適応と代償。
矯正の勉強をしていると、どうしても「適応と代償」という理論にぶち当たります(苦笑)。
矯正の勉強を始めた頃は、理論や概念よりもスキル(ワイヤーの屈曲とかブラケットの装着、セファロ分析)を上げる為の方に興味がいってしまいがちです。
もちろん、手が動かなければ治療は出来ませんので、スキルを向上するためのトレーニングは当然なのですが、理論が理解出来ていないと、どうも矯正治療自体に説得力が無く、治療期間が無駄に長い気がします。
例えがへたくそで申し訳ないのですが、「銃やナイフの扱い」は出来るけど、「戦略が無い」って感じでしょうか?
いくら兵隊の人数を揃えても、戦略が無いと負け戦になるというか、苦戦するというか。
歯並びには「個性」という概念があるため、駄目な歯並びはありません(シャクレでも下顎が下がっている小顔でも。。。。。失言でした。失礼しました💦)。しかし、健康的な歯並びというのはあります。歯科医師が目指しているのは、その健康的な歯並びの方です。
見た目や発音が良く、良く噛めて、顎が疲れなくて痛くならない。そこを目指しています。
個性的な歯並び(歯医者の求める健康的な歯並びじゃない方)は、噛み合わせが合っていない場合が多いので、身体(体)は、悪い歯でも良く噛めるように顎を変形して『 適応 』させようとします。
(専門的に言えば、Ⅱ級やⅢ級の噛み合わせでも身体が噛みやすいⅠ級の噛み合わせで噛もうとする事)
そうすると、歯と歯の噛み合わせ(当たり)が悪いので、歯が欠けたり、歯の痛みが出たり、顎に無理が掛かって、顎関節症になったり・・・・。
これが『 代償 』です。
ほとんどの歯科疾患はこの「適応と代償」を繰り返して症状が悪化していきます。
(治療を途中で行かなくなると、この「適応と代償」が急速に進行し、症状が急激に悪化します)
(口の中が虫歯だらけの患者さんの原因の90%以上はこれに当たります)
そのため、根源的な治療をするのは、最初に体が「適応」を行うと思考した原因を追求すると歯科治療や矯正治療がとてもスムーズに行きやすいし、治療期間が短縮出来ると思っています。最近の私は。
その理解を深めるため、患者さんに良く説明するために胎児頭蓋模型をKOデンタルの高山君に無理を言って探してもらいました(高山君、ありがとう)。
患者さんに「適応と代償」の話をするのはとても骨の折れる話なのですが、胎児頭蓋模型のお陰で少しは説明が楽になるのではないかと思っています。
それにしても、成人骨格と胎児骨格はこんなに大きさ違うんですね。
改めてビックリ。
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