ネグレクト蔓延か
AERA6月12号で、「キャリア家庭にもネグレクト蔓延」という記事が掲載されました。
「ネグレクト」って一体なに?ということですが、この言葉はどういう事なのだろう。AERAから抜粋してみます。
もともとは、「無視」を意味する英語だが、児童虐待のなかでも衣食住、教育、医療など、子供が健康に成長していくために欠かせない基本的なニーズが満たされていない状態をさすそうです。
厚生労働省は、97年にまとめた「子ども虐待対応の手引き」でネグレクトに例として以下のものを挙げています。
「食べさせない」
「下着を取り替えさせない」
「就学年齢になっても学校に行かせない」
「病気になっても治療を受けさせない」等があり、こんな一文を加えているそうです。
「親がパチンコに熱中している間、乳幼児を自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳幼児だけを家に残して、火災で子どもが焼死したりする事件もネグレクトという虐待の結果であることに留意すべき」
さらにAERAの文章を抜粋してみます。
日本で最も多い児童虐待は、暴力による「身体的虐待」です。全国に約190箇所ある児童相談所が平成4年に処理した虐待相談3万34881件を「身体的虐待」が占めています。「ネグレクト」は1万2263件でこれに続き、言葉でののしったり兄弟と差別したりする「心理的虐待」が5216件、「性的虐待」が1048件となっているそうです。
しかし、ネグレクトの現実は、こうしたデータよりずっと多いはずだといいます。
社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」の坂井さんは言います。
「身体的虐待だけを受けて、あとはきちんと教育されているなんてこと、あると思いますか?アメリカでは身体的虐待よりもネグレクトのほうが圧倒的に多い。それが実態なんですよ」
坂井さんは、この「ネグレクト」の状態の場合、必ずサインが出ていると言うのです。それを学校側(幼稚園・保育園含む)には見逃して欲しくないと言います。(詳しくはAERAを参照してください)
このサインの中には「歯の状態」と言うのも含まれているというのです。
教育機関で定期的に行われる歯科検診も、ネグレクトを早く見つける機会の一つだといいます。
理由は、目に見えない口の中は食事や衣服代以上に後回しにされがちなため、虫歯が多く、治療されないまま悪化している場合が多いというのです。
このことから、「歯磨きの習慣が身に付いていない」「保護者が仕上げ磨きをしていない」といった放置の実態を推測しやすいとしています。
東京都と東京都歯科医師会が平成2~3年に掛けて行った調査でも、虐待されている6歳未満の子どもの虫歯所有率は47,62%と虐待されていない子ども(20,93%)の2倍以上。12歳になると、虐待されている子どもの永久歯には100%虫歯があったが、虐待されていない子どもは63,3%だったとの報告もあります。
実は、私の患者さんのなかにもこの「ネグレクト」が疑われるお子さんがいました。
どうしても歯が痛いということで、来院したお子さんでしたが、口の中はとてもひどい状態でした。小学生の高学年でしたが、永久歯がすでに抜歯寸前の状態でした。親も一緒に診療したのですが、親は自分の歯の事がとても大事らしく、自分の歯の治療が済んだら、子どもの治療が済んでいないのに、すっかり来院しなくなってしまいました。今での時々そのお子さんの事を思いだします。まだ若いのに入れ歯になってしまいそうなのです。
しかも「とても痛いのだろうな」と、考えると心が痛みます。私が感じた事は、子どもが親と上手く会話が出来ていないのだろうなという感じでした。
何とかならないものでしょうか。
全くつらい話
現実にあるんですね
毎日嫌なニュースばかりで暗くなります
医科あたりだと虐待が疑われる場合、児童相談所に通知するはずですが、歯科もあって良いのかもしれないですね…。
しろくま先生が診られた子供の患者さんはそこまで口腔内がひどいことを考えると、歯磨きの環境だけでなく、歯に粘着性の高いスナック菓子や簡易的な食べ物を長年食べていた環境の可能性もあるのでしょう。子供は親を選べませんから、周囲でフォローしてあげたいものですねえ。
こんにちは、しろくま(整)です。
このたびお店のHPが出来ました、まだ出来たてですがよろしかったら覗きにきてください。