顔の表情・しわについて5
昨日からの続きです。
正しく噛むことの重要性
年を取るにしたがって、口の周りの筋力は低下していきます。それを防ぐには普段から意識的によく噛むこと、そして適切なトレーニングがどうしても必要です。
ただし、これには「正しく噛む」という条件がつきます。間違った噛み方をしているとかえって筋力低下を助長することがあるからです。
噛む事に関係した顔の変化について見てみましょう。
①歯のある人と歯のない人とでは顔貌が変わる
歯のない人の顔は、歯のある人に比べて顔の下1/3が短くなっています。そのため、目が細くなる、頬にへこみが出来る、顔のしわが増える、鼻の下が内側にへこむ、口角の部分が垂れ下がる、下唇が前の方へ突き出る、顔の締まりがなくなるといったことが認められます。
②歯ぎしり
本人が意識せず行っている歯ぎしりの習慣で、歯がすり減ったり、あごの関節や顔面、頸部にその影響は大きく表れます。咀嚼、嚥下(えんか 飲み込むこと)、発音などに不具合が生じ、また無駄な筋肉の活動により咀嚼筋の肥厚など顔貌の変化がみられます。
③食習慣や咬合習慣や癖などによる顔貌の変化
食習慣や咬合習慣や癖などで、左右偏った筋肉を使っていると、使っている側の筋肉は緊張し、使わない側の筋肉がゆるんできます。咀嚼筋などのゆがみは、表情筋のバランスを悪くするので、頬のたるみ、鼻の横の深いしわなどが出来たりします。さらに、あごを引きあげる力も弱くなるので、口角が下がりお年寄りによく見られる表情になります。食事のとき意識しえみてください。左右どちらかに偏って食べ物を噛んでいることに気づく方も少なくないでしょう。
これから紹介する「フェイシャルトレーニング」を行う際にも、バランスよくトレーニングすることが大切です。そして、顔のどのような筋肉がどこと関係してどのように動くかを理解しながら進めていくと、さらなる効果が期待できます。
顔の筋肉を意識しましょう
具体的なトレーニング方法に踏み込んで行きましょう。顔の若さを保つトレーニング、「フェイシャルトレーニング」です。
先ほど、簡単に顔の各筋肉について紹介しましたが、今度はもう少し詳しく見ていきましょう。まずは口の周りの筋肉です。
・「口輪筋(こおりんきん)」・・・・口をぐるりと取り囲んでいる筋肉。口笛を吹いたりするときに 使われる。
・「頬筋」・・・・両頬の下にある大きくて薄い筋肉。吸い込む動きをするのに使われる。
・「オトガイ筋」・・・・あごの先にある大きくて薄い筋肉。あごの先のしわの原因に、この筋肉の衰えが関係
・「オトガイ三角筋」・・・・オトガイ筋に隣にある。この三角筋の筋肉が下あごを口まで引っ張っている。口角を下に引っ張る動きもする。【口角を上げる運動の時に使う筋肉】
・「笑筋」・・・・笑ったり口を横に広げたりするときに動く。【口角を上げる運動のときに使う筋肉】
・「大胸骨筋」「小胸骨筋」・・・・笑うときに動く筋肉。【口角を上げるときに使う筋肉】
・「上唇挙筋」・・・・上唇をあげる(前歯をむき出す)ときに機能する。上唇の周りから頬へつながっている。【唇の形を整える運動の時に使う筋肉】
・「下唇下制筋」・・・・下唇を下に引っ張る。【唇の形を整える運動の時に使う筋肉】
・「口角挙筋」・・・・ひきつった笑いの時に上唇を引っ張り上げる際に動く筋肉。【唇の形を整える運度の時に使う筋肉】
次はあごの筋肉です。
・「咬筋」「側頭筋」・・・・互いに連携。食べ物を咀嚼したりするときなど、力を入れて歯を閉じる時に一緒に動く。歯ぎしりをするときにも動く。
・「外側翼突筋」・・・口を開けたり、あごを左右に動かしたりという動きを支える。
・「内側翼突筋」・・・かみ砕いたり、歯をすりあわせたりという動きに使われる筋肉。
最後は首の筋肉です。
・「広頸筋」・・・・首に斜めのしわを作り、下あごを引き上げている。この筋肉を鍛えると、引き締めの効果があり、首のしわやたるみが解消する
・「胸鎖乳突筋」・・・・首を回転させたり、左右に動かしたりといった動きに使う筋肉
・「僧帽筋」・・・・首の後ろから肩にかけての筋肉。頭を動かす時に、胸鎖乳突筋と連携して動く筋肉
これ以外にも頭であるとか、目の回りであるとか、まだまだたくさんの筋肉が連動しあって動いています。これらの筋肉を意識して行くことにより、少しでも若々しい容貌を保つことが可能なのです。
5日間続いたシリーズも本日が最後です。
参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫出版
最近 加齢とともに筋肉のありがたみを感じます
若いときは意識しませんでした。
先日久しぶりに会った方が歯がなくなり顏の半分が眼鏡になり別人かと驚きました。気をつけなくては。