『乱反射』を読んで
貫井徳郎さんの作品を初めて読んだのはまだ大学院生の時だったので、既に10年近く前のことになります。
最初に購入した作品は、『慟哭』という貫井さんのデビュー作です。新宿の青山ブックセンターの文庫本のコーナーに、店員お勧めというPOPが書いてありました。
そのPOPには、「とにかく読んでもらいたい、理由抜きで」と書いてあった気がします。その時私は新しい作家さんを捜していたので、とりあえず購入して読んでみました。デビュー作とは思えない話しの展開、そして、ラストでのどんでん返し。一気に読め、しかもしばらく立ち直れないくらいの衝撃を覚えました。
それ以来、貫井さんのファンです。時折、軽い感じのお話も書かれますが、いつもは、社会に潜む思いテーマが多いです。
そして、今回の『乱反射』。
非常に考えさせられる話しでした。最後の方は、恥ずかしい話しですが、ずっと泣きながら読んでいました。
日常の生活で犯すちょっとしたルール違反。誰もが「今日だけだから・・・」「誰も見ていなし」といった自分の心の中で自己解決してしまう犯罪。しかし、慣れによってそれが日常化してしまい、当たり前になっていく。
この事が実は取り返しのつかない大きな問題を作り上げてしまう。事故ではなく、実は人災の可能性も秘めている。そんな恐ろしさをこの本で感じました。
本の内容は語りませんが、私がこの被害者になったら、どうなってしまうのだろ。考えただけでもぞっとしました。健康で走り回る娘を抱きかかえ、娘の健康が何よりも宝だと思ってしまいました。
時間があれば、是非読んで頂きたい本です。私たちも犯罪者になる可能性があると分かっただけでも有意義な本でした。
社会のルールは守りましょうね。
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