噛む健康学6
前回の「噛む健康学」にて、良く噛むことにより物理的に十分な力が顎の周辺の細胞に加わると、歯がいっそう強くくっつくようになり、歯が丈夫になります。という概要をお伝えしました。
それに関連した実験を神奈川歯科大学の佐藤貞雄教授が行っています。
まず、ウサギの歯にバネを装着し、歯に常に物理的な力がかかる状態にして実験をしてみたところ、骨芽細胞(骨の表面にあって骨をつくる細胞)への栄養の取り込み量が増加している事が分かりました。
つまり、栄養とまったく関係ないバネの力が、栄養の摂取量を増加させたのです。今度は逆に、歯に加えられる力を減少させて実験を行っみたそうです。
この実験にはラットを使いました。ラットの臼歯の噛み合わさっている部分を削り取り、噛み合わせが出来ないようにしたと言うのです。
すると、歯と骨をつなぎ合わせている歯根膜細胞(歯根膜繊維:歯と骨をつないでいる繊維 歯根膜細胞:歯根膜繊維をつくる細胞)の合成能力は12時間で約3分の1に低下し、3日間で、細胞の合成能力はほとんど消失してしまったのです。これは3週間たっても回復しなかったそうです。
これをまとめると次の様になります。
歯に物理的な力を加えると、顎(あご)の表面で骨を作っている骨芽細胞が栄養を積極的に取り込もうとして、骨をつくる作用が活発になります。反対に、歯に加えられる力が無くなると、顎(あご)の骨と歯をつなぐ役割を果たしている歯根膜細胞の糖合成がされにくくなるのです。
つまり、歯に物理的な力が加えられれば、歯と顎(あご)の骨はより強く結びつき、力が加えられなければ、歯と顎(あご)の骨との結合力が弱くなり、歯がぐらぐらしてくるのです。
つまり、良く噛む(歯に力を良く伝える)人の歯はますます強くなり、噛まない人の歯はどんどん弱い歯になってきてしまうのです。
参考文献 NHK出版 「よく噛んで食べる」 斉藤 滋著
改めて努力します、噛む、噛む。
ティースさま
私も頑張ります。コメントありがとうございました。