歯並びが気になりだしたら2
昨日の続きです。
本日も熊谷先生の著書(「歯科」本音の治療がわかる本)からお届けいたします。
歯並びの治療も、まずは原因療法
悪い歯並びや、悪い噛み合わせの原因は、遺伝悪い習慣、噛み癖、ひどい虫歯など様々です。
多くの場合、何らかの先天的な要素(遺伝)が関連しています。そこに別の要因が関わっていっそうひどくなったり、舌や口唇の悪い癖の呼び水となって原因は複雑になります。
なかには、舌の癖だけが原因になっているような簡単なケースもありますが、ここに成長の影響が加わると歯並びの異常は複雑になります。たとえ舌の癖がなおっても、悪い歯並びはなおりません。
このため成長の終わった人の矯正治療では、原因療法だけでは、期待するような効果は上がりません。舌や口唇の癖、噛み癖などは、しばしば悪い歯並びや悪い噛み合わせの原因になっています。
しかし、患者さんの無意識の癖を改善することは簡単ではありません。患者さんの協力が必要ですが、そもそも協力が得られないことも少なくないのです。
このため、矯正治療では原因療法という最も大切な考え方があまり大事にされていないのが現状です。
原因を知らないまま矯正治療で歯並びを治そうとすると、うまく治療が進まないだけでなく、治療が終わった後に、後戻りが起こる事があります。
成長期の原因療法
乳歯の根がいつまでも吸収せず、乳歯が抜けないことがあります。また骨の中に埋まった歯(埋伏歯)が、永久歯が生える邪魔をしていることもあります。乳歯の虫歯治療が、永久歯に悪い影響を与えることもあります。
口唇と歯肉の間にある小帯の位置も時々、歯並びに悪い影響を与えます。以上のような場合には、乳歯の抜歯や簡単な外科処置をすることが、原因療法になります。
親指を深く口の中に入れる指しゃぶりは、悪い歯並びの最もはっきりした原因です。鉛筆や爪を噛む癖も噛み合わせに悪い影響を与えます。
また、舌の運動不足、発達不足、舌の癖(舌を噛む、突き出す)や口唇の癖(巻き込む、歯で噛む、閉じない)、口呼吸なども、悪い歯並びや噛み合わせを悪くする原因になります。
癖を自覚して自己暗示をしたり、口唇や舌のトレーニングをすることが主な原因療法です。口唇を閉じない子どもは、口を開いていることに気づいたら、その都度、口を閉じるようにするだけでも意味があります。
口唇を閉じる筋肉が発達していないため、ボタンを唇でくわえて引っ張る練習も効果的です。
舌低位の子どもには、舌の動きを活発にするために、口蓋(口の中の天井)を舌でコンコたたく練習をしてもらいます。
どの訓練も効果は地味ですが、まず口の機能を改善することが歯列の形の改善につながるのです。
参考文献 「歯科」本音の治療が分かる本 熊谷崇 秋本秀俊著 法研
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