虫歯治療と免疫ネットワーク
本日は、歯周病専門医で日本大学客員教授の宮田隆先生のエッセイからお届けいたします。
虫歯治療が免疫ネットワークを狂わせる?
虫歯になると、歯を削ってその部分に樹脂や金属などを詰めますが、この歯の詰め物にどんな素材を運ぶかで、全身の健康状態が大きく左右されることがあります。
金属は、人間の体にとって異物です。さらに金属は金以外、酸やアルカリによって齲蝕し錆びつく性質もあるので、時間が経つにつれ溶け出すこともあります。
それによって、体の免疫機能が絶えず発動している状態となり、皮膚炎などのアレルギー症状、原因不明の不調として現れることがあるのです。
これは、ピアスやネックレスにかぶれる人と同じで、まったく症状が現れない人もいれば、すぐさま症状する人もいます。
虫歯の治療は大きく分けて、保険適用と保険適用外の治療があります。
保険適用の治療は、保険内で費用が負担されているため比較的安く済み、詰め物には複合レジンと呼ばれる合成樹脂、銀合金、金銀パラジウム合金など金属を組み合わされたものが使われます。
かつてもっとも使われていたのが、アマルガムという合金で、半分以上を水銀が占めています。これは腐蝕によって10年ほどでかなり減少してしまい、それによって虫歯の再発や重金属の体内蓄積をおこします。
近年、日本ではほとんど使われていませんが、かなり前に詰めた奥歯の詰め物で真っ黒に黒ずんでいるものはアマルガムを使用している可能性があります。
現在、保険適用される金属の詰め物は、金銀パラジウム合金が主流です。いわゆる銀歯といわれるもので、銀50%に加え、金、パラジウム、銅、スズ、亜鉛から作られています。
比較的丈夫でありますが、銀のアクセサリーや銀食器が傷ついたり、変色しやすいのと同じように、この金属も長く使ううちに磨り減ったり、変色してしまいます。
保険適用外では、大きく分けて金合金と白金加金、セラミックがあります。
金を多く使った詰め物は歯になじみやすく、腐蝕しないので比較的長持ちし、ほかの金属に比べてアレルギーの出にくい性質があります。
金は適合性や精度では虫歯の詰め物に適した素材です。
セラミックは陶材を使ったもので、見た目が自然で、金属アレルギーの心配がありません。生体への適応を考慮にいれると、セラミックが優れていますが、硬く破損しやすいという欠点があります。
参考文献 歯周病で体がサビつく!老けない人は歯がちがう 宮田隆著 草思社
自分の周りでもゴールドが一番良いという意見を多く聞きますが、最近のジルコニアに期待しております。