歯の大敵バイオフィルムってどんなもの?
本日は、花田信弘先生の著書『むし歯・歯周病』よりお届けいたします。
◇歯の大敵バイオフィルムってどんなもの?◇
(バイオフィルムのおさらい)
バイオフィルムとは、歯の表面に張り付いている増殖した菌を膜が覆っている細菌の固まりのことです。
●●台所の三角コーナーについているヌルヌル●●
私たちの身近にあるバイオフィルムといえば、台所の三角コーナーや排水口、風呂場の排水口にヌルヌルとした膜が表面を覆っています。あれがバイオフィルムです。バイオフィルムとは細菌が作り出した膜です。
洗剤をかけても、たわしでゴシゴシこすってもとれにくい、あの不快な汚れの塊。あんなものが歯についていると思うとぞっとします。
バイオフィルムが問題視されるようになったのは、欠陥や尿管に入れる管、カテーテルといいますが、カテーテルなどを補うものとして利用されるようになってからのことです。
これらの人工機器が体内に入れられると、しだいにその表面に細菌によって膜のようなものがつくられ、その膜に守られた環境で細菌が増殖してしまうということが起きてきたのです。
バイオフィルムが出来てしまうと、抗生物質などの薬もその膜にはね返されて内側に浸透しなくなります。そのため、細菌による感染が起こり、尿管カテーテルのバイオフィルムに巣くった細菌のために膀胱炎になるというようなことが起きています。
こうしたことから、バイオフィルムが注目されるようになりました。
◇むし歯菌がなぜバイオフィルムの中で生き続けられるのか?
そして、体の中で一番硬い歯の表面でも同じようなことが起きていることがわかったのです。ミュータンス菌は砂糖をえさとして、その中でどんどん増殖します。そして、排泄物として乳酸などの酸を出し、歯のエナメル質を溶かしていきます。
バイオフィルムが出来てしまうと、唾液も歯のエナメル質に触れることが出来なくなり、唾液の洗浄作用も働きません。細菌がますます繁殖しやすい環境になります。
さらに、ミュータンス菌はいったんバイオフィルムをつくってしまうと、デキストラーゼという酵素を分泌して、自分たちがつくったネバネバのグルカンそのものもえさにして生き続け、乳酸を出し続けます。
自分が作り出したものをえさにすることが出来るので、砂糖がそれ以上入ってこなくても(甘いものを食べ続けなくても)むし歯をどんどん進行させてしまうのです。
参考文献 むし歯・歯周病 花田信弘著 小学館
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