絵本「はがぬけたらどうするの?」の書評
本日は、日本経済新聞2009年10月9日分の『こころの一冊』からお届けいたします。
「はがぬけたらどうするの?」~分化の多様性を知る一歩~
《かいだんぶんこ の後藤啓子さんのテキストです。》
歯が生え替わる時期になると、日頃は目立たない子供も注目の的になります。
「この歯、動くんだよ」
と言うと
「見せて」と、皆が口の中をのぞき込むからです。
ある時「僕、歯が抜けた」とやってきた男の子に「その歯どうしたの?」と聞くと、
「下の歯だから屋根に投げるんだけどね、うちはマンションだからベランダから投げた」と答えました。
これは乳歯が抜けたらどうするか、世界の64の地域の66の風習や言い伝えを紹介した本です。
日本のように屋根に投げるほかに、枕の下に置いて妖精やネズミが持って行くのを待つ国、パンや肉の中にいれて動物に食べさせる国、畑に植える国、金や銀のペンダントやイヤリングにする国、お日様に向かって投げる国といろいろですが、同じ風習が近い国のものとは限りません。
風習は違えど、いずれも確かな子供の成長を喜ぶ心が伝わってきます。
子供に風土や分化の薫りを意識させる一歩になりそうです。
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