男性よりも女性の方が長生きする、一番の理由
本日は、精神科医でもあり、国際医療福祉大学の教授でもある和田秀樹先生の著書〔人は「感情」から老化する〕からお届けいたします。
男性よりも、女性が長生きする理由には、いくつかの説が挙げられています。
例えば、女性ホルモンには「悪玉コレステロースを減らして善玉コレステロールを増やす」「ナトリウムの排泄を促し血圧を下げる」などの作用があることから、ホルモンを理由とする説。
あるいは女性の方が基礎代謝が低いので、細胞が長生きするという説。生命を維持するのに必要な基礎代謝が少ないほど、長生き出来る傾向にあります。ネズミよりぞうが長生きなのはこの理由によります。
男性は交感神経が優位でストレスを受けやすいことなどによる、免疫力の強さの違い、というものもあります。
いずれにしろ、生物学的には女性の方が男性よりも強いのは、平均寿命の面からも、各種データの面からも確かであり、これは日本人に限らない世界的な傾向であります。そして、女性の方が人生を楽しむのがうまくて、感情が老化しにくいから、長生きも出来るのです。
男性は筋力があって瞬発力にこそ優れていますが、生物として弱いのに加え、感情が老いやすいのです。定年退職を待っていたように、病気に倒れてしまう人もいます。感情の老化がきっかけとなって、体が一気に老化してしまうプロセスについては、何度も述べてきた通りであります。
その意味で、昔の金持ちは公然とお妾さんを囲っていたりしたが、それも感情老化予防するひとつの方策となっていたととらえることも出来ます。
昔の女性が、喜んで妾を持たせていたわけではないにしても、黙認、公認していたことで、結果として夫を老いさせない事につながったのです。
当時はもちろん、自己愛などという心理学の用語は一般に使われなかったけれども、それを満たすことで、やる気や積極性が出てきて若返ることは、経験的にわかっていたのだと思います。
人生を楽しむということでは、「社交能力の高さ」の違いも大きいです。それも同性との社交能力の高さでは、男性は女性にとてもおよびません。
若いうちから女性は、同性の友人同士で気軽に海外旅行にも出かけていく。子どもの手が離れた中年以降は、夫がいようがいまいが、仲の良い友人と連れだって旅行に行きます。
男性同士の旅行というとゴルフがほとんどで、観光やグルメツアーなどは一般的ではないでしょう。
東南アジアに出かけようものなら、悪名高い買春ツアーだと疑われてしまいます。
平均寿命と夫との年齢差から、女性は、夫の死後も、20年、30年と一人で元気に生きていくケースが多いです。妻に先立たれた夫が意気消沈してしまうことに対し、夫に先立たれた妻は、概して元気がいい。これも社交能力が高くて、セーフティネット的な友達関係を持っているから、配偶者の死というつらい局面にぶつかっても、感情がどーんと落ち込むことなく、素早く元気になれるのです。
女性の場合、男性のような社会的地位や、それに起因する変なプライドが邪魔しにくいから、フラットな人間関係が作りやすいのだと思います。総じて女性は、会社以外の人間関係を作るのがうまいのです。これは男性が見習うべき点なのかもしれません。
ただ、最近増えてきているキャリアウーマンの40代は、男性と同じく感情が老化している可能性に注意を払ったほうがよさそうだし、平均的に女性の方が元気なのは確かですが、「女性の鬱」も男性と同じくらい、増えているのも事実です。
男性だから弱い、女性だから強胃、という二元論ではなく、個人の性格や置かれている状況しだいで人は元気にもなるし、落ち込みもするということを肝に銘じて、夫婦同士や、家族でお互いに気遣い合うことも大事なのは言うまでもありません。
参考文献 人は「感情」から老化する 和田秀樹 祥伝社新書
何処に行っても女性ばかりの集団が多い。
男性も 一人で何でもできるように、仕事の合間に
最小限の家事などを身につけた方が得策と思う。
老後、女性群に負けないように。