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2008年1月29日 (火)

虫歯はこうして出来る2

昨日の続きです。本日も丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」からお届けいたします。

虫歯予防の基本

①家族を予防の拠点に

約30年前、東京の中心部の開業医に勤務していたとき、その周辺の子供の虫歯が極めて少ないことに気づきました。

治療に来院する子供を診ると、虫歯が1本だけといった例がほとんどで、ブラッシングも良くなされていて歯も歯肉もとてもきれいなのです。

なるほど、住民の衛生意識の高さの程度に虫歯は少なくなるのだ、と私は理解しました。

その周辺は大企業の本社が多く、住民の衛生意識も高いらしく、子供を連れてくるお母さんの態度もとてもきちんとしていました。

当時の日本は、子供の口のなかは虫歯だらけで、とくに地方ではみそっ歯(ランパントカリエス)といってほぼすべての歯が急速にみその様に腐ってしまう虫歯も見られたのです。そのような状況の中で、都心に住む子供たちの虫歯の少なさ、口腔内の清潔さには驚きに値しました。

将来の虫歯予防の一つの方向性も示唆していました。生活の向上とともに衛生意識や健康観が向上することが大切なことがよく分かったのです。それから現在まで、日本の子供達の虫歯も少しずつ減少傾向をしめしています。

しかし、日本の中でも口腔衛生思想の教育活動の熱心さや普及程度により、子供の虫歯普及率は地域によって大きな差があります。平成7年度の群馬県内の1歳6ヶ月児検診データを見ると高崎市では4.3%でしたが、ある農村では36.4%にもなっています。高崎市では、保健所を中心に予防活動が熱心に行われ、その成果が上がっているといえます。

1歳6ヶ月児では虫歯のある子供ほんの少数で、親がほとんど注意せずに育てている場合に限られます。この時期に36.4%の子供に虫歯があったら、3歳児検診時にはほぼ全員が虫歯になってしまうと心配です。

1歳6ヶ月児で4.3%しか虫歯がない高崎市ですら、3歳児のときは41%の子供が虫歯になっているのです。そして就学児童検診では、虫歯のない子供は、ほんの少数しか見られなくなるのです。

前述したようにしっかりした衛生意識をもつ家族の住む地域では虫歯は極めて少ないのです。お母さんを中心に理解を深め、家族単位で予防の拠点作りをすることが大切だと思います。

②虫歯の少ない北欧に学ぶもの

ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどでは虫歯は極めて少なく、子供は皆美しい歯をしております。北欧で虫歯の少ない理由の第一は、土曜日をお菓子の日を決めていて、他の日に甘い物を子供に与えない節度ある習慣にあると思います。

日本では親の教育的態度が確立しておらず、子供を甘やかしたり放任したりしてお菓子を節度無く与えてしまいがちです。

理由の第二は、自然の恵みをそのまま食べる食生活にあります。ジャガイモ、パンを主食とし、魚、肉、野菜などを食材の形が残っているような調理で食べます。自然そのものを食としていれば、体も歯も丈夫になり、虫歯にもなりにくいのです。

第三は健康教育が充実していることです。保健衛生教育、福祉、医療などが充実していることでは有名ですが、衛生意識レベルは相当高く国民に浸透しています。

残念ですが、戦後急速に経済発展を遂げた日本は、物資的には豊かになったものの、国民の健康思想などの立ち後れは明らかで、まだ途上国と考えなければいけないでしょう。

フッ素やキシリトールの使用が虫歯を少なくしていると主張している人がいますが、これは間違いです。それよりずっと昔から北欧の虫歯は少ないのです。キシリトールなどは最近売り出されたばかりです。

③文化的に成熟した家族・民族になろう

私は40カ国あまりをみて回りましたが、虫歯をはじめとする歯科疾患が少ない国は、次の二つのいずれかに属します。

未開民族などに見られるまだ昔からの食や暮らしがあまり変化していない民族や国かまたは長い歴史を経て成熟した文化を築いた国です。

マサイ族やモンゴルの遊牧民、中国の少数民族などが前者に属し、ヨーロッパ諸国が後者の代表です。

物資文化や経済ばかり発展し、文化的成熟が追いつかない国では虫歯が多く、健康的な問題も多く見られるのです。日本、アメリカ、ブラジルなどがその代表で、中国や東南アジア諸国がその仲間に加わりつつあります。

このような現実を考え、日本の地域格差を比較検討すると、私たちがまず始めるべきことは、家族という小世界の文化的質を高め、健康観を充実させていくことであると考えるのです。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋 賢著 現代書館

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