子どもを肥満から守る~2005年6月25日のWHO国際シンポジウム神戸より~
本日は、丸森英史先生、武内博朗先生の編著による『“食育”は歯科医療を変える』の中からお届けいたします。
◇子どもの肥満対策が急務
社会の歪みはまず弱者に現れます。食の歪みは子どもたちを最初に襲います。飢餓と肥満です。
飢餓の根底にあるのは貧困です。世界人口の役1/8にあたる8億人に人が、食料不足にさいなまれて暮らしています。十分なビタミンやミネラルを摂取できていない微量栄養素欠乏症の代表的な症状は、鉄分不足とそれに伴う貧血です。
その一方でWHO(世界保健機関)とIDF(国際糖尿病連合)の報告によると、世界中で約2.200万人以上の幼児が過体重・肥満と言われており、そのうち半分以上は途上国に住む子どもたちです。
その割合は増加傾向にあると言われています。
また学齢児童の10%は過体重・肥満であると報告されており、その傾向は年々深刻な状態になっています。さらに将来Ⅱ型の糖尿病を起こすことが心配されており、早期の改善が必要とされています。
いま小児肥満は全世界で注目されている問題です。効果的な早期発見・治療・改善方法が世界的に求められており、WHOをはじめとする多くの国際機関が小児肥満における予防対策について積極的に取り組んでいます。
◇肥満の背景にある社会要因
この会議のなかで肥満の発生の社会要因として生活環境の変化、つまり運動や食生活の問題が指摘され、次のことがあげられています。
・身体活動の機会の減少
・テレビなど「動かない」レクリエーションの増加
・水の代わりに甘いソフトドリンクを摂取
・レストランやファーストフード店利用の増加
運動量が減り、テレビを見ながらスナック菓子やソフトドリンクを多量にとり、ファーストフードを利用することが増えるなど、生活背景の変化を指摘しています。
根底には不健康な消費のグローバル化、メーカーや販売する側はマーケティングを通じ、消費促進するためのブランド化が行われ、国外投資さえも行われている現状が指摘されています。
子どもたちの興味を引きつけるようなデザインで広告され、より多く買ってもらうように安く、甘味、塩味、脂を使い癖になるような味付けが行われております。
その結果、子どもたちは高カロリーのおやつに浸ってしまいます。
参考文献 “食育”は歯科医療を変える 丸森英史、武内博朗共著 クインテッセンス出版
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