シューメーカーの足音~本城雅人著~
学生時代には、飲み代をケチってこつこつとお金を貯め、きちんとした靴を購入していました。これは、今考えてもとても良い投資だったと思います。すでに15年以上履いていますが、まったくへこたれることなく、今も輝きを失っていないすばらしい靴たちです。
自分で開業してからは、あまり革靴は買わなくなりましたが、先日どうしても革靴を購入しなくてはいけない事情が出来てしまい、久々に靴の事を勉強しなおし、久々に良い靴を購入しました。
私の足は、良い靴を履いてきただけあって、良い靴を見抜けます。しかし、良い靴はどのような行程を経て、出来上がって来るのかということには、興味がありませんでした。
この『シューメーカーの足音』は、靴を購入したその足で、近くの本屋で見つけたものです。靴を購入して、入った本屋ですぐに目に付いた靴の小説だったので、運命的なものを感じ、そのまま購入。
帰りの新幹線の中で読み始めたのですが、これがとてもおもしろかった。靴好きにはにやっとしてしまう話が盛りだくさん。
プロットもしっかりしていて、後味もとてもすがすがしい。
しかし、どんな仕事でも同じなのですが、職人と言われる達人の域に達した人たちは、それぞれ、血のにじむような努力と、多くのものを失わないと得ることが出来ないものなのだろう。
ただ、そこに『野心』と『礼節』がどう混じり合うか?が問題なのだけど・・・・・とこの小説は私に語りかけてきます。
集中したいときは、靴を磨きなさい。
磨き方と理由は本書で。
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