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2008年3月16日 (日)

要介護者の口臭の測定は可能か?

本日は、宮崎秀夫先生、八重垣健両先生の編集の「口臭ケア」からお届けいたします。

Q:口臭は測定出来るのでしょうか?

A:口臭は測定出来ます。

口臭を判定する方法は鼻で臭いをかぐ官能検査や、ポータブル臭い測定器、専門的なガス分析機器(ガスクロマトグラフィの使用の3種類の方法があります。

ここでは、最も簡単な官能検査について説明します。臭いを鼻で測定するというと、非科学的に聞こえますが、我が国の悪臭公害では、悪臭防止法にもとづき人間の嗅覚で悪臭を判定する事になっています。嗅覚による測定は、意外と信頼度の高い測定方法なのです。

1:判定者の条件

国際口臭学会では、判定者は正常な嗅覚を持つ者と勧告しています。正常な嗅覚を持っているか正確に調べるためには、我が国では耳鼻科を受診し、T&Tオルファクトメータ(第一薬品産業)などの嗅覚検査器を使用して調べます。

しかし、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)には臭い基準物質がありませんし、また、手間もかかりますので上質の焼き海苔やゆで卵の臭い(これはVSCの臭いです)を感じるかどうかでも検査できます。

2:判定時の注意事項

人間は、VSCの1種類である硫化水素をかぎつけると、5分ほどで嗅覚が約1/3まで鈍ります。これは臭いに順応するからです。したがって、口臭をもつ要介護者と同室にいる介護者の嗅覚は、鈍っていると考えてよいでしょう。

一方、毎日一定時間、同じ臭いにさらされていると、数日後にはその臭いに対する嗅覚が鈍くなってしまいます。そのため、より正確に口臭を測定するには、介護者以外の人が測定すべきでしょう。

もちろん、介護者以外の人が測定する場合にも、臭い順応には注意が必要です。口臭ガスは居室に充満するため、検査者が入室した時点からただちに臭いへの順応が始まります。したがって、入室後は早めに口臭を測定するようにしてください。

3:口臭測定方法

通常、要介護者の口臭は、介護者や家族が指摘し、要介護者自身は知らないことが多いものです。容易に口臭検査とわかれば、本人の尊厳を傷つけてしまうかもしれません。

そこで、口の奥を診るかのように思わせて、呼気を嗅ぐ方法が最も適当でしょう。もし可能なら検査者の鼻を要介護者の口から10センチぐらいまで近づけてください。口臭検査に理解が得られた場合は、チューブとプライバシースクリーン(測定者の顔が見えない要にスクリーンで覆い、要介護者の口の位置に息を吐き出すチューブが出ているもの)を使った方法をとります。1分間口を閉じてからチューブに息を吐き出してもらい検査します。官能検査判定基準表の2以上から(下記参照)口臭ありと判断しますが、他人に迷惑をかけるのはスコア3ぐらいです。

もちろんこれらの方法は、医療関係者だけでなく、一般の人でも行えます。下記の表を参考にしてください。

表 官能検査判定基準

0:臭いなし・・・・鼻でかぎ取れるような臭いを感知しない

1:非常に軽度・・・・臭いを感知するが、悪臭と認識できない

2:軽度の口臭・・・・かろうじて悪臭と認知できる臭い

3:中等度の口臭・・・・悪臭と容易に判定できる

4:強度の口臭・・・・我慢できる強い悪臭

5:非常に強い口臭・・・・我慢できない強烈な悪臭

参考文献 口臭ケア ~要介護者の快適な生活のために~ 宮崎秀夫・八重垣健両編集 医歯薬出版 

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