ぼくは 虫歯 がありませ~~~ん
先週のある日の午後の事です。
院長室で仕事をしていると、突然、大きな声が聞こえてきました。
「ぼくは 虫歯 が ありませ~~~ん」
そばで、衛生士さんがなだめています。
「うん、一応、口の中を見てみるね」
「見なくてもだいじょ~~ぶで~~す。 な~ぜ~な~ら~、ぼくは、毎日歯をみがいているからで~~~す」
またも大きな声。
私は、院長室でクスクス笑ってしまいました。
この季節は、学校で歯科検診があり、虫歯の検査表をもって歯科医院に来院するお子さんが多いのです。
衛生士さんが調べてみると、いくつかの虫歯が発見された模様。
私がそばに行って、口の中を確認してみました。
非常に小さい虫歯で、削らなくても、少し磨いてやって、軽く埋めれば大丈夫な感じです。所要時間3分って所です。
そのお子さんは、私の一挙手一投足すべてに反応します。
「せんせー、ぼくはー、虫歯がーありまー・・・・・あ~~~~~!!」
少し、器具でつつくと大声を張り上げます。
すぐに虫歯の治療は完了しました。
その後、親御さんから、心配な所を指摘され、もう一度お口の中を覗いた時です。
「せんせー ぼ・ぼ・ぼくの口のなかには、虫歯がありませーん、なぜなら~~、今せんせーがなおしてくれたからでーーーーす」
少し私をにらみつつ、必死の抵抗です。
私はおもしろくなって、少しからかってやろうと思いました。
「あ~~。これはいけないね、一番大きい注射もってきて~~」
彼は飛び起きました。
「ぼ~く~は~、注射がきらいで~~~す。」
「うそ、うそ、ごめんね、大丈夫、何でもないから」
その時、彼は「当然だ」という顔をして、「ぼくは 虫歯 が ありませ~~ん」
と言って帰っていきました。
からかってごめんね。
子供は大人にないものを持っていて、教えられます
子供の純真さにもどりたいものです。