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2008年1月28日 (月)

虫歯はこうして出来る1

本日は、丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」からお届けいたします。

虫歯はこうして出来る

現代の日本人は、中学生で90%以上の人が虫歯をもっています。他の国と比べ、日本人は虫歯が非常に多く、見た目にも汚い歯をしている民族だと思います。文明国でもヨーロッパなどでは、かなり美しい歯をしていますし、特にノルウェー、スウェーデンなどでは、口元に虫歯が見える人はほとんど見かけません。

このように虫歯の多い日本人も人類学者の研究によるとほとんど虫歯が無かったのです。それが食生活の変化、特に砂糖の摂取量の増加に比例して、虫歯が急増して閉まったのです。

面白いグラフがあります(興味のある方は、本書P48を参照してください)。日本における砂糖の消費量の推移と虫歯罹患率を示したグラフですが、砂糖の消費量と虫歯の罹患数が見事に比例していることがわかります。昭和17年頃から砂糖の消費量が急降下している時期があります。

戦争のために砂糖の消費量が低下したのですが、その時期、虫歯の急減していることが分かります。

①細菌が砂糖を分解すると酸ができ、この酸が歯を溶かして虫歯を作る

虫歯できるためには、細菌と砂糖(蔗糖)が必要です。口腔内にはたくさんの細菌が存在します。細菌は、何かを食べて生活しますが、口腔内には様々な食べかすが残っていて、それらを食べ、発酵させます。発酵の産物として乳酸などの酸もできますが、特にニュータンスなど一部の菌が砂糖を発酵させると、酸がたくさんでき、この酸がエネメル質を溶かして虫歯が出来るです。

歯はとても強いもので、特にエナメル質は自然界でダイヤモンドの次ぎに硬く、とても丈夫です。しかし、弱点があり、酸には溶かされやすいのです。

エナメル質は、主にカルシウムをたくさん含みますが、このカルシウムが酸に溶かされやすいのです。カルシウムが酸に溶かされることを脱灰といいます。

エナメル質が溶かされ、穴が象牙質に達すると、象牙質は有機成分が多く、ここに様々な細菌がとりつき、有機質を腐敗させ、虫歯は急速に進行します。

硬いエナメル質よりも軟らかい象牙質で虫歯は速く進行するため、虫歯は外見上の入り口は小さく、中で大きく進行します。

糖分には砂糖のほかにブドウ糖、果糖、乳糖などがありますが、虫歯つくる力がもっとも強力なのは砂糖で、他の糖はかなり弱くなります。ですから甘いものを食べたいときは、果物などを食べた方が虫歯になりくいのです。

以上の様に虫歯が出来る原理を知れば、虫歯を予防するポイントを知ることになります。虫歯予防にちては後で詳しく述べますが(明日以降)、まず、食生活に注意して硬く丈夫な歯を作ること、砂糖を食べ過ぎないこと、細菌が多くならないように食後に正しいブラッシングを行うこと、が三大原則になります。

②虫歯はこうして進行する

歯は中心に神経(歯髄)その上に象牙質、そして表装にエナメル質という構造をしています。歯冠部の表層は硬いエナメル質で覆われ、その内部は有機質が多く、軟らかい象牙質となっています。そして中心部には血管や神経があり、歯髄と呼んでいます。

脱灰の程度が軽く、虫歯がエネメル質にとどまっている物をC1 といいます。C1では無症状で、しみることもありません。また、C1も軽いうちならば、予防を徹底すれば再石灰化が起こり、虫歯の進行が止まったり、治ったりすることもあります。

虫歯が象牙質に達したものをC2といいます。C2も軽いうちは、しみたりする症状もありませんが、深部に達してくると冷たいものや甘いものを飲食した時、しみるようになってきます。

この状態では虫歯はかなり歯髄に接近しています。削って充填したり、金属冠などを被せたりするのみで治せるのはこの進行程度までです。

C2もさらに歯髄に接近すると冷たいものでなく、熱いものの飲食でもしみるようになります。こうなると特殊な歯髄保護処置をしないと歯髄を助けられなくなる場合もあります。

さらに放置すると、虫歯は歯髄に達します。そうすると歯髄が細菌に感染し、炎症を起こし、歯痛が始まるのです。最初は軽いこの痛みを放置するとまもなく、あのズキンズキンとうずく、激しい痛みになってしまいます。(この状態をC3といいます)

こうなるともう抜髄(神経を取る)しかなくなるのです。これでも治療せずに放置すると歯冠部は崩壊し、歯根しか残らないC4の状態となります。こうなると歯根の中心の穴(根管)を通って細菌が顎骨に達し、腫れ上がることになります。虫歯の各段階で治療方法はことなりますが、それは後でまとめて説明します。

あすへ続きます。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋 賢著 現代書館

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