8020って
今日は、鴨井久一先生の著書「新・命をねらう歯周病」からお届けいたします。
人間は誰でも年を取りますし、この流れに逆らう事は出来ません。そして加齢と共に、皮膚はたるんでしわが寄り、骨はもろくなり、心臓や胃、肝臓といった臓器の働きも衰えて老化がおこります。
同じように、口の中にも変化が生じてきます。加齢と共に、歯や歯肉を保護する役目をする唾液の出る量が少なくなり、また、今まで虫歯や歯周病にかかることもなく歯を健康に保ってこられた人でも歯肉や歯根膜の繊維の量が減ってきて、歯を支える力が低下します。
歯槽骨がもろくなる事も、しっかり歯を噛み合わせる事に対してマイナスとなります。
口の中の病原菌を増やさない様に歯磨きを頑張れば、年を取っても歯と口の健康を維持する事ができますが、ひとたび歯周病にかかると、一度にたくさん歯の周りの骨や組織を失う結果になってしまうかもしれません。
また、長生きをすると言うことは、さまざまな微生物が住んでいる口の中で歯や歯の周りの組織が長期間、病原菌感染の脅威にさらされているわけで、それだけ病気になる危険性が高く、歯を失う要因が増えている事になるのです。
「8020」と「8010」、この2つの数字、なにやら暗号のようですが、何を意味するかおわかりになりますか?
8020は日本歯科医師会と厚生労働省が進める「8020(はちまるにいまる)運動」のこと。80歳で20本の歯を残そうという意味です。
私たち人間の乳歯は全部生えそろうと20本、その後に生え替わる永久歯は親知らずを入れれば32本、親知らずの4本を除くと28本あります。
と言うことは、80歳になった時に20本の歯を残しておくには、親知らずを除くと失う歯を8本以内に抑えなければならないわけです。
しかし、平成17年の時点では、「8010(はちまるいちまる)」。すなわち、80歳で10本の歯しか残っていないのが日本人の現状です。18本以上の歯が何らかの理由で抜けてしまっているのです。
私たちが歯を失う原因の大半は、虫歯と歯周病です。多くの歯を失えば、それだけ食生活や会話など、日常生活に支障がでます。私たちの生活の質が下がることは確かです。
やはり、若いうちから虫歯や歯周病の予防、早期治療を心がけることが不可欠なのです。
口の中をきれいにすることによって、驚くほど元気を取り戻すお年寄りもいます。そのメリットとして、風邪を引きにくくなる、発熱しにくくなる、肺炎のもととなる病原菌が減る、口臭が無くなって社会性が回復する、などがあげられます。
また、喫煙の習慣、栄養がかたよっていたり、甘いもの、やわらかいものを好む食生活、不規則な生活などは、歯周病の原因菌を元気つける危険因子となります。自分の生活習慣のすべてを一度見直し、生活習慣病の予防に努める。これも長生きの秘訣です。
参考文献 新・命をねらう歯周病 鴨井久一 沼部幸博 著 砂書房
8020。只今 欠損2本。
がんばります。 60代なり。