大晦日!
本日は大晦日ですね。
今年一年を振り返ると、ものすごく早く過ぎ去った感じがします。
とても充実していた証拠ですね。
これも皆さんのおかげだと思っています。
ゆっくりと休息することが出来なかったので、このお正月休みはゆっくり骨休みをしたいとおもいます。
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« 2009年11月 | メイン | 2010年1月 » 2009年12月31日 (木)大晦日!本日は大晦日ですね。 今年一年を振り返ると、ものすごく早く過ぎ去った感じがします。 とても充実していた証拠ですね。 これも皆さんのおかげだと思っています。 ゆっくりと休息することが出来なかったので、このお正月休みはゆっくり骨休みをしたいとおもいます。 2009年12月30日 (水)本日は大掃除と院内研修会です。しろくま歯科医院の年内の行事も本日が最後です。 本日は患者さんは診ないのですが、院内のお掃除と最後の研修会をする予定です。 今回の研修は、大勢でやるのではなく、一人一人が私とペアを組み、研修を行い、そのほかの従業員は大掃除を行うというスタイルです。 出来るだけ早く終わるようにがんばりたいと思います。 今年もお世話になりました。 2009年12月29日 (火)今年も無事最終日を迎えることが出来ました。本日が、しろくま歯科医院の今年度最終日になります。 明日も、従業員は出社しますが、大掃除と最後の研修のためです。 今年もいろいろな事がありましたが、まとめてみると私にとっては多くの経験が出来た良い1年だったと思います。 来年も研鑽を重ね、一人でも多くの患者さんを救えるようにがんばりたいと思います。 ありがとうございました。 2009年12月28日 (月)お断りする治療もあります。先日のことです。 新患でいらっしゃった患者さんなのですが、現実的に無理な注文をなされました。 一応、私は主治医で患者さんの口腔内の状況を確認して、一番最適な治療を選択し、それを相談の上、治療を開始するのです。 その患者さんは、ほとんどの検査を拒否、説明を聞こうともせず、一方的に『~してくれ』と言ってきました。 そのような患者さんがいままでいないと言えば嘘になりますが、現実可能な治療に関しては出来る限り従って治療したこともあります。 しかし、その患者さんの治療の注文は、不可能なものでした。 『他の~~歯科医院では出来るのに、おまえの所では出来ないのか!』 と一括されましたが、他の歯科医院でも出来ていないから、私の所に来ているということに患者さんはお気づきになられていません。 一番よい治療を説明し、提供しようと思って日々がんばっています。 『私の言うとおりに治療すれば良いんだ』という患者さんは、今後お断りしようと思います。それが患者さんにとって、悪い結果になれば、一番被害を被るのは患者さん自身ですから。 歯科医にもプライドはあります。 結局その患者さんは、以前やってもらった歯科医に行くといって帰られました。 ぐったりと疲れましたが、これも良い勉強です。 2009年12月27日 (日)歯の不具合、身体への影響2本日も昨日に続き、伊藤正夫先生監修の『高度歯科医療最前線』よりお届けいたします。 ◇身体への影響~奥歯が失われると~ 歯が痛む、ぐらぐらするなどの不具合とともに、特に多いのは歯が抜け落ちた(あるいはむし歯などによって抜けた)ことによる不具合、それから入れ歯による不具合です。 人は、歯がないだけで死ぬわけではありません。ライオンのような肉食獣にとっては牙を1本失うことは、そのまま狩りができないこと、すなわち死に直結しますが、人は特に最近は食べ物が軟らかくなっていますから、たとえ全部の歯がなくなったとしても死にはつながりません。 しかし、奥歯が抜けてしまったという場合、想像以上の不具合が生じます。 奥歯の存在は、実は顔の長さを決定している最大の要因なのです。 奥歯はあたかも「ヘラクレスの柱」に似ています。ヘラクレスの柱は地中海のはずれ、ジブラルタル海峡の南北に立つ岩山です。スペインの国旗に描かれ、通貨ドルを表す$の縦の2本線もヘラクレスの柱といわれていますが、古代の宇宙観にとって大変重要な役目を果たしています。 歯の世界でも奥歯の重要性は同じで、奥歯が上下に噛み合って顔と顎を支えており、顔面の長さを維持しているのです。 ですから奥歯を失うと、次第に顔の長さが短くなって、口の周囲に深い皺がより、老け込んでしまいます。さらに顔が短くなるにつれ、前歯が飛び出して歯と歯の間にすき間ができ、唇が閉じなくなります。 また、奥歯がなくなると顎に加わっていた力が、直接、顎の関節に加わります。顎の関節には口を開閉する筋肉、噛むための筋肉などがついています。これらの筋肉(咀嚼筋)と協調して頭蓋を背骨に固定する筋肉群も口の開閉に参加します。従って、口の開閉や咀嚼は多数の筋肉の緊張と弛緩が同時期に、かつ調和を保って行われる運動です。これを統合するのは脳にほかなりません。 ですから、奥歯がないとまず顎の関節が大きなダメージをこうむることになり、そのことによって口を開閉する筋肉や、頭を背骨に固定する筋肉などのバランスが狂います。 そうすると、肩や首が凝る、頭が痛い、姿勢制御が難しくなる、歩行が困難になるといった様々な不具合が生じてきます。ですから、奥歯はどうしてもなくてはならない重要な歯ということが言えると思います。 ◇細菌を培養し味覚障害を起こす入れ歯 歳を重ねるにつれ歯が抜け落ち、こえを補うために入れ歯(義歯)をする人が多いのはご存じの通りです。とりわけ80歳以上の高齢者の大変多くの方が総入れ歯となっています。 歯が抜け落ちた部分に義歯をする。これはいわば応急処置のようなものです。応急処置といったのは、義歯やブリッジにしている方々は、誰もが不満を抱えている根本的な解決になっていないからです。実際、義歯やブリッジに対する不満、不快の声が、私たちの元へたくさん寄せられています。応急処置ですから、これで良いわけはありません。1日もはやく義歯かたインプラントにすべきであるのはいくつかの理由があるのです。 まず衛生面です。 義歯はどのようなものであっても、金属とプラスチックから出来ています。プラスチックだけの場合もありますが、金属だけというものはありません。このプラスチックは吸収性があって、内部に唾液などが浸透していきます。 水分を浸透させることは、いわば入れ歯の中で細菌を培養することと同じになります。 また、入れ歯の清掃がうまくできていないと、歯にバイオフィルムが発生します。バイオフィルムとは、細菌が重なって出来たフィルム状のもので、台所のシンク(流し)などのぬるぬるしたものと同じです。 入れ歯の表面についたバイオフィルムが、咽頭部に落下することもあります。このバイオフィルムを吸い込んでしまうと、肺炎の原因にもなります。 入れ歯による弊害はこれだけではありません。味覚にも大きな影響を及ぼします。たとえば、入れ歯というものは、顎に吸盤のように張り付かなくては機能を果たせません。入れ歯と顎の間にすき間があると、入れ歯が動いてうまく噛めません。そこで、上の入れ歯を入れたとすると、上顎にぺたんと張り付くような感じになります。 ところが、顎の内側、口蓋といわれる部分には味蕾(みらい)があります。味蕾は食べ物の味を感じ取る器官ですから、入れ歯によってこの部分がふさがれてしまうと味を感じ取ることが出来なくなってしまうのです。 これは、入れ歯がもたらす「味覚障害」です。味を感じないと、人は食べる楽しみを失ってしまいます。入れ歯ひとつで人生の楽しみが失われるわけですから、応急処置であきらめてしまうことがあってはならないのです。 参考文献 高度歯科医療最前線 伊藤正夫先生監修 経済界 2009年12月26日 (土)歯の不具合、身体への影響1本日は伊藤正夫先生監修の『高度歯科医療最前線』より二回に渡ってお届けいたします。 ◇歯の不具合の影響 私たち大人には、親知らずを含め32本の永久歯があります。最近は、食生活の変化で親知らずが退化傾向にありますから、実際には28本から32本というのが正しい永久歯の数でしょう。 わずか30本前後。実に限られた数です。 私たちはこの限られた数の歯によって、単に食べ物を咀嚼するというだけではなく、コミュニケーションや生き甲斐、楽しみを十分に亨受することが出来ます。逆に歯が1本でも欠けたり、痛みを感じたりすると、身体的・精神的・社会的なすべての面で決定的とも言えるようなマイナスの影響を受けます。 まさに生涯にわたって身体にも心にも、また社会生活にも重大な影響を及ぼす器官、それが歯であると言っても過言ではありません。 ところが、あまりにも身近な器官であるためか、その重要性にもかかわらず、一般に歯の治療や影響力に無頓着であることが多いのも事実です。それによって失われることは、予想以上にたくさんあります。 歯の不具合は、身体や心、あるいは社会生活にどのような影響をもたらすのか、人が行きていく上で健康な歯が「幸福」とどれほど密接に結びついているのか、いかに「歯」が大切なものであるかについて、概観しておきたいと思います。 ◇身体への影響(1)噛めないことと健康、そして老化 歯が痛い、ぐらぐらする、欠けている、といった不具合があるとき、私たちがこうむる一番の影響は「食べ物をよく噛めない」ということです。 少し硬いものだと噛めない。干した魚や硬い木の実を食べていた縄文時代の人々は、1回の食事で4千回噛んだといわれていますが、軟らかい食べ物に慣れている現代人はどうでしょう。縄文時代の人々とは比べものにならないほど、噛む回数が少ないのは明らかです。 しかも歯に不具合を起こすと、噛む回数はさらに少なくなり、あまり咀嚼しないまま食べ物を胃に送り込みます。十分に咀嚼しないと唾液の分泌も不十分になり、これによって胃に負担をかけ、消化不良を引き起こします。あるいは、硬いものが食べられないことによって食生活が変化し、それによって十分な栄養を摂ることが出来なくなり、栄養失調を起こします。 栄養失調は気力を失わせ、それによって人生に悪影響を及ぼす結果にもなりかねません。 それらのことを考えただけでも、人にとって「噛む」という行為は、重要な意味を持っていることがわかります。 詳しく説明すると、人は噛むときに唾液が出てきます。その唾液は食べ物の消化作用や溶解作用、口の中の洗浄作用、抗菌作用など多くの働きを持っています。ところが、十分に噛めなくなると唾液が少なくなり、当然ながらこれらの働きが阻害されます。 まず唾液の中にはアミラーゼ等の消化酵素、ホルモン、神経成長因子などが含まれていますが、これらが分泌されなくなるために健康を阻害します。 また、唾液と一緒に分泌されるものとして唾液腺ホルモン、パロチンがあります。これらは若返りホルモンと言われるほど、若さを保つためには重要な物です。唾液の量が減ると、当然、パロチン等も不足し、結果、髪が抜けたり、関節が変形するなどの老化現象が加速することもあります。 経験されている方ならすぐにお分かりいただけると思いますが、唾液の分泌量が減少すると、口の中が乾き、粘膜がひび割れて、味覚が悪くなるばかりか、ねばねばした苦い味が口腔内を満たし、それだけで不快です。 そうなると、常に水などで口を湿らせていないと、会話さえもままならなくなります。さらに、バーニングマウスシンドロームといわれる、口腔内の灼熱感にも発展することがあります。 老化との関係でいえば、よく噛まないことによって、脳の賦活化が阻害される点も無視出来ません。脳の細胞間の連絡を司る神経伝達物質の分泌が低下するのです。 私が指導した研究の中で、次のような興味深い研究があります。ねずみの歯を抜いて軟らかい食事だけを与える実験なのですが、この場合、明らかに学習能力が低下し、記憶力も減退。生化学的にも脳内の重要な神経伝達物質であるアセチルコリンが著しく減少しました。人においては、老人性認知症の原因になります。 この原因は、関節や筋肉が十分に働かないことにあります。 顎の骨や顎の関節、口を開閉する筋肉には、多くの脳神経が分布しており、絶えず脳との間で情報のやりとりをしていますが、関節や筋肉が十分に働かないことによって情報伝達量が激減し、そのために脳神経の退行を生ずるのです。 別の観点から見ると、脳は脳脊髄液の中に浮かんでいる状態になっています。この脳脊髄液を頭蓋骨が保護しているわけですから、頭蓋骨は1枚の骨ではなく、たくさんの骨が積み積木細工のようにつながっていて、つなぎ目(縫合線)が噛むことによって動きます。 この動きが脳脊髄液にとってポンプのような作用を起こして、脳脊髄液の環流を助けているのです。 噛むことは脳からの血液環流に対しても同じ作用があります。したがって脳脊髄液や脳の血液の環流を助けるのが、噛むという行為なのです。それが十分に働かないために脳の賦活化が阻害されるのです。 ◇血液中に細菌が送り出される 痛みを感じている場合には、さらに注意が必要です。痛みがあるということは、歯、あるいは歯の回りに病気が進行していることを示すからです。 むし歯にせよ歯周病にせよ、口の中の病気はほとんどが細菌感染です。炎症を起こして痛むのは、歯を通して細菌が浸透し感染しているということです。 私たちの身体の中は無菌状態です。ここに少々の細菌が入り込んでも人には免疫がありますから、通常は駆除することができます。 ところが、歯が痛い、ぐらぐらする、よく噛めないといった症状が起きるのは、歯、あるいは歯の回りの組織に感染症が発生しているからであり、しかも細菌が1ml程度の中に、少なくとも10億個以上生息している可能性が高いのです。 このような状態で歯を噛み合わせた時に痛いのは、大きな圧力によって細菌が血管の中に押し出されて行くことなのです。歯が噛み合うとき、最大約80kg/㎠もの圧力がかかり、たとえ痛くて加減したとしても数十㎏/㎠という圧力がかかります。つまり、血液中にきわめて大量の細菌が混入されていくことになります。 この結果、組織の中に網の目状の毛細血管がある臓器に細菌が運ばれやすくなります。この臓器には、心臓、肺、肝臓、腎臓、あるいは脳などがあり、いずれも重要な臓器です。また、皮膚などにも毛細血管は多く存在します。 このような、歯とは遠く離れている臓器で感染症が発生しやすくなります。とりわけ心臓や脳といった臓器に細菌が入り込んだ場合、生命の危機に発展する可能性があります。 明日へ続きます。 参考文献 高度歯科医療最前線 伊藤正夫先生監修 経済界 2009年12月25日 (金)今年の分はすべて終了しました。先週、今年最後の研修会に参加してきました。 その日の東京は、例年になく、寒波が響いていて、研修参加予定25名のはずが、10名程度した参加出来なかったようです。 12月ですから、いろいろと急な用事が入るためなのでしょう。 私は、この三好先生の『ノーベルプランニング教室』がもっともためになると思っているので、いつも最優先で参加しています。 東京の先生を対象にしているので、開催日が水曜日の夜なのです。しかし、講師の三好先生も開業医で、自分の仕事が終わってから行っているのです。贅沢は言っていられません。自分の午後の診療を休んで参加するのは当たり前です。その価値も十分にありますし。 今回も、革命的な話が聞けました。よく、毎月すごくためになる話が出来る物だといつも関心しています。 最後に忘年会に誘われたのですが、かなりの体調不良で、残念ながら辞退させていただきました。 今年の研修はこれで最後です。 今年は39の研修会に参加しました。月約3~4つ参加した計算です。かなり今年も前進したのではないかと思っています。 来年の研修会もすでにいくつか決まっていますので、また来年もがんばりたいとおもいます。 2009年12月24日 (木)メリークリスマス!本日は、クリスマスイブですね。 私が子どもの頃のクリスマスの思い出というと、母が作ってくれた鳥の料理なのです。そのため、クリスマスというと『鳥料理』という連想が出来てしまうのです。 今年は、もうすぐ子どもが生まれそうなので、あまり贅沢は出来ませんが(奥さんに無理に仕事をさせることは出来ないので)、気分的にはゆったりと過ごしたいと思っています。 皆さんもすてきなクリスマスイブをお過ごしください。 2009年12月23日 (水)割れ窓理論今から10年近く前に『ボーンコレクター』という映画があったのを覚えていますか? ジェフリー・デービィー原作の『リンカーンライムシリーズ』の中のヒット作が映画になったのです。私は、彼の本のファンなので、映画もすごく楽しみにしていたのですが、実際は原作の良さがそがれた薄い中身になっていて、とても残念に思ったことを覚えています。 今、私は、彼の新作『ソウル・コレクター』を読んでいるのですが、その本の中に“割れ窓理論”のことが書かれていました。お恥ずかしながら始めて知った理論です。とても感銘を受けたので、その一節を抜粋。 サックスは壁の会社のロゴを見やった。「あのロゴの事ですが。灯台と窓。どんな意味が込められているんでしょう?」 「表向きの意味は単純ですよ。データを観測する、それだけです。ただ、もうひとつ意味があります。」スターリングは微笑んだ。説明する機会を与えられたことを喜んでいる。「社会哲学の割れ窓理論(ブロークンウィンドウ)という概念があることをご存じですか」 「いいえ」 「私は何年も前に知りましてね、ずっと頭に残っているんです。簡単に言ってしまえば、社会をよくしていきたいなら、小さな問題に集中すべきということです。小さな問題をコントロールすれば-あるいは解決すれば-より大きな変化が自然とついてくる。たとえば、公営団地で犯罪発生率が高いとされていますね。しかし、警察のパトロール回数を増やしたり、防犯カメラを設置したりする事に数百万ドル費やしたとしても、団地はやはり荒廃した危険な場所に代わりはないでしょう。そこで、数百万ドルを無駄ににする代わりに、数千ドルを支出して割れた窓を直し、外壁のペンキを塗り替え、廊下を掃除するわけです。表面的な変化に過ぎないかもしれませんが、住人は気づきます。自分が住んでいる場所に誇りを持つようになります。そして、要注意人物や、団地の資産価値を落とすような人物を見つけて通報するようになります。ご存じかと思いますが、ニューヨーク市が90年代に取った犯罪撲滅対策の骨子がこれでした。結果も見事についてきました」 まあ、なんてことのない理論ですが、実際初めから大きな事が出来る訳ではないので、小さいこと、自分が出来ることをコツコツとまじめに取り組むしかないわけで、それがまじめに生きるという意味でもあると思うのです。 仕事もまったく同じで、私の場合は、一人一人の患者さんを丁寧に治療していくことで大きな信頼や信用が生まれてくるのではないかと思ったりもしています。 本は時にこんな素敵なことを考えさせてくれます。 読書はこれだから止められません。とにかく数千円でお得感が一杯です。今夜中の3時なのですが、ふとブログが書きたくなった本の一節でした。 2009年12月22日 (火)咀嚼と学習能力本日は、日本咀嚼学会編集 窪田金次郎先生監修の『誰も気づかなかった噛む効用~咀嚼のサイエンス~』よりお届けいたします。 ◇食事・咀嚼と成績 最近の研究によりますと、食べ物をよく咀嚼すると、生きる意欲が増大し、記憶力まで向上することがわかってきました。 私たちの脳は、通常、睡眠状態と覚醒状態との間を行きつ戻りつしています。例えば、私たちはガム等を咀嚼すると、覚醒の程度が高くなり、頭がすっきりして、いわゆる「エネルギー覚醒の状態」になります。ラットやモルモットによる実験では、餌を咀嚼したあとで、脳の中の化学物質を測定してみると、コレシストキニンやFGFなどの記憶に関係する物質が増加していることがわかっています。 また別の動物実験ですが、ラットに、迷路を通り抜けて餌に到達するように「道順を記憶」させる実験をしましたら、餌をよく咀嚼して食べていたラットの方が、迷路を早く覚えることがわかりました。 迷路以外での「学習実験」でも同じような結果がでています。 アメリカの研究では、毎日きちんと朝食をとっている子どもと、朝食を取らないで学校へ来る子どもの成績を比較すると、朝食組の方が成績が良かったという報告があります。 スウェーデンの研究では、400キロカロリー以上の朝食を食べさせた児童のグループと、400キロカロリー以下の児童のグループの成績をやはり比較したそうです。結果は、高カロリーのグループの方が、成績が優れていたそうです。ですから、朝食時のカロリーも大切だということになります。 日本のある幼稚園で、56名の園児を二組に分けて、一方の組は、今まで通りのメニューの給食を続け、もう一方の組には、硬い食物のメニューを給食としました。そして六ヶ月後に「噛む力」と「記憶力」のテストを実施した結果、硬い給食組の方が噛む力が強く、記憶力テストの成績も良かったと報告されています。 ◇噛む子はよく育つ この研究をもう少し詳しく説明しましょう。普通食組(対照群)の園児24名の噛む力の平均は、最初22.6キログラムで、記憶力テストは7.9点でした。六ヶ月後の検査では、噛む力の平均は、24.6キログラムでしたから、2.1グラム増加しています。記憶力の方は平均8.5点で、0.6点高くなっています。 さて、一方、硬食組(実験群)の園児32名の、実験を始める前の噛む力は、平均21.7キログラムで、記憶テストは7.7点でした。両方とも普通食組とはほとんど差がありません。 ところが、硬いメニューの給食を六ヶ月食べた後の検査では、噛む力が27.7キログラムとなり、7キログラムも増加しました。また、記憶力テストも9.0点で。1.3点向上していました。この検査結果のみから一概に断定は出来ませんが、硬い食物を一定期間食べれることが、噛む力をアップさせるのみならず、さらに記憶力もアップさせる可能性を予測させます。 ◇脳の発達とは? さて、前に述べてきましたラットの実験や、アメリカ・スウェーデンでの研究報告、そして日本の幼稚園での検査結果などをまとめてみましょう。 子どもの「頭のよい・悪い」はいったいどこで分かれるのでしょうか。もちろん、親の遺伝子によってそれは決定される、という意見もあります。私たちは、その遺伝子決定説を全く否定するわけではありません。しかし、「脳の発育」を考える場合、生後の環境をよく考慮に入れる必要があると思います。 生後の環境というのは、前述のカロリーの調査のように、栄養の問題もあります。と同時に、どれだけ適切な「刺激」が、脳に与えられるかということも重要になってきます。 アヒルやカモなどのヒナは、孵化すると親鳥の後をついて行きます。これは先天的に(遺伝子によって)決定されている行動だとこれまで考えられていました。 ところが、生後すぐのヒナが、孵化を見守ったヒトの後をついて行くことが発見されました。じつはヒナは、生後すぐに(9時間から17時間内に)見たもの(ヒトでも機械でもいい)を(親と思って)ついて歩く・・・・・ということがわかったのです。 生後ある一定の時期に経験したこと(この場合は「見た」こと)は、脳のある特定の部分に刻印され、それがこのヒナの知能となり、その後の行動を支配することになる・・・これは私たち人間でも同じです。 このように、私たち(動物)の行動学習にとって、脳の発達段階における環境とそこから受ける刺激は、非常に重要なのです。 ◇脳の発育と刺激 さて前述の「頭のよい・悪い」です。生命がこの世に誕生して、どのような脳細胞を、どれだけ造るかは、遺伝子の中に組み込まれたプログラムによって決定されます。遺伝子の中に組み込まれたプログラムによって決定されます。遺伝子には生命体のハードの情報があるのです。 しかし、脳細胞に、どのようなシナプス(脳細胞同士の連絡)を造らせるかは、外部からの刺激、すなわち環境によって決定されるのです。いわばソフトの情報は、外部からの学習によるのです。ですから、特に幼児期の環境というのは、きわめて大切なわけです。 これもアメリカでのラットの実験です。離乳直後のラットを二種類のケースで育てました。一つは、一匹づつ隔離して、刺激の少ないゲージで育てた場合です。もう一つは、数匹一緒に、しかも回転車やハシゴなどの道具を入れてある、刺激の多いゲージで育てた場合です。もうおわかりのように、後者のケースのラットの方が、脳の発育がよく、迷路学習でも成績がよかたのです。 さて、このような結果を踏まえながら、咀嚼という行為を考えてみましょう。幼児の生活の中で、非常に大きな比重を占めるものの一つが「食べる」という行動です。幼児のしつけは、きちんと食べる習慣から始めるといわれています。じつはこの「食べる」ということ、また咀嚼することが脳に大きな影響を与えるようです。 第一には、栄養の問題です。栄養だけを考えるなら、噛もうが噛むまいが、差は無いはずです。しかし実際はそうではないのです。 このことを考えるために、もう一度ラットの実験を取り上げます。 ◇学習能力を向上さえるためには 同じ両親から生まれたラットを、生後三週間に離乳させ、二群に分けました。一方の仔ラットには、硬い固形の餌を与え、もう一方の仔ラットには、同じ成分の粉末の餌を与えて、5週間飼育します。 この結果、一方は、硬い固形食をしっかり咀嚼して成長した仔ラットです。またもう一方は、軟らかい粉末食をあまり噛まずに成長した仔ラットです。この二群に、迷路テストや条件回避学習を行わせました。これらの具体的な実験内容に関しては、また機会を改めて説明しますがから、今回本書では省きますが、結果的には、固形食のラットの方が、学習能力は優れていたのです。 よく咀嚼すると、脳細胞の代謝活動を盛んにさせ、脳の血液循環をよくするようです。このFGFには、記憶力を増進させて学習能力を向上させる働きがあるのです。 人間とラットを同一線上で述べることは出来ないでしょうから、結論を急ぐのは危険なのですが、咀嚼という行動が、脳の活動に何らかの影響を及ぼすことは、どうやら本当のようです。 よく噛むことが、頭を良くするようです。 参考文献 誰も気づかなかった噛む効用~咀嚼のサイエンス~ 日本咀嚼学会編集 窪田金次郎監修 朝日大学学長・船越正也テキスト分掲載 日本教文社 2009年12月21日 (月)こんな症状があれば早めに歯科で診察を本日は、森山貴史先生の『中高年の歯の病気がすべてわかる本』よりお届けいたします。 ◇命に関わらなくても放置は禁物 むし歯や歯周病のはほとんどの場合、その自体が直接命に関わることは少ないと思われていて、かなり悪くなるまで放置されがちです。 そのため手遅れとなって歯を失うこともあります。しかし、早めに歯科を受診すれば、歯を失わずにすむことのほうが多いです。 次のような症状がある場合は要注意。歯科医に相談しましょう。 ・歯肉が腫れる、歯肉から出血する、歯がぐらぐらする、歯肉が後退して歯の根本が見える→歯周病かもしれません。 ・歯が痛い、うずく、歯に穴が開いている→むし歯かもしれません。 ・冷たいものや熱いもの、酸っぱいものがしみる→むし歯や知覚過敏かもしれません。 ・顎の関節が痛い、口をあきずらい→顎の関節の病気かもしれません ・歯肉や舌、口腔粘膜にできものやただれがある→口腔粘膜の病気かもしれません。 ・歯の根元に石のような硬いものがある→歯石がたまっているかもしれません。 参考文献 中高年の歯の病気がすべてわかる本 森山貴史 主婦と生活社 2009年12月20日 (日)むし歯から起こる歯髄の炎症と治療本日は、熊谷崇先生と医療ジャーナリスト秋元秀俊さん監修の『徹底図解 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~』よりお届けいたします。 ◇歯髄を守るか、痛みを解決するか 歯がズキズキ痛み始めたなら、歯の中の歯髄(血管と神経の集まり)が炎症をおこしています。このような歯を治療するために、細菌に感染した歯質を除去していくと、歯髄が露出することがあります。 こうなってしまうと、感染を防いで歯髄を生かすか、炎症のひどい部分を切り取るか、あるいは全部取ってしまうか、選択は大きく分かれます。 生かすか殺すかという判断ですが、本来は歯髄の受けているダメージの程度によって決まります。しかし、痛みをともなう治療ですから、患者さんと歯医者さんの関わりの深さが、どうしても処置方針の決定に影響します。 ダメージを受けた歯髄を生かすと、あとで痛みが出たり、自然に歯髄が死んでしまうというトラブルの可能性が高くなります。半分残すことがありますがこれも同じです。患者と歯科医の間に十分な信頼関係がない場合には、このような不確実な治療はしにくいものです。 歯髄を殺して除去してしまえば、当面は痛みが無くなるという確実な結果が得られます。もちろん長い目でみるなら、歯髄はできれば取りたくありません。歯髄がなくなると歯は死んでしまいますから、もろくなり、時間がたつと変色していきます。あるいは歯根の先に膿がたまるかもしれません。歯髄は、歯の命ですから、可能であれば守りたいものです。 ◇『神経を抜く』治療とは ひどいむし歯で、歯髄がダメージを受けたとき、生きている歯髄を除去して痛みをしずめる処置を、歯医者さんは「神経を抜く」と表現することが多いようです。 正しくは、「抜髄(ばつずい)」といい、歯髄を処置したあと、歯髄のあった空洞を清掃し、封鎖しやすいように整える処置です。 抜髄の目的は、炎症を起こしている歯髄を除去して、骨の中に病変の及ぶのを避けることにありますが、被せる治療をすませた歯が痛まないように、あらかじめ健康な歯髄を除去してしまうこともあります。歯の神経は、痛みという信号で危険を教えてくれますが、その信号を避けるために信号機を外してしまうのです。 しかし、歯髄がなくなった歯は、枯れ木のようなもので、割れやすくなります。信号機を外してあるために、むし歯が再発しても痛まないので、むし歯に気がつかないという問題も起こります。このため不必要に抜髄することは避けるべきです。 また、きれいな見かけを回復するために歯を削るときに、歯髄のスペースが大きい場合には健康な歯髄を取らざるを得ないことがあります。さらに患者さんが治療中に強く痛みを謡えたり、治療後の一時的な不快症状を恐れる場合には、痛みを完全にコントロールできる抜髄を選ぶ傾向があります。 長い目で歯の健康を守ることと、その場の快適な選択は、ここでも矛盾します。 参考文献 徹底図解 むし歯・歯周病~「一生笑顔」を約束する新しい歯科の知識~ 熊谷崇・秋元秀俊監修 2009年12月19日 (土)今年もこの季節が・・・2009年12月17日 (木)歯科医が訪問 口腔ケア本日は、読売新聞 12月10日分の『安心』のページよりお届けいたします。 ◇誤嚥性肺炎予防効果も 口の中を清潔に保ったり、飲み込む力を鍛えたりする「口腔ケア・嚥下リハビリ」が高齢者の肺炎予防などに効果があると注目されている。 歯科医の間で、口腔ケアや嚥下を重視した訪問診療を広げる動きも強まり、11月には全国組織が発足した。(文:針原陽子) ◇食べられるように 千葉県松戸市のマンションの一室。介護ベッドの背もたれを少し起こした状態の男性(73)が、介護者の妻(71)の手を借りてプリンを食べていた。歯科医の大石善也さん(49)が、そののど元に聴診器を当てて、のどの状態や呼吸の様子を確かめる。 男性と妻には「口に入れて早く飲み込むと、少し器官に入ってしまう感じです。ちょっとためらってから飲めるように練習しましょう。」と助言した。 男性は7年前に脳出血で倒れ、現在は寝たきり。この5年ほど経管栄養などに頼っていたが、嚥下リハビリを受け始めて少しずつ食べられるようになった。妻は「意識と表情がはっきりしてきた。本人も楽しみが増えたでしょう」と喜ぶ。 同県柏市で開業する大石さんは、外来を休む週一日半と昼休みを使い、歯科衛生士9人とともに、老人保健施設(老健)などの施設や在宅高齢者ら約170人の訪問診療を担当する。 一回1時間。衛生士が歯や歯茎、舌などをきれいにする口腔ケアに30分を、歯科医による聞き取り、飲み込みのチェックやリハビリに30分を充てる。 家族を介して訪問看護師や往診の医師と連携を取ったり、同じ時間帯に訪れるヘルパーに口腔ケアのやり方を指導したりすることもある。大石さんは「高齢化によって要介護状態で自宅や施設で長く暮らす人はますます増える。歯科の訪問をもっと増やす必要がある」と訴える。 ◇医師の連絡会発足 口腔ケアを行えば、細菌の多い唾液などが気管に入って起こる「誤嚥性肺炎」の発症率が、ケアをしない人の半分以上に減ることがわかっている。食べることで栄養状態や意欲が向上することも知られている。 これらを踏まえて「在宅療養支援歯科診療所」が設けられたのは2008年4月。在宅で療養する人を24時間体制で支えるもので、診療時間でも、75歳以上の患者を訪問したら月一回は算定できる管理料などが認められた。 しかし、口腔ケアや嚥下リハビリを重視する歯科医はまだ少なく、患者も必要性をあまりしらない。こうした現状を変えるため、大石さんら訪問診療に力を入れる開業医と、大学や病院の歯科医の有志が今年11月、「全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会」を発足させた。 連絡会では今後、専門的に訪問診療を手がける医師のデータベースを作成するほか、各地域に活動拠点も設置。往診を行う医科のネットワーク「全国在宅療養診療所連絡会」などの他業種との連携も模索する考えだ。 在宅医療に詳しい辻哲夫東京大学教授(高齢者政策)は「口から食べることにより体力がつき、生活の質も上がることから、歯科が医科と連携することが重要。歯科が、在宅高齢者へのケアを重視するようになったことは、時代のニーズに応えた取り組みだ」と評価している。 2009年12月16日 (水)今までご苦労さまでした。2009年12月15日 (火)みんながんばってますね。先週の出来事です。 その日は、歯科医師会で社会保険の説明会がったのです。私は、その模様をレポートにして提出しなければいけなかったのです。 自宅に持ち帰るのはイヤだったので、そのまま、いつもの喫茶店へ行き、原稿を書いて、その場でメールしてしまおうと考えたのです。 そこの喫茶店に行くと、顔見知りの先生がいました。彼らは歯科医師会に所属していないので、今回の説明会にも参加していなかったのです。 その若手の先生と、最近の厳しい歯科情勢について話しをしたり、お互いの近況などを話しあったりしたのですが、なかなかがんばっている様子。 かなりの患者さんが来院している様で、彼らの企業努力の結果が実を結んでいることを非常にうれしく思いました。 私も、がんばらなければいけないと思い直し、結局その日は、目的のレポートはせず、インプラントと歯周病の関係の本をじっくり読むことにしました。 私も負けられないので。 2009年12月14日 (月)ストレスとはなにか?3本日も昨日の続きの3回目です。志賀泰昭先生の著書『噛み合わせと顎関節症の治療と予防』よりお届けいたします。 ◇咬合異常と自律神経神経失調症 ~咬合異常がストレッサーとなる~ 自律神経が乱れることによって様々な症状が生じることを、一般に自律神経失調症といいます。自律神経失調症の多くは交感神経の亢進(異常な興奮)によります。 交感神経の興奮状態が続いているということは、脳と体が活動し続けいていることを意味します。交感神経の働きが活発なので血圧も頻拍数も上がってきます。これによって、高血圧になり、心臓の負担も増し、疲れやすくなります。また、交感神経は血液中の糖濃度を高めるので、交感神経の亢進が続くと糖尿病になる危険性が高まります。 交感神経と副交感神経はシーソーのような関係にあるので、交感神経の亢進が続くと副交感神経の出番がなくなり、体を休めて修復することが出来なくなります。すると、ついに神経に誤操作が生じて、目眩、耳鳴り、頭痛などの症状が現れてきます。 また、副交感神経は内臓を動かす働きが低下すると、胸焼けや食欲不振、腹痛、便秘・下痢などの胃腸障害が生じます。 自律神経失調症によると思われる症状はたくさんあります(志賀先生の本を参考にしてください)。ただし、自律神経失調症には明確な疾患概念や診断基準があるわけではありません。ほかの病気に疾患概念に当てはまらない場合に自律神経失調症という病名がつけられているという、曖昧な病気とされています。 自律神経失調症の原因としては、ストレス、夜更かしなどによる生活の乱れ、過労などによる脳の疲れ、更年期のホルモンバランスの乱れなどがあります。このうち最も多いものがストレスです。たとえ弱いストレスであっても、それが長期に及ぶと自律神経を乱すようになるのです。 咬合異常は、物理化学的なストレスとして自律神経を乱します。噛み合わせの微妙な変化が、歯根膜、咀嚼筋、顎関節などの感覚器官によって捉えられ、それがストレスとなって交感神経を興奮させるのです。 自律神経失調症は曖昧な病気ですが、咬合異常を治療した結果さまざまな症状が消失するが極めて多いのも事実です。次のような症状がある場合は、一度噛み合わせをチェックすることをおすすめします。 ・頭痛、微熱 ・耳鳴り、ドライマウス、喉の渇き、肩こり ・呼吸困難、胸の苦しさ、胸焼け、吐き気、嘔吐、動悸 ・下腹部の不快感、下痢、便秘、残便感、残尿感、頻尿 ・全身の倦怠感、食欲不振、しびれ、めまい、冷え性、多汗 ・情緒不安定、抑うつ気分、イライラ、不安感、生理不順 参考文献 噛み合わせと顎関節症の治療と予防 志賀泰昭著 日東書院 2009年12月13日 (日)ストレスとは何か? 2本日も昨日の続きの2回目です。志賀泰昭先生の著書『噛み合わせと顎関節症の治療と予防』よりお届けいたします。 ◇ストレッサーが様々な疾病を引き起こす~内分泌系の反応~ ストレッサーには物理化学的ストレッサーと認知的ストレッサーがあります。物理化学的ストレッサーとしては、寒冷、高熱、気圧変化などの環境因子、ケガや打撲や火傷、振動、騒音、そして咬合異常などがあります。 認知的ストレッサーとしては、人間関係などの社会的要因、悩みや心配ごと、不安、緊張、恐怖、怒り、悲しみなどの情動的要因があります。現代社会的な問題となっている「いじめ」は認知的ストレッサーの代表といえます。 ストレッサーが加わると自律神経を混乱させることはすでに述べましたが、ストレッサーは内分泌系にも影響します。内分泌系の中枢は、自律神経と同じ視床下部にあります。ストレッサーが加わると視床下部から指令が出て、視床下部の真下にある脳下垂体の前葉から副腎皮質ホルモン(ACTH)が分泌され、これによって副腎皮質から副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)が分泌されます。グルココルチコイドは、グリコーゲンの合成の促進、タンパク質の異化作用、抗炎症作用、過剰な免疫反応の抑制などをします。しかし過剰に分泌されると、高血圧症を進行させます。 また、ストレッサーに遭遇すると、副腎皮質からノルアドレナリンなど(これらをカテコールアミンといいます。)の分泌が増えます。アドレナリンが血中に放出されると、心拍数や血圧が上がり、瞳孔が開き、血液中のブドウ糖濃度が上昇するなどします。 ノルアドレナリンは、交感神経を活発にして心拍数を上げたり、脂肪からエネルギーを放出させたりして筋肉が敏速に動くようにします。さらには交感神経が高まるとエピネフリン、ノルエピネフリンが過剰に分泌し、冠動脈を収縮させ、血栓ができやすくなるほど重大な心臓疾患を引き起こしやすくなります。 ストレスによって、胃酸分泌と胃粘膜の抵抗力のバランスが崩れて胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こすことはよくしられていることです。 このように、ストレスは自律神経と内分泌系の両面から生体に影響を与えるのです。ストレスによって生じるとされている疾患は、循環系、消化器系、呼吸器系、神経、筋肉と多岐にわたっています。 明日へ続きます。 参考文献 噛み合わせと顎関節症の治療と予防 志賀泰昭著 日東書院 2009年12月12日 (土)ストレスとはなにか?1本日は、3回に分けて、志賀泰昭先生の著書『噛み合わせと顎関節症の治療と予防』よりお届けいたします。 ◇刺激に対して体が反応する 咬合異常はヒトの体にとって大きなストレスとなります。そこで、「ストレス」とは何かを整理して起きましょう。 物理学では、物体に力が加わった時に生じる物体内の「ゆがみ」のことをストレスといいます。これは医学や生物学の分野でも同じです。したがって、一般には外部からの刺激のことをストレスといっていますが、正確には刺激に対する反応が「ストレス」です。 ストレスというとカナダの生理学者であるハンス・セリエ(1907~1982年)の「ストレス学説」が有名ですが、生理学の分野で最初にストレスという言葉を使ったのは、先ほど(志賀先生の本を参照してください)出てきたウィンター・キャノンです。 キャノンは、イヌに吠えられて緊張状態にあるネコの血液中にアドレナリンという交感神経の伝達物質がたくさん存在することを発見したのです。 緊張時間が発生して、闘うか逃げるかしかない状態では、心拍数が上昇し、瞳孔が開き、消化器の働きが抑えられます。キャノンは、生体がこのような状態になることを「ストレス」という言葉で表現したのです。 セリエは、外部から刺激を受けて緊張したり体にひずみが生じたりすると、これに対応しようとして体内で非特異的な生理的反応が起こるというのです。非特異的は特異的の反対語です。 たとえば、急に寒くなって震えるというように、ある刺激に対して常に一定の反応が起こるのは特異的反応です。これに対して、非特異的反応は、どのような刺激かに関係なく起こる反応です。 セリエはこの非特異的反応をストレスと呼び、その反応を生じさせる有害な外部環境因子をストレッサー(ストレス因子)と呼んだのです。そして、ストレッサーに対する生体の適応現象をセリエは「一般的適応症候群」といい、これには次の3段階があるとしています。 ◇1警告反応期 体が連続的にストレッサーにさらされた時に緊急的に反応する段階です。まず、体温が低下し、血圧が低下し、血糖値が低下し、神経の活動が抑制され、筋肉の緊張が低下し、血液の濃度が上昇するなどの反応が現れます。 次いで、生体防衛反応が現れて、副腎が肥大し、胸腺・リンパ組織が萎縮し、血圧が上昇し、体温が上昇し、血糖値が上昇し、神経の活動が活発になり、筋肉の緊張が増加するなどの反応が現れます。 2抵抗期 持続しているストレッサーと抵抗力のバランスが崩れて、適応現象が安定している段階です。適応を持続するにはエネルギー(これを適応エネルギーといいます)が必要ですが、このエネルギーが消耗してしまうと適応力が低下して、次の疲憊(ひはい)期に移行します。 3疲憊期 抵抗力が失われてしまい、再び体温が下降し、胸腺・リンパ組織が萎縮し、副腎皮質の機能が低下するなどして、生体に大きなダメージを与え、最悪の場合には死に至ることもあります。 以上が、ハンス・セリエのストレス学説の概略です。 明日へ続きます。 参考文献 噛み合わせと顎関節症の治療と予防 志賀泰昭著 日東書院 2009年12月11日 (金)今年もまだまだ忙しい!!2009年12月10日 (木)こんなもの買いました。2009年12月 9日 (水)口腔粘膜疾患とは本日は、山崎博嗣先生の著書『歯・口腔のことがよくわかる本』よりお届けいたします。 ◇口腔粘膜疾患とは 口腔粘膜というのは、口腔内で歯や骨のような硬い組織に対する言葉で、柔らかい部分を示します。たとえば舌、歯肉、入れ歯の下にあたる歯槽粘膜、頬粘膜、あるいは上あごの部分の口蓋粘膜、舌の下の周囲にあたる口腔底粘膜、口唇の内側の口唇粘膜などに分けられます。 粘膜上皮《粘膜のもっとも表層》は組織学的(顕微鏡を使って詳細に観察した結果)にいいますと重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)という名称が与えられ、体の中では生殖器の粘膜と組織学的に類似しています。 口腔粘膜は丈夫で、水が入ってきても、堅い食物が入ってきても、耐えられる、あるいはたとえ傷が出来ても治りやすいという特徴があります。 一方、口腔と隣接する鼻粘膜の上皮は、円柱線毛上皮(えんちゅうせんもうじょうひ)といって、ゴミなどを繊毛で払いのける作用は得意なのですが、水泳などで鼻に水が入るともう大変、というように水に弱いといった口腔粘膜とは異なった特徴があります。 胃など消化管の粘膜はまた違う特徴があるのです。 口腔粘膜の疾患は数多くありますが、口内炎と一般的には言われている状態で、肉眼的に丸く小さい白いくぼみで、周囲は赤い輪で囲まれており、小さい割にはひどく痛む病状を有する、アフタ性潰瘍と言われるものがもっとも一般的と思われます。 痛みの割には、前述の口腔粘膜の特徴のように治りやすく、約一週間ほどで良くなります。その全身的原因には、ビタミン不足などがあげられますが、詳細は不明と言われています。 局所的原因として、日常で気をつけることに小外傷があると思われます。例えば、新しい義歯が入ったばかりで、それが気になって舌が絶えずそちらへいってしまい、舌表面粘膜がこすられて傷になる場合、あるいは歯ブラシで“ゴシゴシ”やりすぎて歯肉粘膜を傷つけてしまう場合、ざらざらした揚げ物で傷をつけた場合などがあります。 この小外傷に対して、唾液の中の“ネバネバ”成分【ムチン】が対応していますが、それ以外にダメージが大きい場合に生じるものと考えられます。 口内炎には、このアフタだけでなく、いろいろな種類があります。昔ある学者が、口腔粘膜は全身の鏡ですといい、歯と歯肉しか診なかった歯科医を啓蒙しました。口腔粘膜は、まず色を見るようにしてみてください。 正常の血液循環がなされている場合では、ピンク色です。それよりも白い場合には貧血が疑われます。もっとも口腔粘膜が白くなる場合は相当重傷の貧血ですので要注意です。 貧血の診断には、普通は口腔粘膜でなく眼瞼結膜をみて推測されます。歯肉が黒い場合には、メラニン色素沈着が考えられます。メラニン色素は皮膚だけでなく口腔粘膜にもあります。しばしば、歯肉が黒いといって若い患者さんが心配して来院されることもあります。また黒色腫といった悪性の腫瘍もありますが、頻度は非常にすくないといえます。 普段のピンク色の口腔粘膜を基準にして、白い部分、もっと赤い部分は、口腔粘膜の疾病である可能性が高いので注意してください。また口内炎と思われても、一週間してもいくならない場合には、歯科受診をしたほうが良いと思われます。 歯科医は口腔粘膜に生じるがんも考慮にいれて診断しているのです。当然、扁平上皮がんということになります。最近では、二子山親方が口腔底癌でなくなられました。口底の場合には唾液腺由来の腺がんのこともあります。 参考文献 歯・口腔のことがよくわかる本 山崎博嗣著 本の泉社 2009年12月 8日 (火)体の変調?復調?この一ヶ月ほどになるのですが、やけに夢を見るようになってしまいました。今までは、ほとんど夢なんて見なかったのに、最近は頻繁に夢を見ます。 それに対応してか、朝方4時頃に必ずトイレに起きるようになってしまいました。 以前だとそんなことはなかったのですが。 それと、爪。 私は、爪が伸びるのが異様に早くて、2週間に1回は深爪にするくらい切っていたのに、最近では月1回です。 これって、体に変調が起きているのでしょうか、それとも復調の兆し? 食事の間食を一切やめてから起こる様になっているので、これとなにか関係があるのでしょうかね。 2009年12月 7日 (月)たまには趣味の話でも今日は写真は出せないのですが、私の隠れた趣味の一つにティディベア収集というものがあります。 ま、ぬいぐるみなのですが、これがかなり奥が深い。 私はシュタイフ社とノスタルジックベア社のものが好きなのですが、ノスタルジックベアの方は作者が引退してしまったので、なかなか市場に出まわらないのです。 先日、なにげなく、インターネット上を見ていたら、偶然ノスタルジックベアを発見しました。急いで、連絡したのですが、私のメールと行き違いに売れてしまったらしいのです。 それいらい、暇さえあればベアを探すようになってしまいました。 ベアにもいろいろなタイプがあります。口を開けているオープンベアのゾッティータイプ、小熊の形態のジャッキータイプ、手に物が挟めるディッキータイプ、首と手足が回り、背中にこぶのあるクラシックタイプなど、分類すれば様々。 それと、季節やおめでたい事があると、それに合わせて新しいベアも必ず発表されます。 力をいれて集めているのは、シュタイフ社製のジャッキータイプ。現在はホワイト3つ、ブラック一つ、パンダジャッキー一つ、レプリカ25センチ一つ、レプリカ35センチ一つ、フェスティバル限定25センチジャッキーを集めることが出来ました。まだオリジナルがないのですが、これがかなり高価なので、たぶん無理だとは思っています。 現在、ホワイトジャッキー2つを診療室内のどこかに飾っています。見つけてみてください。 2009年12月 6日 (日)アルカリ性物質でも侵食症に本日は、デンタルトリビューン紙 2009年12月号よりお届けいたします。 ◇アルカリ性物質でも侵食症に (スウェーデン)酸性物質が歯牙のエナメル質を浸食するということはすでに広く知られている。このたび、酸性物質と同様にアルカリ性物質も歯牙の有機成分を破壊しエナメル質を脆弱化することが、10月29日付けのイエテボリ大学プレスリリースで報告された。 ◇有機成分が溶解し多孔性に変化 イエテボリ大学労働衛生学部Fabian Taube氏らは、脱脂剤やその他のアルカリ性溶液中に抜去歯を浸漬し、走査型顕微鏡(SEM)による観察、および各種電子分析機器による測定を行った。 その結果、エナメル質中の有機成分が急速に溶解し、多孔性へと変化してしまうことがわかった。同氏らは、「酸性物質で引き起こされる浸食症とはプロセスが異なるが、アルカリ性溶液でも歯牙の浸食が生じることが明らかになった」と述べた。 こうした歯牙の浸食は、自動車修理工場の従業員に見られる職業病の一つでもある。車体各部にスプレー噴霧されるアルカリ性脱脂剤は、pH12~14という強アルカリ性を示す。 また、アルカリ性脱脂剤は調理場の清掃や、落書きの汚れ落としにも使われている。 共同研究者である同大学総合健康科学教授Jo”rgen Nore’n氏は「アルカリ性物質にさらされると歯牙表面はダメージを受け、フレーク状のエナメル質に変化する。このような変化は、う蝕やその他の歯牙損傷リスクを急速に高める」と警告している。 2009年12月 5日 (土)どうして同じ本ばかり読んでもらいたがるの?本日は、ジェイナ・マーフィ著の『うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの?』よりお届けいたします。 ◇どうして同じ本ばかり読んでもらいたがるの? 幼い子どもの親なら、もう何度となく読み聞かせている本が一冊や二冊はあるでしょう。 あまり何度も読んだので、文章はすっかり頭に入っているかもしれません。それでも読み聞かせるたびに、子どもは顔を輝かせて聞いているはずです。 親は、子どもが本に興味を示すとうれしいものですし、将来、優等生になるかもしれないと期待してしまいますが、本を読み終えて「おしまい」と言ったとたんに、「もういっかい!」と言われると、同じ絵本ばかり読み聞かせていて意味があるのだろうか、と思い始めます。 でも、心配はいりません。初期の読み書き能力を研究する専門家のほとんどが、その問いにイエスと答えています。 子どもが同じ本を何度も読んでもらいたがるのは、子ども自身にとっても、発達の面でも、もっともな理由があるからだ、とリザベス・ディラー博士は言います。 「本の読み聞かせは、子どもの潜在能力を最大限に引き出し、発達させるためには、親がしてやれる一番大切な仕事の一つです。そもそも読み聞かせには、いくつかとても重要な効用があります。その一つは、親子が特別な時間をもてることです。また、ものごとの連続性を教えることが出来ます。物語には、始まりと中間と終わりがありますから。さらに、読み聞かせによって、本は楽しめるものだということを教えられます。」 また、十分に読み書かされて育った子どもは、そうでない子どもより、早く字が読めるようになるとも言われています。 子どもは、異なる本をたまに読んでもらうよりも、同じ本を何度も繰り返し読んでもらう方が、たくさんのことを学ぶようです。 まだ、幼稚園に入る前の子どもにとって、本に書き出されるのはあまりに未知の世界ですから、何度も読んでもらって初めて、物語の内容になじみ、使われている単語を覚え(ただし覚えられるのは一度にひとつか二つ)、また自分が見ている絵と聞いているお話を関連づけられるようになるのです。 その関連づけができるようになるには時間がかかり、だからこそ、繰り返し同じものを読み聞かせるのにうんざりしはじめたころ、子どもが安心してその本の世界に入り始めることも少なくありません。そして、そのころにはんて初めて、つぎのページで何が起きるかを予想できるようになり、ときには次の単語を覚えていることもあるのです。 「大好きなページがつぎに控えていることを知っている子どもの期待感が、手に取るように感じるでしょう。何かが起きよいとしていて、その何かを知っているというのは、子どもにとってはとても満足すべきことなのです。それは、子どものなかにとてつもなく大きな自信を植え付けてくれます。」とハインズ・ベリー博士はいいます。 ◇だから・・・ *何度もくり返し読み聞かせよう 一日に三回、四回と同じ本を読まされたら、いいかげん逃げ出したくなるかもしれませんが、それによって得られる長期的な見返りは、ひょっとしたら途方もなく大きいかもしれません。 さまざまな研究によって、三歳までに日常的に本を読んでもらった子どもは、そうでない子どもよりも、学校の成績がよいことが証明されています。 ディラーラ博士が説明するように、「本を読めば成績がオールAになるというわけではありませんが、読み書きが子どもの能力を最大限発揮させる手助けになるのは確かです」。 事実、学齢に達する前に本を読んでもらった(あるいは読んだ)経験が多いほど、読解力のすぐれた子どもになり、その傾向は小学校に入ってからもすっと続いています。 *子どもが選ぶ本でわかること どんな本を選ぶかによって、幼い子どもの心のなかを推しはかれることもあります。 ハインズ・ベリー博士によれば、癇癪を起こしやすい子どもは、モーリス・センダックの『かいじゅうたちのいるところ』をくりかえし読んでもらいたがるといいます。 その本が癇癪を起こしても大丈夫だと認識させてくれるからです。子どもがある特定の一冊にこだわるようなら、その本にしかない魅力は何なのかを探ってください。多くの子どもにとって、自分ではコントロール出来ない感情(例えば恐怖や嫉妬)を扱った本をくり返し読み聞かせることで、彼らがその感情を克服するのを助けられるかもしれません。 *読み聞かせは楽しく 子どもはあなたの声が大好きで、あなたと遊ぶのが大好き、そしてあなたの愛情を自分にだけに向けてもらえるのが大好きです。読み聞かせの時、あなたの声音を変えたり、小道具をつかったり、子どもに参加させて楽しませることが出来たら、彼らは読書について一番大事なことを学び、自分でも本を読んで見たいという気持ちになるでしょう。 参考文献 うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの? ジェイナ・マーフィ著 草思社 2009年12月 4日 (金)子どもを肥満から守る~2005年6月25日のWHO国際シンポジウム神戸より~本日は、丸森英史先生、武内博朗先生の編著による『“食育”は歯科医療を変える』の中からお届けいたします。 ◇子どもの肥満対策が急務 社会の歪みはまず弱者に現れます。食の歪みは子どもたちを最初に襲います。飢餓と肥満です。 飢餓の根底にあるのは貧困です。世界人口の役1/8にあたる8億人に人が、食料不足にさいなまれて暮らしています。十分なビタミンやミネラルを摂取できていない微量栄養素欠乏症の代表的な症状は、鉄分不足とそれに伴う貧血です。 その一方でWHO(世界保健機関)とIDF(国際糖尿病連合)の報告によると、世界中で約2.200万人以上の幼児が過体重・肥満と言われており、そのうち半分以上は途上国に住む子どもたちです。 その割合は増加傾向にあると言われています。 また学齢児童の10%は過体重・肥満であると報告されており、その傾向は年々深刻な状態になっています。さらに将来Ⅱ型の糖尿病を起こすことが心配されており、早期の改善が必要とされています。 いま小児肥満は全世界で注目されている問題です。効果的な早期発見・治療・改善方法が世界的に求められており、WHOをはじめとする多くの国際機関が小児肥満における予防対策について積極的に取り組んでいます。 ◇肥満の背景にある社会要因 この会議のなかで肥満の発生の社会要因として生活環境の変化、つまり運動や食生活の問題が指摘され、次のことがあげられています。 ・身体活動の機会の減少 ・テレビなど「動かない」レクリエーションの増加 ・水の代わりに甘いソフトドリンクを摂取 ・レストランやファーストフード店利用の増加 運動量が減り、テレビを見ながらスナック菓子やソフトドリンクを多量にとり、ファーストフードを利用することが増えるなど、生活背景の変化を指摘しています。 根底には不健康な消費のグローバル化、メーカーや販売する側はマーケティングを通じ、消費促進するためのブランド化が行われ、国外投資さえも行われている現状が指摘されています。 子どもたちの興味を引きつけるようなデザインで広告され、より多く買ってもらうように安く、甘味、塩味、脂を使い癖になるような味付けが行われております。 その結果、子どもたちは高カロリーのおやつに浸ってしまいます。 参考文献 “食育”は歯科医療を変える 丸森英史、武内博朗共著 クインテッセンス出版 2009年12月 3日 (木)キシリトールガムの効果は?本日は、羽田宣裕先生監修の『こどもの歯をじょうぶにするQ&A64』よりお届けいたします。 ◇虫歯をやっつけて、虫歯を防ぐ唾液がふえる キシリトールは、いちごやプラムなどの果物、レタスやカリフラワーなどの野菜にも含まれている天然の甘味料で、砂糖と同じ甘さがあります。 市販のキシリトール入りのガムはおもにシラカバやカシなどの樹木から抽出されたキシリトールが使われています。 フィンランドで虫歯予防の目的で開発されたのを発端に、世界各国に広まりました。キシリトールが虫歯を防ぐのは、次の理由からです。 ①虫歯菌はキシリトールでは酸を作れないので、虫歯菌にならない。 ②虫歯菌がキシリトールを食べると、エネルギーを消耗して活動が弱まる ③さわやかな甘みが、虫歯菌予防効果のある唾液を多く分泌させる。 キシリトールガムは食後に5分以上噛むと、食事中に溶け出した歯のミネラルを回復させ、再石灰化を促します。また、毎食後に噛むと、虫歯菌の数が減ります。 寝る前の歯磨き後に噛むのも効果的です。 ただ、本当に虫歯菌を減らしたいのなら、歯医者さんで虫歯菌の検査を受け、決められたカリキュラムのもとに使うべきです。 甘い物を食べたいこどものために、ラムネ菓子代わりにあげてもいいですが、おなかがゆるむことがあるので食べ過ぎに注意を。 参考文献 羽田宣裕監修 こどもの歯をじょうぶにするQ&A64 小学館 2009年12月 2日 (水)口腔環境の維持には2つのコントロールが必要本日は、島谷浩幸先生の著書『歯磨き健康法』よりお届けいたします。 ◇2つのコントロール 一般的に言われるように。口腔内の健康維持には次の2つのコントロールが必要です。 ①炎症のコントロール ②力のコントロール 一つの例として、歯周病の炎症で痛くて噛めない場合の治療法について見ていきましょう。 歯周病の炎症は、歯周病菌が歯周ポケット内で過剰に増殖して炎症を引き起こしているわけですから、まず「炎症のコントロール」として、歯周ポケット内を徹底的に機械的に清掃して、出来る限りの細菌を排除します。 しかし、ポケットの深い部分まで完全に細菌の排除をするのは不可能ですから、抗菌剤をポケット深部に注入したり、あるいは内服として抗菌薬を飲むことで対応します。 また、炎症が強いと歯が浮いて噛んだときの痛みになるので、「力のコントロール」として、歯を削って噛み合わせを調整し、咬合力の負担を和らげる必要があります。 それと合わせて、患者さん自身には、歯磨き・うがい薬を使ったブクブクうがいの徹底と固い物は噛まない、体を安静にする、薬をきちんと飲む、といった注意を与えます。 このように、歯科の治療において、「炎症のコントロール」と「力のコントロール」の組み合わせは非常に重要なのです。そこでそれぞれについて、さらに詳しく見ていきましょう。 ①炎症のコントロール 「炎症の五大徴候」と言われる、疼痛、腫脹、発赤、熱感、機能障害が炎症の主要症状として現れます。口腔二大疾患の虫歯・歯周病関連の症状で、全患者さんの9割以上がこれらの症状を訴えます。歯科で認められる症状もほとんどが虫歯・歯周病に関連します。 例えば、「虫歯が疼く」場合はもちろん、「冷たいもので歯がしみる」、「噛むと歯が響く」といったこれらの症状すべてが炎症によるものですし、「歯磨きの時に歯肉から血が出る」、「歯肉が腫れた、膿が出る」といった歯肉の症状もすべて炎症です。 何度も述べているように、虫歯・歯周病は口腔内細菌の感染症です。ですから、①の炎症のコントロールは、いかに口腔内細菌をコントロールするか、つまり「プラーク・コントロール」をいかに上手にしていくか、と言うことなのです。その手段としては、歯磨きやうがい薬を使ったブクブクうがいも効果的な方法ですし、歯磨きの出来ない所は、薬の力によって細菌をやっつけることになります。 ②力のコントロール 口腔内での「力」で言えば、まず第一に「咬合力」、つまり「咬み合わせ」の力です。 この力は相当強いものであり、成人男性の咬合力は、1センチ平方あたり60キログラム以上にもなります。この強い力は時として、歯・歯肉や顎関節を痛めるというような悪影響を及ぼすことがあるので、過度の力がかからないような力のコントロールが必要になります。 参考文献 歯磨き健康法 島谷浩幸著 アスキー新書 2009年12月 1日 (火)いよいよ12月ですね。今日から12月ですね。 師走です。 今年は、本当に過ぎるのが早かったです。 とにかく充実していました。 いくつかのプロジェクトも成功させましたし、来年への足がかりをつかめた気がします。 今年も後1ヶ月です。 いくつかの難しい手術も控えていますし、事務仕事をたくさん残っています。 すっきりと年を越せるように、がんばりましょうね。 |
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