歯科医を受診してください。頭を打った時は脳神経外科が先ですが・・・。

抜けた歯は出来るだけ清潔に生理食塩水などにつけて歯の頭を持つようにして持参してください。

顎がはずれた!

とにかく歯医者か、病院を受診することが一番いいでしょう。

通常そのまま上や下に押す方がいますが、これでは痛いだけで元にもどりません。両方の下の奥歯の上に柔らかい物をおき、まず下に押し下げて手前にすこし回転させ後ろに押せばもとに戻りますが、これはコツが必要なので病院を受診することをお勧めします。

参考文献 見えないから怖い 口の病気 清水敏之著 早稲田出版

2008年6月13日 (金)

応急処置あれこれ

本日は、清水敏之先生の著書「見えないから怖い口の病気」からお届けいたします。

応急処置あれこれ

歯が痛むとき

痛いときはとりあえず安静にし、我慢できない時は出来れば今まで服用してアレルギーの無かった痛み止めを服用する方法もあります。

しかし、これらは根本的な治療ではないので、出来るだけ時間を都合して歯科医に行かなければなりません。針を刺したり、マッサージをして膿みを出すなどの応急処置に本に記載されていますが、消毒の問題や、膿みを広げる危険を考えれば、先進国で生活しているのなら必ず歯医者に行くべきと考えます。また入浴、運動は避けてください。

腫れた時

歯が原因で腫れた時は決して冷やさないでください。病院によって流儀はありますが、一般的に冷やすのは打ち身の時だけで、細菌による感染には逆効果です。

通常、細菌感染や傷は血液中の成分によって打ち身などの時だけで、細菌による感染には逆効果です。

通常、細菌感染や傷は血液中の成分によって治癒するのですが、冷やすと血管が細くなります。当然血管の中を通る血液量も減少し治癒が遅れます。それでもやっぱり冷やしたい時は濡れタオルにしておいてください。氷などは避けてください。

腫れることは身体の中に異常が生じ、その異常に対処するために反応する身体の防御反応です。腫れること自体が悪いのではなく、その原因を治癒しないと駄目なので、腫れは病状の程度の診断材料にはなりますが、腫れだけを積極的に消すことはあまり意味がありません。

腫れに伴う痛みは、たまった膿が健康な組織を押すことによって痛みを生じるため、医療機関で膿みさえだせば痛みは消えていきます。

膿みをさす方法としては、歯肉だけの小さな腫れにおいては肉の下が骨なのでマッサージで対処する方法もありますが、膿みの出口がないのにマッサージしてしまうと、膿みを身体の他の部分に押し込む事もありますので、すこし大きく腫れた時や顔の外まで腫れた時はマッサージをしないでください。しかし、患者さんがその判断をするのは難しく、歯科医の指導の下で行うことが良い方法です。

また、抗生物質(化膿止め)を服用して三日以上経っても改善しない時は、原因の悪化に身体の防御反応が追いついていないか、薬の変更が必要なので歯科医を受診すべきだと思います。

明日へ続きます。

参考文献 見えないから怖い口の病気 清水敏之著 早稲田出版

2008年6月12日 (木)

虫歯や口の中でこうして生まれる

本日は、花田信弘先生と井田亮先生、野邑浩美さんの著書「むし歯・歯周病」よりお届けいたします。

虫歯は口の中でこうして生まれる

歯を失う原因の第一に、虫歯があげられます。虫歯はどうやってつくられるのでしょうか。最新の知識をもとに解説していきましょう。

歯の表面は、エナメル質という人間の体の中でもっとも硬い組織で覆われています。エナメル質が歯そのものをしっかり守っているわけです。そのエナメル質を唾液が常におおっています。

ところが、虫歯の原因であるミュータンス菌がたくさん口の中にいると、その菌がエネメル質に取り付いて、食べ物の中に含まれている砂糖を餌にして、乳酸や酢酸を作り出し、その酸のせいで虫歯菌が作られていくのです。

虫歯菌がエナメル質に取り付くと述べましたが、ミュータンス菌が砂糖と出会うと、グルコシトランスフェラーゼ(GTF)という酵素を分泌して、ねばねばしてくっつきやすい粘着性の強いグルカンというものを作り出します。

このグルカンが菌の表面にべったり付いて、そこでいろいろな菌が集まってきます。歯垢(デンタルプラーク)と呼ばれるものです。歯垢は食べ物のカスのように見えますが、すでに細菌の集団なのです。

最初のうちは歯ブラシでこすればとれますが、しだいに厚みをまし、その中で菌が増殖して、膜を作っていきます。これが「バイオフィルム」です。

このバイオフィルムにおおわれた歯は、ミュータンス菌が出す強い酸によって溶かされ、虫歯が出来て行くのです。

プラークを作らない、バイオフィルムを作らせない、これが虫歯の本格的な治療であり、予防なのです。

歯周病も細菌によって起こりますが、その細菌もバイオフィルムの中にいるのです。

参考文献 むし歯・歯周病~もう歯で悩まない 花田信弘、井田亮、野邑浩美 著 小学館

2008年6月11日 (水)

アイスノンってすごいね

人間は、恒常性動物なので、自分自身で熱を作り、一定の体温を作り出すことが出来ます。

爬虫類などの動物は、この機能が付与されていないので、熱が体内からなくなると動くことが出来ません。よくテレビで岩肌に爬虫類がじっとしている画像が流れますが、あれは太陽光を体に充電(?)しているための動作です。

人間は、風邪を引くと体の中にある“セットポイント”と呼ばれる体温を維持する機能が不調を起こします。

すると、人間は恒常性を失い、動きに支障が出始めます。風邪を引いても熱が無ければ普通に動くことが出来ます。しかし、熱があれば全く駄目です。

私は昨日は完全に発熱していて、足下もおぼつかない感じでした。

仕事が終わって、駆け込むようにベッドへと向かったのですが、その時、妻で「アイスノン」を持ってきてくれました。

しばらくアイスノンで頭を冷やしていたら、体が動くようになってきました。機械的でも熱を奪ってあげると、体の自由は利くのだなと素直に感心しました。

こんな事を考えられたのは、私の体が恒常性を取りもどしたからでしょうか。

2008年6月10日 (火)

風邪を引いてしまいました・・・・・。

のどが痛く、足下がぐらぐら揺れている感じが昨晩から続いています。

私、子供のようによく風邪を引きます。

体力と免疫がないのですね。

早く回復したいです。

2008年6月 9日 (月)

きっと!すべてがうまくいく

もう6年以上も前の事なのですけど、人生において非常に辛い時期がありました。何をやっても駄目で、かなり気分が腐っていました。

そんなとき、ある友人がこの本を紹介してくれました。

それ以来ずっと肌身離さずもっているのですが、いつ読んでも新しい発見があります。

今のこの本は2冊目なのです。1冊目は亡くなった叔母に生前あげました。

今も、この本に救われています。

2008年6月 8日 (日)

歯の健康フェアー

本日は、朝10時から3時まで、駅前ビッグアイ6階の市民ふれあいプラザで「歯の健康フェアー」が開催されます。

当日は、歯科に無料相談や衛生士さんのと口腔内のバイキンを調べたり、結構深い歯科の世界が覗くことが出来ます。

時間のある方や歯の相談をご希望の方は是非お立ち寄りください。

2008年6月 7日 (土)

本日午後休診いたします。

本日午後は、明日の「歯の健康フェアー」の準備のため、休診とさせて頂きます。

午前中は通常通り診療いたします。

しろくま歯科医院

院長 猪狩弓彦

2008年6月 6日 (金)

口内炎はあぶない

本日は、名古屋大学医学部口腔外科学講座教授 上田実教授の著書「咀嚼健康法」よりお届けいたします。

口内炎はあぶない

口のなかにはさまざまな病気が出来ます。なかには癌のようなきわめて危険な疾患もあります。代表的な口腔癌の舌癌は、観察しやすい場所にできるにも関わらずなぜか発見が遅れることが多いのです。

我々の病院を訪れる患者さんで、大都市に住み、多くの医療機関に囲まれて暮らしているにもかかわらず、進行舌癌になってから来院する人は珍しくないのです。舌癌がなかなか発見されない理由は、患者本人に知識が不足していることもありますが、歯科医や医師が見過ごしたケースも少なくないのです。

患者さんが口の中の異常を医師に訴える時、ほとんどの人が「口内炎です」といいます。その結果、カルテ上でも口内炎という診断名になってしまいます。これは患者さんが内科に行って「風邪を引きました」と自己診断して風邪薬をもらってくるのと同じ事であります。口内炎という病名は、患者さんにとっても医師にとっても安心出来る病名なので無意識に受け入れられてしまうものかもしれません。

かくして、初期の舌癌は確定診断が得られないまま放置され、進行癌になるのです。

参考文献 咀嚼健康法~脳と体を守る~ 中公新書

2008年6月 5日 (木)

こんなに大切な噛み合わせ2

昨日の続きです。本日も宮田隆先生の著書よりお届けいたします。

噛み合わせと歯周病

歯根膜ですが、最近になってその驚異的な役割と機能が明らかになってきました。後で詳しくお話しますが、失われた骨を再生する夢の治療方法の原理もこの歯根膜にあります。

また歯根膜は噛む力を上手に分散する「ショックアブソーバー」の役目もあります。このしょっく・アブソーバーはセンサーも兼ねていて、私たちが「歯ごたえがいい」とか「歯触りがいい」などと食べ物の味わいを表す言葉にもありますように、噛むことで食べ物の個性を瞬時に判断することも出来ます。つまり、私たちがおいしく食事が出来る「感触」を歯根膜が果たしているのです。

さて、歯周病は「付着の喪失」を伴う感染性炎症疾患である、とお話しました。付着の喪失というのは、要するに歯を支えている骨が無くなっていくことですが、同時に歯根膜も失われます。それは歯根膜が骨から歯に向かって供給されているので当然のことです。

「付着の喪失」が無ければ、歯根膜は100%の量で歯を支えることが出来ます。ですから、歯はびくりともしませんし、何の違和感もなく(虫歯や知覚過敏があったら別ですが)噛むことが出来ます。しかし、歯周病が進行して、例えば骨が半分くらいなくなったら歯を支えている歯根膜の量も半分になってしまいます。

それでは、実際に1本の歯にどのくらいの負荷がかかるのでしょうか。ブラウムという学者が詳細な実験をして、6~8歳で78ニュートン、20歳程度で176ニュートンの力が加わることが明らかになりました。

また、25~40歳ぐらいの健康な成人が噛む力では最大となり、200ニュートンくらいあると考えられています。

ニュートンという単位は、私たちにはあまり馴染みがありませんが、「1キログラムの質量をもつ物体に1メートル毎秒の二乗の加速度を生じさせる力」と定義されています。ニュートンはまた重量の単位でもありますので、地球表面において質量1キログラムの物体の重量は約9.81ニュートンで逆にいえば、質量9.81-㎏(約101.94㎏)の物体は約1ニュートンの重量をもつことになります。したがって子供達で約8キロ、大人だと約18キログラムの力が1本の歯に加わる事になります。

ですから、健康な成人で28本の歯がすべて揃っているとすると、約5.600ニュートンつまり、570キログラム強の力で噛んでいることになります。

もちろん、前歯や奥歯では力の差が違いますから、あくまで理論上の話しなのですが、いずれにせよ人が「ギュッ」と思い切り噛むと500キログラム近い力になることになります。

成人で28本の歯の歯周組織すべてが健康とした場合、1本の歯への負担は200ニュートンとなり、全部で5.600ニュートンになります。もし歯を失ったとすると、その最大の力を維持するには1本の歯にどの程度の負担がかかるかをシュミレートしたとすると、例えば、8本の歯を失うと約倍の400ニュートンの負荷が1本の歯に加わる事になります。もちろん、これは理論的な推論で実際にはこのようにはなりません。しかしすくなくとも歯を失うことによって残っている歯に大きな負担がかかることには間違いありません。

参考文献 歯周病の本当に怖い話し 宮田隆著 医歯薬出版 

2008年6月 4日 (水)

こんなに大切な噛み合わせ1

今回から、何回かに分けて宮田隆先生の著書「歯周病の本当に怖いわけ」よりお届けいたします。

歯周病はお口の中を清潔に保っていれば、進行を遅らせることができるのでしょうか?残念ながら答えは「ノー」です。

歯周病の進行は感染性の炎症と「力」による、と専門家は考えています。「力」とは、私たちが毎日物を食べる「噛む」という行為そのものです。

実は私たちが食事に費やす時間、つまり物を食べるために噛む時間というのは意外に短いのです。もちろん個人差もありますが、本気で噛んでいる時間はせいぜい数十分ではないでしょか。

「良く噛んで食べる」という本に面白い記述があります。学生達に弥生時代から平安、鎌倉、江戸の初期、後期、そして昭和10年代を経て現代までの7つの時代の代表的な食事を与えて、どのくらいの回数を噛み、そしてそれぞれの食事に費やした時間を調べてみたそうです。

その結果、弥生時代の食事は3990回で51分も時間を費やしたそうです。その後、噛む回数は減ってきていますが、それでも千回以上は噛み、食事に費やす時間も多少ばらつきがあるものの15分から30分くらいかけていたそうです。

ところが、現実は実に620回、わずか11分で終わってしまうのだそうです。それだけ、食べ物が軟らかくなった、ということなのでしょが、問題はカロリーです。現代は過去のおよそ倍のカロリーを摂っているのです。噛む回数も食事の時間も昔の半分くらいで摂取カロリーだけは倍。この本の著書、斉藤滋氏はそんな日本人の噛まなくなった傾向を警告しています。

噛み合わせと歯周病

逆に考えると、現代日本人は噛まなくなったのだから「力」の影響は少ないのでは、と考えるのが普通ですが、実はそうではありません。食事の時に噛むのは一日のうちそう長い時間ではありませんが、むしろ、睡眠中とか無意識で噛んでいる方がはるかに長いのです。

それが顎の関節や筋肉に異常が出る「病的」な状態になると「ブラキシズム」や「顎関節症」といった病名が付きますが、ほとんどの方はそんな障害を与えたことがあるのです。

歯と歯周病組織の事をもう一度おさらいしておきましょう。歯は骨の中に埋まっています。厳密にいうと、もともと骨の中にあった歯のオリジナルが成長するのに従って外に飛び出てきた、といったほうが正解でしょう。それ「萌出」といいます。そして、歯を外に押し出すネットの役目をしていたのが歯根膜と呼ばれる細い繊維です。

ある年齢に達すると歯はしかるべき所まで外に出ると萌出をやめます。ちょうどその場所が、前にお話しした歯冠と歯根を分けるセメント・エナメル鏡といわれる部分なのです。そして、歯を押し上げていたネットは、今度は歯を取り囲むように骨と歯を結んでしっかり繊維で固定します。ですから、歯は骨と直接くっついているのではなく、繊維を介在して安定を保っているのです。

明日はこの歯根膜の続きからです。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版 

2008年6月 3日 (火)

“YouTube”で受診行動を促進

今回は、デンタルトリビューン紙2008年6月号よりお届けいたします。

“You Tube”で受診行動を促進~歯科診療所の新たな広報戦力~

(ドイツ)歯科医院を訪れることを考えるだけで恐ろしいという患者さんがいます。このような反応を引き起こしているものは、扁桃体と呼ばれるアーモンド形をした脳の器官です。この器官は、危険の可能性を感知すると、身を守るために逃走反応を引き起こすよう、その情報を一連の神経経路に伝えます。

全世界で患者の5~15%が歯科恐怖症であるとの調査があります。そのため未治療の齲蝕や歯周病が全身の健康状態に深刻な影響を与えかねないにも関わらず、治療を受けられないでいます。

歯科診療の解説ビデオをyou tubeに掲載

最近の歯科恐怖症患者専門のクリニックでは、歯科医師とともに精神科医が治療に参加し、患者が通常の歯科治療を受けられるよう、恐怖と不安をコントロールする技術を提供しています。

米ペンシルベニア州の歯科医師Jerry Gordon氏も同様の戦略を用いています。さらに同氏は自身のウェブサイト、そして翌年には“you tube”に映像コンテンツの掲載を始めました。

you tubeは、2006年に16億5.000万円ドルでグーグルに買収されたきわめて人気の高い動画共有サイトであり、世界中のユーザーが投稿したビデオ映像をいつでも閲覧することが出来ます。

同氏のビデオは地元の制作会社、Swamp Queen Production社によって制作されており、根菅治療や抜歯、そのほかエアーアブレージョンや審美歯科治療の処置法などの臨床ビデオに加え、無痛治療や歯科恐怖症の解説をいったトピックも扱っています。

同氏は、「よいウェブサイトは、患者が診療所を選ぶための判断材料になりうる」というのが持論だと述べ、「自分の仕事を自分の町に人ばかりではなく、世界中の人たちに見てもらえることは非常に感動的です」と語っています。

系統的脱感作法の一手法として

“Dr.90210”や“The Swan or Extreme Makeover”などの形成外科医の仕事とプライベートを描いたテレビ番組とその台頭とその人気に伴って、人々が実際の治療の様子を目にする機会が増えています。

Gordon氏は「私の臨床ビデオがすべての歯科恐怖症患者のためになるとは言わないけれど、メリットがある患者もなかにはいるはずです。この方法は、行動心理学ではよく知られている方法で、系統的脱感作法または段階的曝露療法ともいわれています」と説明します。

つまり、歯科恐怖症の処置の様子や器具を目にすることによって、歯科治療の環境に慣れることによって恐怖心が薄まる効果を期待しています。

you tubeを利用した同氏の活動は、多くの反響を招いており、ニューヨーク・タイムズ紙やインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙、ボストン・グローブ紙に掲載されました。その影響は大きく、Gordon氏によると「ニューヨーク・タイムズ紙でビデオを見たという患者が、根管治療のためにニューヨークから約100マイルも離れた私の診療所まで来院してくれた事もありました」とのことです。

同業者からの反応はsわまざまで、「ビデオについて少しけちをつけていた歯内療法医が何人かいる一方で、こうした手法を気に入り、コツを聞いてくる歯科医師もいました。なかでも、根管治療が必要な歯科恐怖症の患者がビデオのおかげで治療を受けることが出来たという声があったのが一番嬉しかった」と同氏は話します。

そのほか、you tubeでビデオを見て、引退したアメリカンフットボール選手の治療など同氏が取り組んでいるほかの診療について連絡をしてきた歯科医師も何人もいたといいます。

同氏は、「You tubeにビデオを公開することによって、私が行っていることを知ってくれる方の範囲がずいぶん広がりました」と活動の効果を話し、「私のビデオを見ることが、少しでも歯科医師や歯科治療への恐怖心を克服するのに役立っています」と述べました。

2008年6月 2日 (月)

辛いときこそ、試されている

昨日もニュースを見ていると、物価値上げの事を取り上げていました。

「毎月1日は値上げの日」のようです。

むろん、歯科業界も同じです。

原油価格の高騰が、原油なしでは生成することの出来ない物の価格を左右するのは当たり前の事です。

歯科の先生からは、材料代が高くなったねという声は聞きませんが、それはこの業界のしきたりのようなものなのでしょうか。

私は、結構気にする方なので、細かくチェックしたのですが、少しずつ値上がりしているみたいです。

医療業界は、国が定めた診療報酬で行うことが決まりですので、笑顔で乗り切る事にしますhappy01

2008年6月 1日 (日)

入れ歯相談所1

今回は、佐藤満先生の著書「入れ歯相談所」よりお届けいたします。

悩み1 口をあけると上の入れ歯が外れてしまいます。

口をあけるたびに上野入れ歯が落ちてきます。いつも外れてしまうのか心配で、口を大きくあけることも出来ません。話すことも食事も落ち着いて出来ません。どうすれば良いのでしょうか?

解決法

患者さんにとって最悪の入れ歯は口をあけると落ちてくる入れ歯であることはいうまでもありません。落ちてくる理由としては5つの原因が考えられます。入れ歯の大きさ、厚さ、噛み合わせ、歯の位置、歯肉との適合です。

まず大きさですが、入れ歯の縁が長すぎる場合です。口を閉じている状態と開けた状態とでは筋肉の動きで頬の粘膜の一番深い位置が変化します。そのため長すぎると口を開けた時に頬の粘膜に押し上げられて、外れる力が加わります。

入れ歯の縁が厚すぎる時も、同じように頬の粘膜の動きに影響されます。これは指を入れてみるとすぐ理解して頂けると思います。頬と歯の間にあるくぼみに指を入れてみてください。閉じた状態から口を開けると指が頬に押されるのがわかると思います。これが厚すぎたら外れる理由です。

次ぎに噛み合わせです。左右均等に噛み合っていないと入れ歯は安定しません。ゆっくりと上の歯と下の歯を合わせてみてください。どこか先にあたる歯や滑りながら噛み合ったりしていませんか?もしそうなら噛み合わせの調整が必要となります。

歯の位置も重要です。特に前歯ですが、前の方に並べられている唇の力によって押さえつけられると外れてしまいます。入れ歯は患者さんの口をかたどった模型で造られますが、そこに唇や頬などは存在しません。したがって入れ歯を造っていく段階で歯を並べるのにちょうど良い場所を患者さんと一緒に探っていかなければならないわけです。

最後に適合性です。入れ歯と歯肉がどれだけぴったりと隙間なくくついているかです。ぴったりしていたら吸着力が働きます。ちょうど吸盤がくっつくのと同じように、歯肉に入れ歯が吸い付き落ちなくなります。適合が悪いと吸着力が働かず簡単に落ちてしまいます。

以上のような原因があると入れ歯は外れやすくなります。入れ歯は本来あるべき位置におさまらなければなりません。その位置をデンチャースペースといいます。技術的にも非常に難しいのですが、頬に寄りすぎず、舌に寄りすぎず、ちょうどぴったり収まる位置を見つけて入れ歯を造っていかなければなりません。

参考文献 入れ歯相談所 佐藤満著 ブイツーソリューション・星雲社