噛む健康学1
私たちが毎日生活していくには、しっかりと食事をしなければならないのは、言うまでも無いのですが、その食べ方ひとつで、生活がだいぶ変わるというのです。
前咀嚼(そしゃく)学会理事長の斉藤 滋先生は言います。
私たち人間が、物を噛む時は、最大で体重の2~3倍の強い力でかみ砕きます。ところが、現代の食べ物は軟らかい物が多く、口の中に入れるとお粥状態になって、すぐ飲み込めてしまい、噛むという行為自体が無くなってしまうと言います。
噛むという事には、食べ物を小さくして、胃の消化を助けるという効果もありますが、その前に噛んだという物理的な刺激が歯全体にも加えられ、歯を支えている歯根膜繊維(コラーゲン繊維)から「顎(あご)」の骨に伝達されます。
さらに、顔の筋肉を介して頭全体の骨に伝達され、骨の中にある細胞を圧迫したり、けん引します。
こういう状態になると、細胞が非常に元気になり、栄養やカルシウムを摂取して、丈夫な密度の高い骨を作り始めます。つまり、噛むことは顔全体の骨や筋肉を丈夫に育てているのです。
また、「噛む」という情報は、脳にも入力され、「これは一体なんだろうか」、「どれくらい噛んだら良いか」を歯触りや硬さなどからすぐに判断します。
そして、「これは間違いなく新鮮なお刺身だ」、「食べても良い」、「こりこりして美味しい」というように脳全体が活力をもって動き出すのです。
さらに、「この食べ物はお袋が作ってくれたもの」とか、あるいは「友達と楽しく食べた」とか、喜怒哀楽などの情報も「噛む」という行為の中にはいっているのだそうです。
決して、食べ物を胃に入れるための準備過程では無く、脳の中枢を介した全身の変化や活力を引き出すための重要な行為であると考えてもいいのです。
ですから、2~3回、ご飯粒に歯形を付けて飲み込むいうな食べ方ではなく、口の中に入れたら1口30回、しっかり噛む事を目標にしてみてください。
斉藤先生の噛む話は何回かに分けてご紹介したいとおもいます。
参考文献 しっかり噛んで健康家族事務局「噛む健康学」 斉藤滋著
今日から30回噛みます・・・誓います!食べながら、噛みながら、昔を思いだし、会話もはずんで,好い事ずくめです