忍びの国
有楽町駅前の大型書店にて、『児玉清の本棚』という特設コーナーが設けてあって、その中にあった一冊。
児玉清氏はとにかく無類の本好き。多くの本を読んでいる中で、特に面白いと思った本が集められていた。
で、本書。
この本は、伊賀の国の忍者が織田信長の次男信雄との合戦(天正伊賀の乱)を書いた忍者物。
私は歴史小説も大好きで、真田太平記(13巻もある長い長いもの)の中にも忍びの者を“草の者”と表現していたっけ。でもどの小説の忍者もかっこよく、主に従順な姿が印象的。
しかし、この「忍びの国」の忍者たちはまったく違う。
忍者の仕事を請け負うのは理由は、ずばり「金」。金を払ってくれる人がいれば請け負った仕事が終わるまでの関係。
実に泥臭い。しかし、人間くさい。裏切り、騙しあいなんでもあり。
この小説は、所々に古文書からの記述が織り込んでおり、しっかりとした史実に基づいた話ということがわかる。嘘っぽい忍法ものではないのだ。
著者の和田竜さんの本は、「のぼうの城」についで2冊目だけど、肩肘張らずすらすらと面白く読めてしまう。目の付け所が独自というか、変わった視点。歴史小説にエンターテイメント性を持たせる小説では、現在ピカイチなのではないのだろうか?
小旅行などに持って行きたい上質小説いかがですか?
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