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2006年5月 9日 (火)

歯から始まるQ&A(糖尿病2)

前回の続きです。

Q1

長年、糖尿病を患っています。歯の治療を徹底的にすることになったのですが、歯医者から、かかりつけの内科医の先生にそれを伝えてください、と言われました。なぜですか?

A 歯科治療をする場合、糖尿病の薬を変更する必要が生じることがあるからです。

糖尿病の薬には、大きく分けて3種類ありますが、いずれも血糖値を改善する薬です。他に、インスリンを使っている人もいると思いますが、インスリンは強力に血糖値を下げる薬です。

さて、糖尿病患者Aさんは、30Rというタイプのインスリンを1日2回、食事の30分前に皮下注射しています。その日は、かねてから抜歯が予定されており、歯科医をでたのがちょうど夕方5時頃でした。帰宅して夕食の準備を済ませると、そろそろインシュリンを皮下注射する時間でした。決められた通り、食事をする30分前に注射しました。しかし、30分後、いよいよ食事をする段になってみると、抜歯した傷口が痛くて、とても食べられた状態ではありませんでした。

しかし、インシュリンはすでに、皮下注射しているため、血糖値はどんどん下がっていきます。放っておくと低血糖を起こし、大変危険な状態になります。

歯科医は、もとより歯科口腔外科ですので、歯科医療は、ものを食べる第一段階である口にたいする手術なのです。そのため、処置後の痛みを訴えて、一時的に食事摂取が困難になることがあります。そのような時に、例えば上記の例であれば、インシュリンのタイプを一時的に変更するなどの処置が必要になるわけです。

インシュリンには、速攻型、超速攻型、中間型、混合型などの種類があります。Aさんが使っていたのは、30Rという混合型で、非常にポピュラーなインシュリン製剤です。1日2回の皮下注射ですむのですが、皮下注射してから作用発言まで30分以上かかるため、食事の30分前にあらかじめ皮下注射しておくことが必要になります。

これが早すぎれば食前に低血糖になりましすし、遅すぎれば食後に低血糖になってしまうわけです。

そこで、近年は、超速攻型というタイプのインシュリン製剤が販売されるようになりました。これは、皮下注射したと同時に血統降下作用が発現するタイプのインシュリン製剤なので、食事をすると同時に皮下注射すればよいのです。

このため、上記のように、食事を見越して予め皮下注射する必要はなく、食事をするときに皮下注射すればよいのです。超速効型は、作用発現までの時間が短いだけでなく、作用時間も短いという欠点がありますが、低血糖発作のリスクを避ける意味からは、むしろ好ましい特徴であるといえます。

血糖が慢性的に高い状態が続けば、糖尿病として各種の合併症を引き起こしてきますが、これは年単位で進むものです。これに対して、低血糖は、一瞬で命にかかわることもある緊急事態であるため、一過性に高血糖が続いてしまうことは目をつぶって、低血糖を避けることを第一目標にするべき状況もあるのです。

まさに歯科治療がこれに相当するケースだといえます。現行の治療のままでは低血糖を起こす可能性があるのですから、あなたが現在歯科治療を受けていることは、必ず歯科の担当医に伝えてください。

参考文献 歯から始まるQ&A 内科医が答える「歯と健康」 DOH編者 9ten社

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低血糖はおそろしいんですね。
血糖値も意識します。


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