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2009年6月13日 (土)

歯周病の原因説2

昨日の続きです。

歯周病には、細菌が深く関わっているという考え方が有力になります。プラークは細菌の塊ですから、それを除去する術、すなわち歯磨きと細菌の感受性のある抗生物質が脚光を浴びるわけです。

いわゆる歯周病細菌説です。歯磨き剤の宣伝などでも、歯周病と闘う・・・・・・とか、よくきくのではないのでしょうか。

しかしながら、現実はそう単純ではありません。

プラークは細菌の塊なので、これを除去するだけである程度の効果は上がりますが、それで解決とはいきません。細菌が原因であろうということはたしかなことなのですが、いまだに末期の歯周病には決定的な治療法がありません。

たとえば、ワクチンのようなものが開発されて、将来は撲滅の可能性があるのかという問いに対しては悲観的にならざるを得ません。

確かに、歯周病に関わる細菌について、世界中で数十年間、研究が続けられています。原因となる菌の種類を特定して、有効に取り除こうという試みです。徐々に成果を上げているように報道されていますが、決定打はいまだ見つかりません。

決定的な治療法が見つからないのは、特定されるべき特別な細菌が存在しないからかもしれません。つまり、体内に普通に生息する常在菌が、特殊な条件下で炎症を起こすかもしれないのです。

そこで、歯周病のメカニズムは、細菌などの侵襲因子(毒素や酵素など)と、それを防御する生体の抵抗力によって説明されることが多いのです。

例えば、糖尿病を患っている場合、歯槽骨の破壊が早く進みますが、その理由は生体の抵抗力が低下するためと説明されます。また、臓器移植などで免疫抑制剤を使用した場合、あるいは加齢にともない免疫力が低下した場合、健康な人では感染しない細菌に感染する場合があります。これを日和見感染(通常なら無毒な弱毒性微生物・非病原微生物・平素無害菌などに、人の抵抗力が落ちると感染すること)と呼びます。

しかしながら、この抵抗力の低下を遺伝子レベル、分子レベルで解析しようとする研究も、今のところ、十分な成果が上がっているとはいえません。

かりに、歯周病が日和見感染だとするならば、常在菌が炎症を引き起こす特殊な条件を見つけ出し、排除する方法を研究すべきなのではないでしょうか。

口の中というのはもともと細菌だらけで、雑菌がいっぱいいるわけです。細菌といっても口の中に棲んでいる細菌は常在菌であって、結核やジフテリアのような特殊な細菌ではありません。なんの引き金もなければ、炎症を起こすこともなく、平穏に生息しているわけです。

たとえば、大腸菌が炎症を引き起こすことがあるからといって、ビフィズス菌もいるわけです。それらを全て殺してしまったら、逆に人は生きてはいけないでしょう。それよりも、そいう引き金を排除することを優先するべきではないでしょうか。

あと一つ面白い話しがあります。

口の中の常在菌であるカンジタ菌が、歯周病の原因説だとする説を歯科医の河北正先生が1990年に発表しました。

カンジタ菌は、水虫のようなカビに分類される真菌で、通常の細菌とは異なる性質を持ちます。抗生物質を大量投与すると細菌は死滅しますが、カンジタ菌は抗生物質に感受性が無いために勢力を増します。これを菌交代現象と呼びます。

たとえば、プラークコントロールと歯石除去によって、多くの歯肉の炎症は消えるのですが、時として悪くなる場合もあります。この現象は、もしかしたら、カンジタ菌の菌交代現象が原因なのかもしれません。カンジタ菌が歯周病の原因菌だとは断言できませんが、治療を行ううえで、当然、無視出来ない存在であることは確かです。

このように、歯周病の原因は細菌説が有力ながら、決定的な治療法が見つからないために、種々の原因説が唱えられているのが現状なのです。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代著 光人社

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