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しろくま先生のブログ
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2007年6月 8日 (金)

歯科領域における痛みについて

本日は、山崎博嗣先生の著書「歯・口腔のことがよくわかる本」からお伝えします。

歯科領域における痛みについて

歯の痛み、歯肉の痛みは程度こそあれ嫌ですよね。

とくに歯痛については、わずかな痛みから激痛まで、あんな一本のものから発生しているのです。

それを皆さんは我慢して、なかなか歯科受診をしません。その我慢に対しては、一人の歯科医としては敬意を表する次第でありますが、歯科治療が怖くて嫌だから我慢をするのだ、ということに対しては反省する次第です。

歯科治療を快適にする方法がないのかという事に関しては、歯科領域でもいろいろと工夫をしています。

まずは、歯科医院あるいは歯科診療室という環境です。

昔の歯科医院では、消毒薬、クレゾールのにおい、これが嫌だということで、現在の消毒薬は無臭に近いものが多くなりました。

待合室には、歯の疾患の病態図がはられ、一般の人に歯科疾患の恐怖についても啓蒙するような図がありましたが、今はほとんど見られません。

アニメを使った、なんとなくという絵はあります(しろくまにはありません・・)。これも嫌な歯科治療状況を癒す一つの工夫なのです。

さらに歯科治療をしている時に、他に意識を集中させることで解消しようと、音楽を聞かせる、雑談の中でさっさと治療を終えるということもあります。

さらに、恐怖に凝り固まってしまった方には、精神鎮静法といって、静脈内鎮静法・低濃度笑気吸入鎮静法という方法があります。

静脈内鎮静法は弱い鎮静剤を静脈内に投与し、うとうとしている間に処置が終わるというもので、加えて健忘効果というものがあり、嫌な歯科治療を忘れさせるという効果がありますが、静脈注射が必要です。

これも嫌だという人には、低濃度笑気鎮静法があり、これは、マスクから低濃度笑気を吸入させる方法です。高濃度になりますと全身麻酔になってしまいますので、そうならない装置がついています。これを使うと全身が飲酒をした時のようになり、痛みの感じ方が半分位になります。

高血圧症の患者さんでは、歯科治療に伴う痛みで血圧が上昇することもありますので、血圧上昇させずに歯科治療を行うためにはこの精神鎮静法も必要になります。いずれにしても、局所麻酔は併用しますので、麻酔注射は必要になります。

現在では、注射をする前に粘膜に表面麻酔を行い、注射針刺入時の痛みも解消しようとしています。注射をしなくても局所麻酔効果が得られる方法があれば最も良いのですが、研究はされているものの、まだ確実なものはありません。

さて、歯科治療時の痛みの感覚は、脳神経12対のうちの三叉神経によって伝えられます。三叉神経は、顔面骨の三つの孔、眼窩上孔、眼窩下孔、オトガイ孔とい穴から出て顔面皮膚に分布しております。

顔面皮膚のそれぞれの孔に相当する部分を押すと、鈍い痛みが走ることがあります。またその孔を出る前に、上の歯、下の歯、歯肉、顎骨に分布している三叉神経第Ⅱ枝、下の歯に分布している三叉神経第Ⅲ枝が問題になります。ですから、顔面部の痛みの神経は三叉神経で、三叉神経痛はありますが、顔面神経痛とはいわないのです。

ちなみに、顔面神経痛は筋肉を運動させる運動神経で、三叉神経のように感覚、運動の混合神経ではないのです。

どうか嫌な歯科治療と思わないで、輝かしい口元をつくるためにすこし我慢してきてください。

参考文献 歯・口腔のことがよくわかる本 山崎博嗣著 本の泉社

いつも先生のブログを楽しく拝読しております。

歯科医院の消毒薬のにおいは嫌いではありません。
ただ…かつては、「あの、センセイ、痛いんですけど」と訴えても「そんなはずはない」と怒鳴る先生が多かったんです。

クリニックの雰囲気のせいで怖いのではありません。
どんなに痛いと叫んでも
「そんなはずはない」と怒られた、その後遺症が多いのではないでしょうか。

ちなみに、その時、私は気絶しました。

by みちうづ | 2007/06/11 5:25:45

みちうずさん

こんにちは。
歯科の痛みは多くの原因が関係しています。
決して、神経を抜いたから痛みがないというのはウソです。
一番大事なのは、患者さんの感覚なのです。痛いときは、歯以外の痛みの原因をしっかりを考えるべきだと思います。
大変気の毒な思いをしましたね。
同情いたします。

by しろくま | 2007/06/11 10:13:23

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