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しろくま先生のブログ
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2009年1月16日 (金)

オーラルエコロジーとはなにか?

本日は、福岡博史先生の著書『歯と口をなおせば、からだの不調は治る!』よりお届けいたします。

★オーラルエコロジーとは何か?~口腔内は一つの生態系~

オーラルエコロジー(以下、オーラルエコと言います)。こんな言葉をきいたことがありますか。

オーラルとは口腔のこと。口腔とは医学用語で定義は難しいのでが、ごく簡単に言えば、口の中のことです。その口腔全体をひとつの生態系ととらえ、その環境を整える(エコロジー)という視点から、歯の健康維持・増進に取り組む試みです。この視点がないと、これからの歯科治療はうまくいかないと、私は考えています。

口腔内は小宇宙・・・・・いきなりとんでもない話だ、と思わないでください。これは発想ありきではなく、歯科治療を続けてきたうえでたどり着いた実感なのです。

そもそも、これまでの歯科治療というのは、悪くなった歯を(時には悪くなっていない歯も)削って薬や金属をつめたり、歯を抜いて人口の歯を作ったり、という修復・補綴作業が中心でした。

いったんむし歯になった歯は、修復はできても同じところがまたむし歯になることも多く、いわゆる治癒にはなりませんでした。トラブル箇所だけをみるとピンポイントな修復作業に終始していたわけです。

修復作業の技術がいくら発達し、歯科医の腕が上がっても、それは口腔内のトラブルにおいて後手後手の対処法しかありませんでしたし、その対処が新たなトラブルをもたらすことも多々ありました。

けれども、こうしたトラブルを、歯そのものだけでなく、歯が存在している口腔環境全体の問題としてとらえてみるとどうなるのか・・・・・というのが、オーラルエコの視点であり、そこから考えることによって歯科治療のアプローチも変わってくるのです。

口の中にあるのは、歯だけではありません。歯を支える歯肉、その土台には歯槽骨があります。上下の歯の間には舌があり、周囲は口腔粘膜で覆われ、唾液が分泌されています。そこを食べ物や飲み物が通りすぎていきます。

その世界の中に、なんと常時500種類を越える細菌がすみついて生態系を形成しているのです。歯のトラブルは、これら常在菌の存在自体が原因なのではなく、口腔内の環境や生態系が乱れることによって、常在菌が変化することで起こることがほとんどなのです。

また、しばしば歯科治療そのものが、口腔環境悪化の原因となることもあります。よく知られているのは、歯の詰め物の有害性です。歯科治療では、古くからアマルガム(水銀化合物)が普通に用いられてきました。安価で使いやすいことがその理由でしたが、実は唾液と反応して水銀が溶けだしてしまうことが分かってきたのです。

水銀は、もちろん有害な金属で、それが口の中に長くあることで、じわじわと溶け出して全身の健康に悪影響をもたらすと考えられています。

これを、オーラルエコという観念から考えると、アマルガムという、口腔内の生態系において、明らかな異物を充填したことで、それまでの口腔環境が変化し、なおかつ経年変化によりそれがからだ全体にまで及んでしまうという、一つの流れがすんなりと見えてくるのです。

口腔環境の悪化により崩壊していく歯や歯肉の姿は、私には、地球環境の蝕まれていく姿と重なって見えます。また、口腔環境の悪化が全身に及ぼす様子を見るにつけ、口腔という小宇宙を内包している、全身というもうひとつの小宇宙とのつながりについて考えながら治療を進めていかざるを得ない必要性も実感します。

同時に、歯科治療を困難にする環境因子も増えています。むし歯の痛みだと思って来院された患者さんが、調べてみるとウィルス感染や重金属が原因がったり、からだが化学物質の影響を受けてしまったため、従来は安全とされていた薬剤や麻酔剤が使用できなかったりする例が増えているのです。

参考文献 歯と口を治せば、からだの不調は治る! 福岡博史著 主婦と生活社

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今まで安全だと考えられていた薬剤や麻酔剤が使用できなかったりする例があるって、怖い話です。

室内環境作りに関わらせて頂いている、私達も、考えないといけない部分があります。室内空気汚染による健康に影響がでること「シックハウス症候群」「化学物質過敏症」です。
内装に使用の建材、塗料、接着剤から放散される、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)。建物自体だけでなく、室内で使われる家具・殺虫剤・防虫剤や、芳香剤・ヘアースプレーなども室内汚染を引き起こします。
化学物質過敏症は、原因が特定できずに治療が困難を極める例が多いと聞きました。
私達の周りには、化学物質が多過ぎます。最近の住まいは気密が高いです。閉ざされた室内の場合、化学物質を身体に取り込む量が多いと思います。
私は家族に、車・室内での芳香剤を置くのを辞めるように言っていますが、ピンと来ないみたいです。


本のご紹介ありがとうございました。

オーラル・エコロジーの推進よろしくお願いいたします。


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