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2007年3月24日 (土)

歯がしみる!!

最初に言わなければいけないのは、私も歯がしみるのです。

でも、原因が分かっているので、我慢できます。しみる仕組みがわかってからは、半分諦めもあるのかもしれません。

今日はそんなしみる歯について、歯学博士山崎博嗣先生の「歯・口腔のことがよくわかる本」からお伝えします。

歯科の2大疾患は、齲蝕と歯周炎(歯槽膿漏)ですが、歯に穴が開いているわけでもなく歯が黒くなっているわけでもないのに、歯がしみるという症状を経験したことがありませんか?

場合によっては歯科受診して異常なしといわれてしまうこともあります。正常でもビール、冷水、あんこなどでしみる事もあります。またその人の感じ方にもよるようです。

この場合には知覚過敏症が疑われることが多いのです。

知覚過敏症(象牙質知覚過敏症)について考えてみます。この状態は歯周炎と関連して起こることが多いのです。

しみるのを感じる過程を考えますと、これはとりもなおさず歯の中心部にある歯髄という部分から三叉神経を通じ、脳に神経刺激が到達し、歯の部分で感じている事になりますが、歯髄の中で軽度の炎症を起こしているということになります。

齲蝕で歯の外側、最表層のエナメル質から、次の象牙質がおかされ、菌が歯髄に達し、そこで炎症を起こす場合とは異なり、歯の硬組織が破壊されずに炎症を起こしていることになります。

そこで、なぜ歯髄が外界に露出していないのに炎症を起こすのかということになりますが、これは歯の微細構造にあります。

歯の中心部の歯髄から象牙質に向かって微細な管、象牙細管というものがあり、外からの刺激がこの細管を通じて歯髄に到達し、軽度に炎症を起こし、歯がしみるという症状がでます。

さらに歯冠(歯の頭の部分)と歯根に分けて考えますと、歯の最表層のエナメル質があるのは歯冠部分だけで歯根にはセメント質といわれる薄い層しかありません。それで歯周炎で歯根を支えている歯槽骨が細菌の塊(プラーク)あるいは過度の刺激で吸収・消失しますと(骨の吸収と表現されます)、歯の根の部分が歯肉より露出した状態になります。

外観的には、中年以降で、何となく歯が長くなったと感じる、あの状態です。

歯の根が歯肉より露出した状態になりますと、外界からの刺激、物理的刺激(歯ブラシ・温度差)、科学的刺激(酸味など)がここに到達しやすくなり、またこの状態はセメント質が破壊されている場合が多く、象牙細管が外に開いている状態になりますので、刺激が即、歯髄まで到達し、しみることになります。

この状態は歯冠のエナメル質が破壊された部分(齲蝕により、あるいは歯ブラシによる摩耗などが原因です)にも同様に起こります。

さて、この知覚過敏症の予後はどうなのかといいますと、自然治癒があり得るのです。

齲蝕を始め、歯や骨など硬組織疾患に自然治癒はないと一般的にはいわれていますが、ここだけは自然治癒があり得るのです。

どのようになっていくかと申しますと、歯髄の入っている空間がありますが、その部屋の内側から壁塗りすると考えてください。時間はかかりますが、その機転が起こるまで外部からの刺激を遮断する薬剤を塗布するということが治療になります。

しかし、その間はしみるので、その部分に歯磨きがおろそかになるために汚れがたまり、その結果、歯槽骨の吸収が促進されるという悪循環が形成されてしまいます。

そこで症状の程度によっては、歯髄を除去する処置(抜髄)が必要になることもあります。

気温が低下してくると冷気でもこのような症状を呈する患者さんが多くなってきます。ぬるま湯で歯ブラシするのも一考です。

また外気が冷たい時には、余計に強く感じることになります。その場合には、鼻呼吸をして、口呼吸をしないようにすることも必要でしょう。

参考文献 歯・口腔のことがよくわかる本 山崎博嗣 本の泉社

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