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2009年4月28日 (火)

痛いところが悪いところ?

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版『なるどほ現代歯学』よりお届けいたします。

◇歯、口、顎の痛み、頭痛~痛いところが悪いところ?

★痛みの判断は難しい

「痛み」を感じると、どうしてもその場所に何か痛みの原因があるように思ってしまいます。しかし、痛みを感じる部分にはではなく、ほかに原因があることもしばしばあります。さらに、その感じ方には大きな個人差があり、また心理的な影響も大きく作用するため、通常以上に強く痛みを感じる場合もありますし、原因となる疾患や傷害はないのに心理的要因ののみから痛みを感じる場合もあります。

これらの事から、「痛み」の診断は非常に難しい場合があります。

★歯と口の痛み

まず、「歯の痛み」ですが、ほとんどの場合、「歯の痛み」の原因はむし歯か歯周病です。ところが、明らかに原因と思われる異常が見当たらないのに、歯の痛みを感じることもあります。たとえば、頭から頸にかけての筋肉に痛みの原因があったり、心臓が原因で顎や歯に痛みが生じることもあります。また、神経痛や頭痛が原因である場合もあります。

次ぎに「口の痛み」ですが、「歯の痛み」と同様に、注意深く検査をしても舌や口腔粘膜に炎症や傷、潰瘍などの変化がなく、ガンや金属アレルギー、貧血やその他の疾患もなく、臨床検査でも異常が認められないにもかかわらず、痛みや違和感を訴える方がいます。そしたg場合には心理的要因を十分考慮する必要があります。

★顎の痛みと頭痛

「顎の痛み」は、多くの場合、顎関節症に関係しています。原因としては種々なことがいわれていますが、ブラキシズム(歯ぎしり、食いしばり)が症状の悪化要因として注目されています。

一方で三叉神経痛や舌咽神経痛、それから偏頭痛や緊張性頭痛などとの鑑別も必要です。さらに、肩のこりなども顎の関節部分に痛みを生じさせることが知られていますし、心理的要因が強く関与する場合もあります。

「頭痛」は大きく、一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。頭痛の診断は医科で行われ、歯科で頭痛それ自体を治療することはありませんが、ブラキシズムや顎関節症に関連するものとして、緊張性頭痛があります。この頭痛は、筋緊張性頭痛ともいわれ、ストレスなどによって頭や首の部分の筋肉が緊張し、持続的頭痛ともいわれ、ストレスなどによって頭や首の部分の筋肉が緊張し、持続的収縮を起こすことによって生じるものです。この緊張型頭痛は、慢性頭痛の70~80%を占め、ブラキシズムも要因の一つとしてあげられています。

★心理的(精神的)要因

次ぎに、「痛み」に関する心理的(精神的)要因ですが、ここで重要な概念が「身体化」です。

これは簡単にいうと、「身体的な原因が見当たらないのに、身体症状が生じている状態」のことです。そしてこの「身体化」を生じうる疾患として、身体表現性障害、大鬱病性障害、妄想性障害、統合失調症などがあります。

この身体化で問題となるのは、これらの精神的要因により身体化が生じてしまっている場合には、たとえその症状がなんらかの歯科治療後に生じたもので、症状として歯科に関連していると思われるものであっても、さらなる歯科治療(噛み合わせの調整や歯に被せるもののやりなおしなど)では、症状の改善は難しいということです。

現在の症状に心理的(精神的)要因が大きく関与しているような場合には、歯科治療は無効である可能性があるので、一般歯科や口腔外科、顎関節症外来といった診療科とあわせて、診療内科や心身症科を受診する必要があります。

このように、痛い場所、あるいはなんらかの症状を感じる場所に、つねにその原因があるとは限らないということを知っておくことも重要です。

参考文献 『なるどほ現代歯学』 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 竹内久裕著 医歯薬出版  

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