歯磨きの目的
本日は、飯塚哲夫先生の著書「歯科受診の常識」よりお届けいたします。
☆歯磨きの目的
今、歯磨きを全くしないという人は、おそらくいないでしょう。しかし、意味のある歯磨き、効果的な歯磨きをしている人も、おそらく日本中にいないのではないでしょうか。つまり、ほとんどすべての人は、あまり意味のない、してもしょうがない歯磨きをしているということです。
歯磨きは、何のためにするのでしょうか。歯をきれいに清掃するためでしょうか。それでは、なんのための歯を清掃する必要があるのでしょうか、虫歯や歯周病という「歯の病気」を予防するためでしょう。
しかし、歯磨きをしている人たちはみな、歯の病気を予防できる程度までに歯を清掃しているという自信があるのでしょうか。もしも自信があるとしたらその根拠は一体なんなのでしょうか。
おそらく、誰もそんな自信などないでしょうし、大体、歯の病気を予防出来るレベルまで清掃出来ているかどうか、といったことは考えてもみないのではないでしょうか。
ほとんどすべての人たちは、もの心ついた時から、家族の歯磨きを見て、見よう見まねで歯磨きを覚えます。
その結果、圧倒的多数の人々がしている歯磨きは、歯の病気の予防に役立っていません。だから、歯を磨いても虫歯になるし、歯周病にかかる事になります。
「身だしなみ」で歯を磨いている、という人がいるかもしれません。しかし、その場合でも、歯を清掃する目的で歯を磨いているわけです。だから、歯がきれいに清掃されていなければ、「身だしなみ」の意味もありません。
一口に「歯磨き」と言っても、いわゆる「歯磨き」には2種類あります。「歯磨き」と「歯肉磨き」の2種類です。これは「虫歯予防のための歯磨き」と「歯周病予防のための歯磨き」の2種類と言い換えてもいいでしょう。
虫歯を予防するためには、「歯」を磨く必要があります。歯を磨くとなぜ虫歯を予防出来るかを説明しましょう。
虫歯は、食べ物の中の糖の中の細菌が働きかけて、歯の表面でいくつかの酸が産生される事が原因で発生します。この酸が硬い歯の表面を溶かす事によって、歯が壊れて行くわけです。
歯の清掃が不十分な場合には、歯の表面に歯垢(プラーク)が形成されています。歯垢というのは歯の表面にこびりついた細菌の集団で、いわゆる「食べかす」ではありません。この歯垢の中の細菌が酸の産生に関与するということです。
このような酸の産生は非常に急速で、糖を摂取した後直ちに歯の表面の歯垢の酸性度(PH)は高くなります。つまり、PHの値が低下します。
PH(水素イオン指数)というのは、水素イオン濃度を表す濃度で、PH7が中性、これより数値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性ということになります。
歯垢のPHは通常6.8ですが、糖に曝されて約10分後には最も小さいPHである約5に達し、30~60分の間にゆっくりと元に戻ります。歯の主成分であるcalcium hydroxyapatiteはPHが5.5以下になると溶解し始めるので、このPHをcriticalPH(決定的PH)と呼びます。
虫歯予防のための歯磨きは、「食べたらすぐ」「食べたら必ず」行うのが原則なのはこのためです。これは、食べかすを取り除くのが目的の歯磨きです。食べかすを取り除くことは、そのほか歯垢を形成させないためにも必要です。歯の表面に歯垢がなければ酸は酸性されないわけですから、食べかすを取り除く目的とは別に、歯の表面の歯垢を取り除いて常に歯を清潔にしておくための歯磨きも必要なのです。
一方、歯周病予防のための歯磨きの基本は「歯肉磨き」です。正確には、歯と歯肉との間にある「溝」を磨くことです。この目的は、食べかすを取り除くことではなくて、この部分の歯垢を取り除くことです。
歯垢と歯周病との関係は、歯垢と虫歯との関係と多少異なります。歯垢は必ず歯周病の原因になるわけではなく、新しく形成されたばかりの歯垢は歯周病の原因にはなりません。それが古くなると、歯垢中に歯周病の原因になる細菌が増えてくるのです。
それからまた、歯垢が存在すると直ちに歯肉に炎症が生じるわけではなく、その影響が表れるまでに10日ほどかかります。
そのような理由で、歯周病予防のための歯磨きは、「食べたらすぐ」とか「食べたら必ず」にの必要はありません。理論的には一日一回徹底的な清掃を行えば十分です。不十分な清掃を頻繁に行うのは、歯周予防のためには最も悪い歯磨きです。
参考文献 歯科受診の常識 飯塚哲夫著 愛育社
こんばんは★
やっとブログにお邪魔できるようになりました。
私も歯が磨けていない患者の一人でした。
毎日磨いているのに、磨けていないから虫歯になりました。
それで、かかりつけ歯科でブラッシング指導をしていただいたので、今は前よりましに磨けていると思います
(^^)
あとは三ヵ月に一度の定期検診で、衛生士さんに綺麗にしていただいて予防しています。
しろくま先生に出会ったお陰もあり、今は歯に大変興味があります♪
これからも色々ご教授ください!!