まずは目標を立てよう!なんて偉そうな事を言ってみる。
歯科大学の卒業間際に、『遠い落日』という映画が三上博史主演で上映されました。
どうしてこの映画を見たかは全く覚えていないのですが、私の記憶の深いところに刻まれた映画でした。
その当時、私は毎日、勉強に追われていました(苦笑)。
私の周りの友人は比較的優秀な方が多かったので、私は彼らについて行くのがやっとでした。
私の友人達はとにかく忍耐強い人が多かったです。授業が終わるとそのまま図書館へ移動して閉館する夜までトイレ休憩以外はずっと勉強している。
自宅に戻ったら、戻ったで問題集を繰り返し、繰り返し何度も(それこそ暗記するまで)勉強し直している。
そんな生活の中で私は本当に息苦しかったです。何にもしなくても楽々国家試験に合格しそうな友人達がものすごい集中力で勉強して行くのです。なぜ彼らはそんなに頑張れるのか理解出来なかったので、相談しやすい優秀な友人に相談しました。
その友人曰く、「国家試験を目標に勉強しているのは確かなんだけど、出来るだけ良い点数で卒業試験を突破し、満足のいく出来で国家試験を合格したいんだよ。なぜなら卒後の研修条件や進みたいインターン先に条件良く就職したい、また進みたい大学院進学に有利になるように頑張っているんだよ」との事でした。
私とは目標の設定が全く違う。私は卒業試験を突破したい、国家試験に合格したいという目先の目標しかなかったから。
そんな時期に『遠い落日』という映画を見たんです。
この映画は野口英世の半生を描いた映画だったのですが、感銘を受けたのは彼がアメリカの研究室で真夜中に脳内スピロヘータを発見したシーンでした。
当時、梅毒が猛威を振るって、人々を恐怖に陥れていました。当時の医学界では梅毒の解決は急務だったのです。梅毒の原因は予測の範囲でスピロヘータが脳内で繁殖してしまっているのではないかと予想が立てられていたのですが、誰も証明出来なかったのです。
当時、英世は「人間ダイナモ」って呼ばれていたのです。ダイナモって言うのは発電機の事です。それだけ生活がパワフルだったって事です。
皆が研究室から帰宅しても、彼一人残って夜中まで研究を続けている。そんな人だったみたいです。
彼は、梅毒で亡くなった患者さんの脳を何千枚の切片標本にし、一つ一つ丁寧に確認して行ったのです。
そこで夜中に一人で脳内のスピロヘータの存在を発見し、梅毒の原因は脳内のスピロヘータだったのだということを証明したのです。
証明さえ出来れば、後の治療はかなり早く進みます。原因が分かっているのだから、その原因を叩く治療法、薬等を考えれば良いのですから(笑)。
この映画を見て、私も早くあっち側へ行きたいと強く思いました(学生側ではなく、医者側のほう)。私も、大学院へ行って細菌の研究をして見たいと強い思ったのです。
私もこの映画を見て、目標を持てたことで、我慢強く、粘りよく勉強することが苦では無くなりました。
今でもそうなのですが、目標が無いときの行動はかなり遅く辛く、目標が見つかったときの行動はかなりスピーディで楽しい様な気がします。
うちの祖父、父ともに私と同じ大学出身で、しかも入れ歯の講座に籍を置いていました。
私も同じ講座に行きたく、かつ英世みたいに研究してみたかったので卒後はその講座の大学院へ行くと決めました。自分で人生のレールを作り、進んでいくのは楽しい作業でした。
間は割愛しますが、見事歯科医師国家試験に合格し、目標の大学院にも合格出来ました。
これで、入れ歯と細菌の研究が出来ると心躍りました。しかし、教授に与えられたテーマは「入れ歯の変形の計測」でした。
人生そうそう思い通りには、上手くいきません(苦笑)。
しかし、今この研究で知ったデータを使って作った入れ歯が私の生活を支えているだから、世の中、何が正解か分からないんですしょね。
とにかく早めに目標を設定し、腐らずまっすぐに頑張る事なんですよね。
後悔しない生きたかをするためには。
私は全く後悔していないんです。今までの人生に。
これからは分かりません(苦笑)。
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