ホームレスの歯科治療に関する意識調査
今回は、デンタルトリビューン紙からのトピックです。
ホームレスの歯科医療に関する意識調査(スウェーデン)
不健康な歯は、ホームレスの人々にとって共通の健康問題であり、貧困と疎外を象徴する社会的な課題でもあります。
ホームレスと歯の健康に関する論文をカロリンスカ研究所(スウェーデン)発行の書籍に執筆したPatricia De Palma氏は「ホームレスの人々は、歯の健康と人間の尊厳意識を結びつけて考えます。歯科医療がもっと受けやすくなれば、住む場所が無いような境遇にも、生きる価値を見いだす事が出来るかもしれない」と述べています。
このホームレスの歯の健康に関する初めての公式記録は、気の滅入るような現状を報告しています。
調査対象となった147人のホームレスの人々の残存歯数は平均18本で、スウェーデン国民の平均より8本も少ない結果でした。
ホームレスの70%は歯ブラシを所有しておらず、残存歯の状態がかなり悪いため、抜歯しなければならない場合も多かったのです。また、多くのホームレスの人々が、食べ物を噛んで摂取するのに困難を感じていました。
さらに、同氏は詳細な聞き取りを行い、歯科医療と歯の健康に関するホームレスの人々の意識について調査を行いました。
聞き取りは、歯の治療の前後に行われ、その結果、歯科医療が歯の健康を保つ以上の役割を果たしうることが明らかになりました。
「歯を失っている人の多くが、治療により自意識の有りようが変わったと語っています。治療前は、人からじろじろ見られているようで、まるでみを着られるように感じていたのが、治療後には、人間として成長し、ほんの少し普通の人間になったように感じていた」と同氏は述べています。
そのうえで、同氏は、国民には国の助成による歯科治療を受ける普遍的権利が認められているにもかかわらず、ホームレスの人々は事実上、治療を拒否されていると指摘し、「スウェーデンの歯科治療は世界でも最高の水準にあるが、それを受けられるのは治療費を支払える人たちだけとなっています。こうした状況は容認されるべきものではなく、国民健康保険と国民歯科保険が協調して、すべてのひとがその恩恵にあずかれるようにしなければなりません」と話しています。
つらくなるお話です。
都市に多いホームレス、旅行などで彼等の暮らし
に出会うとき、心が沈んでしまいます。
ホームレスだろうと誰だろうと歯科治療を受ける権利はあります。
誰だから受ける権利は.ないということはないです。
窓口負担の高さは.病院から遠ざける結果となってます。