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2007年4月17日 (火)

日常に潜む顎関節症の原因

私の歯科医院には、毎日多くの顎関節症の患者さんが訪れます。

顎の異常を訴えるきっかけとなる事は、患者さんによって違いがあるのですが、日常生活が非常に似通っている方が多いのです。

本日は、そのあたりを考えながら、原因を考えてみましょう。

以前は、顎関節症は、噛み合わせ(口を閉じたときの上下の歯の当たり具合)の異常が大きな原因だと考えられていました。

これは、顎関節症の患者さんに噛み合わせの異常が数多く見られ、噛み合わせを治療すると、顎関節症の症状も改善されたケースが少なくなかったからです。

しかし、最近では、噛み合わせの異常は主原因とは言えない、というのが大方の専門医の考えです。

顎関節症の研究が進んだ結果、今では一つの因子(原因)によって顎関節症がおこるのではなく、いろいろな因子が積み木のように重なって、耐久限界を超えたときに発症すると考えられています。

つまり、因子を持っていても、耐久限界に達しなければ顎関節症は起こらず、いくつかの因子が重なって耐久限界を超えたときに初めて、顎関節症が起こると言うわけです。また、耐久限界にも個人差があり、なりやすい人となりにくい人がいます。

顎関節症を引き起こすさまざまな因子

どんな因子が顎関節症の原因になるのか具体的にあげてみましょう。

最も大きな因子と考えられている「ブラキシズム」

「ブラキシズム」とは、上下の歯をぐっと噛みしめる「くいしばり(クレンチング)」や歯をぎりぎりときしませる「歯ぎしり(グラインディング)」、歯をかちかち鳴らす「タッピング」などをいいます。

中でも、食いしばりや歯ぎしりは、顎関節症の患者さんの多くに共通して見られるため、顎関節症を引き起こす中でも、最も注目されているものです。

これらは、いずれも、本人が自覚しないまましていることが多いものです。くいしばりは、力を入れて行う肉体労働をしているときでなく、仕事に集中している時などに、無意識のうちに行っています。

また、日中だけでなく、就寝時にも起こります。

一方、歯ぎしりは、隣で寝ている人に指摘されて初めて気が付くことが多いようですが、実は、音のする歯ぎしりは20%に過ぎず、残りの80%は音のしない歯ぎしりです。「歯ぎしりはしません」という患者さんの歯の状態を診察してみると、歯ぎしりによるひどい歯の磨り減りが見られるケースがよくあります。

こうした食いしばりや歯ぎしりは、咀嚼筋の緊張を引き起こし、関節に過度の負担をかけるため顎関節症の大きな原因となります。

ストレスもブラキシズムを引き起こす

次に、ストレスがあげられます。仕事がうまくいかない、家族に不満がある、経済的な悩みがある、人間関係に問題があるなどの困難な状況だけでなく、結婚式などのうれしいこともストレスになります。

こうしたさまざまなストレスを抱え、精神的な緊張を強いられると、無意識のうちに食いしばりをしたり、肩や首、顔の筋肉を過度に緊張させることにより、筋肉痛が起こります。また、ストレスが睡眠障害を引き起こしたり、夜間のブラキシズムを悪化させることも、研究からわかってきました。

偏咀嚼(へんそしゃく)などの癖が顎関節や筋肉に負担をかける

日常の習慣、いわゆる「癖」もあげられます。例えば、いつも片側の歯だけで物を噛む「偏咀嚼」があります。

片側に顎関節症の症状を持っている人の多くは、症状のある側で噛んでいます。

“物を噛む”という、顎の正常な働きであっても、長い時間片側だけに負担をかけていると、歯ぎしり、食いしばりなどの負担とあわさって顎関節症を引き起こすことになります。

この他、うつぶせに寝る習慣、頬杖をつく癖、顎の下に電話を挟むなど、ふだん何気なく行っている行為も、習慣になれば、筋肉や関節に負担を蓄積させることになります。

また、背中を丸め、頭を前に出す猫背の姿勢も顎間節症の原因になります。この姿勢で長時間デスクに向かっていたり、運転をしたりすると、咀嚼筋や頸部の筋肉を過度に緊張させるからです。

その他に、あまり多くはありませんが、顎や頸部、頭などを強く打って、関節包(顎関節を包んでいる筋肉の袋)や靱帯を損傷した場合も、顎関節症を引き起こすことがあります。

先にあげた噛み合わせの異常と顎関節症との関連については、現在のところはっきりしていません。

参考文献 あごが痛い、口が開かない 顎関節症  和嶋浩一 監修 NHK出版編

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