歯並びが気になりだしたら1
本日は、熊谷先生の著書(「歯科」本音の治療がわかる本)からお届けいたします。
歯は顎の成長を左右する
子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)に生え替わる小学生の間、顎はぐんぐん成長します。頭が大きくなるよりも、顎はずっと大きくなるのです。赤ちゃんの目は顔の上下二分の一のところにありますが、小学生の間を通じて目から下がぐんぐん大きくなって大人の顔に変わるのです。
この時期に、上の歯と下の歯の噛み合わせが逆になっていると、そのために、上顎の成長が邪魔されたり、噛みあわせがどんどんわるくなったりします。永久歯では通常、上顎の排列が大きく、上から蓋(ふた)を被せた様になっています。これが逆になっているのを反対咬合といいます。
下顎が前に出ている反対咬合が目立ちますが、下の奥歯が外側に出ていたり、下の歯の一部だけが、外側に出ていたり、下の歯の一部だけが外側に出ているケースもあります。
骨の大きさが原因で逆になっている場合には、外科的な矯正をしないと治りませんが、歯の位置だけの問題であれば、早いうちに治して、骨が成長出来る状態にした方がいいでしょう。
「不正咬合」の検査
歯並びや歯の噛み合わせの異常を、不正咬合と呼んでいますが、不成功号にはここに説明した反対咬合の他にいろいろなものがあります。
ただし、歯並びや歯の噛み合わせには、「これは病気、これは病気じゃない」という診断の基準がありません。
ですから、小学校の歯科健診で「不正咬合」をスクリーニングしていますが、判定基準は今なお曖昧なのです。統一された判定基準は無いのです。診査する歯科医によって違っていても何の不思議もありません。
これは、専門家の怠慢もあるのですが、歯並びや歯の噛み合わせの障害が、命の保証ではなく、もっぱら社会的な不都合であるためです。
このため、異常と正常の判定がとても難しく、小学校の健康診断に取り入れていることには、かなり無理があります。
困った事ですが、学校歯科健診で、不正咬合と言われても、歯医者さんで「問題なし」と言われる事があります。
どちらかが間違っているように思われますが、そうとは限りません。現時あの所不成咬合の判断の基準がないことが、この混乱の理由です。
正しい治療のしかた
判断基準がないのと同様、どのよになおすのが適切かという専門家の九通の意見もありません。
もちろん、保険で治療することもできません。医療保険では不正咬合を障害とも病気とも認定していないのです。当然、疾病分類の中にも含まれていません。
一般読者のための矯正治療の本には、なにか、はっきりした診断基準があって、それにもとずいて治療の必要を判断しているように書かれていますが、それはその著者の一つの考え方にすぎません。
どんな治療をするとどのようになるか、いくつかの例が示されてますが、それは、「そのような治療をすべきだ」という意味に読んではいけません。ただ、そのような結果が得られることを示しているに過ぎないのです。
明日へ続きます。
参考文献 「歯科」本音の治療が分かる本 熊谷崇 秋本秀俊著 法研
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