大いなる診療法
私たち歯科医師が行う治療は、様々な種類があります。
アメリカで研修を行っていた時の話です。
私は当然、日本で歯科診療を行う事を前提で研修を行っていますから、当然研修中は頭の中にあるのは、日本で治療を行っている事をシュミレートしながらです。
日本人は、入れ歯も作れば、歯も抜きます。当然ホワイトニングもするし、神経も抜きます。
これは日本の保険治療では当然の事です。
ところが、アメリカの歯科治療は違います。少なくともわたしが付き合ってきた(それほど多くはないですが・・・。)アメリカの先生達はそうでした。
どう違うのかというと、アメリカの先生は専門性が強くて、その分野のみを診療するというスタイルが多いのです。
その時は、顎関節症の事を勉強していました。先生は、すべての歯がそろっている患者さんを対象に話を進めていきます。
「先生、ちょっと待ってください。」
私は思わず、質問してしまいました。
「先生、歯がそろっている場合の顎関節の治療は理解できました。しかし、私たち日本人は、入れ歯を入れている患者さんも診なくてはいけないのです。入れ歯を入れている人の顎関節症の場合はどう対処したらいいのでしょうか?」
すると、先生が言われました。
「君は技工士なの?」
「いえ、違います。日本では、すべての診療を一人の歯医者が担当します。」
「そうか、私は、入れ歯をやったことがないから、分からないね。でも基本が同じなら、入れ歯でも同じだと思うよ」
実にアバウト。顎関節症では、噛み合わせや筋肉のバランスの崩れが大きく症状を悪化させます。日本では、その症状を悪化させないために、人工臓器である「入れ歯」を入れるのです。
しかし、アメリカの患者さんは、日本人の私が診て、「入れ歯を入れた方がいいのに・・。」と思う患者さんが多くいます。しかし、保険に入れない患者さん達に無理に入れ歯を進める事が出来ないそうです。
入れ歯やインプラントを入れることなく、解剖の知識を強引な思いこみにより、難なく顎関節症の患者さんを診療しています。
私は、どうしても入れ歯を入れなければならないのに、入れることが出来ない、歯の欠損症例の場合には、このアメリカで習った方法を採用します。
最初は、かなり信頼性が低いと思ったのですが、今はこのアメリカの大いなる診療法が役に立ってます。やはり患者さんが喜ぶのがうまくいっている証拠です。
アメリカ的 興味のあるお話
一理 あるようにも、おもいますが、
いいとこどり、で良いと思いました。