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2009年10月 2日 (金)

『理解する』と『行動する』は別モノ

本日は、デンタルトリビューン紙209年9月号より、群馬大学非常勤講師である高橋美保先生の「歯科医師のための心理学」を、お届けいたします。

◇計画的行動理論

「わかる」だけでは実行できない

予防歯科という観点から、患者の毎日のケアの指導に力を入れているクリニックも多い。しかし、歯科医師や歯科衛生士がいくら懇切丁寧に指導しても、患者自身が実行してくれなければ効果は見込めない。

例えば、不規則な生活や夜遅く飲酒する患者に対し、就寝前の歯磨きを指導したとしよう。歯科医師の熱弁に、患者も目からうろこを落とし、「よくわかりました!」と答えて帰宅する。しかし、「先生に言われたように、ちゃんと寝る前に歯磨きしなくちゃ」と思ってはいるのだが、「眠いから、今日はさぼってしまえ」と歯磨きの実行につながらないケースも見られるのではないだろうか。

◇行動を促進する3つの要因

このように、「行為の重要さを理解する」ことと「行動する」ことには大きな隔たりがある。

「行動」につなげるには、どのような指導が有効だろうか。心理学では、特定の行為の「行動」に影響を与える要因についての研究が数多くある。今回紹介する「計画的行動理論」も有力なモデルの1つである。

この理論によれば、人の意図的な「行動」は「この行為をしよう」という意図(=行動意図)から直接の影響を受ける。さらに、この行動意図は①行動に対する態度(その行動に対して、本人がどの程度肯定的か)②主観的規範(その行動を、周囲の重要な他者がどの程度期待していると認識しているか)③行動コントロール感(その行動を実行できそうだと自覚している度合い)-の3つの要因によって規定される。

冒頭の例では①は満たしたが、②と③が不足していたと推測される。計画的行動理論を扱う研究には禁煙やダイエット、口腔衛生といった健康関連のテーマが多く、メタ解析によって、行動意図の約40%、実際の行動の約30%という、高い説明率を示すことが確認されている。

◇特に、コントロール感が重要

つまり、冒頭で例示した就寝前の歯磨き習慣を身につけるためには、次の3点を自覚させて行動意図を持たせることが有効であると言える。

①患者が口腔衛生維持の重要さを理解し、「そのためにも就寝前の歯磨きを実行することが大事である」という肯定的な「態度」を持つようにすること。

②家族や恋人が患者自身による口腔衛生の管理を望んでいるという「主観的規範」を患者にもたせること

③「私は口腔衛生の管理を実行できる」という患者の「行動コントロール感」を高めること

特にこのうち3つ目の行動コントロール感は「行動意図」と「行動」の両者に作用し、比較的大きな影響力を持つと考えられている。行動コントロール感を高めるには。就寝前の歯磨きを一度実行してみるように促す、歯科医師が「あなたならできる」と患者を励ます。どんなに泥酔しても就寝前には歯磨きをするという人の話を紹介する、などが有効である。

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