水戸にて4
水戸にての勉強会の出来事を長々と4回に渡って書いてきましたが、今回が最後です。
さて、ようやくたどり着いた勉強会会場。
周りを見渡すと、ほとんどが水戸の先生ばかり。しかも、皆遠慮して後ろの方の席から埋まっていました。
私は、ここぞとばかりに前の真ん中の良い席を抑える事ができました。
今回の講義の内容は、「総義歯」です。
私の専攻も、入れ歯なのですが、入れ歯はとても奥が深くて難しいのです。
入れ歯に関しても、実は自分が信じているシステムがあるのですが、最近は違うシステムの良いところを盗むことが出来ればといつも思っています。
今回の入れ歯の講義は、前々から受講してみたいと思っていました。しかし、人気の講義であることと、年間に行われる回数が少ないことから、なかなか私にまで順番が回ってこなかったのです。
水戸まで頑張って行ってみようと思ったのは、そういった理由からです。
さて、私が母校で最初に教えてもらった入れ歯の考え方。
局部義歯(歯が残っている入れ歯)と総入れ歯(歯が1本もない)では、全く考え方が違うということ。
私は、局部義歯が専門なのですが、考え方としては港に船が碇で止まっているイメージ。
総義歯は海の真ん中で、ぷかぷかと浮いているイメージ。
局部義歯は、まだ固定する(歯に)事が出来ますが、総義歯は、どこにも固定する事が出来ないのです。
そのため、維持(口の中に留まっている力)が大変難しいのです。
しゃべったり、笑ったり、食べたり、唄ったりすれば、入れ歯がはずれる事が多いのです。
そういった、負のイメージがあります。
しかし、そこを何とか乗り越えて、はずれない入れ歯を作れないかと試行錯誤しているのです。
口の中には多くの筋肉があります。口を開ける筋肉、閉じる筋肉、顎を支える筋肉、唇をすぼめる筋肉。
それらの筋肉が自分の働きをすることで、複雑な口の動き(笑い、食事、しゃべり等)が出来るのです。
それは、歯が無くなってしまっても同じ事です。
入れ歯は、その複雑な口という海に不安定な船(総義歯)を上手く安定させる事が出来るかが勝負になります。
今回の講義の中心になったのは、まず口の中の解剖をしっかりとおさらいする事でした。学生の頃は、いかに効率よく暗記するかといったことしか考えなかったのですが、臨床では、その筋肉をしっかり知識として蓄え、使っていかなければいけなせん。
今回の講義のテーマは、筋肉の性質(どの様に動くか、働き)をしっかりと頭にいれ、その筋肉の動きを邪魔しない入れ歯(筋肉と喧嘩しない入れ歯)、落ち着く入れ歯を作るということでした。
私がいま行っているシステムも、この点を協調しています。
入れ歯はいってみれば、人工臓器です。元々の歯にかなうわけないのです。歯を越える入れ歯を作るのは不可能なのです。
そのため、体の仕組みに逆らわない入れ歯を作ることが大事なのですね。
例えば、歯がある人が、自分の前歯に青のりがくっついてしまったとします。その時、どの様にして青のりを取り除くかといえば、舌で前歯をなめるはずです。
しかし、総入れ歯の人が青のりをどの様に外すかといえば、舌では絶対なめて外しません。人に隠れて入れ歯を外して水道でじゃぶじゃぶ洗うはずです。
この様に、筋肉の使い方は、私(歯がある人)とは全く違うものになります。
そのため、良い入れ歯を作りたければ、総入れ歯の患者さんのお口の癖をよく見極め、そのお口にあった入れ歯を考えていくことと、基礎の勉強(解剖)をしっかり、常に勉強することが大事なことかもしれません。
今まで多くの勉強会に参加してきましたが、どの勉強会でも基礎の重要性を強調しています。
今、大学や関連施設に籍をおく、若い先生は、基礎を学ぶ環境にあるので、その利点を活かして、しっかり勉強してきて欲しいと思います。
後で勉強すると、私の様にお金掛かりますから(笑)。
うわぁ、入れ歯って想像以上に
難しいんですねえ!
そうですよねえ…口腔って
消化器の一部ですから
入れ歯=人工臓器になりますよねえ…。
歯は大切に…うぅぅ。
さらこさま
そうなんですよ。入れ歯は、インプラントには出来ないワザがあります。それは、筋肉を誘導出来るので、顔の表情が豊かになるのです。粘膜、筋肉は予想以上に入れ歯に影響するのです。