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2011年5月17日 (火)

魔笛

518hfhcd82l__sl500_aa300_ GWの最後の1日から読み始めた野沢尚さんの『魔笛』。

研修帰りの新幹線の中で読了。

質、量、スリル、感動、問題提起、プロット、スピード感。どれをとっても一級品。

すばらしい。

最初の渋谷の場面からぐいぐい物語の中に引き込まれて行く。すごい吸引力。

野沢さんの著書ははじめて読みました。この本は、研修帰りの本屋で衝動買いした本。

『どうせ、テレビの脚本家の小説でしょ』と読む前から品定め。

すいません、私が間違っていました。反省。

しかし、テレビ出身だけあって、小説の中のテンポに動きがあって、本当にテレビを見ているような感覚に陥るはじめての感覚。

新興宗教の無差別テロの犯人と複雑な事情をもつ刑事の話。

後ろの参考文献を読むと、多分にオウム真理教を意識していることがわかる。

しかし、人間を洗脳するって、こんなにも恐ろしく、勢いがあるのだろうか。

頭の良い人間がその才能の矛先をどこに向けるか迷ってしまい、教祖の言葉の中に自分の信じる未来を見つけてしまう。

私みたいな凡人は生きるのに精一杯だから、ある意味人生に迷いは無いのだけれど、いろいろな意味で余裕がありすぎると、有り余るエネルギーを無駄遣いしてしまうのだろうか。

自分の宗教の選択を誤ると、この本の物語のようにかくも恐ろしい凶器になるのだね~。

最後の方で、爆弾のコードを切る場面。赤か黒か・・・・・わずかだがニッパーの先に感じる電流の・・・・もう痺れます。これはテレビでは無理。読者の脳内でのみ展開されるスリル、スピード感。気になる方は本屋へ急げ。

自分で物語(小説)を書いてみたい方、または書いている方は、勉強になるから是非一読を。

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