8020と日本の現状
今回は、渡辺秀司先生の「歯周病を自分で治す!」からお届けいたします。
☆80歳で20本の歯を残そう
皆さんは、「健康日本21」という運動をご存じですでしょうか。これは、厚生労働省が平成12年4月から始めた国民健康づくり運動です。
この運動では、次の3つの項目を目的にしています。
・壮年期死亡(早世)の減少
・健康寿命(痴呆や寝たきりにならない状態で自立して生活できる期間)の延伸
・生活習慣病の質の向上
これらの目的を実現するために、当初10年間の目標として、9分野70項目100の指標を設定しています。この中に歯科の保険も含まれています。
歯の健康について一例をあげると、成人期の歯周病(俗にいう歯槽膿漏)の予防に関して、歯周病の中でも症状の進行した歯周炎を有する人の割合を、四十歳では現状の32%から、2010年には22%以下に引き下げることを目標にしています。
また、歯の喪失に関しては、80歳で20本以上、60歳で24本以上の自分の歯を有する人の割合について、次のように設定しています。
平成5年の歯科疾患実態調査に基づくと、80歳(75~84歳)で20本以上の歯を有する人の割合が11.5%で、60歳(55~64歳)で24本以上の歯を有する人の割合を20%以上に、後者の割合を50%以上に設定しています。
歯科の分野ではまた、平成4年度から「8020運動」を展開してきました。これは当時の厚生省(現、厚生労働省)が口腔保険の事業として推奨しているもので、要するに、「80歳になっても自分の歯を20本残そう」というスローガンです。
☆日本では55歳くらいから歯を失う人が急増
こうした運動が展開されているということは、裏をかえせば、それだけ現状は問題が多いということです。
前述したように、80歳で自分の歯を20本以上持っている人の割合は、平成5年の歯科疾患実態調査で11.5%しかありません。平成11年の調査では少し改善しましたが、それでも15.25%にとどまっています。
アメリカと比較すると、60歳以前では、日本人の方が残存歯の数が多いのですが、60歳を境に逆転しています。日本では、55~60歳あたりから歯を失う人が急に増えているのに対し、アメリカでは80歳になっても60歳の人と同じくらいの数の歯が残っています。
平成11年の歯科疾患調査によると、残存歯の数の平均は、50~55歳では24.1本、60~64歳では20.4本、65~69歳で16.8本、70~74歳で12.8本、75~79歳で9.01本、80~84歳では7.41本です。
参考文献 歯周病を自分で治す本 渡辺秀司著 マキノ出版
8020頑張るゾーーー。