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2009年4月19日 (日)

加齢による変化2

昨日の続きです。

本日も戸田恭司先生、森下真行先生の著・編『口腔ケアでいきいき』よりお届けいたします。

6。顎骨

顎提の高さが減少します。歯を喪失した顎骨では歯槽骨(顎骨のうち、歯を支持している部分)が吸収されている骨量の減少を来します。60歳以上の人の下顎骨は20歳前後の若者に比べ、6割の外力で骨折するとの報告があります。

7。舌

味覚機能の低下や異常、舌炎を起こしやすくなります。また、舌表面の裂溝形成、乾燥傾向と舌乳頭の消失が高率となります。

舌運動の協調性が低下することにより義歯が合いにくくなります。味蕾(みらい)の数は個人差が認められますが、75歳以上では20歳代の三分の一しかないとの報告もあります。

8。味覚

加齢によって味覚がかわるかという疑問があります。化学的、非化学的なことは問わず、また個人的な感受性の幅の広さや嗜好を考慮にいれても、味覚の変化はつきない話題の一つです。

私たちは体験的に味覚が変化していくことをしっています。60歳を過ぎた頃から四つの基本味の感度が鈍くなり、とくに「塩味」と「苦味」が著明に低下します。高齢者が若年者といっしょに食事をすると味覚の違いを訴えるのはそのためです。

9。味覚嗜好変化

味覚生理学者によると、若年者や中年に比べ、高齢者は、高濃度の食塩、砂糖を好むようになるといわれています。その理由としては、前記のように高齢者は、若年者や中年と比較して濃度を高くしないと、塩辛さや甘さを感じないからではないかと考えられています。味覚は嗅覚とも関係していることから、食生活での嗜好変化はにおいとの関連で影響を考えていく必要があるように思われます。

10。味覚障害

「最近、味が薄くなったように思う」から「全然、味がしなくなったと思う」まで、中高年になると味覚障害が増加します。年間約14万人に味覚障害が発生しているとの報告もあります。高齢化の進む現状からすれば、将来、味覚障害がさらに増加する可能性が考えられます。

味覚障害者は50歳代、60歳代に多く、高齢社会におけるQOL(生活の質)を阻害する障害の一つとして問題提起されています。原因としては「薬剤性」、「亜鉛欠乏症」、「全身疾患」が半数以上を占めます。

味覚障害予防の観点から、亜鉛を多く含む食品を普段から食事のときに摂っておくことが必要です。食品100g中10mg以上亜鉛を含む食物を列挙します。

①嗜好品・・抹茶、緑煎茶、玄米茶、ココア

②魚介類・・かき、かずのこ、いわしみりん干し、煮干し、ゆでたらばがに、さざえ

③海草類・・あまのり、てんぐさ、寒天、あさくさのり

④豆類・・きなこ、赤色辛みそ

⑤種実類・・カシューナッツ、アーモンド、ごま、かぼちゃの種

⑥穀類・・麩(ふ)

味覚障害ははやく治療にとりかかれば高い確率で改善できるといわれています。(1ヶ月以内では80%)。異常が確認されたら早く専門医に相談されることをすすめます。

11.唾液腺

唾液腺は加齢とともに脂肪化や結合組織化が進み、分泌機能が低下します。さらに高齢者は、何らかの疾病をもっていることが多く、その場合薬の服用による口腔乾燥を来している(鉱区乾燥症)ことも少なくはありません。その結果、義歯の安定に重大な影響を与えることがあります。

このような場合は、唾液線刺激錠剤の服用や人口唾液を口腔内へ噴霧すると良いでしょう。また、粘膜にくっつきにくい義歯は、人口唾液を使用して湿らせてくっつきやすくするといいでしょう(いずれも市販されています)

参考文献 口腔ケアでいきいき 戸田恭司・森下真行 著・編 医歯薬出版

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