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2009年12月27日 (日)

歯の不具合、身体への影響2

本日も昨日に続き、伊藤正夫先生監修の『高度歯科医療最前線』よりお届けいたします。

◇身体への影響~奥歯が失われると~

歯が痛む、ぐらぐらするなどの不具合とともに、特に多いのは歯が抜け落ちた(あるいはむし歯などによって抜けた)ことによる不具合、それから入れ歯による不具合です。

人は、歯がないだけで死ぬわけではありません。ライオンのような肉食獣にとっては牙を1本失うことは、そのまま狩りができないこと、すなわち死に直結しますが、人は特に最近は食べ物が軟らかくなっていますから、たとえ全部の歯がなくなったとしても死にはつながりません。

しかし、奥歯が抜けてしまったという場合、想像以上の不具合が生じます。

奥歯の存在は、実は顔の長さを決定している最大の要因なのです。

奥歯はあたかも「ヘラクレスの柱」に似ています。ヘラクレスの柱は地中海のはずれ、ジブラルタル海峡の南北に立つ岩山です。スペインの国旗に描かれ、通貨ドルを表す$の縦の2本線もヘラクレスの柱といわれていますが、古代の宇宙観にとって大変重要な役目を果たしています。

歯の世界でも奥歯の重要性は同じで、奥歯が上下に噛み合って顔と顎を支えており、顔面の長さを維持しているのです。

ですから奥歯を失うと、次第に顔の長さが短くなって、口の周囲に深い皺がより、老け込んでしまいます。さらに顔が短くなるにつれ、前歯が飛び出して歯と歯の間にすき間ができ、唇が閉じなくなります。

また、奥歯がなくなると顎に加わっていた力が、直接、顎の関節に加わります。顎の関節には口を開閉する筋肉、噛むための筋肉などがついています。これらの筋肉(咀嚼筋)と協調して頭蓋を背骨に固定する筋肉群も口の開閉に参加します。従って、口の開閉や咀嚼は多数の筋肉の緊張と弛緩が同時期に、かつ調和を保って行われる運動です。これを統合するのは脳にほかなりません。

ですから、奥歯がないとまず顎の関節が大きなダメージをこうむることになり、そのことによって口を開閉する筋肉や、頭を背骨に固定する筋肉などのバランスが狂います。

そうすると、肩や首が凝る、頭が痛い、姿勢制御が難しくなる、歩行が困難になるといった様々な不具合が生じてきます。ですから、奥歯はどうしてもなくてはならない重要な歯ということが言えると思います。

◇細菌を培養し味覚障害を起こす入れ歯

歳を重ねるにつれ歯が抜け落ち、こえを補うために入れ歯(義歯)をする人が多いのはご存じの通りです。とりわけ80歳以上の高齢者の大変多くの方が総入れ歯となっています。

歯が抜け落ちた部分に義歯をする。これはいわば応急処置のようなものです。応急処置といったのは、義歯やブリッジにしている方々は、誰もが不満を抱えている根本的な解決になっていないからです。実際、義歯やブリッジに対する不満、不快の声が、私たちの元へたくさん寄せられています。応急処置ですから、これで良いわけはありません。1日もはやく義歯かたインプラントにすべきであるのはいくつかの理由があるのです。

まず衛生面です。

義歯はどのようなものであっても、金属とプラスチックから出来ています。プラスチックだけの場合もありますが、金属だけというものはありません。このプラスチックは吸収性があって、内部に唾液などが浸透していきます。

水分を浸透させることは、いわば入れ歯の中で細菌を培養することと同じになります。

また、入れ歯の清掃がうまくできていないと、歯にバイオフィルムが発生します。バイオフィルムとは、細菌が重なって出来たフィルム状のもので、台所のシンク(流し)などのぬるぬるしたものと同じです。

入れ歯の表面についたバイオフィルムが、咽頭部に落下することもあります。このバイオフィルムを吸い込んでしまうと、肺炎の原因にもなります。

入れ歯による弊害はこれだけではありません。味覚にも大きな影響を及ぼします。たとえば、入れ歯というものは、顎に吸盤のように張り付かなくては機能を果たせません。入れ歯と顎の間にすき間があると、入れ歯が動いてうまく噛めません。そこで、上の入れ歯を入れたとすると、上顎にぺたんと張り付くような感じになります。

ところが、顎の内側、口蓋といわれる部分には味蕾(みらい)があります。味蕾は食べ物の味を感じ取る器官ですから、入れ歯によってこの部分がふさがれてしまうと味を感じ取ることが出来なくなってしまうのです。

これは、入れ歯がもたらす「味覚障害」です。味を感じないと、人は食べる楽しみを失ってしまいます。入れ歯ひとつで人生の楽しみが失われるわけですから、応急処置であきらめてしまうことがあってはならないのです。

参考文献 高度歯科医療最前線 伊藤正夫先生監修 経済界 

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