しろくま歯科医院 WEBサイトへ

しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
calender

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
AED
当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

最近のトラックバック

アーカイブ

リンク



« 本日、午後臨時休診になります。 | メイン | 退職された大木さんのこと »

2009年9月29日 (火)

酒は百薬の長か、悪魔の飲み物か

本日は、歯科材料モリムラが隔月に発行している『クリニカル・M・リポート新聞』に出ていた野尻寛先生の「閑話休題」よりお届けいたします。

◇酒は百薬の長か、悪魔の飲みのもか

酒はたばこと並んで嗜好物のトップだが、たばこの弊害が明らかになって禁煙は世界的標準になった。

一方、酒はというと「酒は百薬の長」とも言われるように適量なら呑まないより呑んだほうがよい、というのが一般的な話だが、悪魔の飲み物とも言われている。

◇適量

酒飲みはいつも自分は適量呑んでいると思っているのだが、適量とはなんだろ。

一日の飲酒量に関してはWHOや厚労省の定めたアルコール摂取の適正基準というものがある。

欧米の古い話では、一日50mlという基準を見たことがあるが、現在では一日30mlから更に厳しくなって一日20mlという基準が適正として提示されている。15度の日本酒なら200mlで30ml,5度のビールなら500mlで25mlのアルコールを摂取したことになる。

『常習飲酒家』 日本酒に換算して一日平均三合飲む人

『大酒家』 日本酒に換算して一日平均五合以上、五日間以上継続して飲む人

◇アルコールと長寿

・一日30mlを摂取する人は呑まない人より長寿傾向があり、

・一日30ml以上を呑む人は標準より短命の傾向があり、

・大量摂取の飲酒傾向のある人は様々な病気との関連があり、より短命となる。

ところで、八年ぶりに見直された指針によると、ガンなどの疾病リスクを高めない摂取量は、男女とも純アルコール量で一日に20グラムまで。ワインで小さめのグラス2杯、ビール(アルコール度3.5%)なら375ml缶二本までとなっていて、前記の統計より少なくなっていてたばこ飲みに続いて酒飲みの肩身も狭くなりつつある。

十五度の日本酒を一合(180ml)でも27mlで多すぎ、150mlだと22mlとかなり厳しい、5度の缶ビール350mlだと17.5mlでこれなら合格。

これなら呑まない方がましだと思うかだが、実行する方は、きっと長生きをなさるだろう。

◇日常的にアルコールを呑む人

日本酒で一日平均二合以上三合未満を呑む男性ではガンになるリスクが1.4倍、一日平均三合以上のグループでは1.6倍になった。

日本酒一合はビールで大瓶一本、ワインでグラス2杯(240ml)、ウィスキーダブルでは一杯に相当する。

一日二合以上のお酒を飲むことによって、ガン全体の十三%が生まれる計算になる。

特に飲酒と喫煙が重なると危険度は一気に高まる。たばこを吸う男性だけに限ると、一日平均二~三合のグループでは1.9倍、一日平均三合のグループでは2.3倍もガンが出来るリスクが高くなった。

大腸ガンでは、一日平均二合以上のお酒を飲み、たばこを吸う男性の場合、お酒もたばこも取らない人に比べ発生率が三倍になる。

もし、お酒もたばこも世の中からなくなったら、男性の大腸ガンの約半分が無くなる計算になる

◇依存性

ところで酒の耽溺や依存性については、たばこの32%に比べてアルコールは半分以下の15%、大麻は更に弱く9%といわれていて、オランダでは大麻は解禁の傾向が広まりつつあると言われるが、我が国では違法である。

◇チャンポンと悪酔い

ちゃんぽんとは異種の酒を同時に呑むことをいうのだが、一般に悪酔いしやすいと信じられている。

特に醸造酒と蒸留酒をまぜて呑むと深酔いや二日酔しやすいと信じられていて、この考えはかなり定着している。

しかし、幾つかの実験に私の経験を加えると、例えばビールと焼酎と日本酒を同じ夜に呑んだとしても、総体としてアルコールの絶対量が適量であれば深酔いや二日酔いはしないということになっていて、異種の酒を呑んだときは結果的に飲み過ぎる事が多いので二日酔や悪酔いするのだ。

◇飲酒と頭痛

ワインと頭痛の関係が文春6月号に出ていて、血管を拡張して偏頭痛を招く物質たとえば赤ワインやオリーブオイルに含まれるポリフェノール、それに柑橘類やチョコレート、発酵乳製品に含まれるチラミン、ハムやソーセージなどの加工肉の保存料として用いられる亜硝酸ナトリウム、最後に化学調味料としてのグルタミン酸ナトリウム、この中の三種類が重なると頭痛が生じやすい。

赤ワインにハムやソーセージ、それにチーズ、オリーブオイルたっぷりのイタリアンなどという組み合わせはよくある例で、それは決してワインのせいではないことがわかる。

◇アジア人顔面紅潮症候群

今年の二月、ローマで開かれたG7における我が国財務大臣の醜態を思い出すまでもなく、我が日本人に酒の弱さには定評がある。

ALDH2次損はもともと東アジア人の四〇~五〇%に認められる遺伝性代謝障害で、肝臓のアルデヒド脱水酵素(ALDH2)の働きが阻害される。

ALDH2次損者がアルコール飲料を飲むと発がん性のアルコール中間代謝物質であるアセトアルデヒドが血中や組織に蓄積される。

飲酒習慣のあるALDH2次損者には、消化管ガン、肝臓ガン、遅延性アルツハイマー病、およびその他の重篤な健康障害と有意な関連があることが認められている。

長期にわたる健康リスクに加えて、アセトアルデヒド値の上昇は、顔面紅潮、頻脈(心拍数の増加)、頭痛、吐き気、めまいなどの症状を引き起こす。

ALDH2次損者は、飲酒による不快な反応に苦しみ、長期の健康リスクに直面しているにもかかわらずアルコールを常飲する割合が高い。

◇酒に弱い人の飲酒

同じような理由で、顔がすぐに赤くなる酒に弱い体質の人が飲酒と喫煙をすると、、食道ガンになるリスクが、飲酒も喫煙もしない人に比べ、最大190倍も高くなるということが、東京大学の中村祐輔教授と松田浩一助教の研究でわかった。

同じ体質の人でも、飲酒・喫煙をしないと、リスクは7倍程度さがった。

この研究でもアセトアルデヒドを分解する酵素の2つが、食道ガンのリスクに関連していることが明らかになった。

アセトアルデヒドは酒で気分が悪くなる原因物質で、たばこの煙にも含まれる。顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、日本人の四割がこのタイプ。

アセトアルデヒドを作る働きが弱いと気分が悪くなる前に、ついつい余分に飲んでアセトアルデヒドが増える。

飲酒・喫煙の影響についても調べたところ、酒に弱く2つの酵素の働きが弱い人が、一日缶ビール一本以上の飲酒と喫煙をすると、相乗効果が働き、酒に強く飲酒・喫煙をしない人に比べ、食道ガンのリスクが19倍も高くなっていた。

◇酒は憂さ晴らしに逆効果

よく憂さ晴らしに酒を飲むことがあるが、嫌なことを思い出しながら酒を飲むと、その効果が強められ、嫌なことを忘れようと酒を飲んで一時的に楽しくなっても、翌日には楽しいことを忘れ、嫌な記憶が強く残ることが東大の薬理学松木則夫教授の実験で明らかにされた。

所詮、人間は食べるために生き、生きるために食べるのだが、これを酒飲みに当てはめると、生きるために飲み呑むために生きるのだから、ま、お互い適当にいきましょう。

最終的には死ぬために生きていると考えれば、面白さは増すでしょう。

年をとってしまった友人達と久しぶりに会うと、

「しばらく呑んでいないと調子が良いな」という挨拶のあと、「では、呑もうか」という不思議な話になる。

酒は親しき友自体が体によくない。そういえば前立腺肥大の病因の1つに「親しき友」があったはずだ。

多量の飲酒が発がん性をもたらすことはかなり具体的に指摘されており、同じく多量の飲酒を続けると脳の萎縮をもたらしたり、アルツハイマー症の誘因になっているというデータも確率している。

どちらかと言うと酒飲みにネガティブなデータが多いのも事実で、やがては酒税の増税など、喫煙者に加えられていると同様のプレッシャーは免れえないだろう。

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/161388/21744015

このページへのトラックバック一覧: 酒は百薬の長か、悪魔の飲み物か

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。