現代人に進む重金属汚染
昨日の続きで、本日も斉藤先生の著書からお届けいたします。
健康へのリスクを伴う水銀は重金属です。ところが、重金属とひと言で言っても、人体に必要不可欠なものもあるのです。
それらは、昨日ミネラルとして紹介した鉄、銅、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどです。鉄が不足すると貧血を起こしやすく成るというように、これらが不足すると、体に不具合を起こしてしまいます。
逆にまったく不必要な百害あって一利もない重金属が、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、アルミニウム、スズといったものです。ところで私たちの体は、こうした不必要な重金属までも体内に取り込んでしまっているのです。
現代社会は、重金属汚染のリスクが極めて高い社会になっています。海の水銀汚染のことは前にも触れましたが、もう一つの鉛汚染についてお話します。
もともと、鉛中毒は炭鉱労働者や工場労働者に多いとされてきた病気でした。鉛により神経系が冒され、急性の場合、死に至ることもあります。
下痢、嘔吐、緑や黒の異常便、呼吸困難、神経麻痺などの症状をもっています。慢性では、貧血、疝痛、歯肉の変色、便秘、神経麻痺などが表れます。
現代ではこうした鉛中毒のひどい例はあまりないようですが、それでもすくなからず鉛汚染が進んでいるのです。大気汚染や鉛の水道管などが大きな原因です。また、絵の具やワインのオイル蓋なども鉛が使われていますからこれも病気の原因になります。
森に棲む希少動物のワシやシカ、キツネなどがかなり鉛汚染の被害を受けていることが報告されています。原因は人間が狩猟で使う鉛の散弾です。鉛の銃弾を餌と間違って食べてしまたり、餌として食べた小動物の体内に鉛がたまっていありするからです。
釣りで使用する錘も、鉛で出来ています。魚が針を一緒に鉛を飲み込むケースもよくあるので、こうして考えると私たちは鉛に汚染された魚を食べている可能性もあるわけです。
鉛汚染は、人間の子供に対して影響が深刻だろ言われており、子供の知的能力に深く関係するという報告もあります。自動車の排気ガスの長年の蓄積で、公園の土砂はかなり鉛に汚染されています。
鉛や水銀などの重金属が体に害を及ぼすのは、人体の酵素がうまく働かなくなるからです。人間の体には、何千もの酵素があり、それぞれの酵素はたいていひとつの重金属を抱えています。
亜鉛一つとっても、結合する酵素は300種類ともいわれています。ところが、不要な重金属が入ってくると、本来結合すべき金属と置き換わってしまうのです。こうなれば酵素の働きが止まってしまい、様々な障害が出てくるといわれています。
明日へ続きます。
参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫
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